焼肉屋を開業するときの立地の考え方とは?開業資金や物件もチェック!

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焼肉を食べる女性たち

子どもからシニアまでが幅広い年齢層に好まれる焼肉屋。一方で、開店してほどなく廃業に追い込まれる焼肉屋も少なくありません。失敗の原因の多くは、シミュレーションを行わずに家賃の高い物件に飛びついてしまったことにあります。そこで今回は、ファミリー向けの焼肉屋を開業するケースを中心に、立地や物件取得費用から内装工事費、厨房機器など、初期投資としてどれくらい必要か、また、運転資金はどの程度確保しておくべきかを、具体的に解説していきますので参考にしてください。

焼肉屋開業の立地の考え方

韓国焼肉

飲食店を開業するに当たって重要なのは、店舗の立地(ロケーション)です。昔から「商売するなら一等地で」といわれていますが、近年は、駅前などの一等地にある路面店(1階)は大手外食チェーン店に押さえられていて、個人事業主はなかなか借りられないのが現状です。

しかし、仮に借りられたとしても家賃が高いため、客単価が安く、回転率も低いお店では、売上があっても家賃に食われてしまい、収益を上げるのは容易なことではありません。一等地なのにオープンして1年もたたないうちに廃業するお店がありますが、その原因のほとんどが高すぎる家賃です。

確実に収益を出すためには、「どのような客層をターゲットに、どのようなサービスを提供し、どのようなお店にしたいのか」というコンセプトを明確に打ち出し、シミュレーションも行ったうえで、最も適した立地・物件を探すことが大切です。

コンセプトでも違う?コンセプトごとの立地を考えよう

娘に肉を食べさせる父親

焼肉屋の場合は、経済的に余裕のあるシングル層やシニア層をターゲットとする高級焼肉屋、子どもやお年寄りを含むファミリー向けの焼肉屋、中高生でも入れる食べ放題の大衆向け焼肉屋の3業態に大別されます。それぞれどのような立地に多く出店しているかを見てみましょう。

高級焼肉屋

良質の和牛を使用しており、客単価も1万円以上と高額です。洗練された繁華街や高級住宅街に出店するケースが多く見られます。内装も高級レストラン同様に重厚な雰囲気で、肉を焼くにおいや煙が充満するということもありません。お客様の利用目的で多いのは、ビジネス上の接待、家族の誕生祝いや結婚記念日などのイベント、女子会やシニアの同窓会などがあげられます。

ファミリー向け焼肉屋

立地としては郊外の幹線道路沿い(ロードサイド)で、駐車場つきの店舗がほとんどです。客単価は3,000~5,000円が一般的です。ファミリー向け焼肉店は「牛角」や「安楽亭」などのチェーン店が多いのですが、個人店ならではの付加価値を売りにすることで十分集客が見込めます。

大衆焼肉屋

食べ放題の焼肉屋は、繁華街、ビジネス街、学生街、住宅街など、立地はとくに選びません。客単価は2,500円程度が一般的ですが、ビジネス街や駅前の店舗では、会社帰りに立ち寄ってアルコールを注文するお客様が多いため、ファミリー向けのお店より客単価が高くなるお店もあります。

焼肉屋の開業資金はどれくらいが目安?

焼肉屋開業の資金イメージ

焼肉屋は、カフェやレストラン、居酒屋などに比べると高額の開業資金を必要とします。ファミリー向けの店舗を例に説明すると、次のような費用がかかります。

1.物件取得費

店舗の面積は20~30坪が適しています。30坪の場合、坪当たり1.5席として全45席になります。1日の回転数が平均2回、客単価が3,000円と想定すると、「45(席数)×2(回転数)×3,000(客単価)=27万円」となります。

しかし、つねに満席ということはないので、これに稼働率を掛ける必要があります。飲食店の稼働率は60~80%とされているので80%で計算してみると、想定日商は「27万円×80%=21万6千円」となります。1か月の営業日が26日とすると、「21万6千円×26日=561万6千円」が想定月商となります。

家賃は、想定月商の10%以内が適正といわれますから、この場合は家賃60万円を目安に物件を探せばいいことになります。

飲食店用の物件は、家賃10か月分の保証金が必要で、前家賃、敷金、礼金と合わせて計13か月分、つまり60万円×13か月=780万円を契約時に支払うことになります。なお、保証金は、万一家賃を払えなくなったときのための担保として預けるもので、契約を解除して退出するときに返還されるのが原則です。

2.設備工事費

お客様自身が肉を焼くために各テーブルに無煙ロースターが必要で、さらに吸排気設備、屋外に排気するためのダクト工事も行わなければなりません。

  • 無煙ロースター……1台当たり20万円×45席=900万円
  • 各テーブルの吸排気設備……1台当たり10万円×45席=450万円
  • 屋外の排気ダクト工事……200万~300万円

以上で合計約1,650万円です。

3.厨房機器

主な厨房機器は、業務用冷凍冷蔵庫、調理台、ガステーブル、フライヤー、シンク、食洗器、グリストラップ(油分や生ごみを除去する装置)などがあります。新品でそろえる場合は、約500万円は必要です。

4. 運転資金

1から3までの合計金額は2,930万円になります。しかし、これだけでは万全ではありません。運転資金を確保しておく必要があります。飲食店を開業して軌道に乗り、収益を上げられるようになるまで6か月はかかるといわれます。その間には売上がほとんどない月があることも予想されます。赤字でも材料やサービスの質を落とすことなく営業を続けるためには、運転資金として固定費(家賃、材料費、人件費など毎月支払う経費)の6か月分を確保しておくのが理想とされています。お店の規模によって異なりますが、300万円程度は必要でしょう。これも加えると、開業資金は約3,000 万円必要ということになります。

ともすると開店資金だけに目を向けがちですが、開店後の運転資金こそ経営の成否を分ける重要ポイントなのです。そのようなことから、焼肉屋のように初期投資がかかる業種は、スケルトン物件(新築や原状回復されたまっさらの状態)ではなく、居抜き物件からスタートするケースが多く見られます。

居抜き物件を選ぶときのチェックポイント

焼肉屋の厨房

居抜き物件とは、前の借主が施工した設備や機器がそっくり残っている物件のことです。どれもそのまま使える状態であれば、開業資金を大幅に抑えることができます。前の借主に対して「造作物譲渡金」を支払う必要はありますが、数十万~数百万円といったところで、設備資金はスケルトン物件の3分の1程度に抑えることも可能です。

削減できた分を運転資金に回せることや、大掛かりな工事を必要としないため短期間でオープンできることが居抜きの大きなメリットです。

ただし、デメリットあります。その1つが店内のレイアウトに制限があり、自分のコンセプトに合った店づくりができない点です。

2つ目は、設備や厨房機器の目に見えなかった部分が劣化していて故障や漏水などのトラブルが発生しやすいことです。新しい機器に入れ替えるには古い機器の撤去費用を自己負担しなければならず、居抜きのメリットが消し飛んでしまう場合があります。それを回避するには、性能や消耗具合を念入りにチェックすることが大切です。また、居抜きを何回も繰り返している物件は避けるほうが賢明です。

まとめ

焼肉屋の美味しいステーキ

いかがでしょうか?

焼肉屋を出店する際の立地と物件を重点的に見てきましたが、集客数をあげて経営を軌道に乗せるためには、おいしい肉を提供すること、それが最大のポイントです。立地的には多少不利であっても、上質の肉と行き届いたサービスでそれをカバーすることができます。

よい肉を仕入れるためには肉を見分ける力(目利き)が必要で、その方法として「食肉センターに見学に行く」「牧場に見学に行く」「書籍で学ぶ」などがあります。食肉センターにはだれでも入れるわけではありませんが、通い詰めた結果、熱意が通じて入れたもらえたという例も少なくありませんので、トライしてみてはいかがでしょうか。

〈参考〉東京都中央卸売市場食肉市場
住所:東京都港区港南2-7-19
電話:03-5479-0651

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