店舗や厨房のデザイン設計の進め方・業者の選び方 【店内レイアウト例と準備チェックシート付き】

最終更新日: 2018/10/18
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飲食店店内

店舗のデザインは頭の中である程度イメージがあっても、具体化したり言葉に表したりすることは難しいもの。ですが、できるだけ理想通りに進めたいですよね。一度決定すると構造の変更には多くのコストがかかりますし、新しい器具・家具の購入が必要となる場合があります。
狙い通りの店舗を作り上げるために重要になってくるのが、設計・施工業者です。そこでここでは、店舗デザインを意識した店作りの進め方と、業者選定のポイントをお伝えします。

なお、飲食店の開業や経営全般に関しては、次の記事を参考にしてください。

飲食店の開業・経営・独立のための15の準備

店舗デザインはお店のコンセプトをわかりやすく伝えるための表現方法

店舗デザインイメージ

デザインは、自店舗のコンセプトをお客様に伝える中心をなすものです。同時に、お客様に与える気持ちや体験にも大きく影響します。
こうしたコンセプトや、実際の物件の内容を踏まえて、どんな条件なのか書き出してみるとよいでしょう。

物件形態 ・店舗構え(ビル、雑居、戸建、郊外、車両、宅配、時間貸し)
・フロア(階段、エスカレーター、路面、エレベーター、雑居フロア、その他特殊)
・テンポラリの期間
・休業日割付、営業時間割付
商品やサービスのメニュー ・物販メインかサービスメインか
・必要な設備、設備に必要な面積、配置
客層 ・時間帯別、曜日別
・往来や集客効果分析など (データ利用、近隣他店・目測基準など)
・客分類別想定価格帯、客分類別滞留時間 (世代、時間帯、曜日、持ち帰りやサービスなど)
顧客に与えたい体験 ・想定購買品目の組み合わせ
・イメージなどの外構から店内での印象
・テイクアウトの場合包装や雰囲気の演出
・店内インテリアや有償・無償サービスにおけるイメージ

日頃から同業の店舗を見て回っておくことが有効です。実際に客として訪れて、その店舗のコンセプトを想像する癖をつけましょう。

業者に依頼する前にやっておくべきこと

準備をしておく

依頼する前に、店舗のイメージやレイアウト案を考えてまとめておきましょう。なかなか手間のかかる作業ではありますが、業者に相談したり、見積もりを取ったりする際にこれがあるとスムーズに進みます。

決めておくべきこと

レイアウトやデザインの方向性を決めるに当たっては、前章で考えた漠然としたアイデアを、次の6つのポイントにまとめてみましょう。

  • コンセプト
  • 外見イメージ
  • 商品とサービス
  • 予算感
  • 物件見取り図
  • 必要な什器

コンセプト

お店がお客様に与える価値の方向性である、自店舗のコンセプトを再確認することから始めてみましょう。
コンセプトについて詳しくは次の記事をご覧ください。

飲食店・店舗のコンセプトの作り方・考え方【コンセプトシート付き】

外見イメージ

外見イメージでは、例えば「親しみやすいウッディで落ち着いた雰囲気」「シックで高級感のある大人の」といったイメージから、「厨房の一部が見えるように」や「屋外にテラス席を設けたい」「商品棚はこういったものを想定している」という具体的な要望も伝えるようにしておきます。イメージをより具体化するために、イメージに近い参考店舗を2〜3軒挙げておくとよいでしょう。

商品とサービス

どんな商品やサービスを扱うかは当然決まっていると思いますが、品目数や提供の仕方、営業時間やアルコールの提供の有無などもある程度は明確にしておきましょう。

予算感

無い袖は振れませんし、業者側の施工内容に大きく影響してくるので予算感は大切です。また「厨房設備や器材、家具などどこまでを含んでいくら以内」と、予算の対象範囲を明確にしておく必要があります
予算を抑える方法はいくつかありますが、施工で言えば「居抜き物件」を利用するという方法もあります。こちらの記事も併せてご覧ください。

居抜き物件とスケルトン物件で得なのはどっち?飲食店物件の探し方!

物件見取り図・レイアウト図

物件が決まっていたら、不動産業者から物件見取り図を取り寄せましょう。その上でレイアウトも自分なりの案を考えておきましょう。

必要な什器

最後に、最低限必要な什器を入れる必要があります。内容は業種によって変わります。例えば、中華料理屋のガス台関連や、インド料理屋のタンドール、生鮮などを扱う飲食では、明確に分類された冷蔵庫、店舗内カウンターを小さくしたケースでのフード提供における冷蔵設備などの別途確保、美容室と理容室兼業では仕切りなどの必要項目と関連什器をはじめ、業界固有のものが多数あります。

厨房・客席別のレイアウト例と準備項目のチェック表

以下に、動線を意識した厨房・店内のレイアウト例と、準備が必要な項目のチェック表を用意しました。ダウンロードして確認しながらチェックしていきましょう。

ダウンロードしてそのまま使える!レイアウト例・チェック表

設計・施工の進め方と必要な期間

設計

設計・施工は次のように進みます。

1.業者選定

2.詳細図面作成(1〜2ヶ月)

3.詳細な見積・金額決定(1〜2ヶ月)

4.部材発注など工事準備(0.5〜1ヶ月)

5.施工(1〜2ヶ月)

規模や状況にもよりますが、業者が決定してから3〜6ヶ月程度で施工が完了することが多いようです。

1.業者選定

ここでは、前章で用意した情報をもとに業者と打ち合わせて、設計のラフ案や簡易的な見積もりをもらい、相性の良い業者を探します。
この時点では、物件がはっきりと決まっていなくても大丈夫です。デザイナーとのイメージ共有には時間がかかるものですし、場合によっては物件の相談もできるので、物件選びにプロの意見を反映させてスムーズに設計まで進めることができます。


2.詳細図面作成

打ち合わせを重ねて決まった店舗イメージを、詳細な図面にしてもらいます。もちろんこの時点では物件が決定している必要があります。プロに任せておけば大きな間違いはないものの、伝えきれなかった情報が反映されていないことがあるかもしれませんし、ゆずれないこだわりが採用されていないかもしれません。
お店が営業している様を思い浮かべて、理想のお店になっているか、スタッフが働きやすい動線になっているか、お客様が過ごしやすい空間になっているかをよくシミュレーションしてみましょう。

3.詳細な見積・金額決定

詳細図面が決まったら、より精緻な見積もりを出してもらいます。ここで予算が合わない場合は、部材や内容の見直しなどをして金額の調整を行います。金額をとるべきか理想をとるべきかの厳しい判断を迫られることもあるでしょうから、予算は明確に決めておきましょう。

4.部材発注など工事準備

施工業者に発注を行い、工事準備が始まります。

5.施工

いよいよ施工が始まります。近隣あいさつは施工業者も行いますが、当人も同席しておくべきでしょう。今後、長くお世話になる地域です。印象を良くしておくに越したことはありません。
工事中は、ときどき現場に訪れて設計士の話を聞きつつチェックしましょう。図面とは違う現場を見ることで、営業してからのことを具体的にシミュレーションできますし、万が一想定と違うことになっていたら、修正が間に合う可能性があります。

そもそもどこに依頼するの?設計会社?内装業者?

デザイナー

ここまで見てきたように、デザイン設計は「設計」して「施工」することになります。
設計は主に設計事務所が行うので、まずは設計事務所を探しましょう。設計事務所にはデザイナーや設計士が所属しており、どんな内装にするかを企画し取り決めます。そしてその設計をもとにして施工業者が工事を行います。
なお、設計と施工の両方を行う事務所もあります。また、設計事務所から付き合いの深い施工業者を紹介してもらうことも可能です。

設計事務所の探し方

探す

設計事務所の探し方は様々です。

知人の紹介

自分自身の繋がりから紹介を受ける方法です。仕事ぶりを知っているからこその紹介であれば品質はある程度保証されますし、良好な関係を築きやすいというメリットがあります。
ただし相見積もりがしにくかったり、気を遣う場面は出てくるかもしれません。トラブルが起きた時に強く言いにくい可能性もあります。ただ、知人との関係もあるのでトラブルが起きにくいという側面もあります。

気に入った店舗のオーナーからの紹介

多店舗の調査をしていて、「これぞ」と思った店舗に直談判して、業者を紹介してもらうのも一つの手です。確実な実績がありますし、自分のイメージを伝えやすいというメリットがあります。

インターネットや雑誌などで探す

多くの場合はこの方法かもしれません。
インターネットで近隣の事務所を探したり、雑誌などで気になる業者を見つけて問い合わせる方法です。
また、マッチングサービスなども増えているので利用してみるのもよいでしょう。
かなり手間がかかり大変ではありますが、満足のいくパートナーを探せる可能性は無限大です。

設計事務所・施工業者を選ぶ際のポイント

内装工事

業者には得手・不得手がある

一口に「設計事務所」「施工業者」と言っても、得意とする分野やそうでもない分野があります。多くの場合、よく扱う業態などがあります。デザインテイストが合う・合わないという点も重要ですが、動線設計などは経験がものを言う部分もあります。同じような業態の店舗を多く手がけている設計士だと安心です。

相見積もりを取ろう

見積もりを取る際は、複数の業者からの相見積(あいみつもり)を取ることをオススメします。業者ごとの得意不得意や施工、コスト削減などの考え方の違いを知ることができます。さらに、得た知識とコンセプトの調和を自分の中で試行錯誤することで、理想の店舗設計に近づけることができます。
準備ができたら業者へアポイントをとり、上記を説明のうえ、提出期限を設定して提案と見積を提出してもらいましょう。

選定のチェックポイント

選定する際には、以下のような点に注目して検討してみてください。

デザインテイスト

過去に手がけたデザインを確認したり、ラフ案を出してもらったりして確認します。好みが合うかどうかということもありますが、あなたの要望を上手に汲み取って具現化してくれるかどうかも大事なポイントです。

価格帯

価格帯は、事務所によって異なるのであらかじめチェックしておきましょう。得意とする価格帯などもあるので、予算感をしっかり持って相談するようにしたほうがよいでしょう。

知識・対応

設計や施工は、保健所や消防法対応への申請にも関わってきます。こうした申請まわりに関する知識がしっかりあるかどうかも大切なことです。
またこちらが説明した内容をきちんと反映しているか、質問や回答のやりとりに問題はなかったか、期日を守っているか、参考店舗を見に行ったかなど誠実に対応してくれる業者であることが前提となります。
そのうえで、こちらのイメージとあった提案となっているか、変更してほしい箇所をすぐに検討してくれるか、予算に近づけるよう努力してくれているかといったところが決め手になるでしょう。
飲食店や美容室その他の事業では、地域に応じて若干、行政指導の内容が異なることもあります。地域でこうした案件を多く手がけており評判も高い内装業者では、こうした指導のポイントや対策へのノウハウも豊富。結果として、是正工事などが必要ないため、割安に済んだというケースも多くあります。

申請などに関しての詳細はこちらの記事をご覧ください。

飲食店の開業に必要な資格・申請の一覧と取得方法

店内や厨房のレイアウトで失敗しないためには?

厨房レイアウト

内装は回転率、客単価、従業員の作業効率など多くの要素に影響します。そこで、レイアウトに関して気を付けておくべきポイントについて、飲食店を例に紹介します。

座席数をできるだけ増やす

業態にもよりますが座席数で売上の上限が大体決まります。とはいえ座席の間隔は店のコンセプトに応じて調整し、狭すぎることのないようにしましょう。1坪当たり1~1.5席ほどが標準的です。

レジの場所を初めに決める

レジの場所はお客様も気になりますし、飲食店ではホールスタッフの動線にも影響します。店内のスタッフ・お客様の動線を、レジの場所が交差しないように決めましょう。一般的には、お客様の会計が終わればすぐ外に出られるように入口付近に設置するケースが一般的です。レジ前が混雑することも踏まえて、やや広めのスペースを確保したり、従来のレジスターではなくコンパクトでスペースを取らないiPadレジにするお店も最近増えています。

また、お金の出入金がお客様の目に触れない工夫も必要です。盗難対策として、お客様側からのレジカウンター高さと、スタッフ側からのレジカウンター高さを変えることで、持ち出しや盗難から物理的に動作の面で防ぐことも意識しましょう。

スタッフ動線(ホール)や作業動線(厨房)を意識する

「スタッフ動線」とはスタッフが店内を動く時の経路を線で表したものです。厨房には同じく「作業動線」があります。「お客様動線」はお客様が店内を動くときの経路になります。

ホールスタッフ側はご飲食されているお客様にできるだけ目障りでないように、また危険がないように料理を運んだり下げたりします。お客様とぶつからないように、スタッフ同士でぶつからないように、また、入店されるお客様と退店されるお客様の動線が交差しないように店内をレイアウトする必要があります。どちらも一方向に流れるような形が理想です。また、スタッフができる限り効率良く客席を回ることができるための作業動線(デシャップ前一方通行等)も考えると良いでしょう。

厨房内では「作業動線」が重要になってきます。例えば、肉を炒めて、盛り付けて、デシャップに運ぶことを考えると、キッチンの奥にコンロがあり、ホールに一番近いところにデシャップがあることが望ましいでしょう。
オーダーをいただいたら、厨房に素早くオーダーを通し、手早く調理をし、温かいものを温かい状態でお客様に提供するために一番の近道は何か、と考えてみると動線を意識する必要性がよりクリアになるかと思います。

エントランスにも工夫を

店内がある程度は玄関口から見えることで、入らなくてもどんな店なのかがわかり、お客様が店に入りやすくなります。かといって窓から店内が丸見えだとお客様にとって落ち着かない印象もあります。
そのため植栽を配置したり、客席の顔高さの窓の一部をすりガラスなどにして目線を隠すといった工夫をしておきます。立て看板やメニューなどの配置も意識しておきましょう。

動線を意識したレイアウト例がダウンロードできます!

店舗内装に必要なスペース

店舗イメージ

これまでにご説明した以外に、店舗内に必要なスペースをご紹介いたします。

厨房(焼台、ガスレンジ、冷蔵庫、食器洗い場、デシャップなどのスペース)

厨房自体は、フロア全体のおよそ20~30%を占めることになります。 広ければ効率は良いかもしれませんが、客席が少なくなってしまいますのでバランスが大切です。

厨房内部の配置はどれほどの規模の店なのか、何を扱う店なのかによってもかなり異なってきます。 もし冷凍冷蔵庫が向かい合わせにある場合はどちらも扉を開いてぶつからず、人が背中合わせに立って無理なく作業ができるくらいの距離が目安になってくるでしょう。
デシャップはできるだけ仕上げ台から近く、ホールスタッフが安全に受け取れる広さが必要です。使用する皿が何枚までおけるのかを確認すると良いでしょう。
食器洗い場はホールスタッフが下げてきた食器を置く場所の隣に設置するのが好ましいです。食洗器を使用する場合は流しのすぐ横に設置するのでシンクの大きさと食洗器の大きさをきちんと確認して配置する必要があります。

すべてができるだけ効率よく、素早く作業が行えるような配置が必要になってきます。

パントリー(ドリンク場、洗い場、ビールサーバーなどのスペース)

小規模店舗だと、パントリーを介さず厨房からホールが直結の場合もあります。 パントリーがある場合も厨房と同様二人が背中合わせで無理なく作業できる距離が必要です。

パントリーはホールスタッフが使用する場合も多いので、横に長く、両側から出入りができる形が理想です。 例えば、パントリーに入り、使用済みのグラスなどを洗い場に置き、新しいグラスを持ってサーバーで注ぎ、コースターやストローを持ちそのままホールへ戻れるような動線を確保するのと効率が良くなるでしょう。

ホール(レジスペース、待合場、おしぼり置き場などのスペース)

お客様がいらっしゃって、席にご案内をします。その時にホールスタッフはお冷とメニューやおしぼりをお持ちします。 大体はメニュー、おしぼり、お冷、シルバーなどがまとめて置いてあります。 パントリーがある場所ですと、パントリーにまとめて置いておくことが多いでしょう。
パントリーがなくスタッフが少ない場所ですと、入口でお客様を迎えてすぐにメニューを持っていけるようにレジ横などに配置している店もあります。

それほど広いスペースは必要ありませんが、動線上ホールスタッフが手に取りやすく、返却もしやすいようにシルバーなどもお客様から見える状態で置いてあることが多いので、常に整理整頓するよう注意が必要です。

レジは出入り口付近にあり、お待ちのお客様が座れる椅子などをいくつか置いてあると良いでしょう。その際、あまり中で飲食をされているお客様のプレッシャーにならないように仕切りを置くといいでしょう。
もしレジ前に余裕があるなら、ファミリーレストランのようにおもちゃやお菓子などを置く棚などがあればお客様の時間つぶしにもなり、購買に繋がるかもしれません。

その他(化粧室など)

化粧室は個室とは別に化粧直しをするスペースなどがあれば非常に良いでしょう。 特に女性は荷物が多いので、荷物を置いて化粧を直すというくらいのスペースがあると安心です。

他にも販売スペースなどを置くのであれば、スタッフ動線と交わらずゆっくりとみることができる場所に配置すると良いでしょう。

家具・什器、食器や備品はどこで探せばいい?

食器

家具は内装業者にデザインに沿ったものを探してもらうことになります。什器、食器も、お店のコンセプトと、提供する料理との兼ね合いを意識して探しましょう。コストをおさえるには食器も含めてIKEAやニトリといった家具屋で買うのも一つの方法ですが、飲食店専門のサービスを使うと、市販品とは違ったテイストの食器などをまとめて仕入れられます。消耗品など、繰り返し発注する備品はアスクルなどの部材発注サービスを使うと便利です。

備品については、こちらの記事も参考にしてください。

飲食店開業時に必要な備品一覧。準備しておくべき備品がわかるリスト付き

店舗デザインは集客にも大きく影響

ここまで見てきたように、店舗のデザイン・設計は手間も時間もお金もかかります。しかし、お店のイメージを大きく決定づけるものなので、ひとつひとつ丁寧にステップを踏んで進めていく必要があります。
店舗デザインは、見た目の良し悪しというだけでなく、コンセプトを伝えるための演出でもあります。さらに、動線のスムーズさはスタッフの動きに影響してきます。注文がテーブルに運ばれるまでのスピードが、顧客体験に与える影響は言うまでもないでしょう。
しっかりと準備を進めて、後悔のない店舗デザイン設計を目指しましょう。

ダウンロードしてそのまま使える!レイアウト例・チェック表