店舗デザイン設計・内外装で失敗しないための理論武装 店内レイアウト例と準備チェックシートつき!

最終更新日: 2016/10/27
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飲食店店内

店舗のデザインは定性的な側面が強く、頭の中である程度イメージがあっても、それをより具体化したり言葉に表すことは難しいものです。レイアウトは一度決定すると構造の変更には多くのコストがかかりますし、新しい器具・家具の購入が必要となる場合があります。そのため、自身が十分納得した上で店舗デザインを決定する必要があります。

内装と外装については、「 飲食店の独立・開業・経営のための13の準備」のなかで簡単に触れています。今回は、店舗デザインに関して頭の中でモヤッとしている方や、レイアウトについて考えている人向けに、イメージの具体化や店内の導線を意識した店づくりの方法を紹介します。お客様にとって居心地がよい店づくりを目指しましょう。

店舗デザインはお店のコンセプトをわかりやすく伝えるための表現方法

デザインは、まさに自店舗のコンセプトをお客様に伝えるため、中心をなすものです。同時に、お客様に与える気持ちや体験にも大きく影響します。

まずは自店舗のコンセプトを再確認することから始めてみましょう。

どのような形態か ・店舗構え(ビル、雑居、戸建、郊外、車両、宅配、時間貸し)
・フロアは(階段、エスカレーター、路面、エレベーター、雑居フロア、その他特殊)
・テンポラリならその期間はどのくらいか
・休業日割付、営業時間割付
商品やサービスのメニューはなにか ・物販メインかサービスメインか
・どの程度の比率の費用や面積、設備で配置するか (収益計画などと併せて)
どのような客層か ・時間帯別、曜日別
・往来や集客効果分析など (データ利用、近隣他店・目測基準など)
・客分類別想定価格帯、客分類別滞留時間 (世代、時間帯、曜日、持ち帰りやサービスなど)
どのような体験を ・想定購買品目の組み合わせ
・イメージなどの外構から店内での印象
・テイクアウトの場合包装や雰囲気の演出
・店内インテリアや有償・無償サービスにおけるイメージ

日頃から同業の店舗を見て回っておくことが有効です。実際に客として訪れて、その店舗のコンセプトを想像する癖をつけましょう。

内装業者に会う前に

内装業者は、知人や気に入った店舗のオーナーの紹介、ホームページなどから探すことになります。ある程度インテリアのイメージや必要項目が決まったら、それを業者やデザイナー(建築事務所)に伝え、大体の具体案をイラストや設計配置図のようなもので作成します。このとき、複数の内装業者からの相見積(あいみつもり)を取ることで、業者ごとの得意不得意や施工、コスト削減などの考え方の違いを知ることができます。さらに、得た知識とコンセプトの調和を自分の中で試行錯誤することで、理想の店舗設計に近づけることができます。

提案と見積を比較するためにも、それぞれの内装業者に同じ提案依頼を説明できるよう以下の内容を書類にまとめておくとよいでしょう。下記から導線を意識した厨房・店内のレイアウト例と、準備が必要な項目のチェック表のダウンロードができますので、確認しながらチェックしていきましょう。

ダウンロードしてそのまま使える!レイアウト例・チェック表

  • コンセプト
  • 外見イメージ
  • 商品とサービス
  • 予算感
  • 物件見取り図
  • 必要な什器

外見イメージでは、例えば「親しみやすいウッディで落ち着いた雰囲気」とか「シックで高級感のある大人のための」といったイメージから、「厨房の一部が見えるように」や「屋外にテラス席を設けたい」「商品棚はこういったものを想定している」という具体的な要望も伝えるようにしておきます。イメージをより具体化するために、「見積りする前に行ってほしい参考店舗」を2〜3軒挙げておくとよいでしょう。

商品とサービスでは、品目数や提供の仕方、営業時間やアルコールの提供の有無なども伝えます。

予算感では、「厨房設備や器材、家具などどこまでを含んでいくら以内」と、予算の対象範囲を明確にしておく必要があります。また、予算を抑えるために、「居抜き物件」を利用するという方法もあります。「飲食店店舗物件の上手な探し方。居抜き物件VSスケルトン物件。得なのはどっち?」もあわせてご覧ください。

最後に、業種によって最低限必要な什器を入れる必要があります。 例えば、中華料理屋のガス台関連や、インド料理屋のタンドール、生鮮などを扱う飲食では「しっかりと」分類された冷蔵庫、店舗内カウンターを小さくしたケースでのフード提供における冷蔵設備などの別途確保、美容室と理容室兼業では仕切りなどの必要項目と関連什器をはじめ、業界固有のものが多数あります。

準備ができたら業者へアポイントをとり、上記を説明のうえ、提出期限を設定して提案と見積を提出してもらいましょう。

内装業者を選ぶポイント

保健所や消防法対応の知識はもちろん、こちらが説明した内容をきちんと反映しているか、質問や回答のやりとりに問題はなかったか、期日を守っているか、参考店舗を見に行ったかなど誠実に対応してくれる業者であることが前提となります。そのうえで、こちらのイメージとあった提案となっているか、変更してほしい箇所をすぐに検討してくれるか、予算に近づけるよう努力してくれているかといったところが決め手になるでしょう。

飲食店や美容室その他の事業では、地域に応じて若干、指導の内容が異なることもあります。地域でこうした案件を多く手がけており評判も高い内装業者では、こうした指導のポイントや対策へのノウハウも豊富。結果として、是正工事などが必要ないため、割安に済んだというケースも多くあります。

レイアウトで失敗しないためには?

内装は回転率、客単価、従業員の作業効率など多くの要素に影響します。そこで、レイアウトに関して気を付けておくべきポイントについて、飲食店を例に紹介します。

座席数をできるだけ増やす

業態にもよりますが座席数で売上の天井が大体決まります。1坪当たり1~1.5席ほどが標準といえるでしょう。座席の間隔も店のコンセプトに応じて、狭すぎることのないようにしましょう。

レジの場所を初めに決める

レジの場所はお客様も気になりますし、飲食店ではホールスタッフの動線動線にも影響します。店内のスタッフ・お客様の動線を、レジの場所が交差しないように決めましょう。一般的には、お客様の会計が終わればすぐ外に出られるように入口付近に設置するケースが一般的です。レジ前が混雑することも踏まえて、やや広めのスペースを確保したり、従来のレジスターではなくコンパクトでスペースを取らないiPadレジにするお店も最近増えています。

また、お金の出入金がお客様の目に触れない工夫も必要です。盗難対策として、お客様側からのレジカウンター高さと、スタッフ側からのレジカウンター高さを変えることで、持ち出しや盗難から物理的に動作の面で防ぐことも意識しましょう。

スタッフ動線(ホール)や作業動線(厨房)を意識する

「スタッフ動線」とはスタッフが店内を動く時の経路を線で表したものです。厨房には同じく「作業動線」があります。 「お客様動線」はお客様が店内を動くときの経路になります。

ホールスタッフ側はご飲食されているお客様にできるだけ目障りでないように、また危険がないように料理を運んだり下げたりします。 お客様とぶつからないように、スタッフ同士でぶつからないように、また、入店されるお客様と退店されるお客様の動線が交差しないように店内をレイアウトする必要があります。どちらも一方向に流れるような形が理想です。 また、スタッフが出来る限り効率良く客席を回ることができるための作業動線(デシャップ前一方通行等)も考えると良いでしょう。

厨房内では「作業動線」が重要になってきます。 例えば、肉を炒めて、盛り付けて、デシャップに運ぶことを考えると、キッチンの奥にコンロがあり、ホールに一番近いところにデシャップがあることが望ましいでしょう。 オーダーをいただいたら、厨房に素早くオーダーを通し、手早く調理をし、温かいものを温かい状態でお客様に提供するために一番の近道は何か、と考えてみると動線を意識する必要性がよりクリアになるかと思います。

エントランスにも工夫を

どんな店なのか店内がある程度は玄関口から見えることで、お客様が店に入りやすくなります。かといって窓際や道路側の席は店内のお客様にとって落ち着かない印象もあります。植栽、客席の顔高さの窓の一部をすりガラスなどにして目線を隠すといった工夫をしておきます。立て看板やメニューなどの配置も意識しておきましょう。

導線を意識したレイアウト例がダウンロードできます!

店舗内装に必要なスペース

これまでにご説明した以外に、店舗内に必要なスペースをご紹介いたします。

厨房(焼台、ガスレンジ、冷蔵庫、食器洗い場、デシャップなどのスペース)

厨房自体は、フロア全体のおよそ20~30%を占めることになります。 広ければ効率は良いかもしれませんが、客席が少なくなってしまいますのでバランスが大切です。

厨房内部の配置はどれほどの規模の店なのか、何を扱う店なのかによってもかなり異なってきます。 もし冷凍冷蔵庫が向かい合わせにある場合はどちらも扉を開いてぶつからず、人が背中合わせに立って無理なく作業ができるくらいの距離が目安になってくるでしょう。 デシャップはできるだけ仕上げ台から近く、ホールスタッフが安全に受け取れる広さが必要です。使用する皿が何枚までおけるのかを確認すると良いでしょう。 食器洗い場はホールスタッフが下げてきた食器を置く場所の隣に設置するのが好ましいです。食洗器を使用する場合は流しのすぐ横に設置するのでシンクの大きさと食洗器の大きさをきちんと確認して配置する必要があります。

すべてができるだけ効率よく、素早く作業が行えるような配置が必要になってきます。

パントリー(ドリンク場、洗い場、ビールサーバーなどのスペース)

小規模店舗だと、パントリーを介さず厨房からホールが直結の場合もあります。 パントリーがある場合も厨房と同様二人が背中合わせで無理なく作業できる距離が必要です。

パントリーはホールスタッフが使用する場合も多いので、横に長く、両側から出入りができる形が理想です。 例えば、パントリーに入り、使用済みのグラスなどを洗い場に置き、新しいグラスを持ってサーバーで注ぎ、コースターやストローを持ちそのままホールへ戻れるような動線を確保するのと効率が良くなるでしょう。

ホール(レジスペース、待合場、おしぼり置き場などのスペース)

お客様がいらっしゃって、席にご案内をします。その時にホールスタッフはお冷とメニューやおしぼりをお持ちします。 大体はメニュー、おしぼり、お冷、シルバーなどがまとめて置いてあります。 パントリーがある場所ですと、パントリーにまとめて置いておくことが多いでしょう。 パントリーがなくスタッフが少ない場所ですと、入口でお客様を迎えてすぐにメニューを持っていけるようにレジ横などに配置している店もあります。

それほど広いスペースは必要ありませんが、動線上ホールスタッフが手に取りやすく、返却もしやすいようにシルバーなどもお客様から見える状態で置いてあることが多いので、常に整理整頓するよう注意が必要です。

レジは出入り口付近にあり、お待ちのお客様が座れる椅子などをいくつか置いてあると良いでしょう。その際、あまり中で飲食をされているお客様のプレッシャーにならないように仕切りを置くといいでしょう。 もしレジ前に余裕があるなら、ファミリーレストランのようにおもちゃやお菓子などを置く棚などがあればお客様の時間つぶしにもなり、購買に繋がるかもしれません。

その他(化粧室など)

化粧室は個室とは別に化粧直しをするスペースなどがあれば非常に良いでしょう。 特に女性は荷物が多いので、荷物を置いて化粧を直すというくらいのスペースがあると安心です。

他にも販売スペースなどを置くのであれば、スタッフ動線と交わらずゆっくりとみることができる場所に配置すると良いでしょう。

家具・什器、食器や備品はどこで探せばいい?

家具は内装業者にデザインに沿ったものを探してもらうことになります。什器、食器も、お店のコンセプトと、提供する料理との兼ね合いを意識して探しましょう。コストをおさえるには食器も含めてIKEA(イケア)やニトリといった家具屋で買うのも一つの方法ですが、飲食店を訪れるお客様は非日常を求めているため、白皿以外のものは飲食店専門のカタログなどを取り寄せ選びましょう。消耗品など、繰り返し発注する備品はアスクルなどを使うと便利でしょう。

ぜひ、ひとつひとつ丁寧にステップを踏んで、理想のお店づくりを実現してください。