創業計画書の書き方!日本政策金融公庫の融資審査を高確率で通す方法

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ペンで書類に記述するイメージ

起業したてのうちや、これから独立開業をしようという方たちにとって、一番悩ましいのがお金の問題です。

開業に至るまでや事業を始めてもその事業が軌道にのるまでは、初期投資などで多額のお金が必要になったり売上が思うように伸びなかったりして、お金の問題がつきまとうことになります。事業を続けていくためのお金や必要な設備を買うためのお金をどう集めるか、つまり資金調達をどうするかについては、ほとんどの方が悩まれていることでしょう。

事業を始める方々に向けた融資制度で最も有名なのは、日本政策金融公庫の各種融資でしょう。しかし、創業したての方が1期目からお金を貸してもらうことはなかなかハードルが高く、お金に困っている人ほどお金を借りづらいというのが実情です。高確率で融資の審査に通るためには、開業して少なくとも1年を経過してからが良いでしょう。帳簿に記録を残し、利益を上げ、少額でも良いので税金を払い、その上で融資の申請をするのが王道です。健全に経営ができている証拠を示せれば、融資のハードルはぐっと下がります。

そうは言っても、設備資金等でどうしても今すぐに資金が必要な場合もあります。次のような要件を満たしていれば、融資を受けられることもあります。

  1. 融資される金額と同額の自己資金を持っている
  2. 担保や保証人をつけられる
  3. 確実で客観性の高い事業であることが「創業計画書」から明白である

融資の審査において重要な役割を果たす「創業計画書」で事業の確実さが伝われば、融資が下りる可能性はぐっと高まります。この記事では、これから独立開業を志す方と開業間もない方に向けて、創業計画書の作り方について解説します。

創業計画書とは

創業計画書の確認

これから事業を始めようとする方が日本政策金融公庫に融資を申し込む場合、いくつか提出する書類があります。その中でも、融資の可否に大きな影響を及ぼす書類があります。それが創業計画書という書類です。日本政策金融公庫のWebサイトからダウンロードしてみましょう。

この創業計画書とは、一言で表すなら「お金を返せる根拠を相手に伝える書類」です。創業したての方には過去の実績がないため、その事業で利益を出してお金を返せるかが分かりません。そこで、この創業計画書にあなたの業種経験の豊富さや熱意・やる気を記載することで、「自分は借りたお金を、利息とともにしっかり払えますよ」ということを伝えるのです。創業計画書は、あなたがお金を貸すに値する相手かを判断するための重要な書類です。

融資する側から見ると……

日本政策金融公庫の審査官も、お金を貸したくないわけではないのです。

むしろ、実績が欲しいので可能な限りお金は貸したいのです。しかし、「貸した相手が返済できない・返済が滞った・利息が払えない」となると、審査官の評価にも関わってきます。申込してきた人が「本当に借りたお金を返せるのか」「利息を払えるのか」、つまり「返済能力」があるかを見極めないといけません。

だからといって、審査官はあなたの事業に四六時中張り付いて、事業内容や財務内容をチェックするわけにはいきません。審査官が判断できるのは「書類」と「相手の人柄」だけです。数百万円・数千万円ものお金を貸すか貸さないかという判断を、「書類」と「相手の人柄」だけで下さなければならないのですから、融資にGOサインを出す人が慎重になるのは致し方ないことです。特にあなたがこれから創業するのであれば、過去の財務諸表等は当然なく、客観的な指標や実績が分かりません。そこで創業計画書によって、あなたの信頼性や返済可能性を、自分で伝えることが必要になってくるのです。融資の受けやすさには、創業計画書の出来が大きく影響するといっても過言ではないでしょう。

創業計画書を作るというのは、審査官の「この人、本当にお金を返せるの?」という疑問や不安を1つ1つ解決してあげて、安心・納得してもらうための作業なのです。

創業計画書の記入項目一覧

これが日本政策金融公庫のWebサイトからダウンロードすることができる、創業計画書のひな形です。

創業計画書

この用紙に、次の8つの項目を書いていくことになります。

  1. 創業の動機
  2. 経営者の略歴等
  3. 取扱商品・サービス
  4. 取引先・取引関係等
  5. 従業員
  6. お借入の状況
  7. 必要な資金と調達方法
  8. 事業の見通し

この中でも特に大事な項目が、1、2、7、8の4つです。1と2には、創業をするあなたの想いや「自分ならできる」という根拠になる業務の経験を明記します。7、8では、借りたお金をしっかり返せることを裏付ける数字を記載します。

項目が多くて面倒かもしれませんが、融資の可否に大きな影響を与える大切な書類ですので、時間をかけて書き上げましょう。

業種ごとの記入例は日本政策金融公庫のWebサイトでも紹介されていますが、「この通りに書けば間違いないよ!」という定型文はありません。全く同じ業種で全く同じ商品を扱う会社が2社あったとしても、書くべき内容はひとそれぞれです。どんなに素晴らしい文章で「創業計画書」を埋めたとしても、その内容があなたの実態にそぐわないのであれば、面談時にはウソであるとすぐにバレてしまいます。想いや熱意はあなた自身の言葉で伝えることが重要です。「あなただけの創業計画書」を作る必要があるのです。

本稿では、各項目の内容を簡潔に説明しながら、あなたの内面にある想いや熱意を形にするための「質問」をご紹介していきます。この質問に答えていくことで、各項目の回答の要素が出てきます。でてきた言葉やフレーズをまとめあげて文章にしていきましょう。

それでは、それぞれの項目の書き方を詳しく解説していきます。

1 創業の動機

創業計画書 創業の動機

あなたが、なぜリスクを負ってまで創業をしたいのか、創業をする理由やあなたの事業の特徴を書きましょう。

「お金を借りる」ということを考えると、創業の理由が後ろ向きだったり成行きだったりするのは論外です。また、「お店を持ちたかった」などの漠然とした自分本位な理由も好ましくはありません。この項目で、あなたの強い動機ややる気、想いを伝えましょう。

可能な限り、数字を使って表現した方がより伝わりやすいです。意識して使っていきましょう。

× 営業成績は、トップレベルでした。
○ 営業成績は、全社員500人中、3ヶ月連続で1位でした。

書くこと

ここは、他の人の文面をまねることができない項目です。フォーマットにはたった4行しかありませんが、最も時間をかけて内容を熟考したいところです。あなたの内面にあるものをあなたの言葉で書き表し、伝える必要があります。

次の9つの質問に答えることで、あなた自身が持つ創業の動機の要素を書き出していきましょう。あなたの内面から出てきた要素を組み合わせ、創業の動機を組み立ててみましょう。

  1. あなたは、なぜこの事業をやりたいのですか?
  2. この事業を通じて実現させたいことはなんですか?
  3. あなたの事業は、どのような人たちの役に立ちますか?
  4. 現在、見込み客はどれくらいいますか?
  5. この事業をやるために、どのような経験をしてきましたか?
  6. この事業をやるために、お金や設備など、どのような準備をしてきましたか?
  7. すでにある同業他社との、明確で大きな違いはなんですか?
  8. このタイミングで創業をするのは、なぜですか?
  9. 仕入れルートの確保や、支援者の有無の状況は?

実は、創業時の融資でかなり重要視されているのはあなたの経験です。経験が長ければ長いほど有利です。しっかりともれなくアピールしましょう。

これらすべてに答えて文章を作ると、もしかしたらかなりの分量になってしまうかもしれません。その場合は、別紙を用意して創業計画書に添付しましょう。

2 経営者の略歴等

創業計画書 経営者の略歴等

この項目は、さらに次の4項目に分かれます。

  • 略歴
  • 過去の事業経験
  • 取得資格
  • 知的財産権等

ここでは、略歴の記載に力を入れましょう。

略歴

ここは「創業者の職務経歴書を作る」というイメージです。あなたがいつからいつまで、どこでどのような経験を積んできたのかを書きます。

「年月」には、その職場等にいつから勤務しだしたのか、月と日を和暦で書きましょう。もしまだ勤務をしているのなら、退職予定の月と日も和暦で書きましょう。

「内容」には、これまでの経歴を具体的に書きます。卒業した学校や、勤めてきた会社・経験等を書きましょう。

  1. 通った学校の正式名称(最終学歴や、事業に関係する学校の情報のみでOK。何を学んだかも書いておきましょう)
  2. 勤め先の正式名称
  3. 配属の部署や、経験した主な業務
  4. 勤務年数
  5. 給料の額面金額(直近の勤務先のみ)

今まだ勤務をしているのなら、退職予定の情報を書いておきましょう。

  1. 「内容」の部分に「退職予定」と書く
  2. 退職金の額面金額(あれば)

過去の事業経験

あなたが過去に自分で事業を経営するということを経験したことがあるかどうか、という質問です。該当するものにチェックを入れてください。

取得資格

創業に役立つ資格があれば書きましょう。なにもなくても、保有している資格があれば書いておきましょう。

「有」にチェックを入れて、次の2点を書きます。

  • 資格の正式名称
  • 資格の取得日

知的財産権等

なにかあれば、「有」にチェックを入れてその名称や状況を書き入れましょう。

3 取扱商品・サービス

創業計画書 取扱商品・サービス

あなたの事業で提供する商品やサービスについて詳しく書いていきます。あなたの事業のキモとなる部分でもあります。他社との違いや自社の売りを意識しながら書いていきましょう。

取扱商品サービスの内容

あなたの事業で提供する、主力となる商品やサービスの詳細を書いていきましょう。

売上に占める割合の高いと予測される上位3つの商品・サービスについて、それぞれの説明と売上の割合を記入していきます。売上の根拠とその構成要素を、審査官が理解できるようにまとめましょう。各商品などの販売価格や客単価、1ヶ月の見込み販売数を書いていきます。

もしこの上位3つの商品・サービスがすぐに思い浮かばない場合は、次の質問に答えてあぶり出していってください。

  1. あなたが「最も売りたい商品やサービス」はなんですか?
  2. 1.の販売単価と、月の売上件数・売上量はどれくらいですか?
  3. 2.の総額、つまり、1ヶ月あたりの売上はいくらになりますか?
  4. あなたが 「最も売れそうだと思う商品やサービス」 は何ですか?
  5. 4.の販売単価と、月の売上件数・売上量はどれくらいですか?
  6. 5.の総額、つまり、1ヶ月あたりの売上はいくらになりますか?
  7. 1ヶ月の総売上金額は、いくらになりますか?
  8. 3.と6.の結果から、総売上金額に占める割合が高いものを3つ(もしくはそれ以上)選んでください。

事細かに書けるのであれば、3つ以上でももちろんOKです。商品・サービスに関する詳細情報があれば、別紙に書いて添付するのも良いでしょう。

この欄は、あなたがどれほど真剣にこの商売をしていくことを考えているかを、数字で相手に伝える場です。あなたの商売がうまくいきそうかどうか、そして自分の商売に真摯かどうかが見極められますので、時間をかけて、一緒に仕事をしていく人などを交えて、内容を練っていきましょう。

セールスポイント

セールスポイントとは、自社の強みや売りです。これが明確でないと、同業他社との違いが分からず、消費者から積極的に選ばれる見込みも薄く、「この事業をやるんだ!」という強い意気込みも感じられません。あなたがこの事業をやる理由の1つに、他社に負けない強みや売りがあるはずです。それをここで明確にしましょう。

  1. あなたの商品・サービスの、他社との違いはなんですか?
  2. あなたの商品・サービスの、こだわりはなんですか?
  3. あなたの商品・サービスが、既存のものに比べて目新しい点はありますか?
  4. 他社が応えられず、自社が応えられる消費者からのニーズはなんですか?
  5. 価格や仕入値で、競合よりも有利な点はありますか?

4 取引先・取引関係等

創業計画書 取引先・取引関係等

あなたが、

  • 誰に商品やサービスを売って
  • 誰から仕入れて
  • 誰に外注をして

事業を進めていくのかについて書きます。細かく書くことになるので、早い段階から販売先や仕入先、外注先に詳細を確認をしておきましょう。また、販売先や仕入先との契約書や注文書があれば、コピーをとって一緒に提出しましょう。

ここで書く内容は、4つです。

  1. 販売先
  2. 仕入先
  3. 外注先
  4. 人件費の支払

販売先

現時点で明確な販売先があれば、その会社名等を書きましょう。目安として、総売上の30%以上の売上が発生するような販売先があれば書いてください。総売上に占めるシェアや、取引に占める「掛取引の割合」、そして「回収・支払の条件」も書いておきます。

もし固有の販売先がなく、消費者全般が販売先である場合は、「一般個人」と書きましょう。この場合には、さらにその詳細を書いておく必要があります。次の質問を考えてみましょう。

  1. その一般個人の業種や職種は?
    (例)サラリーマン、学生、OLなど
  2. その一般個人の年代や性別は?
  3. どのエリアやどの駅を使っている一般個人を対象にしますか?(店舗があれば)
    (例) ○○地区のサラリーマン、○○駅を利用の学生 など
  4. 自社はどのようなエリアに出店しますか?(店舗があれば)
  5. 人通りの多さや交通量はどれくらいですか?(店舗があれば)
  6. その地域やその場所で、あなたがその事業をやる理由はなんですか?
  7. 販売先との販売条件はありますか?

仕入先

あなたの事業で仕入があれば、こちらも同様に詳細を書きましょう。

外注先

あなたの事業で外注があれば、同様に詳細を書きましょう。

人件費の支払

人を雇う場合、その給与等を支払うサイクルを書きます。

  1. その月の給与等の計算は、いつで締めますか?
  2. 締めて集計した給与等は、いつ支払いますか?
  3. ボーナスの支給があれば、何月ですか?

締めは末、支払いは翌月15日・25日・月末のケースが多い傾向にあります。もしまだ決めていなければ、ご参考までに。

5 従業員

創業計画書 従業員

雇い入れる人の見込みが立っている場合は書きましょう。各項目の人数を書いていくのみです。

6 お借入の状況

創業計画書 お借入の状況

プライベートで借り入れをしているものがあれば、すべて書きましょう。住宅ローンや自動車ローンなどで借り入れをしている場合、その詳細を記載します。

お借入先名

金融機関と支店の正式名称を書きましょう。

お使いみち

該当するものにチェックを入れましょう。

お借入残高

この創業計画書を書いた時点での、借入残高を書きましょう。

年間返済額

現在の、1年間に返済している金額の合計額を書きましょう。金額が不定の場合は、次の1年間に返済する金額の合計額を書いておきましょう。

7 必要な資金と調達方法

創業計画書 必要な資金と調達方法

数字に慣れていない方は少し大変かもしれませんが、非常に重要な項目です。時間をかけて作り上げていきましょう。

ここでは2つの事柄を書きます。あなたが事業で使うお金の全容と、それらのお金をどう用意するかです。左側の「必要な資金」という場所には、あなたの事業でお金を何に使うのかを書きます。右側の「調達の方法」という場所には、それらのお金をどこからどう準備してくるのかを書きます。

金額が大きいものから書ける限り詳細に書くことで、あなたが本当に必要な資金が分かってきます。客観的な資料等をもとに書く必要がありますので、以下の質問にしたがって内容を洗い出していきましょう。

必要な資金:設備資金

事業で必要な設備とその金額を書き込みます。次の質問を見ながら洗い出していきましょう。

  1. 店舗や工場を持ちますか?購入するならいくらですか?
  2. 工事はしますか? 次の一般的な工事の中に、該当するものがあるか確認しましょう。
    • 内装工事
    • 外装工事
    • 看板設置工事
    • 電気設備工事
    • ガス設備工事
    • 防災、防音工事
    • 給排水衛生設備工事
    • 冷暖房空調設備工事 ほか
  3. 車両は購入しますか?
  4. 特殊な機械、備品などは購入しますか?
  5. パソコンやiPadなどは購入しますか?
  6. 店舗等を賃貸する場合、保証金はいくら必要ですか?
  7. これらの設備が必要な理由は何ですか?

これらの設備にかかる見積りも取り寄せておいてください。創業計画書には見積書も一緒に提出する必要があります。

たとえば飲食業で設備資金が300万円を超える場合など、都道府県知事の推薦書等が必要になることがあります。管轄の融資相談窓口に電話をしてご確認ください。

必要な資金:運転資金

事業を続けていくうえで必要な出費と、その金額を書き込みます。次の質問を見ながら、毎月あなたの事業でかかる費用を洗い出しましょう。

  1. 人は雇いますか?雇うのであれば、毎月いくらの人件費がかかりますか?給与に加え、会社負担の社会保険等、交通費も見込んで算出しましょう。
  2. 商品の仕入はありますか?
  3. 外注先に払う費用はありますか?
  4. 弁護士、社会保険労務士、税理士などへの毎月の支払いはありますか?
  5. 賃貸の場合、毎月の家賃はいくらですか?
  6. リースはありますか?
  7. 事業で使う消耗品等(パッケージや包装紙など)はありますか?
  8. 広告宣伝はいくらかかりますか?
  9. その他に、あなたの事業特有の経費はありますか?

調達の方法

ここは、大きく分けると4項目です。設備資金と運転資金を、どうやって調達してくるのかを記載します。調達先ごとに、その金額を記入しましょう。

  1. 自分で貯めてきた金額はいくらですか?
  2. 身内や他人から借りる金額はいくらですか? 次の3点も書いておきましょう。
    • 毎月返済する元金
    • 返済する回数
    • 利息の有無。あれば年の利率を
  3. 日本政策金融公庫に希望する借入の金額はいくらですか?
    • 毎月返済する元金
    • 返済する回数(設備資金のみの場合は10年・120回。運転資金のみの場合は5年・60回)
    • 利息の有無。分からなければ、2.0%と記入
  4. 他の金融機関等からの借入の金額はいくらですか? もしあれば、2.・3.同様に詳細を書いてください。

以上の数字を算出し、「必要な資金」の合計額と「調達の方法」の合計額が一致すればOKです。

8 事業の見通し

創業計画書 事業の見通し

ここでは「創業当初」と「軌道に乗った後」のそれぞれについて、おおまかな損益計算書を作ります。ここで求めた利益の中から返済をしていくことになりますので、先ほど書いた毎月の返済額よりも、利益の方が大きくなっていないといけません。

創業当初の方々はまだ1期も経ていないため、これらの数字の根拠が示せません。これまでのあなたのこの業種の経験をもとに、数字を作っていきましょう。(だからこそ、あなたの事業の経験の長さも融資判断のポイントの1つになってくるのです。)各数字は、その根拠を聞かれたときに明確で客観的な根拠を示せることが重要です。誰に聞かれても、すべての数字の根拠を話せるようにしておきましょう。

作り込んでいく過程の計算式等は、根拠としてそのまま資料となります。右の「売上高、売上原価(仕入高)、経費を計算された根拠をご記入ください」という欄に書きましょう。量が多い場合は、別紙にまとめて添付してください。

それでは、数字を計算して書いていきましょう。

創業当初

創業して事業が軌道に乗るまでの期間の、月平均の数字を考えていきます。

売上高

1ヶ月の売上高の予測を記入します。売上の内訳を、考えられる範囲で細かく考えてみましょう。

たとえば飲食店の場合、次の要素に分解して考えます。

  1. 客単価
  2. 席数
  3. 回転数
  4. 1ヶ月の営業日数

1 × 2 × 3 × 4が見込みの売上になります。ランチタイムやディナータイム、アイドルタイムでは当然数字が変わってくるでしょうから、それぞれのパターンを計算して合計します。平日と週末でも大きく数字が変わると思いますが、それも忘れずに場合分けして合計します。

売上原価(仕入高)

1ヶ月間の仕入れにかかる金額を記載します。できれば根拠を挙げて計算しましょう。あわせて上で計算した売上高から原価率を計算し、右の根拠欄に書いておきましょう。

原価が低い場合と高い場合をそれぞれ計算しておき、原価率の幅を提示できるとなお良いです。厳密に分からない場合は、勤務時の経験をもとに計算してもOKです。

ここも、売上同様、営業の形態に合わせていくつかパターンを作っておきます。

経費:人件費

正社員、パート、アルバイトなどに支払う金額を算出しましょう。また、各従業員の人数も書いておきましょう。

経費:家賃

家賃が必要な場合、毎月の金額を書きます。

経費:支払利息

支払利息を計算するにあたっては、まずは利率を求めなければなりません。最終的な利率は審査に通った後に確定しますが、この段階では2.0% 〜 2.1%を使いましょう。この利率をもとに、支払利息の金額を計算します。

支払利息は

  • 借入希望額 × 年利 (2.1%) ÷ 12

として計算します。計算の過程は右の根拠欄に書いておきましょう。

ここでは利率の目安を2.0% 〜 2.1%と説明しましたが、より詳細には「利率一覧表」から求めます。

たとえば、創業時に担保も保証人もなく融資を申し込む場合には、「新創業融資制度」の「基準利率」を参考にします。あなたの希望する「融資期間」をもとに、「基準利率」を確認しましょう。また、今年度から一定の条件を満たすと、基準利率が0.2% ~ 0.3%下がる特例が創設されました。該当するものがないか、要件を確認しましょう。

上で調べた基準利率と特例から、あなたの利率を計算することができます。ここでは、

  • 基準利率(融資期間が7年以内)2.3%
  • 特例制度 -0.2% ~ -0.3%

から2.0% 〜 2.1%としました。

経費:その他

水道光熱費や広告宣伝費、消耗品費の内訳と合計額を計算します。

合計

ここまでの数字を、「創業当初」の列にあてはめて、利益までを計算してみましょう。この「利益」から、毎月返済する元本の金額は払えるでしょうか?

払えない場合、事業の数字を再度見直して計算してみましょう。

軌道に乗った後

軌道に乗った場合の数字を書き込んでいきます。創業当初の列と書く内容は同じですが、次のことを確認しておきましょう。

  1. 軌道に乗る時期は、何年何月頃が目標ですか?
  2. 売上の構成要素のうち、軌道に乗ったら変わるものはなんですか?
    客単価や回転数などが上がる傾向にあります。
  3. 月の原価や原価率は、軌道に乗ったら変わりますか?
  4. 人件費は、軌道に乗ったら変わりますか?
    一般的には、正社員やパートが増える傾向にあります。増えた後の人数も書いておきましょう。
  5. その他の諸経費は、軌道に乗ったら変わりますか?
    売上などに連動して増えるものがあれば上乗せします。

融資審査の面談のポイント

審査官との面談

以上が、「創業計画書」の記入項目の解説と、記入内容の回答を導き出す質問です。量が多いので、じっくり時間をとって考え進めていってください。

分からない部分があれば、すぐに管轄の相談窓口に電話をして確認してみましょう。丁寧に教えてくれます。

面談のポイント

書類一式とともに申し込みをすると次は面談です。融資の審査には面談の結果も大いに影響します。

この面談で担当の審査官は、あなたがこれから行う事業について書かれた創業計画書をもとに、どのくらい客観性と確実性のあるものかを確認します。この面談の準備をあえてするなら、あなたのやる気や情熱をもう一度確認しておくことだと思います。

  • この事業をやろうと思ったきっかけ
  • この事業を世に出すために今まで頑張ってきたこと
  • この事業が、多くの人たちの役に立って多くの人たちを幸せにする、価値あるものであること
  • 他の人ではなく、あなたが自分でこの事業をやる意義
  • 事業が軌道に乗るまでは、仕事中心の生活で寝る間も惜しんで尽力したいという意気込み
  • お金の問題をクリアして、世の中をより良くする手伝いがしたい

あなたのやってきたことや想いをストーリーとして整理しておきましょう。面接の練習というと、「一発勝負」とか「間違いなく話さなければならない」といったプレッシャーを感じがちですが、「この事業を起こすまでの自分のストーリーを語ってきてください」と言われると、比較的話しやすくなるのではないでしょうか。人は、理詰めの話よりもストーリーに惹かれます。あなたのやる気や熱意を1つのストーリーに仕立てて話すことで、型通りの返答よりも耳を傾けてくれやすくなるでしょう。面談では、あなたの熱意ややる気、事業への真摯さ、そしてあなたの人柄を面談担当者に伝えてきてください。

融資の審査は、この面談の後になされます。

  • この計画なら、確かにこの事業は順調にまわっていきそうだ。
  • この計画なら、貸したお金もしっかり返してもらえそうだ。
  • この人なら、この事業を成功させられそうだ。
  • この内容なら上司に説明しやすいし、融資のOKも出やすそうだ。

審査官にこのように感じてもらえるよう、あなたの創業計画書をもう一度しっかり作り込んでみましょう。

融資審査が必要な理由やその仕組みとは?開業成功のためのコツ

まとめ

緑の矢印とスタートアップ

いかがでしょうか?

日本政策金融公庫の融資審査を高確率で通すためには、審査官である融資担当者が融資したいと思える創業計画書を作らなければなりません。なぜなら、融資を判断する審査官は、創業計画書と融資を希望する方の人柄のみを頼りに融資の可否を決めなければならないからです。

そのため、創業計画書には各項目において、創業にあたっての並々ならぬ想いや情熱があることを一文字一文字に託すことが求められます。創業にあたっての強い決意と事業を成功させるためのしっかりとしたビジョンを創業計画書に記すことができれば、きっと日本政策金融公庫の審査官は融資がしたいと考えるでしょう。

創業計画書を書きながら、いま一度創業にあたっての想いとビジョンを整理し、日本政策金融公庫から融資を得られる創業計画書に仕上げていきましょう!