損益分岐点の計算を簡単に行おう!儲かる飲食店の条件とは?

最終更新日: 2018/06/30
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損益分岐点のイメージ

飲食店の原価率は何%がいい? 粗利・客単価…売上を上げるために知っておきたいこと」では、粗利、原価、販管費などの用語の説明から、粗利額を増やす方法を紹介しました。しかしそこでは粗利額が多いからといって儲かっているのか?については言及しませんでした。

お店が儲かっている・いないの基準は何で判断されるのでしょうか?よく使われるのが、損益分岐点という指標です。今回はその損益分岐点の概要と、簡単な計算方法、そして解釈の仕方を説明します。

損益分岐点とは?

売上推移を見る男性

損益分岐点とは、売上と経費が同一になる点のことであり、売上高が損益分岐点を上回ると黒字になり、売上高が損益分岐点を下回ると赤字になります。例えば、売上高が100万円で経費が100万円の場合は、損益分岐点は100万円です。よって、100万円を超える売上高がある場合は黒字になり、売上高が100万円に満たない場合は赤字になります。飲食店を開業して成功するには、常に経営者の視点で損益分岐点を把握しておくことが大事になります。

損益分岐点を抑えておく理由

利益を気にする飲食店店長

飲食店を開業して成功するには、黒字経営を目指すことが何よりも大切です。損益分岐点を把握していると、どの程度の売上高だと黒字になるのかがわかりますので、黒字経営の実現に大きく寄与します。

飲食店の経営者だけでなく、全ての経営者にとって最も大事なことは損益分岐点を把握することにあります。損益分岐点を把握すると毎月の売上目標が明確になり、どの程度の売上を達成できれば黒字になるのかが明確になります。

毎月の売上目標が明確になると、1ヶ月の目標金額を営業日数で割ることで1日あたりの売上目標が導き出せます。毎日の売上目標がはっきりするとモチベーションが高まり、売上目標を達成するために自然といろいろな工夫をするようになります。これは飲食店経営にとって非常に大事な要素であり、成功するためには非常に大事なことです。

損益分岐点を導き出すためには経費を固定費と変動費に分けることが必要になりますが、経費の種類を明確にすることは、コストカットをする際に大いに役立ちます。経費は固定費を削減して変動費の比率を高めることが黒字につながりますので、これを知っているだけでも飲食店経営の健全化につながります。

損益分岐点を抑えておかないと、感覚に重点を置いた不確実な経営になってしまい、飲食店経営を成功させることは難しいです。損益分岐点を明確にするには帳簿をきちんとつけることが大切で、POSレジを導入することも損益分岐点の把握や経営分析に役立ちます。

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損益分岐点の簡単な計算方法

損益分岐点を計算する店長

先ほどご紹介したように、損益分岐点とは売上と経費がちょうど等しくなるような売上高です。つまり、毎月の経費が500万円であれば、売上も毎月500万円なければお店が赤字になってしまいます。

「損益分岐点」なんて聞くと難しそうに思えてしまいますが、計算方法は簡単です。数字があまり得意でない……という方でも、下記を読んでいただければきっと理解できます。

一般的に、損益分岐点は以下のように計算されます。

損益分岐点 = 固定費 ÷ ( 1 - 変動費 / 売上高 )

ここで、固定費とは売上に関わらずかかる費用のことで、変動費は売上と連動する費用のことです。各費用の代表的なものは以下になります。

固定費用:人件費、家賃、水道光熱費
変動費用:原材料費、仕入れ値

この分類にやや違和感を覚える人もいるかと思います。会計上、水道光熱費や人件費は変動費です。しかし売上が大きく変動したからといってそれに合わせて柔軟に人件費と水道光熱費を変えるのは難しいです。よってここでは固定費=経費、変動費=原材料費というようにザックリ分類します。こちらのほうが、より実態に即していると考えるからです。

さて、損益分岐点の計算式をあげましたが、これを計算して整理します。分数の引き算をするには分母を統一する必要があるので、

1 = 売上高 / 売上高

として、分数の割り算は分母分子をひっくり返して掛け算であることを思い出して計算すると

損益分岐点 = 固定費 × 売上高 / ( 売上高 - 変動費 )

となります。変動費=原価であると考えれば、

損益分岐点 = 固定費 × ( 売上高 / 粗利額 )

となり、粗利額÷売上高=粗利率とすれば

損益分岐点 = 固定費 / 粗利率

と計算式を大幅に簡単化できます。粗利率は原価率の裏返しで、たとえば原価率が40%であれば粗利率は100%-40%=60%となります。固定費(ここでは経費)が240万円だとしたら損益分岐点は240(万円)÷0.6=400(万円)です。

もちろん、固定費の定義をやや変更したため100%正確な数字にはなりませんが、ある程度あたりをつけるにはこれで十分でしょう。

損益分岐点の活用方法は、ひと月あたりあるいは一日あたりの売上目標を決めるのに使うのはもちろん、客数や注文数から顧客単価の目標設定に反映します。固定費を設定することで、人件費として社員数や給与を検討する際にも使います。人を増やせばそれだけ必要となる売上が決まってきます。

損益分岐点から見る経営のコツ

損益分岐点のグラフを見る女性

利益を増やすには損益分岐点をできるだけ低くすることがポイントになりますが、上記の算式を分析すると、固定費を減らすと損益分岐点が下がることがわかります。固定費は家賃やリース代、従業員の給料などが該当するので、これらの経費を減らすことが黒字経営につながります。固定費を減らすには家賃の値下げ交渉やリース物件の縮小などが有効で、家賃が安い物件に移転することも固定費を減らすことに貢献します。従業員の給料カットやリストラは固定費の削減につながりますが、これは最後の手段にするべきです。

損益分岐点の計算式からは、変動費を削減することも損益分岐点を下げることに貢献することがわかります。商品の仕入れ代金やクレジットカード決済の手数料などが変動費に該当しますので、飲食店経営の場合だと、お酒をできるだけ安く仕入れたり、クレジットカード決済の手数料の引き下げ交渉をすることなどが損益分岐点を低くすることにつながります。

飲食店経営を黒字にするには、固定費や変動費を削減して損益分岐点を下げることがポイントになりますが、変動費を削減しすぎるとサービスの低下を招いて集客に悪影響が及ぶことがあります。黒字経営をするためにはコストカットをすることが不可欠ですが、過度なコストカットは注意が必要です。サービスの低下を招くようなコストカットはNGで、効率の良いコストカットをすることがポイントとなります。固定費、変動費についてはこの後詳しく説明していきます。

固定費、変動費について

固定費イメージ

損益分岐点を求めるためには、経費についての理解が不可欠です。経費には固定費と変動費があり、固定費と変動費がわかると簡単な計算式で損益分岐点を求められます。経費のうち固定費は、売上がいくらであっても必ず必要となる経費のことです。主な固定費には飲食店の店舗の家賃やリース代、従業員の給料などがあります。これらの経費は売上高が0円でも、飲食店を開業中は絶対に必要になってきます。なお、飲食店の従業員の給料は一般的には固定費になりますが、店が忙しい時だけ雇う臨時のアルバイトの給料は変動費になります。

経費のうち変動費とは、売上高に比例して増加する経費のことで、商品の仕入れ代や販売手数料などが該当します。飲食店の場合だと、お酒を仕入れるための費用やクレジットカード決済の手数料などが変動費になります。これらの変動費は売上が増えるにつれて増加することが特徴です。

固定費は売上高に関係なく必ず計上される費用であるため、固定費の削減は業績の改善に直結します。変動費の削減は一時的には業績の改善に寄与しますが、むやみに変動費を削減するとサービスの低下を招きます。よって、コストカットをする際には固定費を削減してから変動費を削減することがポイントです。

固定費、変動費って?利益を上げるためのコストコントロールのコツ

固定費が大きければそれだけ損益分岐点も大きくなります。これは、固定費を払うためにそれだけの粗利額が必要となるからです。それでは、固定費はどのタイミングで決まるのでしょうか?

実は開業時にお店の家賃・広さによって配置するスタッフの人数(=人件費)、水道光熱費はある程度決定します。よって、出店場所は慎重に選ぶ必要があります。

また上記では、人件費を固定費として定義していますが、正社員(経営者含む)は固定費として、アルバイト(パートも)は変動費として計算しましょう。アルバイトの出勤シフトは、本人に任せず、シフトを細かくコントロールしてください。前月比、前年同月比、平日か休日か休前日かなどを考慮して、出勤してもらう日、時間を指定するようにすることで、売上に応じた変動費として扱うことができます。

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原価のコントロールも重要で、計算式から粗利率が上がれば(原価が下がれば)損益分岐点は小さくなります。原材料費の高騰に注意して、特に日々発注するものについては仕入れを見直すようにしてください。料理の味の質を落とすことはできないので、メニューを工夫する努力をします。場合によっては価格に反映させてお客様の理解を得ていく必要もあるでしょう。

損益分岐点比率を活用しよう

損益分岐点の数字を分析

飲食店を開業して成功させるには、収益性を高めて安定経営の状態を維持することが大切になってきます。収益力の高さを調べるための指標として損益分岐点比率があり、損益分岐点比率は次の計算式で求められます。

損益分岐点比率 = 損益分岐点額 / 売上高 × 100 (%)

損益分岐点が400万円、売上高が1000万円とすると、

損益分岐点比率 = 400 / 1000 × 100 (%) = 40%

となります。

損益分岐点比率とは、実際の売上高と損益分岐点の売上高の比率のことです。損益分岐点比率の値が低いほど売上高が低くなっても赤字への耐性があることがわかります。損益分岐点比率が80%以下だと経営状態は健全であり、収益力が高い優良店だといえます。一方、損益分岐点比率が90%以上だと、少しでも売上が落ちると直ぐに赤字に陥ります。損益分岐点比率が100%を超えると危険水域であり、この状態が続くと飲食店の経営を続けるのが難しくなります。

比率が低いほど(実際の売上に対して赤字にならない売上が少ないほど)収益性は高いです。同時に、この例の場合売上が60%(600万円)減少しても赤字にならないことを示します。飲食店であれば、この比率が80%以下(つまり20%以上の売上減で赤字)となれば計画が立てやすくなるでしょう。日本の多くの飲食店の現状は95%前後のところが損益分岐点比率としてあるようですが、売上げの5%の増減は珍しいことではありません。経営に成功している企業は概ね80%以下をキープしています。通常30日の営業日が1週間程度営業ができない状態になっても経営にダメージを与えない状況が理想です。5%だと1.5日となります。台風や大雪など外的要因で1日営業ができないことを想定すると非常に危険な数値となります。

売上高を増やすには、来客数を増やすか、客単価を上げるしかありません。値上げをすると客単価が上がりますが、来客数の低下を招く恐れがあります。値上げは最後の手段にするべきであり、来客数を増やすための工夫をすることが先決です。

日頃の改善から経営の安定化を

利益のグラフを見る経営者

いかがでしょうか?

損益分岐点・比率は固定費に大きく左右されますが、つねに一定ではありません。物価の変動により、家賃の値上げを求められたり、社員のモチベーションのために、給与アップも検討したりする必要があるでしょう。生産効率をアップするために設備投資をすることもあります。そうした状況で固定費を削減するには、使っていない電気は消す、空調を細かくコントロールする、水道は出しっぱなしにしない、などの日頃の改善を徹底することはもちろん、せっかく出勤した社員やアルバイトの接客を改善していくことで売上を維持向上していくことが大切です。