商品説明ができるようになって一人前!商品知識が重要な理由は?

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商品説明を丁寧に行う男性スタッフ

接客をするうえで欠かせないもの、それは商品知識です。お客様に料理をすすめるときに、食材の産地や調理法、食感などを説明しながら「おいしさ」を伝えられるだけの知識です。

ホールスタッフのなかには、お客様から質問されてもすぐには応えられず、キッチンに聞きに行ったりする人がいますが、それでは接客員として失格です。お客様は店全体に対して不満を抱き、再来店は望めないかもしれません。

そのようなことを避けるためにも、スタッフ全員が商品知識を身に着け、いつ、どんなときでもお客様に的確に対応できる態勢を整えておくようにしましょう。

商品説明は接客の基本

商品説明をする女性スタッフ

お客様がテーブルに着いてまず目にするのがメニューブックです。注文する料理を決めて来店している場合は別として、メニューを見ているお客様には、タイミングを見計らって「お食事はお決まりでしょうか」と伺います。 どれにするか決めかねているお客様は、料理についての情報を知りたがっていることが多いですから、本日のおすすめメニューや看板メニューなどを案内します。

このとき、ただ「本日のおすすめはこちらです。美味しいですよ」だけで終わってしまっては、お客様の関心を引くことはできません。大事なのは、お客様が味や食感、ボリュームなどをイメージできるように説明することで、この商品説明力は接客業の基本となるものです。

たとえば、「おすすめ品は、新鮮な刺し盛りと、手作りのホカホカしゅうまいです」のように、「新鮮」「手作り」「ホカホカ」といった言葉を添えるだけでおいしそうに感じられ、また、スタッフがすすめるのだから間違いないという信頼感が生まれ、オーダーに結びつく確率はぐんと高まります。

実際に食べてみた結果、期待通りだったとすれば、その満足感は深く印象に刻まれ、「また来よう」という動機づけになることは間違いありません。

商品説明で「おいしさ」を伝える手法とは?

商品説明をするスタッフ

以上のように、商品を具体的にイメージさせるキーワードを使ったりすることで購買欲を喚起する手法は、「ホイラーの法則」が基になっています。この法則を要約すると次の5か条になります。

第1条 ステーキを売るな、シズルを売れ

シズル(sizzle)とは、肉がジュージュー焼ける様子を表わす擬音語のことです。ステーキは肉の品質や価格で売ろうとするのではなく、焼けるときの音やにおいなどのシズル感を強調してお客様の五感に訴え、「食べたい」という欲求を促進するという手法です。 この肉の焼ける擬音語が転じて、「聞いただけで飲食の欲求を喚起する言葉」全般をシズルワードと呼ぶようになりました。「シャキシャキ(のレタス)」「博多名物の(ごまさば)」「甘さ控えめの(ケーキ)」のように食感や産地、味覚などを表わす言葉も含まれ、前述した「新鮮な」「手作り」「ホカホカ」などもシズルワードにあたります。

第2条 手紙を書くな、電報を打て

手紙や電報というのはあくまでもたとえですが、説明は手紙のようにダラダラと長くならないように、シンプルな言葉でズバリ要点が伝わる表現にしなければならないということです。

第3条 花を添えて言え

商品説明をするときは、明るい表情で身振りなども交えておいしさをアピールすることが必要です。「〇食限定」のように、「この料理を食べればきっと得をする」と思わせるような言葉を添えるのがポイントです。

第4条 もしもと聞くな、どちらと聞け

おすすめメニューを説明した後で、「まだほかにもありますからご覧ください」などと余計に迷わせるようなことは言わず、「どれになさいますか?」と選択肢を絞ることが大切です。お客様が「これをお願いします」と応えやすいように導く方法で、セールストークでは常套手段とされています。

第5条 吠え声(ほえごえ)に気をつけよ

感情は声に現れるものですが、意識して声を出すようにすると感情をコントロールできます。お客様と応対しているときはイライラさせられることもありますが、いつも微笑みを含んだ声で話しなさいということです。


ホイラーの法則はアメリカの営業コンサルタントであるエイマー・ホイラー氏が提唱した販売ノウハウで、流通業界や広告業界などでも広く応用されています。飲食店でもお客様に「これ食べたい」と思ってもらうためにこの法則を活用してみましょう。

なぜ、商品説明が必要か

メニューに悩む女性客

飲食店の売上を構成するのは「客数」と「客単価」の2つの要素です。客数とは、一定期間での新規客とリピーターを合わせた延べ人数のことです。客単価とは、1人のお客様が一定期間に平均して使う金額のことで、「売上÷客数=平均客単価」で求めることができます。なお、平均客単価も客単価も同じ意味で使われています。

たとえば、その月の客数が延べ2,000人で売上が500万円だった場合、「500万円 ÷ 2,000人 = 2,500円」で、1人1回あたり平均2,500円利用してくれたことになります。仮に売上を1.2倍の600万円に伸ばしたいという場合、客数を2,300人に増やし、客単価を2700円にあげれば「2,300人 × 2,700円 = 621万円」となり、計算上は簡単に売り上げ目標を達成できます。しかし、客数を増やすには宣伝費などのコストがかかりますし、客単価を上げるために安易に値上げをすれば客離れを起こすことは必至です。

では、もっとも確実に売上を伸ばす方法はというと、1人のお客様の注文品数を増やして客単価を上げることです。 お客様にメニューをすすめるときは、1,000円の料理よりも1,200円のものをすすめるとか、フランス料理を注文するお客様に「この日本酒はサラリとした味わいで、お肉料理にも合うんですよ」のようにシズルワードを用いたりしながら飲食欲を促し、料理だけでなく飲み物も注文してもらうことで客単価を上げることができます。そして、飲み物がなくなりかけたときに「お飲みものはいかがでしょうか?」と声をかけ、食事が終わったころに「デザートはいかがですか?」と声をかけ、追加注文をしてもらえればさらに客単価を上げることができます。

このように、売上を伸ばすためにはスタッフが商品(メニュー)について知り尽くしていることが第一です。ワインを提供するレストランにはソムリエがいるように、飲食店のスタッフは、料理と飲み物について基本的な知識だけは身に着けておきたいものです。

商品知識を身に着ける研修を行おう

商品知識を身に付ける研修

アルバイトやパートのスタッフが多い飲食店では、全員が一堂に会して研修を行うのは難しいでしょう。その場合は、早番と遅番の2班に分けて行うようにします。

研修会では、お客様に料理をすすめるときの言葉づかいや態度などの接客マナーのほかに、目玉商品としてすすめたいメニューを試食してもらうことが必要です。とくに新メニューを加えるときはスタッフ全員を対象とした試食会は欠かせません。

自分で試食して感じたことをみんなの前で発表し、よくない点は指摘してもらって改めるようにします。その料理のどこが特長なのか、どの部分をアピールするかといった軸は全員ブレないようにすべきですが、表現のしかたもマニュアルっぽくなっては逆効果になりかねませんので、その人らしさを出すことも必要です。

飲食店のスタッフは、昔の給仕とは違い、自らセールスする商品説明力が求められる時代であることを認識することが大切です。

まとめ

商品説明をしっかりしてグッドポーズの男性スタッフ

商品説明力を磨くだけでなく、酒に関する資格を取って客単価アップに貢献しているスタッフもいます。日本酒では、日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)が主催する「唎酒師(ききざけし)」、焼酎では、同じくSSIが主催する「焼酎唎酒師(ききざけし)」、ワインでは、日本安全食料料理会が主催する「ワインコンシェルジュ」などがあります。

いずれも受験資格はとくになく、20歳以上であればだれでも受験することができますから挑戦してみてはいかがでしょう。