食中毒の原因や起こったときの対応方法について理解しておこう

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食中毒が疑われる卵

厚生労働省の調査によると、食中毒が発生した施設でもっとも多いのが飲食店で、全体の62.6%を占めるという結果が出ています(2016年 食中毒発生状況 概要版より)。

食中毒発生の疑いをもたれただけでも飲食店は致命的なダメージを受けてしまうもの。それを避けるためには、食中毒対策を徹底することが第一です。

そこで今回は、食中毒の原因や感染源など基礎的なことから予防法までわかりやすくご紹介していきます。

食中毒を起こす原因は?

食中毒原因イメージ

食中毒は、病原体が混入した飲食物を摂取することによって発症する疾患を指します。その病原体は細菌、ウイルス、寄生虫の3種類に大別され、それぞれ次のような特徴があります。

細菌

細菌は自己複製する能力をもつ微生物で、温度・湿度・栄養・pHの条件がそろった食物の中でどんどん増殖していきます。細菌は感染型と毒素型に分けられ、潜伏期間も違います。

<感染型細菌>

  • カンピロバクター(潜伏期間:2~5日)
  • O-157(潜伏期間:2~5日)
  • サルモネラ菌(潜伏期間:1~2日)

主な感染源……生の食肉、魚介類、生野菜、生卵、生水、加工食肉製品など。カンピロバクターはペットのフンから感染することもあります。

<毒素型細菌>

  • ボツリヌス菌(潜伏期間:8~36時間)
  • 黄色ブドウ球菌(潜伏期間:1~5時間)

主な感染源……ボツリヌス菌は嫌気性で、缶詰や瓶詰など酸素が含まれていない食品の中で増殖し、毒素が産生されます。黄色ブドウ球菌は人間の毛根や鼻腔、のどなどに存在する菌で、傷を化膿させる原因菌でもあります。食物の中に入ると増殖して毒素が産生され、この毒素型の菌を保有する人が作ったおにぎり、弁当、サンドイッチなどを介して感染します。

ウイルス

細菌よりはるかに小さい微生物で、食物の中で増殖することはなく、ほかの生物の細胞を宿主として増殖します。そのため、ウイルスが一度体内に取り込まれると腸内で増殖し、食中毒を起こしてしまいます。

主なウイルス……ノロウイルス(潜伏期間:1~2日)

主な感染源……カキなどの2枚貝を生食した場合の「経口感染」、ノロウイルス保持者の便や吐しゃ物との「接触感染」、吐しゃ物や下痢便の飛び散ったものが口から入る「飛沫感染」、汚物が乾燥してほこりとなったものが口から入る「粉塵感染」があります。

最近多くなっているのが、飲食店の食品取扱者がノロウイルスに感染し、消毒を適切に行わずに調理をしたり、ドアノブに触れたりすることでほかの人に広げてしまう二次感染です。

寄生虫

人や動物に寄生して成長していく虫です。日本では下水道の整備や水洗トイレの普及につれて激減しましたが、近年のグルメブームで生の肉や魚介類を食する人が増えていることもあって再び増加傾向にあるといわれています。

主な寄生虫

  • アニサキス(潜伏期間:5~8時間)
  • クドア(潜伏期間:4~8時間)

主な感染源……アニサキスはサバ、サケ、イカ、アジなどの生食。酢でしめてもアニサキスは死なないといわれています。クドアはヒラメの生食が感染源となります。

食中毒の症状と処置のしかたを知っておこう

食中毒の症状イメージ

食中毒の症状は、細菌・ウイルス・寄生虫の種類によって違いますが、これらの代表的な症状は次の4つです。

●激しい腹痛

●激しい嘔吐

●下痢

●発熱、発熱に伴う悪寒

軽い嘔吐や下痢程度であれば1日で治まるのがふつうです。脱水症状を起こしやすいため水分補給が必要です。冷たい水や清涼飲料水は胃腸を刺激しますから、常温に冷ました緑茶や麦茶、スポーツドリンクなどを飲むようにします。

次のような激しい症状が見られる場合は、命にかかわることもあるのですぐに医療機関を受診してください。

●嘔吐物や排泄物に血が混入

●38.6度以上の高熱

●激しいめまいや排尿困難を伴うほどの重度の脱水症状

●筋肉の脱力感

●激しい腹痛

とくに生の魚に寄生するアニサキスによる食中毒は腹痛や嘔吐が激しく、腸閉塞症や腹膜炎と誤診されることがあるほどです。アニサキスの場合は内視鏡を使って虫体を取り出す治療法しかないため、内視鏡医のいる病院で診てもらうことが大切です。

下痢がひどくても安易に市販の下痢止めを使ってはいけません。下痢止めには、腸の活発な動きを抑える作用のあるもの、腸内の有害物質を吸着する作用のあるもの、荒れた腸の粘膜を保護する作用のあるものなど、さまざまな成分があります。自分の症状に合わないものを服用すると症状を悪化させるおそれがありますから、必ず医師の指導に従うようにします。

出した料理で食中毒が疑われたときの対応のしかた

クレーム対応

もしもお客様から「店で食べた料理で食中毒を起こした」と連絡があった場合は、「そんなわけがない」と否定したくても、とにかく誠意を尽くして対応することが大切です。

お客様からクレームがあったときは

お客様の症状、発症した日、飲食した日、飲食したものを確認し、病院へ行っていないのであれば、すぐに受診するよう促します。その症状が食中毒かどうかを診断するのは医師にしかできないことですし、保健所が調査を開始するには医師の診断が必要だからです。

医師の診断結果が出るまでは早くて1日、通常2~3日かかります。その間は、ほかのお客様から同じようなクレームがないか、食材の仕入れ業者で同様の事故が起きていないかなどを調べておきます。

食中毒は、同じものを食べた人のほぼ全員に同じ症状が現れるのが特徴ですから、1人のお客様の言い分だけでパニックに陥ったりせず、冷静に対応しましょう。

保健所の検査が入ったときは

医師が食中毒と診断すると最寄りの保健所へ連絡がいき、保健所の食品衛生監視員が来店して立ち入り検査を行います。スタッフ全員の検便なども実施されますが、食中毒とお店の因果関係を立証するための検査ですから、進んで協力しましょう。

検査の結果、菌が発見されて食中毒の発生施設と断定された場合は、3日間ほどの営業停止命令がなされます。これは調理器具の消毒やスタッフへの衛生指導をするための行政処分であって懲罰ではありませんが、店名が公表されてしまいますから風評被害などもあり、店が被る不利益は計り知れません。そのため、保健所も100%確信をもてなければ断定することはありません。菌が発見されなかった場合は、検査結果の通知をもってお客様の自宅へ出向き、報告するといいでしょう。

そのときも「当店にはいっさい責任がありませんので」といった強い言動は慎みます。相手も一方的に疑って恐縮しているはずですから、「大事に至らなくてよかったです。お元気になられたらまた店にお越しください」と寛容な態度で接するようにしましょう。

もし、店に過失がある場合は、すみやかにお客様と示談交渉に入ります。それとともに、ほかのお客様に対してお詫びと今後の方針を打ち出すようにします。食中毒を起こしたことを隠すのではなく、どのような経路で感染したのか、今後どのように安全を図っていくのかを書き出し、店頭に張り出してお客様にアピールしましょう。迅速かつ誠意ある行動が再起の成否を握るカギとなります。

食中毒は予防できる

消毒イメージ

店内で食中毒対策を徹底すれば、菌やウイルスが侵入しても感染を食い止めることができます。そのためのキーワードが「付着させない」「増殖させない」「殺菌する」の3つで、食中毒予防の3原則とも呼ばれています。

原則1.付着させない

細菌や寄生虫は、魚や肉、野菜などに付着しています。この病原体が手指や包丁、まな板などを介してほかの食品を汚染し、食中毒を引き起こします。手指や調理器具はこまめに洗浄・消毒をし、食品は区分けして保存します。

調理をするときは、まな板と包丁を用途ごとに使い分けることも必要です。手指に傷がある人は治るまで調理の仕事を控えます。おにぎりを握ったりサラダを盛りつけたりするときは素手ではなく、薄いビニール手袋を着用しましょう。

原則2.増殖させない

細菌は高温多湿の環境で増殖が盛んになりますから、生鮮食材は冷蔵庫で保存します。生食用は4℃以下、加熱用は10℃以下で保存するのが基本です。

また、細菌が食品に付着しても食中毒を起こすまでの量に増えなければ心配ありません。調理は手早くすませ、出来上がったらすぐ食べるようにして、菌の増殖を抑えるようにします。

原則3.殺菌する

一般に細菌は熱に弱いので、食品に付着していても加熱すれば死滅します。

病原体によって異なりますが、食品の中心部が75℃以上になるようにして1分加熱すると菌は死滅します。ノロウイルスの原因となりやすい2枚貝は、中心部が90℃くらいで1分半以上加熱するほうがよいとされています。

まとめ

食中毒に注意するイメージ

細心の注意を払っているつもりでも、発生を0にすることは難しいとされている食中毒。万一発生させてしまったときは損害賠償や見舞金などが重なり、最悪の場合は経営困難に至ってしまうこともあります。

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