職場体験で将来の常連客を作ろう!地域や教育への貢献にもなる!?

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指導を受ける学生

飲食店やスーパーマーケットなどに行くと、中学生くらいの子がバッシングしていたり、入り口で買い物かごを渡してくれた経験はありませんか。そういった光景は、職場体験という授業の一環で働いている姿を私達が目撃しているのです。接客、飲食などの業態だけではなく、工場でも生産ラインに入っていたり、オフィスでコピーを取っていたりと、いろいろな職場で職場体験がなされています。これは、なにが目的で行われているのでしょうか。そして、職場体験を受け入れることは飲食店にとってメリットがあるのでしょうか。

今回は、飲食店で職場体験を受け入れるメリットやその方法を取り上げていきます。

職場体験とは

学生に作り方を教えるシェフ

そもそも職場体験とは何を指すのでしょうか。

職場体験のことを、文部科学省は公式サイトの中で「生徒が事業所などの職場で働くことを通じて、職業や仕事の実際について体験したり、働く人々と接したりする学習活動」と定義しています。つまり職場体験は、中学校の教育課程の中で「特別活動」や「総合学習」などの枠組みに含まれる、正式な単元なのです。

この授業が行われる時、中学生は各職場に数名ずつ派遣され、そこで何らかの仕事を与えられたり、その仕事についての説明を受けたりします。もちろん、学校側も預けっぱなしではなく、担任の先生がそれらの現場を巡回して学習状況を確認します。

職場体験の場所は、主には学校の近くの職場が選択されます。しかし、その範囲は非常に多様で、市役所、消防署、図書館等の公的機関、飲食店や物販店などの商業施設、軽作業のある倉庫、あるいは工場などでも行われます。

飲食店が職場体験を受け入れるメリット

メリットとデメリットを書き込むノート

職場体験の目的とは?

職場体験をなぜ行うのかという点についても、文部科学省は以下のように挙げています。

(1)中学生に対する大人側の見方の変化

(2)次代を担う人材育成

(3)企業の社会的役割の具現化

(4)地域における企業価値の高揚

(5)地域への貢献

(6)職場の活性化

(7)社員教育の一環

(8)キャリア教育の具体的理解

(9)中学生にとっての社会の理解

(10)中学生にとっての将来の職業選択のための情報提供

などです。

この中には「職場体験を実施する教育者側にとっての目的、メリット」と「受け入れる側にとってのメリット」、そして「社会全体におけるメリット」の3つが混在しています。たとえば、教育者側にとっての目的、メリットとしては「(8)キャリア教育の具体的理解」、「(9)中学生にとっての社会の理解」「(10)中学生にとっての将来の職業選択のための情報提供」がそれに当たります。社会全体におけるメリットとしては、「(1)中学生に対する大人側の見方の変化」「(2)次代を担う人材育成」がそれに当たるでしょう。

以上に含まれない(3)〜(7)は受け入れ側にとっての目的やメリットになりますが、これらは本当にメリットになるのでしょうか。

飲食店にとって職場体験を受け入れる実質的なメリットは?

最初に書いておきますが、職場体験は中学生の教育単元にとって必要なものです。また、受け入れる側である企業としては、仮に自社にメリットがなくても、企業は「社会に生かされている「地域に生かされている」存在であるため、そのお返しとして協力する必要があるでしょう。

しかし、忙しい業務の中で必ずしも戦力にならない中学生を受け入れることは大変なことです。なぜなら、仕事の要領を教え、ケガをしないように見守り、本来の仕事の支障にならないような仕事を与えるということは時間的、作業的に大きなロスであるためです。

そういう意味では、企業側のメリットとして残った、

(3)企業の社会的役割の具現化

(4)地域における企業価値の高揚

(5)地域への貢献

(6)職場の活性化

(7)社員教育の一環

の全ては非常に「建前的」であり、「社会的意義を企業として果たす」というメリットしか無いと言えるでしょう。つまり、企業、飲食店自身にとって本当にメリットになるということは、1つもないかもしれません。強いて言えば、(3)(4)(5)が「自分たちは社会の役に立っているんだ」と感じることで従業員のモチベーションが上がるくらいです。中学生を受け入れたからといって職場が活性化したり、その面倒を見ることで社員のレベルが上がることはほぼ皆無です。

では、職場体験には飲食店としての本当のメリットはないのでしょうか。文部科学省が挙げている点以外の、もっと泥臭い部分であれば確かにあります。それは以下のような点です。

  1. 店舗(企業)を将来の就職先、アルバイト先として候補に入れてもらえる
    高校生や大学生になってアルバイトができるようになった時に、職場体験でよい思い出を抱いた職場を選ぶことがよくあるとされます。また、職場体験で料理の面白さや接客のだいご味を知った中学生は、後に正社員として入社してくれるかもしれません。
  2. 次世代の主要顧客、常連客への種まきができる
    職場体験をした店舗で働くところまではいかなくても、店長などのスタッフや料理の内容、あるいは店舗そのものに好印象を持ってもらえれば、顧客として来店し、お金を落としてくれる可能性があります。また、自分の良い体験を職場体験後の授業で行われる体験発表会にて友人たちに話してくれれば、そこから来店動機が発生するかもしれません。その結果、将来的にリピート客や常連客が生まれるかもしれません。
  3. 親や保護者の顧客化
    自分の子供がお世話になったり人間的に成長したと感じたら、実際に子供が働いた店舗に親や保護者が好感を抱き、そのお返しとして来店したり、宴会の予約を入れてくれたりする可能性が高いです。
  4. 消費者のリアルな感想を聞くことができる
    中学生も消費者のうちの1人ですから、料理、内装、接客、キャンペーン内容、求人広告の内容などについて、消費者のリアルな感想を聞くことができます。

飲食店にとって職場体験の実質的なメリットは、以上の4点といえるのではないでしょうか。

職場体験でなにを体験してもらうといいの?

スイーツを運ぶ女子学生

以上でご紹介したメリットの中のどれかに意義を見出せば、職場体験の中学生を受け入れることになりますが、いったい何を体験してもらえばよいのでしょうか。キッチンでの調理やホールでのオーダーテイクなどは、失敗するとお客様に直接的に迷惑がかかってしまう可能があるため、オススメはできません。また、ケガをする可能性がある作業も絶対にさせられません。そうなると、主には以下の業務内容が妥当なところではないでしょうか。

講義や研修

社員研修で言えばOff-JTにあたります。カリキュラムは以下のようなものです。

  • 店舗の仕事の説明
  • 新人アルバイトへの研修を中学生に合うようにして行う
  • 挨拶のトレーニング
  • 会社・店舗の特徴や方針、大切にしていることの紹介
  • 衛生管理の実践
  • 正しい手洗い方法の体験
  • 食品管理の仕方の学習(消費期限管理の方法の学習)

実体験

キッチンやホールに出て、その中での簡単な業務を体験するOJTに該当するような内容です。

  • 食洗器を使った食器洗い
  • お出迎え(来店時のドア開け担当)
  • 最終バッシング
  • テーブルセット
  • 大丈夫そうであれば水など、ケガをしにくいもののキャリー
  • 棚卸しの手伝い

モノづくり

バックヤードの仕事です。POP作りなどを体験してもらえれば、料理や接客の経験の有無とは関係なくできますし、店舗側にとっても若年層の料理に対する注目点が分かって、参考になる可能性もあります。

職場体験の受け入れ方法

ホール担当の二人

以上が職場体験の中のWHAT、つまり「何を体験してもらうか」でした。もう1つ大切な点がHOW、つまり「どのように店長やスタッフが接し、あるいはどのように教えて体験をしてもらうか」という点です。それには以下の点に気をつけましょう。

一方的にならない

一方的な講義や、その仕事の意味を伝えないで作業だけさせるというのはNGです。それでは全く店舗への興味にもつながりませんし、給料の発生しない作業員の1人として体よく利用されただけという印象を与えてしまいます。

疑問に答えるつもりで

送り込む側の教師からすれば、受け入れ側に対して望んでいることは「中学生なりにいろいろな疑問を持つので、それを解いてあげてほしい」ということです。具体的には「この仕事をなぜ選んだのか」「仕事の中で何にやりがいを感じるか」「仕事の中で大変なことは何か」「どのような人が向いている仕事なのか」など、自分が近い将来職業選択をする場合に参考になる情報です。

できればこれらの質問ができる時間をきちんと設け、Q&A方式で丁寧に回答しましょう。この際、店長だけではなく、中学生に年齢が近い社員と一緒に応答できればベストです。

できたことや発言はどんどんほめる

ダメ出しは基本NGです。失敗をして諭すのはいいですが、厳しく叱るのは止めておきましょう。その方が教育的に効果がありますし、店舗への好印象醸成に役立ちます。

親への良い影響を醸成する

中学生の背後には、親の存在があることを忘れてはいけません。中学生に店舗への悪印象や不満、不審を持たれたら、それは確実に親に伝わり、実際に営業上のダメージをこうむる可能性を含んでいます。したがって、中学生に満足してもらうことを通じて、現在のターゲット層に満足してもらう、というつもりで取り組みましょう。

もしも受け入れ内容に自信があれば、最終日に簡単な感想文を書いてもらい、それを保護者にも読んでもらうよう約束するのも1つの方法です。

若年層顧客のニーズを知る

POP作りもそうですが、せっかくですから若年層の顧客が持つ飲食に対するニーズをリサーチしましょう。なかなか彼らの客観的な本音を聞く機会はありませんから、よりよい店舗運営や効果的な集客の参考になるようなことを積極的に聞きだすようにしてみましょう。

まとめ

三名の大学生

いかがでしょうか?

職場体験の受け入れを依頼されると、面倒くさいと思うかもしれません。しかし、建前的ではあっても、ビジネスの本質である地域貢献や次世代の育成という面を考えるとメリットがあると言えるでしょう。また、職場体験を通じて集客を上げる、店舗の好意的な口コミを作る、将来的な常連客を作るという本音の面でも、実に重要なメリットを持っています。

中学生を受け入れる機会があれば積極的に受け入れ、中学生にとっても教育者・社会にとっても、そして店舗にとってもメリットのある職場体験を実施できるようにしましょう。