失敗経験から学んだ、飲食店経営者として成功する方法とは "マネーの虎" 株式会社外食虎塾 代表取締役社長 安田久さんインタビュー

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今回は、次世代の飲食店経営者を育成する経営者塾「外食虎塾」の塾長を務める安田久さんに、外食産業への想いや今後の展望についてお話を伺いました。

安田さんが塾長を務めておられます「外食虎塾」は、上場や急成長されている外食業界の経営者が30名以上登壇し、大繁盛店、100店舗展開、上場等を目指す飲食店経営者の方々を全面サポートしている経営者塾です。

外食虎塾では自分に合ったノウハウを吸収できる

ーー「外食虎塾」は、これまでたくさんの飲食店を経営されている皆様が受講されているそうですね。

2018年春には第6期を終え、これまで累計で195名が卒業しています。毎年20名の受講生を募集していますが、2017年は35名の申し込みがありました。5月からは新たに第7期を開催します。

ーー外食虎塾の卒業生の中には、実際に上場された方もいらっしゃるとのことですが。

「こだわりもん一家」など46店舗を運営、2017年の12月に東証マザーズへ上場した、株式会社一家ダイニングプロジェクトの武長太郎君ですね。彼は、外食虎塾と併せて開催している「上場入門編セミナー」の記念すべき1期生として受講していました。

ーー毎回多くの受講申し込みがある外食虎塾のセミナーですが、飲食店を経営されている皆様を惹きつけているポイントは何でしょうか。

「外食虎塾」の講師は、旬な経営者や成功された経営者を多数揃えています。毎回、彼らの話を間近で聞けますので、上場など、大きな目標を持っている人たちにとっては、モチベーションの向上につながるんだと思います。

講師となる経営者にもさまざまなタイプがいます。 野球で例えれば、ピッチャーからキャッチャー、ショートやライトなどなど。その中から、ご自身にあったもの、ためになるものだけを吸収していけば良いのです。ピッチャーや4番バッターばかり集めたって、チームとしては機能しないですからね。

さらに、セミナーの終了後には必ず懇親会を行いますが、その講師のお店で毎回行うようにしています。いまセミナーで聞いたばかりの講義内容が実際に店舗でどう活かされているのかをすぐに体感できますし、講義でわからなかった点は、お酒を飲みながらその場で聞ける。ざっくばらんな相談も出来ますので、ご自身のこれからのビジョンを作っていく上でも参考になるのではないかと思います。

ーー少人数での開催にはこだわりがありそうですね。

100人〜200人規模のセミナーなら、ありきたりなセミナーになってしまいます。たとえ講師と接触できたとしても、良くて名刺交換止まり。私は、名刺交換だけでは価値がないと思っています。

それ以上の価値を見いだすには、少人数であることは必須なんです。

ーー外食虎塾の受講生には、どのようなことをセミナーで考えて欲しいですか。

飲食店にとって、上場することがすべてではありません。虎塾の講師は受講生から見ると、言ってみれば未来から来た人です。1000店舗作りたいのか、上場したいのか、反対に上場しないほうがいいのかなど、さまざまな講師の話から検討できるのが外食虎塾です。

受講生には、講義を受けながらどの講師に近い生き方をしていくのか、どのやり方が自分に合っているか、未来をどう作るのか。自身でどう選択していくかを考えて欲しいですね。

目指すゴールを見つけさせること、それが外食虎塾の役割だと思います。

失敗の経験をどう活かすかが重要

ーーここからは、安田さんのこれまでを振り返ってみようと思います。安田さんにとって、外食虎塾を始めようと思ったきっかけはなんでしょうか。

外食虎塾は、自分の「失敗経験」を受講生に伝えることで、次世代の飲食店経営者をひとりでも多く成功に導きたいという思いからはじめました。

ーー安田さんの失敗経験とは、リーマンショック〜東日本大震災の頃の出来事ですね。

当たり前のように繰り返し行っていた銀行からの借り入れが、2007年のリーマンショックを境にストップ。私の会社は自転車操業に陥りました。さらに、その4年後の2011年には東日本大震災が発生。その影響で売上が95%も落ち込み、結果として会社は倒産に追い込まれました。

倒産前の私は誰も信じていない、超ワンマン社長でした。私が独立して最初にオープンさせた「監獄レストラン アルカトラズ」は、自分一人だけ苦労して成功させたという思いが非常に強かったんです。実際、社員に対しても「私の言うことを聞けば儲かるから」と言って、自分の手足のように使っていました。自分に慢心しすぎたことも、倒産の一因にあったのかもしれません。

ーー当時のご自身に、もしアドバイスできるとしたら?

昔の自分には、「自分ひとりでは何もできないよ」と言いたいですよ。昔の私は誰も信じていなかったので、社員に対しても上から目線で接していましたし、自分だけが良い思いをすればいいとも思っていました。

倒産後、気付きました。「あらゆる人のサポートがあって初めて成功できる」ということに。

ーー復活される大きなきっかけとして、ご家族の支えもあったと伺っています。

会社が倒産した後、これからひとりで闘っていかなければならないと決心した矢先、妻が私に言った言葉は「稼いでこい」でした。妻は、私が追い込まれることでより発奮するということを知っているんでしょうね。私は、褒められるよりも厳しくされた方が力を発揮するタイプですから。私の性格を熟知する妻は、私の復活を信じていたんだと思います。信じていたからこそ、敢えて厳しいことを言ったのでしょう。

私としても、妻の思いは復活への発奮材料となりましたし、それによって芽生えた「家族を守らなければいけない」という使命感は、仕事を頑張る上での支えとなっています。現在こうして外食虎塾が運営できているのも、家族の支えがあってでしょう。

飲食店起業向けセミナーを開始予定!

ーー最後に、外食虎塾のこれから、安田さんご自身のこれからについてお聞かせください。

新たなセミナーメニューとして、これから店舗を運営したい、飲食店を起業したい方向けのセミナーをやりたいと考えています。現場から独立して自分のお店を持とうとしている人、脱サラして飲食店を開業したい人などを対象に、2018年の秋からのスタートを計画しています。

残念ながら、外食業界では売上5,000万円以下の企業がたくさん倒産しています。つまりは、1店舗で潰れているお店が多いということです。

1店舗目が繁盛しない限り、外食業界は発展しません。最初の1店舗を繁盛させることは、外食産業発展の第一歩となります。1店舗目が繁盛してどんどん店舗数が増えていけば、雇用も増えて食材の生産者も潤うことになります。外食業界で成功できる経営者をたくさん増やすことが、外食業界を活性化させることにつながるのです。

会社を倒産させてしまったことによって、私は多くの外食業界関係者に迷惑をかけました。そんな自分に何ができるのかを考えたとき、至った結論が、「裏方として成功社長をたくさん育て、これからの外食業界に貢献し、活性化させたい」ということです。

自分を育ててくれた外食業界への恩返し。今後も続けていきたいと考えています。

プロフィール

安田 久(やすだ ひさし)

株式会社外食虎塾 代表取締役社長

1962年、秋田県生まれ。1998年、六本木に出店した「監獄レストラン アルカトラズ」で注目を浴びる。2010年には、外食アワード2010を受賞。翌年2011年に破産し、全店舗を売却。現在は「外食虎塾」の塾長として、次世代の経営者や上場の支援を行っている。