店舗展開の失敗事例から学ぼう!ベッドタウンの飲食店が3ヶ月で閉店した理由とは?

最終更新日: 2019/01/02
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「人は成功よりも失敗から多くを学ぶ」。これは、イギリスの経営学者ジョン・ウェルスの言葉です。とはいえ、巷にあふれているのは成功者の体験談やノウハウばかり。実際に“失敗”を経験した方の話を聞ける機会はなかなかありませんよね。そこで、自身の経営する飲食店が短期間で閉店となってしまったオーナーの方に、その“失敗談”について伺ってみました。

今回お話を伺ったのは、東京西部の某沿線で居酒屋を経営していたAさん。もともと他の場所で飲食店を営んでおり、今回が2店舗目の出店だったそう。立地は駅徒歩1分と好条件で、一軒家風の2階建て物件を改装。1階は国産ワインに日本食を合わせたバル風居酒屋、2階はコース料理を主にした、本格和食とこだわりの日本酒を出す和食居酒屋としてオープンしました。内装は白を基調とした清潔感あるおしゃれな雰囲気。ところが、開店後わずか3か月で閉店することになってしまったのです。その原因はどこにあったのでしょうか。

初期コストをかけすぎて、運転資金が早々に底をついてしまった

開業する場合、店舗物件の賃貸契約に関する費用や、内外装工事・設備や備品などの店舗投資に関する費用や、スタッフの雇用にかかるコストなど、さまざまな費用がかかります。理想は1000万円、最低でも300万円~500万円などと言われていますが、その初期コストのかけ方が妥当ではなかったとAさんは振り返ります。「2階の和風居酒屋には、店の“売り”として100種類以上の日本酒を用意しました。その他、内装、食器、グラスにもこだわり、そこにずいぶんとコストがかかりましたね」。店のコンセプトを優先するあまり、店舗投資にかける金額がふくれあがってしまった、ということのようです。もちろん、連日お客様が詰め掛けてくれればそのコストも回収できたはずですが、実際には1日の売上げは多くて20万円ほど、ひと組しか来店がない日も珍しくなかったとのこと。運転資金が早々に底をつき、営業を続けることが難しくなってしまいました。

不動産を先に決めてしまう

店舗展開で失敗するパターンの一つに「不動産を先に決めてしまう」といったものがあります。誤解を招かないように補足すると、決して「不動産を決めること」は悪いことではありません。箱がなければ飲食店をオープンすることは出来ないので、これは必要不可欠な部分となります。ただ、不動産を決める時に考えたいのが…

・その家賃で経営は成り立つのか?

・お店のコンセプトにマッチしているか(コンセプトは決まっているのか)

ということです。

例えば、あなたが気になっている店舗の家賃が20万円だったとしましょう。

さて、お店をオープンした後の売上はいくらなのでしょうか。

正直、ある程度の見込み金額は計算できていても、その実態は蓋をあけてみないと分かりません。例えば、月100万円の売上と考えていたとして…

家賃20万円

人件費40万円

材料費15万円

雑費10万円

とザックリな数字が出てきます。

この数字通りに事が運べば20万円の家賃であったとしても、15万円の利益が出るので問題はないでしょう。

しかし、実際にオープンしてみると、客足が悪く月80万円しか売上がなかったらどうでしょうか。それだけで毎月5万円の赤字となってしまいますよね。そして、広告を打って集客しようとしても、赤字なので、広告費すら出ない状態というわけです。

この積み重ねによって経営が苦しくなり、閉店に追い込まれる図式はお分かり頂けたでしょう。不動産を先に決めるのではなく、必ず月の売上を少なく見積もって「どの位の家賃なら最悪の場合でも支払うことが出来るのか」を明確にしてから契約にしましょう。

また、不動産に足を運んでいるようなケースだと、営業マンから…

「明日には他の方が契約しているかも」

「こんな物件は二度とでないですよ」

という言葉をきくのも珍しくないと思いますが、これは営業トークと割り切って考えて下さい。確かに、営業マンの言う通り、同じ物件は2つとしてありませんし、明日になったら違う方が契約していることもあるでしょう。

それでも、明日になっても契約されていない可能性も0ではないのです。運転資金の目途が立っていないのに冒険するのはとても危険なことです。飲食店は居抜きであったとしても、若干の内装工事など色々な経費がかかってくるので、慎重に進めていきましょう。

不動産がお店のコンセプトと合わない可能性も…?

金銭面での判断もあるのですが、それとは別にお店のコンセプトに合うか合わないかに関しても不動産を先に決めるデメリットとなっています。現時点で、あなたがどのような広さで、どういった内装で、どういうコンセプトでお店を開きたいと固まっている場合は契約をしても問題はないでしょう。

でも、その部分が決まっていない状態で契約したらどうなるでしょうか。

「本当はもっとキッチンが広い方が良かった」

「カウンターテーブルのスペースが十分に取れない」

といったデメリットが出てくることは十分に考えられます。

しかし、契約してしまったのですから、そのスペースで開業する以外にありません。そうなってくると、あなたが思っていたコンセプトから変えなければいけないのです。

そこを上手に調節することが出来て、あまり妥協せずに本来の目的に近い飲食店をオープンできて、尚且つ売上もあがれば問題ありませんが、世の中そんな上手くいくことはありません。

妥協するということは、それだけお客様にとって魅力的な部分を削ることですから、オープンしても客足が伸びる期待はほとんどできないでしょう。金銭的な契約を立てるだけでなく、あなたが望むお店をそこで開くことができる物件なのかについても検討してから契約に進むようにしましょう。

お店のコンセプトや商品単価と地域の客層がマッチしていなかった

お店の場所に選んだのは、都心から電車で30分ほどのベッドタウン。住宅が多く、近くには大学が点在し、学生の多い街でもあります。ところが客単価は1階のバルが2000円~4000円、2階の和風居酒屋が5000円~1万円と、学生にはやや高め。帰宅途中のサラリーマンをターゲットにするには内装がいかにもオシャレで、男性一人では少々入りづらい雰囲気。女性客を取り込むには店内に個室がなく、カウンターは立ち飲みスタイルであるなど、ターゲットがぼやけてしまったということが原因のひとつであるようです。「店のコンセプトと地域客層のニーズが合っていなかった。同じコンセプト・価格帯でも、場所が都心であればまた違ったかもしれません」。

スタッフのシフト調整ができず、人件費が高騰

店舗を運営するうえで最も重要な要素のひとつが人件費です。オープンスタッフとしてアルバイトを採用しましたが、その人数がホールスタッフだけで約30名。1日に10人ほどシフトに入っていたようで、人件費がかさんでしまいました。とはいえ、前述したように来店者数が少ないわけですから予約状況などを見ながらある程度シフトに入る人数を徐々に減らしていけば良いはずですが、Aさんはそういった調整もしなかったそうです。「席数は1階が30席、2階は40席でしたから、今思うと人数が多すぎました。やる気をもって応募してくれた人が多く、シフトの人数も減らせませんでした。結果的に、来客数よりもスタッフの数の方が多い日もあり、売上げよりも人のコストの方が上回ってしまいました」とAさんは振り返る。

常連客も新規客も取り込めず

1日にひと組しかお客様が来ないという日もあったというAさんの店舗。集客はどのようなことを行ったのでしょうか。「実は最初のお店をやっている時に、自分自身にお客様がついてくれていました。新店舗では開店前にレセプションを開いて、常連のお客様こだわりの料理とワインをふるまいました。メディアにもいくつかお越しいただき、まあまあ満足していただけたような感触を得ました。しかし、1店舗目の経営はそのまま続けていたため、私自身が新店舗に立つことがほとんどできず、私についていた常連客さんを新店舗へ呼び込むことはできませんでした。開店後は、先ほどもお話したように運転資金がもうありませんでしたからビラ配りやクーポン雑誌への出稿などのプロモーションができず、新規のお客様も呼び込めませんでした」。

経営的な視点ばかりで失敗したパターン

飲食店オーナーの役割とはなんでしょうか。

結論から言ってしまうとお店を繁盛させることです。

でも「お店を繁盛」って色々な様子がありますよね。「お店側が儲かる」というのも繁盛と捉えて良いでしょう。そして、ここに飲食店が失敗する落とし穴が待っているのです。

例えば、一見お得に見えて、お店が儲かるようなキャンペーンをした場合はどうでしょうか。確かに、店は儲かるのでオーナーも嬉しいでしょう。でも、それってサービス業として顧客第一主義ではありませんよね。

レストランや居酒屋などの飲食業が「サービス業」と言われている意味を考えてみて下さい。つまり、経営的な視点で「どうしたら店が儲かるのか」と考えていては、遅かれ早かれ客は逃げてしまうわけです。

極端な例ですが、居酒屋の飲み放題プラン。

例えば3杯以上飲む場合であれば、飲み放題にした方が安いとします。

でも、お客様は「そんなに飲まないから…」と飲み放題を頼まなかったとしましょう。しかし、終わってみれば3杯以上飲んで飲み放題にしていた方が安かった場合、お店はどういう選択をするのが良いのでしょうか。

A・・・だから最初に言ったのに…と飲み放題を適用しない

B・・・たくさん飲んで頂いたので飲み放題にしますねと飲み放題に切り替える

お店の利益で言えばAパターンですが、お客様にとってはBパターンの方が嬉しいです。そして、Bの選択をしてあげれば、確かにその時の売上は下がるかもしれませんが、後々、この機転が何倍にもなってお店は返ってくるのです。

経営的な視点を重視して物事を考えるのではなく、必ず「お客様はどうしたら喜んで、また利用してくれるのか」を考えた経営をお勧めします。

失敗から学ぼう!

いくつかの要因が重なって、早々に閉店へと追い込まれてしまったAさんの居酒屋。自分のやりたいことと実際のニーズとのバランスや、コストをかけるべきポイントと、無駄を省くべきポイントの見極めなど、総合的な視野が求められる場合が多いようです。失敗には常に成功のカギが潜んでいるもの。うまくいかなかった時には、その原因をしっかりと掘り下げ考えることが、次の成功へとつながるのかもしれません。

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