店舗展開の失敗事例から学ぼう ベッドタウンの飲食店が3ヶ月で閉店した理由とは?

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closedの看板

「人は成功よりも失敗から多くを学ぶ」。これは、イギリスの経営学者ジョン・ウェルスの言葉です。とはいえ、巷にあふれているのは成功者の体験談やノウハウばかり。実際に“失敗”を経験した方の話を聞ける機会はなかなかありませんよね。そこで、自身の経営する飲食店が短期間で閉店となってしまったオーナーの方に、その“失敗談”について伺ってみました。

今回お話を伺ったのは、東京西部の某沿線で居酒屋を経営していたAさん。もともと他の場所で飲食店を営んでおり、今回が2店舗目の出店だったそう。立地は駅徒歩1分と好条件で、一軒家風の2階建て物件を改装。1階は国産ワインに日本食を合わせたバル風居酒屋、2階はコース料理を主にした、本格和食とこだわりの日本酒を出す和食居酒屋としてオープンしました。内装は白を基調とした清潔感あるおしゃれな雰囲気。ところが、開店後わずか3か月で閉店することになってしまったのです。その原因はどこにあったのでしょうか。

初期コストをかけすぎて、運転資金が早々に底をついてしまった

開業する場合、店舗物件の賃貸契約に関する費用や、内外装工事・設備や備品などの店舗投資に関する費用や、スタッフの雇用にかかるコストなど、さまざまな費用がかかります。理想は1000万円、最低でも300万円~500万円などと言われていますが、その初期コストのかけ方が妥当ではなかったとAさんは振り返ります。「2階の和風居酒屋には、店の“売り”として100種類以上の日本酒を用意しました。その他、内装、食器、グラスにもこだわり、そこにずいぶんとコストがかかりましたね」。店のコンセプトを優先するあまり、店舗投資にかける金額がふくれあがってしまった、ということのようです。もちろん、連日お客さんが詰め掛けてくれればそのコストも回収できたはずですが、実際には1日の売上げは多くて20万円ほど、ひと組しか来店がない日も珍しくなかったとのこと。運転資金が早々に底をつき、営業を続けることが難しくなってしまいました。

お店のコンセプトや商品単価と地域の客層がマッチしていなかった

お店の場所に選んだのは、都心から電車で30分ほどのベッドタウン。住宅が多く、近くには大学が点在し、学生の多い街でもあります。ところが客単価は1階のバルが2000円~4000円、2階の和風居酒屋が5000円~1万円と、学生にはやや高め。帰宅途中のサラリーマンをターゲットにするには内装がいかにもオシャレで、男性一人では少々入りづらい雰囲気。女性客を取り込むには店内に個室がなく、カウンターは立ち飲みスタイルであるなど、ターゲットがぼやけてしまったということが原因のひとつであるようです。「店のコンセプトと地域客層のニーズが合っていなかった。同じコンセプト・価格帯でも、場所が都心であればまた違ったかもしれません」。

スタッフのシフト調整ができず、人件費が高騰

店舗を運営するうえで最も重要な要素のひとつが人件費です。オープンスタッフとしてアルバイトを採用しましたが、その人数がホールスタッフだけで約30名。1日に10人ほどシフトに入っていたようで、人件費がかさんでしまいました。とはいえ、前述したように来店者数が少ないわけですから予約状況などを見ながらある程度シフトに入る人数を徐々に減らしていけば良いはずですが、Aさんはそういった調整もしなかったそうです。「席数は1階が30席、2階は40席でしたから、今思うと人数が多すぎました。やる気をもって応募してくれた人が多く、シフトの人数も減らせませんでした。結果的に、来客数よりもスタッフの数の方が多い日もあり、売上げよりも人のコストの方が上回ってしまいました」とAさんは振り返る。

常連客も新規客も取り込めず

1日にひと組しかお客様が来ないという日もあったというAさんの店舗。集客はどのようなことを行ったのでしょうか。「実は最初のお店をやっている時に、自分自身にお客さんがついてくれていました。ですので新店舗では開店前にレセプションを開いて、常連のお客様こだわりの料理とワインをふるまいました。メディアにもいくつかお越しいただき、まあまあ満足していただけたような感触を得ました。しかし、1店舗目の経営はそのまま続けていたため、私自身が新店舗に立つことがほとんどできず、私についていた常連客さんを新店舗へ呼び込むことはできませんでした。開店後は、先ほどもお話したように運転資金がもうありませんでしたからビラ配りやクーポン雑誌への出稿などのプロモーションができず、新規のお客様も呼び込めませんでした」。

失敗から学ぼう!

いくつかの要因が重なって、早々に閉店へと追い込まれてしまったAさんの居酒屋。自分のやりたいことと実際のニーズとのバランスや、コストをかけるべきポイントと、無駄を省くべきポイントの見極めなど、総合的な視野が求められる場合が多いようです。失敗には常に成功のカギが潜んでいるもの。うまくいかなかった時には、その原因をしっかりと掘り下げ考えることが、次の成功へとつながるのかもしれません。