資金繰り表で現金過不足を把握して黒字倒産を防ごう

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現金チェックイメージ

全国に大企業と言われる会社は約1万2千社、中小企業は約419万8千社、合わせて421万社あります。大企業の割合は0.3%に過ぎません。小規模企業数は約360万社です。

企業倒産のデータはどうでしょうか。企業の倒産件数は年次ごとに違いますが、毎年10,000社から15,000社の企業が倒産して消えていきます。

東京商工リサーチによる調査では、倒産した企業のデータ分析をすると、赤字で倒産した企業は55.3%に過ぎないということです。つまり残り44.7%の企業は赤字ではないのに、黒字で倒産していることになります。

つまり、赤字企業でありながら倒産していない企業も多く存在するということです。どうしてこんなことが起こるのでしょうか。

会社の月次の損益計算書を見て、黒字になっているからといって決して安心できません。黒字倒産は突然やってきます。こうした事態を未然に防止する経営管理のツールが資金繰り表です。財務諸表の中では、損益計算書、貸借対照表よりも重要な管理表です。この資金繰り表について学習していきましょう。

資金繰り表とは

資金繰り表イメージ

資金繰り表とは、今後予測される現金の収入と支出を時系列にまとめ、一覧表にして現預金の動き、現金過不足を管理する表のことです。

事業所や会社の事業が、継続して運営され、成長を続けていくためには、必要な資金がショートしないようにすることが極めて重要です。今後の資金の動きはどうか、資金が不足する時はいつか、余裕資金が出てくるのはいつか、などを正確に把握するために必要な管理表が資金繰り表です。

一般的に倒産とは、返済又は支払いしなければならない債務を自己資金で賄え切れないか、又は借り入れができない場合で、会社が行き詰まった状態のことをいいます。こうした倒産を防ぐ意味においても極めて重要な管理表です。作成には特別な技術は要りません。エクセルの表計算ができれば誰でも作ることは可能です。また、最近では会計ソフトも使い易くなってきましたから、これで安易に作れます。

なぜ現金過不足の把握をしておく必要があるのか

資料を把握する男性

ではなぜ、現金過不足の把握をしなければならないのでしょうか。

現金過不足を把握することで、「いついくら現金が必要か」「いついくら現金が不足するか」を掴むことによって、不足する期日がわかります。これがわかると早めに借入などを行い、資金不足を補うことも可能です。

また、早めの資金回収の行動を起こすことも可能です。このように早め早めの対応ができ、常に資金不足の状態を回避することができます。また、余裕資金が生まれる時期が分かれば、積立や、設備投資、新規開発資金の予算手当てが可能となります。黒字決算でも倒産する、または赤字でも倒産しない理由は、会計上の現金の入出金時期にズレが発生しているからです。

例えば、単純に、6月に売上が1,000万円あり、仕入れが同じ月に500万円あったとします。仕入代金の支払いが1ヶ月先で売上の入金が3ヶ月先ならば、支払い時期に売上金の入金がありませんから、倒産状況に陥ります。会計上はどうでしょうか。同じ6月に売上と仕入れが発生していますから、単純損益は500万円の黒字です。又、大量に仕入れの費用が発生しても販売が完了するまで会計上の支払いとして計上されませんからそれまでは赤字にならないわけです。このように現金の過不足を把握しておくことがいかに大切なことかがお分かりいただけたと思います。

ちなみに、赤字なのに倒産しない理由は、

  • 会社の現預金がたくさん積んである。
  • 会社に担保となりうる資産があり、銀行から借り入れが可能。赤字でも増資(返済不要)ができる会社である。
  • 売上の前払い制度があるお得意様を持っている。

などがあげられます。

資金繰り表の作り方

資金繰り表作成

資金繰り表は、構成さえ分かっていればエクセルで簡単にできます。また、会計ソフトでも基本データを入力すれば、簡単に資金繰り表が作成できます。しかし、資金繰り表の構成の内容が理解されていないと、資金繰り表の賢い運用ができにくくなります。最初の内は自分で、エクセルで作成することをおすすめします。

資金繰り表の縦欄は、入金と出金の費用項目を入れます。横欄の上段には月次を入れますが、少なくとも6ヶ月は記入できるようにしましょう。但し、単純に1月、2月、3月、4月とするのではなく、立欄に記入した入金、出金の状態に合わせた期日を入れなくてはなりません。

例えば、お得意様Aは月末締めの翌月15日払い、お得意様Bは月末締め切りの翌月末払い、一般支払日が毎月20日、支払手形の決済日が毎月月末などでは、横列欄には○○月15日、20日、月末の欄が必要です。

立欄の科目は、最上段に前月繰り越し現金残高を記入します。次に入金の欄、現金売上高、売掛金、取り立て手形入金、前受け金(公共事業を請け負う土木建設業の前受け金など)、雑収入を、入金する期日の欄に記入、そして合計となります。

次に、出金の項目は、現金仕入れ高、買掛金、支払手形、前渡金、一般経費、人件費、支払利息割引料、税金、社会保険料、その他など発生する期日の欄に記入します。そして合計の欄に合計を記入。以上が経常収支次に借入金の欄には、短期借入金額、長期借入金額を記入。借入金の返済欄には短期借入金返済額、長期借入金返済額をそれぞれ記入する。以上が財務収支。

そして以上を差引して、下段に当月末現金残高を算出する。但し残高は期間内の科目発生日ごとに残高を記入し、最下段に現金過不足額を算出して記入します。

資金繰り表を作成したらここをチェックしよう

チェックするビジネスマン

資金繰り表は数々の重要な経営上の情報を提供してくれます。資金繰り表の大きな目的は、会社の経常収支や財務収支の状態をいち早く知ることです。早く知ることによって、適格な対策が事前に行うことができ、継続的で安定的な経営ができます。

資金繰り表を作成したら、チェックするポイントは色々ありますが、重要なポイントをいくつか上げてみます。

  1. 毎月つくる試算表と資金繰り表との整合性はまずチェックが必要です。各月の資金繰り表の売上高、仕入れ高の実績値が試算表と合っていなければなりません。
  2. 入金と出金、いわゆる経常収支が毎月プラスとなっているか、マイナスとなっているかをチェックします。マイナスが続くようでしたら、赤字経営になっており、重大な欠陥が潜んでいます。至急対策が必要です。また、売上を手形で回収している会社、あるいは季節的な要因で仕入れが先行する会社は資金不足が発生します。資金繰り表からこの時期、金額が分かりますから、チェックして早めの資金手当てが必要です。賞与支給時期も同じです。
  3. 設備投資時期を資金繰り表でチェックできます。設備の新規導入や追加、入れ替えの時期を資金繰り表でチェックして、不足資金があれば、早めに融資依頼をしておきましょう。
  4. 設備資金を借り入れによって調達した場合は、その返済のため資金不足になる場合が多く見受けられます。従ってこれも資金繰り表で早期に時期、金額が判明しますから、対策が立てられます。ただし、設備資金の借入返済が、毎月の利益と減価償却費を合わせた金額より大きい場合は、設備投資効率が低い、あるいは過大投資の可能性があります。従ってこの対策として、設備の効率化を急がなければなりませんし、あるいは設備の処分も選択肢となります。

まとめ

うまくいく経営イメージ

資金繰り表は、事業所、会社の大小に関係なく必要な経営管理ツールです。

事業所の業容は、毎月のように刻々と変化し、それは経常収支に数字として表れてきます。また、導入した設備があれば、その資金の返済や利息の支払いが恒常的にあり、資金収支に大きく影響してきます。資金不足が発生し、対策が取られなければ、その段階で会社は止まってしまいます。

商売を安定的に続けていくためには、資金不足は絶対に避けなければなりません。資金繰り表は経営の基本的なツールです。資金繰り表を作る、読み取る、対策を立て、実行する、の一連の行動により商売が継続されていくのです。