接遇マナーで従業員全員の接客レベルと店舗の売上をアップしよう

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接客する男性

ロケーションがよく、外装も内装も素晴らしいのに、なぜかお客さまが入らない店があります。その一方、駅からは遠く、それほど目立つ店構えでもないけれど、常連客でにぎわっている店があります。

このような違いが生じるのは、料理の味や価格だけが原因ではありません。その店が接遇マナーにどれだけ力を注いでいるかにかかっているのです。そこで今回は、固定客を増やしてお店を繁栄に導くための接遇マナーについて解説していきます。

接客とは違う?接遇マナーとは

整列したマネキン

飲食店での「接客」は、お客さまに直接応対し、必要とされるサービスを提供することをいいます。サービス(Service)には奉仕の意味があり、お客さまが主、店側が従というタテの関係で、サービスに応じて対価が発生します。

一方の「接遇」は、お客さまを迎える準備をしたり、身だしなみを整えたり、お客さまの目に見えない部分でおもてなしの心を表現することです。最近の傾向として、接遇はホスピタリティと同じ意味で使われるようになっています。ホスピタリティとはラテン語のホスピティウム(Hospitiumhospes=客を厚遇する)から派生したことばで、「どのような客人にも最善を尽くす」という考えが根底にあります。お客さまが喜んでくれることを自分の喜びとするのがホスピタリティ精神であり、対価は発生しません。その点がサービスとの違いといえます。

以上のことからわかるように、接遇は接客のベースといえるものです。接遇マナーが徹底している店は、立地的に多少不便であっても集客力があり、固定客を増やしていくことができるのです。

接遇マナー4つの基本

4の手をした男性

飲食店の経営指針として広く知られているのが「QSCA」という基本理念です。

Quality(品質)、Service(接客態度)、Cleanliness(清潔感)、Atmosphere(雰囲気)の頭文字をとったもので、これはその店の接遇レベルを診断する指標としても用いられています。ここではレストランを例にQSCAの考え方について見ていきましょう。

Quality(クオリティ)=質のよい料理

飲食店の場合はメニュー、食材、食器・グラス、盛り付け、飲み物、デザートなどのことです。質のよい料理を適正な価格で提供することだけでなく、店のコンセプトや客層にマッチしていることが大切です。

たとえば、オフィス街で、比較的お金を自由に使えるビジネスマンやOLを対象とするのであれば、価格はやや高めに設定することができます。高価格設定の場合は、季節限定のものや特製のものなど、お客さまが期待する以上のサービスを提供することが必要になってきます。お客さまはたいてい「3千円」とか「5千円」とか予算を立て、それ相応の期待をして来店します。そして、食事を終えて会計をする際に、「料理がおいしくて雰囲気もよくて、それで3千円は安いくらいだ」と思わせることがキーポイントで、それはやがて口コミとなって集客拡散につながります。

Service(サービス):気配り・目配り

お客さまが来店してからお帰りになるまで、心地よく過ごしてもらうために配慮することです。店内が暑くなってきたらエアコンの温度調節をする、薬を飲もうとしているお客さまがいたら氷抜きの水を持って行くというように、目配り・気配りの行き届いた接客を心がけましょう。

Cleanliness(クリンリネス):清潔感

クリンリネスとは「輝くほど磨き上げられた状態」のことです。外の看板から、出入り口、フロア、厨房、食器類、トイレ、さらにスタッフの身だしなみまで、つねに清潔感に満ち、衛生的な状態をいいます。どんなに料理がおいしくても、グラスが汚れていたり、床にゴミが落ちていたりすれば料理を味わうどころではなくなります。そのお客さまは二度と来なくなってしまう可能性もあります。それだけでなく、SNSなどで悪評を拡散されることもあり得ます。場合によっては取り返しがつかないことになってしまいますから十分注意しなければなりません。

Atomoephere(アトモスファー):店内の雰囲気

テーブルと椅子、照明、壁のクロス、絵画、音楽など、料理の味を引き立てるための空間デザインのことです。お客さまが店を選ぶ条件は味だけではありません。店の雰囲気やスタッフの接客態度なども重視されます。「また来たい」「友だちにも紹介したい」と思われるような居心地のよい雰囲気づくりをしたいものです。

接遇マナーをマニュアル化しよう

パソコンとペン

接遇マナーの大切さをスタッフ全員に徹底させなければなりません。スタッフによってバラツキがあってはトラブルの原因になりかねませんから、接遇マナーのマニュアルを作成しておく必要があります。接遇マナーをマニュアルに盛り込む内容は業種や店舗の規模によって異なりますが、ここでは最低限必要な項目と注意点をあげてみましょう。

基本について

◆あいさつ

人との繋がりはあいさつから始まります。飲食店も例外ではなく、お客さまとの関係はあいさつから始まります。入店されたお客さまに対してあいさつを行わなければ、存在を無視したと思わせてしまい、不快感を与えかねません。お客さまを気持ちよくお店にお迎えするためにも、目線をあわせて、笑顔で元気よくあいさつをしましょう。

◆態度

お客さまはスタッフの接遇態度に敏感です。自分と他のお客さまに対する接遇態度の違いが、時として不快感を与えてしまう場合もあります。接遇態度はクレームに繋がることもありますので、来店されたお客さまに対しては常に平等な接遇を心がけましょう。平等な接遇が、あらゆるトラブルを未然に防ぐことができます。

◆言葉遣い

横柄な言葉遣いはお客さまを不快にするだけでなく、お店の信頼低下にも繋がります。言葉は発するものです。しかし、言葉遣いとは言葉を発する前に相手を思いやる気持ちと、心遣いが重要です。来店されるお客さまを想った言葉遣いができるよう、敬語表現に日頃から親しむようにしましょう。正しい敬語が、お客さまとの信頼関係構築に繋がります。

身だしなみについて

◆指先

食べ物を扱う人は何よりも指先が清潔でなければなりません。食中毒を引き起こす細菌は爪の間や指輪などにたまりやすいもの。爪はきれいに切りそろえ、指輪はシンプルな結婚指輪以外はつけないようにします。また、指をけがして絆創膏を貼っているスタッフを見かけることがありますが、これも不衛生な印象を与えます。どうしても貼らざるを得ない場合は、その上に指サックをつけるか、汚れる前に新しい絆創膏に貼りかえるようにしましょう。マニキュアは、透明か薄いピンクなど健康的に見えるものであれば問題ありませんが、色の濃いものは料理の彩りを損ねてしまいますから避けたほうが無難といえます。

◆ヘアスタイル

お客さまのクレームで多いのが料理に髪の毛が混入しているというもの。不快感を与えるだけでなく、髪の毛にも細菌が付着しやすく食中毒を引き起こす恐れがあります。フロアに出る前によくブラッシングをして、長い髪は1つに束ね、毛髪が抜け落ちたり毛先が料理にかかったりするのを防ぐようにしましょう。

◆はきもの

外を歩いてきた靴にもどんな細菌が付着しているかわかりません。店内では専用の靴かサンダルにはき替えるようにします。靴のかかとをつぶしてはくのはだらしなく見えます。また、サンダルをバタバタいわせながら歩くのは耳障りなもの。本人は気がつかないでいることがありますから、お互いに注意し合うようにすると良いです。

その他確認しておくこと

◆電話応対のしかた

飲食店において電話の応対はとても重要です。問い合わせの電話にぶっきらぼうな対応をしたのでは来店に結びつけることができません。好感を持たれる電話応対マニュアルを作成し、スタッフのだれが出てもスムーズに受け答えができるようにしておきましょう。

予約の電話の場合は、日時や料理内容だけでなく、どんな目的なのかを丁寧に聞き出すようにします。たとえば、同僚の送別会という場合はそれにふさわしい料理をサービスするなど、サプライズを用意しておけば間違いなく喜んでもらえます。また、それは口コミとなって広がっていくことも十分考えられます。電話こそ固定客を増やすチャンスと思って、失礼のない適切な応対を心がけましょう。

◆フロアと厨房の関係

飲食店で失敗する原因の1つに「フロアスタッフと厨房スタッフの不仲」があります。昔から料理を作る人が上位で運ぶ人が下位といった風潮があり、フロアスタッフが委縮して厨房スタッフに言いたいことが言えないという状態が当たり前のようになっています。しかし、このような古い考えを引きずっていたら繁盛店になることは難しいでしょう。たとえば、お客さまが「減塩中なので味付けを薄くして」と注文をつけた場合、フロアスタッフが厨房に怖くて言えなかったとしたら、そこでお客さまを一人失ったも同然です。そのような事態を防ぐためにも、フロアと厨房の風通しをよくしておくことが大切です。まずは日々の挨拶を明るく大きな声で交すことから始めましょう。

接遇マナー研修を実施しておもてなしスキルをあげよう

会議室風景

お客さまの目に見えない部分でおもてなしの心を表現する接遇を、研修によって学ぶことができます。接遇マナー研修では、コミュニケーション術や接客マナーといった、お客さまに心地よい空間を提供するために必要な接遇マナーを習得できます。一流の接遇スキルを研修によって習得し、お店の売上を向上させましょう。接遇マナー研修を行っている会社はたくさんありますが、ここでは飲食店向けに接遇マナー研修を行っている会社をご紹介します。

  • 株式会社ホスピタリティ&グローイング・ジャパン
    サービス業に特化した定額制研修システムが特徴。現場経験のある、実績豊富な講師陣が研修を担当しています。
  • NPO法人日本サービスマナー協会
    接客サービスが求められる業界を中心に、お客様に喜んでいただける技能を身につけられる研修教育を提供しています。
  • 株式会社Truth
    全国各地にてマナーや接客・接遇、ビジネスコミュニケーションを指導する講師派遣を行っており、飲食店に特化した接遇研修を行っています。

まとめ

居酒屋店員男女

接遇マナーは、オーダーの受け方や料理の並べ方といった接客マナーと異なり、目には見えない「思いやりの心」ですから、一朝一夕に修得できるものではありません。

マニュアルを作成したり、外部研修を利用するだけでなく、日頃から「思いやりの心」を意識してもらう環境をつくっていくことが、従業員全員の接客のスキルアップと売上向上につながるでしょう。