料理人の腕の見せどころは盛り付け?盛り付けにこだわるメリットは?

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盛り付けを丁寧にする料理人

「料理は目で食べる」といわれるように、同じ料理でも、どこにでもあるお皿に並べただけのものより、上質の器に彩りよく盛り付けられたもののほうがはるかにおいしく感じられます。

味は一流なのになかなかリピーターが増えないという場合は、盛り付けのしかたを見直してみる必要があるかもしれません。今回は、料理の価値を高める盛り付けのポイントを紹介しますので参考にしてください。

料理人の仕事とは

料理人の仕事イメージ

業態や規模によって仕事内容や手順は異なりますが、ここでは一般的な料理人の仕事の流れについて見てみましょう。

  • 食材の仕入れ
    翌日のメニューと在庫を見て、必要な食材を仕入れ業者に発注します。翌朝、業者に配達してもらったり、自分で市場へ買付けに行くなど、お店によって仕入れ方法は異なります。よい食材を安く仕入れるためのコスト計算も料理人の重要な任務です。
  • 仕込み
    営業中に調理が滞ることのないよう、十分に下準備をしておきます。日本料理店では「追い廻し」と呼ばれる新人の担当です。
  • 洗い物・衛生管理
    ホールから下がってきた食器をそのつど洗い、キッチン内もつねに清潔を保つようにします。料理人の重要な任務の1つに衛生管理があります。ちょっとした不注意で食中毒を起こすようなことがあると、感染の拡大を防ぐために店名が公表され、営業停止だけでは収まらない場合がありますから、衛生管理は徹底する必要があります。

そのほか、スタッフのための食事(まかない)を作ったり、包丁を研いだり調理器具の手入れも毎日行う必要があります。

腕のよい料理人は盛り付けまで完璧!

盛り付けを丁寧にするイメージ

料理人の腕前は「塩加減、火加減、盛り付けの3つでわかる」ともいわれ、その評価はお店のグレードを示すことになります。料理は味のよさだけでなく、器や食材の彩りによって印象がどうにでも変化してしまうもの。まずは、盛り付けの基本的なことを押さえておきましょう。

1. 食器の大きさ・形・模様

盛り付けは食器選びから始まります。日本料理は手に持って食べるため、皿、鉢、茶碗、お椀、丼、重箱など多種多様です。それに季節感を味わうのも日本料理の特色であることから、四季折々の花や景色などの模様が描かれているものが多く、お客様の目を引く盛り付けをするには繊細な感性と和食器についての知識を必要とします。

フランス料理では、テーブルに置いて食べるため大きな白い皿を用いるのが一般的です。日本人からすると必要以上に大きいように思いますが、それは「余白」を大切にしているからです。盛り付けをするときは、皿の半分以上を余白にすると美しく見えるとされています。 近年、大きな皿に料理を少量盛り付け、まわりにソースで彩りを添える手法がよく見られるようになりましたが、これはフランスの高名なシェフが日本の懐石料理を見て感銘を受け、創作料理に反映させたものと伝えられています。

なお、料理にボリューム感を出したい場合は、逆に余白を少なくして、立体的に盛り付けます。

2. 「5色」を取り入れる

和食では、青(しょう)、黄(おう)、赤(しゃく)、白(びゃく)、黒(こく)が盛り付けの基本色とされています。青(緑)は癒しや安心感、黄と赤は食欲増進、白は清潔感、黒は引き締めを表す色です。

肉、赤身魚、白身魚、緑黄色野菜、淡色野菜、黒い豆類や海藻類など、旬の食材を使って彩りよく盛り付けます。

食材だけでなく、黒塗りのお盆や朱塗りのお椀を用いて、料理に笹の葉や菊花などを添えるのもこの色彩による心理効果を生かすためとされています。

3. 立体感を出す

料理に高さをつけると高級感が増します。えびの天ぷらなども立てるように置くとよりおいしそうに見えます。洋食のパスタも、平皿の中央にこんもりと立体的に盛り付け、皿の余白にバジルやオリーブオイル、黒こしょうなどを散らすとおしゃれな感じに仕上がります。

4. 左から右へ「流し盛り」

単品の刺身や寿司のように左を正面にして右へ流れるように並べることを「流し盛り」といい、和食の基本とされています。これは、私たちの視線は左から右へ移動するという生理学的なことからきています。尾頭付きの焼き魚でも煮物でも、ほとんど左が正面になるように盛り付けられています。

5. バランスよく並べる「放射盛り」

数人分の刺身や寿司の桶盛りに向いています。大きな器に目視で十字を引き、上下左右が均等になるよう、放射状に料理を配置していきます。簡単できれいに盛り付けられる方法です。


このほかにも「平盛り」「重ね盛り」「寄せ盛り」などいくつもあります。料理人のプロとアマの違いは空間の使い方にあるといいますから、余白や高低、適度な間隔などを意識して技を磨いていきましょう。

盛り付けにまでこだわる理由とは

盛り付けする料理人

料理をいただくときはもちろん視覚だけでなく、味覚、嗅覚、聴覚、触覚の五感で味わいます。そのなかで視覚がとくに重要視されるのは、その料理がおいしいかおいしくないかは見た目、つまり第一印象でほぼ決定づけられてしまうからです。

よく食わず嫌いといいますが、食べたこともなく、味も知らないのに、見た目だけで嫌いになってしまうことがあります。 反対に、小さいころから嫌いだったものが調理のしかたを変えたり、彩りをよくするなどして目先を変えたら大好物になっていたという例もあります。お店のメニューにしても、料理の写真を見ただけでスルーされてしまえば、どんなに味に自信があっても食わず嫌いで終わってしまいます。

写真を見て、あるいはほかのお客様が食べているものを見て、思わず「あれを食べたい」といってもらえるものをつくるのが料理人の腕です。そして、お客様が「あの店で食べた〇〇が最高においしかった」と自慢したくなるようなメニューを考案できれば一流の料理人ということになります。

まとめ

盛り付けにこだわるイメージ

最近は、外食をするたびにインスタグラムなどに料理の写真を投稿する人が急増していて、その風潮はとどまる気配がありません。お店にとっても大きな口コミ効果が得られ、潜在的なお客様を呼び込むことが期待できます。

料理人はデザイナーでありクリエーターでもあるといわれます。お客様の視覚に訴える作品を生み出すことができればお店の基盤は揺るぎないものになるでしょう。