アンケート調査でゲットした情報を活用するコツとは?

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アンケート調査を受ける女性客

この記事をお読みの飲食店経営者の方や店長さんのお店では、アンケート調査を実施していますか?アンケート調査を実施しても、回収が悪い、あるいは回収してもその内容を活かせていないということはないでしょうか?そうだとしたら非常にもったいない話です。なぜなら、店舗でのアンケート調査は、顧客情報を活用した販売促進にも、店舗のQSC(Q=Quality(クオリティ):品質、S=Service(サービス):サービス(接客)、C=Cleanliness(クレンリネス):清潔・清掃)の向上にも活用できる重要な情報源なのです。

そこでここでは、店舗におけるアンケートの活用の仕方と、アンケート調査を行う際に生じる問題点の解決方法をご紹介します。

アンケート調査の目的を明確にしよう

アンケート調査にチェックするイメージ

アンケート調査を行うにあたり、しっかり目的を持つことが重要となります。目的を明確にしておかなければ、せっかく取得した情報が無駄になってしまうことが往々にしてあります。

アンケートが活用できない3つの原因

アンケートは取っているけれど思ったように集まらない。アンケートはとっているけれど、上手に活用できていないという状況の場合、原因は3つあります。

  • 1つは、アンケートを設計する段階で、「集計」のことを考えていないということです。たとえば、5段階評価で設問に回答するアンケートがあったとします。そのアンケートにおいて、「料理は満足しましたか」という設問と、「ご不満な点はありましたか」という設問が混在する場合、集計の意味がなくなるということはご存知でしたか?
    この場合、設問ごとには平均点を出せばその評価はわかります。しかし、店舗トータルでの満足度を項目すべての集計の平均で出そうとした場合はどうでしょうか?最初の設問ではポジティブな評価が5、もう1つの設問はポジティブな評価が1になっているため、正確な集計ができません。これでは、アンケート結果を100%活かすことはできません。アンケート調査の実態として、このような集計のことを考えていない設計がされたアンケートが多いのです。
  • 2つ目は、設問自体があいまいで、どのようにも取れてしまう文言になっている場合です。1番多いのは、「当店でご満足いただけましたか」という設問です。この設問の平均点が悪い場合、その原因が接客なのか料理なのかが正確に分かりません。たとえば原因が料理だとしても、味なのか、提供スピードなのか、料金なのかということ詳細がわからないため対策も打てません。
  • 3つ目は、目的に沿った質問項目を考えていないということです。たとえば、店舗に対する評価を知りたいのに、記名式にしたために回収数が少なくなってしまい、店舗に対する評価を集められないパターン。反対に、顧客情報を取りたいのに、アンケート項目が多すぎるために回収数が少なくなってしまうこともあるでしょう。このように、アンケート調査の目的を実施前に明確化していないこと、そして、その目的に沿った設計にしていないことが活用できない原因です。

アンケート調査の目的別ポイント

アンケートをする上での目的別のポイントをご紹介します。

  • 顧客情報をとることが目的の場合
    顧客情報をとって販売促進に使うことが目的なら、「アンケート項目は極力減らす」ということが重要です。最大で3問程度がベストでしょう。それよりも、販促に活用できるメールアドレスや誕生日、または誕生日以外の記念日をとることの方が重要で最優先です。
  • 料理、サービスへの顧客の本音を聞くことが目的の場合
    QSC(Quality、Service、Cleanliness)に対する顧客の本音を聞き、それを店舗のレベルアップに活用したいということが目的なら、原則「無記名」がベストでしょう。記名式にすると、個人情報を重視していたり、DMの送付などを嫌がる人は中々書いてくれません。また、アンケートを書いてくれた場合でも、記名の場合はどうしても評価が甘くなりがちになります。集計結果が「店の実態」から遠ざかり、アンケート結果が悪くないと思っても、本当は不満に思う客が多く存在し、徐々に売上が下がって行ってしまったということにもなりかねないのです。
  • 同時に両方が目的の場合
    顧客情報の回収と、店舗の実態把握両方の目的で実施するということも可能です。しかし、顧客情報収集を目的とした時に回収数を増やす方法と、実態把握の目的の時に回収数を増やす方法は、互いに相反する性質を擁します。つまり、どの項目を残してどれを割愛するのかというバランスを、いかにとるかが非常に重要になります。
    たとえば、「電話はかけないから電話番号は割愛」、「メールアドレスをとる代わりに住所は取らない」、「アンケート項目は5個に絞る」などです。項目ごとに何に使うのか、あるいは、何が分かれば経営上に必要な判断できるのかということを明確にしたうえで、重複しているものを省いたり、優先順位の低いものを外したりという作業が必要です。

アンケート調査を活用するためには?

アンケート調査項目

具体的に活用できるアンケート調査をおこなう場合、どのようにアンケートを設計すればよいのかをご説明します。ここでは、店舗情報を把握する目的でアンケートを実施することを前提とし、項目は最大上限の10問設置することにします。

アンケート調査の必須項目

一般的に必須で取る項目は以下の通りです。

  1. 料理の味
  2. 料理の量
  3. 料理提供のスピード
  4. 料理の値段
  5. 接客の丁寧さ
  6. 説明のわかりやすさ
  7. 店舗の清潔さ
  8. 次回来店意向

上記8項目に追加して、店舗として重視している項目を加えます。たとえば、ドリンクの種類への満足度や、店員の接客をフレンドリーに感じたかなどです。

評価は5段階

自由記述の回答ではなく、番号を選ぶ方式の設問の場合、評価は5段階にしましょう。その際、「プラス評価は5と4」、「どちらでもないが3」、「マイナス評価は1と2」で統一してください。3段階にすると、傾向として「本当は満足してないけれどどちらでもない」という人が、「3:満足」になってしまいます。これでは集計結果が実態よりも良く出てしまい、判断を誤ります。ましてや、ある設問は5段階、ある設問は3段階では統一性がなく、集計できません。

程度を表す言葉は「かなり」と「やや」に統一

言葉の使い方の統一も重要です。5と1は「かなり」、4と2は「やや」にしましょう。

具体的には、「5:かなり満足」「4:やや満足」「3:どちらでもない」「2:やや不満」「1:かなり不満」です。これを設問との整合性や、日本語としての違和感などで整えましょう。ある設問では「かなり」、ある設問では「とても」などのように程度を表す言葉を変えてしまうと、設問個々の評価はできても、設問を横並びにして比較したときに判断できなくなるのです。

たとえば、味の満足度の質問に対しての5点評価を「かなり満足」、料金に対する5点評価を「とても安い」にしてしまった場合、味が4.5点の評価で、料金も4.5点の評価だった時は、個々には高評価だと判断できます。しかし、料理の質を維持して料金を上げるか、料金を維持して質を下げるかという判断をしなけばならなくなった時に、お客様が料理と料金のどちらにより満足しているのかということが分からないのです。

設問の文章は統一する

設問のある項目は「満足度」を聞き、他の項目では「不満足度」を聞くという形にすると、設問個々では評価できますが、トータルでの集計ができません。したがって、すべて「プラス評価かどうかを聞く」文章で統一しましょう。たとえば、スピード提供は「料理は遅れて届きませんでしたか?」ではなく、「料理をお届けする待ち時間は短かったですか?」というような文章です。

複数選択は集計不可能

「当店のどこに満足しましたか?下記から3つ選んでください」というような、複数の回答から選ぶ形式の設問は、あとでの集計が非常に手間で、集計が困難です。加えて、選ばれた項目同士の優先順位が見えにくいので止めましょう。 たとえば、料理の値段、味、ボリュームに対する満足度を聞きたいなら、それらを1つの設問の中で選んでもらうのではなく、「料理の値段には満足しましたか?(安いと思いましたか?)」などのように、1つ1つを設問化するのがベストです。

記述式は1問

「具体的にはどういうことですか」というような記述式の質問は、1つに絞りましょう。2個以上あると空欄での回答が増えたり、面倒と感じて回答してくれず、回収率が落ちます。

「何について聞いているのか」を絞り込む

「料理には満足しましたか?」という質問は、特に評価が低い場合、味に問題があるのか、料金が高いのか、量が少ないのか、待ち時間が長かったのかというような、具体的な問題点が明らかになりません。つまり、何を聞きたいのかを絞り込んで質問をすることが重要です。回答結果について、いろいろな解釈ができないように質問内容は明確になっているかどうか、吟味してください。

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個人情報イメージ

日本では一時期、個人情報が売買され知らない会社から大量のDMや売り込みの電話がかかってくるということが頻発しました。それを契機とし、「個人情報保護法」が定められたことをご存知の方も多いでしょう。たかが店舗でのアンケート調査と考えていても、どのようなものであれ、氏名や住所などの個人情報をとる以上はこの法律に沿って実施する必要があります。条文にはいろいろな必要規定が書いてありますが、大きく言うと以下の3点の対応が必須です。

1. 利用目的を明示する

アンケートの中に、利用目的を明示することが必要です。たとえば

「このアンケートは料理の改善、お客様への接客のレベルアップのための参考資料とさせていただきます」

というような内容です。ただし、この内容ではこれ以外の目的には利用できず、とった住所情報を利用してDMを送ることはできません。DMを行うのであれば、

「またこの情報をもとに、お得なキャンペーンのご案内を送ることがあります」

という明示が必要です。

2. 本人の同意を得る

利用目的を明示したうえで、回答者の同意を得ることも必要です。最後に

「以上の目的での利用について同意いただけますか □同意する」

という形でチェックを入れてもらう方法が一般的です。しかし、これではDMの送り先が少なくなってしまう場合があります。

そこで、法的に認められている

「以上の目的での利用に同意いただけない場合、以下にチェックを入れてください □同意しない」

という方法をとると、チェックしない人のほうが多くなるのでDMの送り先が増えます。

3. 第三者に個人情報を提供しないと明記する

個人情報保護法では、本人の同意なしに第三者へ個人情報を提供してはいけないと定められています。したがって、記載の中に

「いただいた情報はこの目的だけのために使用し、第三者には提供いたしません」

と入れる必要があります。

以上の文言をすべて入れた文章を、アンケートの下部などに入れることが法的に必要です。ただし、それでは目的のアンケート項目のスペースが狭くなりすぎるかもしれません。その場合は、文字の大きさに規定はありませんので、「読める程度」のポイント数で記載すれば良いでしょう。たとえば、アンケート本文が12ポイントの大きさなら、個人情報関連は6ポイントにするなどの方策です。

お客様の信用を得るためにも、「利用目的」「本人の同意」については記載するようにしましょう。

アンケートの回収数を増やすポイント

アンケート調査イメージ

以上のような点に気をつけしっかりアンケート作ったとしても、回収数が少なくては活用の範囲が狭まります。販促目的であれ、店舗の実態の把握が目的であれ、50%は必要回収数となります。回収数を上げるためにも以下のことを行いましょう。

オンテーブルの自由記入にはしない

テーブルの上のペン立てにアンケート用紙を丸めて入れておき、「お好きにお書きください」というやり方では、回収数は増えないでしょう。ホールスタッフの負担は増えますが、スタッフがアンケートを持って各テーブルを回り、アンケート依頼を行うことがベストです。

インセンティブをつける

アンケートに回答したお客様へ、インセンティブをつけることも有効です。1番多いのは、「アンケート記入でデザートサービス」などでしょう。ただし、こうしたインセンティブもPRしないとお客様には分かりませんから、店内ポップなどでしっかり告知することが重要です。

依頼の仕方を工夫する

ホールスタッフがテーブルに行って依頼をする場合でも、依頼の仕方によって回収数が変わります。具体的には以下のポイントを押さえましょう。

  • 食事終了のころを見計らってテーブルに行く
  • 「店を良くしてお客様に満足していただきたいのでご協力お願いします」というように「お客様の満足のため」ということを伝える
  • 記入は簡単と伝える
  • インセンティブをアピールする

まとめ

アンケート調査の回答を確認するオーナー

いかがでしょうか。

何となくアンケートを実施していたお店、目的はあってもそれに合致した内容になっていなかったお店などにとっては、参考となる部分があるのではないでしょうか。アンケートを販売促進に活用するためにも、店舗のQSCを向上させて顧客満足度を上げるためにも、そして、その2つによって売上を上げるためにも、アンケートは非常に重要なツールです。実は、アンケートの集計方法についてもポイントがあるのですが、それは別の機会にご紹介します。

まずは、アンケート調査のポイントを押さえ、正しく判断できる、正しく活用できる、そして回収数が増える方法でアンケート調査を実施しましょう。

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