リピーターを増やすには?飲食店でできる顧客情報活用法

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リピーターを増やす

以前は、飲食店の売上を左右するのは、味、価格、場所の3要素とされていました。今は店舗が飽和状態にあり、それに加えてコンビニなどで弁当や惣菜を買って家で食べる「中食」を好む人も増えていることから、安定した収益を維持していくには1人でも多くのリピーターを確保する「集客力」が重要になってきています。

2~3回のリピートではなく、店を信頼して継続的に来店する固定客(常連客)になってもらうためにはどんなことをすべきか、今の時代だからこそ求められる集客のスキルについてご紹介します。

売上・利益構造について知ろう

まずは飲食店の売り上げや利益の構造を知っておきましょう。

飲食店にとって、顧客は一人ひとり全て大切なお客さまです。しかし店の売り上げを考える時は「新規客」と「リピーター」どちらがより多くの利益をもたらしているかを冷静に考えなくてはなりません。

新規客とリピーターの売上比率の理想

まずは、全体の売り上げを「新規客」と「リピーター」に分けてみてください。もし、売り上げの半分以上を「新規客」が占めている場合は注意が必要です。

新規客の割合が多いということは、その店には再来店(リピート)する価値がないことを意味します。広告などの効果で一度は来店してみたけれど、再び来る気にはならないということです。

法則や理由は後ほど詳しく説明しますが、最も理想なのは「全体の8割をリピーターの売り上げが担っている」状態です。繁盛店を目指す場合はこの数値を目標にしてください。

集客のための販促費について

リピーターを獲得するにもまずは新規客を増やす必要がありますので、そのためには販促費が必要です。販促費の算出方法はいくつかありますが、わかりやすい方法としては以下の公式を使うと良いでしょう。

売上×一定の比率・割合=販売促進費(広告費)

「一定の比率・割合」の部分は業界によって違いがあるのですが、飲食業界では「5%」程度が妥当だといわれています。もちろん店の収益によってふさわしい数字は異なりますが、特に問題がなければ5%で計算してみてください。

広告を打った後は、それに対してどれくらいの収益(効果)があったのかをしっかり測定しておきましょう。費用対効果を見ながら、次の販促費を決めていくと良いです。

ただし、最終的には広告を打たなくてもリピーターからの口コミなどで集客が広がるのが理想です。次の段落ではなぜリピーターの存在が大切なのかを解説していきます。

リピーターを増やすメリット

ソーシャルイメージ

経営を軌道に乗せるためには、新規客をできるだけ多くリピーターにすることが基本といわれます。その理由として主に次の2点が挙げられます。

顧客獲得コストを抑えられる

お店を開業したときは、まずは顧客獲得を目指さなければなりません。最初は新規客を呼び込むことになりますが、それには店の存在を知ってもらうための宣伝費用(顧客獲得コスト)が必要です。

宣伝が功を奏して新規客がどんどん来店してくれたとしても、1回限りであれば売上もその場限りのもので、再び宣伝活動をしなければなりません。その状態を繰り返していたのでは利益を上げることはまず不可能です。

それに対して、お店を気に入ってリピーターになってくれた人が多ければコストを大幅に削減することができます。

一般的に、新規の顧客獲得コストを10とすると、リピーターを維持するためのコストはその2分の1から3分の1ですむといわれています。それに、リピーターになる人は、お店の雰囲気や料理の味、サービスなどに満足してくれていることですから、友人や同僚、家族などを連れて来店してくれることも見込まれます。このように1人のリピーターがもたらしてくれる効果は極めて大きいのです。

SNSでの口コミが期待できる

口コミは、本来は口で情報を伝える小規模のコミュニケーションという意味です。インターネットが普及した今はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などを通して個人が情報を発信するようになり、テレビや雑誌、チラシなどの広告媒体をしのぐ影響力をもつマーケティング手法となっています。

それは、実際に食べたり使ったりした人の評価であるため、モデルを起用するなどして制作された広告とは信用度、親近感が格段に違うからです。

とくに飲食店では、信用度の高い情報がお店を選ぶ際の判断材料になりますので、リピーターの存在はいっそう重要になってきています。

情報を的確に伝えることができる

もし店で何かの企画をする時、リピーターがいれば的確に情報を伝達できます。名簿にしておきDMなどを送るのが最も理想の形ですが、来店した時にチラシを渡すだけでも、リピーターを通じて周囲に情報が拡散される可能性が高まるでしょう。

リピーターをさらに定着させるためには、リピーター向けの特典を用意するのも効果的です。例えばポイントカードを作ることで次回の来店にも繋がりますし、「いつもご来店ありがとうございます」と声をかけるのも良いでしょう。このようにいわれれば気分が良くなりますから、店の印象がアップしてもう一度来たいと思ってくれる可能性が高くなります。

リピートに繋がらない要因は?

もし、リピーターを増やす努力をしているにも関わらず顧客が定着しない場合、何らかの原因があることが考えられます。リピーターが増えない理由として主に挙げられるのは以下のとおりです。

  • 料理の味と価格が見合っていない

  • スタッフの態度が悪い

  • サービスが悪い

  • 立地が良くない

最も見直すべきは一番目の「料理の味と価格」です。味が良くなければ話になりませんし、仮に美味しかったとしても価格が高すぎればリピーター獲得には繋がりません。料理の味と価格のバランスは常に見直すようにしましょう。

また、スタッフの態度やサービスが悪いことで店の印象を下げてしまうケースもあります。どれだけ料理がおいしくても、提供する側のサービスが悪ければ再び店に入りたいと思ってもらえません。ホールスタッフの教育には力を入れてください。

最後の「立地が良くない」ことに関しては、それを上回るメリット(味やサービス)があれば補うことができるでしょう。実際に、山奥の一軒家で営業する飲食店でも、味やサービスが素晴らしいことで繁盛している実例があります。まずはメニューの内容やサービス面を見直してみてください。

リピーターを増やす方法

リピーターを増やす方法は、「良いメニュー」「良いサービス」「適切な広告」が最も基本となります。

もし上記の方法を行ってもリピーターの数が頭打ちになってしまった場合は、店舗ごとに独自の方法を模索してみてください。以下はその一例です。

リピーター限定メニュー・イベント

リピーター限定のメニューは、よく「裏メニュー」というかたちで話題になります。何度も来店した人しか注文できないメニューがあれば、それを目的にしたリピーター獲得に繋がるでしょう。

イベントは店舗の特色を打ち出していろいろなものが考えられますが、よくあるのが「試食会」です。新しいメニューをリピーター限定で試食するイベントを実施すると、リピーターとしても「自分たちがこの店を支えている」と感じられ、今後の来店に期待ができます。

アンケート導入の一例

アンケートの導入は焼肉チェーンの「牛角」で実施された例が有名です。牛角では、アンケートで「店の悪いところ」を書いてくれた顧客に対して300円の割引券を出しました。これによって店側が気付かなかった改善点が多く洗い出され、店舗改革に繋がったということです。

顧客は誰よりもお店を冷静にジャッジしてくれます。悪いところから目を背けるのではなく、向き合って、さらに顧客に還元する姿勢が成功した好例です。

SNSやブログの活用

SNSやブログは今や全ての企業・店にとって必須といえるでしょう。各種情報の発信源にもなりますし、顧客と交流することによって親近感を持ってもらい、リピートに繋げることができます。

ITに疎くても、最近は簡単にブログを開設できるツールが整っています。図書館にもブログ開設のための本がそろっていますので、ぜひ一度チャレンジしてみてください。

「価格を上回る価値」とは?

現代は飲食産業が飽和状態になっており、普通の味や価格ではリピートに繋がらないケースも増えてきているといわれています。こうしたなかでリピーターを獲得している店舗は「価格を上回る価値のある商品」を提供しているという共通点があります。

最もメジャーな方法の一つが「おまけ」です。本来の商品以外に何らかのおまけがつくと、それだけでもう一度来たいと思う顧客は多いです。

販売する商品の内容についても、ただ販売するのではなく、顧客が欲しいものを的確に分析し、ニーズに合った商品を提供すれば顧客の満足度は上がりますよね。

いわゆる「プライスレス」な部分にどれだけの価値を見出してもらえるかによって、リピーター獲得率は変わります。こうしたニーズをアンケートによってリサーチするのも良いでしょう。

リピーターを定着させるための顧客情報活用法

ダイレクトメールイメージ

飲食業界では顧客がその店から離れることを「離反」または「流出」という言い方をします。初回離反率はおよそ50%、3回離反率は80%に及ぶといわれています。

つまり、新規客が10人いたとしたら3回来店してくれるのはそのうちの2人ということになります。そうした厳しい現実の中でリピーターを定着させるためには、顧客の情報をいかに活用するかも大切です。

まずは顧客の情報を集めよう

顧客情報を活用するための第一歩は、顧客の情報収集です。

住所などの個人情報を知るためには名刺交換が最も簡単な方法ですが、会話を通して聞き出したり、ポイントカードを渡して住所と名前を記入してもらうなどの方法を取ると良いでしょう。

サイトを構築してウェブ上で情報を集める方法もありますが、上記のような細かいことまで触れるのは不信感を抱かせるきっかけになりかねません。質問の内容だけでなく、セキュリティにも十分配慮してください。また、登録フォームに入力してくれた人には割引券などのプレゼントを用意するといった工夫も必要です。

顧客情報は、住所や電話番号、メールアドレスなどの連絡先だけでなく、誕生日、食べ物や飲み物の好み、アレルギーの有無、趣味や好みの話題など、細かいものほど役に立ちます。顧客に嫌がられない程度に、多くの情報を引き出すように工夫してください。

顧客情報活用法の具体例

顧客情報がある程度集まったら、どのようなアプローチが効果的かを考えていきましょう。

例えば顧客を「誕生日別」「しばらく来店していないお客さま」というようにいくつかのグループに分類してみてください。誕生日グループには祝いのメッセージを添えたDM(ダイレクトメール)を送ると喜ばれます。ご無沙汰グループであれば、特典を用意して案内のメールを送ると良いでしょう。

DMやメールを受け取ったほうも、それが戦略だとわかっていても、「特別扱いをされている」「大事なお客さまだと思われている」といった一種の優越感を覚え、再び足を運ぶ気になってくれるでしょう。

新規客を呼ぶことに比べたら、こうした方法は労力も費用もかなり少なくてすみます。また、リピーターから予約の電話が入ったときには、好みの飲み物や食べ物がわかっていれば、それに添ったコース料理を提案したりすることもできます。こうした細やかな接客態度がさらに集客率を高めるという好循環を招くことはいうまでもありません。

ただし、これはあくまでもリピーター対策です。お客さま全体に対してではなく、来店の可能性の高い人にターゲットを絞ることがポイントです。

顧客情報管理の方法

収集した顧客情報は、管理ノートに書き留めるか、顧客データに保存して管理しましょう。

来店してくれるたびに日付と人数、金額などを忘れずに記入していけば、さらに顧客情報が充実していきます。この顧客情報は、スタッフ全員の共有情報としていつでも活用できる状態にしておくことが重要です。

最も気を付けたいのは、顧客の個人情報の流出です。データの形で流出するだけでなく、管理ノートの紛失という形でも大問題になります。昨今は個人情報の管理に対して誰もが非常に敏感になっていますから、一度個人情報を紛失しただけで信頼が地に落ちてしまいます。せっかくついたリピーターを失う可能性も大きいでしょう。

顧客情報の管理には、十分すぎるくらいの注意を払ってください。

利益を上げるためには、リピーターを増やすことが一番の近道

売上をあげる

ビジネス界でよく使われるマーケティング用語の1つに「2:8(にはち)の法則」があります。これは、「総売上のうち、8割は2割の優良顧客によって生み出される」というものです。

もともとイタリアの経済学者であるヴィルフレド・パレートの経験則によるもので、「パレートの法則」とも呼ばれています。たとえば、総売上を100万円とすると、80万円は20人のリピーターが生み出してくれるという理論です。

ところで、飲食店の売上を構成する要素は、①客数 ②客単価です。 ①の客数は新規客とリピーターを合わせた延べ人数のことで、②の客単価は、「売上÷客数」で求めた1人当たりの平均利用金額のことです。

売上高は「客数×客単位」で求めるのが従来の計算式でしたが、これではリピーターがどの程度を占めているかがわからないという欠点があります。

パレートの法則による2割のリピーターの概念を表すには、「売上高=客数×客単価×来店回数」と細分化するのが適当とされ、今はこの計算式が主流になっています。 この式を用いて単純に計算してみると次のようになります。

客数 × 客単価 × 来店回数 = 売上高
10 × 100 × 10 = 10,000

この売上を1.2倍伸ばしたいという場合、客単価、客数、来店回数のすべてを上げられれば目標は楽に達成できますが、新規客を増やすにはコストがかかりますし、値上げをして客単価を引き上げるような安易な手段は用いるべきではありません。

となるともっとも確実性の高いのは来店回数を増やすことです。 かりに来店回数を2回増やしたとすると以下のようになります。

客数 × 客単価 × 来店回数 = 売上高
10 × 100 × 12 = 12,000

来店回数はリピーターを示します。前月よりリピーターを2人(延べ人数)増やすことで、1.2倍の売り上げアップが見込めるというわけです。

このように、利益を上げるためにはリピーターを増やすことが一番の近道といえるのです。

まとめ

リスト

飲食店に限らず、経営者にとって最大の資産は顧客リストだと昔から言われています。顧客管理をするのは、「お客さまを大切にする」ということでもあり、これを軽視する店や会社は経営維持が難しくなります。

最近は顧客管理システム用のツールが登場していますから、それらを活用してリピーター獲得に努めるようにしましょう。