飲食店の確定申告の必要書類から手続き、経費になる項目を学んで慌てないようにしよう!

最終更新日: 2018/12/02
開業・経営

電卓と書類

会社勤めから個人事業主になって、戸惑うのが確定申告である人は多いと思います。確定申告とは、単純にいえばその1年(1月1日~12月31日)の所得金額から実際の所得税額を導いて申告し、もし払いすぎであればその差額(還付金といいます)が戻ってくる仕組みのことです。つまり、納税する所得税額を「確定」するという意味です。

今回は、確定申告について、白色と青色の違いや必要書類、手続きの流れを説明します。

確定申告が必要な人は?申告する時期はいつ?

それでは、所得税を納めている人全員が確定申告をする必要があるのでしょうか?

実はその必要はなく、会社員として企業で働いている場合、会社が年末調整というかたちで社員の確定申告を代行してくれます。

しかし、以下の項目に1つでも該当する場合は会社員でも確定申告が必要となります。

  • 年間の給与が2,000万円以上
  • 副業の収入が20万円以上

確定申告をする時期についてですが、毎年2月16日~3月15日の間に申告することになっています。年が明けても提出期間が1ヶ月あればつい先延ばしにしがちですが、確定申告はとても地道な作業です。できるだけ早く取りかかりましょう。もし期限を過ぎてしまうと追加で課税されることもあります。また、後述しますが白色申告と青色申告についてもそれぞれ違いがありますので注意が必要です。会社に勤めていたころと違い、意識しない追加の課税などがあると経営の運営にも影響を与えてしまう場合があります。

白色申告と青色申告の違い。どちらを書けばいい?

確定申告には白色申告と青色申告があります。余談ですが青色申告の由来は、戦後の日本税制の改革を主導した租税学者カール・シャウプが日本人に対して青色のイメージを聞いたところ、「青空のように気持ちの良い色です。」と返答がきたことから青色にしたと伝えられています。

さて、白色申告は単式簿記の方法で帳簿をつけます。その特徴としてはほとんど手間がかからないという点があります。以前は他のメリットもあったのですが、手間の面が唯一のメリットとなっています。

作成に手間は取りませんが、以下のデメリットがあります。

  • 特別控除がない
  • 赤字を繰り越すことができない
  • 専属従業員(家族)に対する給与を経費扱いにできない

一方、青色申告は単式簿記・複式簿記と選べますが、複式簿記で記入する人が多いです。なぜならば、複式で記入して賃借対照表と損益計算書を作成して提出すれば65万円の特別控除を受けることができるからです。そのほかにも青色申告のメリットは

  • 青色申告特別控除

青色申告での最大のメリットは、青色申告特別控除ではないでしょうか。

なんだか、難しそうなネーミングですが、簡単に言ってしまうと納める税金が少なくなるというものです。

所得税や住民税がこれらの計算の対象となります。

簡易簿記と複式簿記のどちらかを使うによって控除額は変わってきますが、簡易で10万円、複式で65万円となります。

このように、税金の控除があるので、手元に残るお金が増えるのは嬉しいことですよね。

  • 純損失の3年間繰り越し控除

経営をしていると、1年目は赤字だったけれども、2年目は黒字になったということは珍しくありません。赤字経営であれば、税金はさほどかかりませんが、黒字だとガッツリとく税金を持っていかれてしまいます。

でも、このようなケースだと1年目は赤字なので、2年目が黒字でもトータル的には赤字と言えるでしょう。それなのに、税金を持っていかれるのは理不尽な気がします。その理不尽を解決してくれるのが、青色申告のメリットでもある純損失の3年間の繰り越し控除です。

つまり、1年ごとで見るのではなく、損失額に関しては3年間適用されるといったものです。この制度があるので、1年目が赤字で2年目が黒字だったとしても、1年目の赤字が残っていればそれを適用して確定申告を行うことが可能となっています。

  • 減価償却の特例

減価償却とは、高額で長期にわたった利用できるものを、数年にわたって、少額ずつ経費として計上する仕組みです。つまり、今年は利益が出てしまい税金で多くもっていかれそうだから、高い物を買って税金を少なくしようということが出来ないわけです。

減価償却の金額は10万円、耐用年数1年以上として定められています。

社用車といって100万円の車を買っても、これはその年に全額経費にすることは出来ません。

しかし、青色申告の場合は特例が設けられており、30万円未満であれば、その事業年度の経費として全額経費に計上できます。例えば、中古で25万円の軽トラックを買った場合でも全て経費で落とすことが出来ます。

「今年は利益が出すぎた!」と嬉しい悲鳴をあげつつも「税金が心配だ…」という時は、店舗に必要な設備を購入して全てこの特例で処理をしてしまいましょう。そうすれば、無駄な税金の発生を防ぐことが可能です。

  • 青色事業専従者給与控除

青色申告は個人事業主が行うものです。

家族が従業員として働いているようなケースも多く見受けられます。そして、家族が働いた分の給料は当然ながら経費なのですが、実は、白色申告では家族への給与を経費としてあげることが出来ないのです。

しかし、青色申告であれば、家族への給与も全額経費にすることができます。

家族経営を行っているような飲食店では青色申告をすることを強くお勧めします。

青色申告をするには「青色申告承認申請書」を所轄税務署にその年の3月15日までに提出する必要があります。また、手間がかかることも事実です。時間がかかりそうだから白色で済ませていたという方もいらっしゃるとは思いますが、メリットとして何もないため青色申告へ今年は変えようと思っている方も多いと思います。確かに、節税という意味では青色申告への期待は大きいと思います。次にいくつかの控除に関して説明します。

受けられる控除を確認しよう

控除とは、一定の額をあらかじめ収入から差し引くことで所得を減らすことができ、結果的に納める所得税を低くすることができます。控除の代表例には以下があります。

  • 医療費控除

    年間の医療費が10万円を超えた場合、その超過分が控除されます。

  • 配偶者控除

    配偶者の所得が38万円以上であり、配偶者控除を受けることができなかった場合には配偶者特別控除の対象となります。合計所得金額が38万円〜76万円であれば、金額に応じた控除が適用されます。

  • 生命保険料控除

    平成24年1月1日以後に締結した保険契約にかかる保険料は、支払保険料が8万円を超えた時点で一律4万円となります。また、平成23年12月31日以前に締結した保険契約にかかる保険料は、10万円を超えた時点で一律5万円が控除されます。

その他、様々な控除がありますので情報収集する必要があるでしょう。

飲食店の経費の種類と注意点

一口に経費といっても、その項目は多岐に渡ります。

まずは飲食店の経費の代表的な種類をみていきましょう。

仕入れ…飲食における原材料など。販売用に仕入れた商品の代金。

光熱費…ガス、水道、電気代

宣伝費用…WEB広告の広告費やチラシなどにかかったお金

WEBツール開発費…ホームページ作成やブログ開設などWEB上の経費

消耗品…店内利用する割りばしなどの消耗品。

給与賃金…従業員の給料や賃金、交通費など

工事費…店内の改装費や修理費

利息…開業にあたり借入をしている場合に発生する金利は経費

家賃…建物の家賃

サービス費…おしぼり代、有線放送の受信料、生花、雑誌

衛生費…洗剤や殺虫剤など衛生上必要と思われる費用

取材費…ライバル調査などでの飲食代

などなど、飲食店を経営する上で必要な出費は全て経費として申告することが出来ます。

 

Q 従業員のまかない代金は?

経費を申告する上で難しいのが、従業員へのまかないです。これは処理を間違えてしまうと「現物支給」とみなされてしまい、税務署が入った時に追加徴収の対象となっていまいます。

まかないに関しては福利厚生費で処理することがお勧めです。そうしておけば、万が一の事態でも無難に対応することが可能です。

各種届け出を出さないことのデメリット

飲食店の開業には様々な書類の提出が必要となります。

この部分をしっかりとしていないと、税務署に入られてしまった時にとんでもないことになってしまう危険性があります。

具体的には「事業概況についての回答書」があります。

これの提出を求められた時、店舗ではどのような商売をしていて、収支はどうなっているのかを明確に伝えることが出来ますか。

もし、開業届を提出していなかったり、確定申告をしていなかった場合は、脱税を疑われてしまい、その噂が周囲に広がるリスクがあります。開業届をはじめとして、必要な書類は全て出すようにしましょう。

法人で経営しているような飲食であれば、このようなことは滅多にありませんが、個人事業主で開業している時は、自分の知っている知識だけで開業していることも多いでしょうから、今一度確認してみることをお勧めします。

なお、経皮的に余裕があるならば、税理士と契約することが一番安心できます。税に関するプロですから、必要な届け出書類の説明や手続きを代行してくれるだけでなく、収支の管理もしてくれますので、結果的に年間で持っていかれる税金を安くできるメリットもあります。

確定申告の必要書類と手続き

それでは、確定申告の流れを説明します。

まず、以下の書類を入手します。

  • 確定申告書B
  • 青色申告決算書

以下の手順で進めていきます。

1. 申告書の入手

確定申告書は税務署や各市区町村の窓口から入手できます。

2. 申告書に必要な書類を確認(生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書等)

保険料控除証明書は加入の保険会社から送られてきます。

3. 申告書を作成

確定申告書B
  • 事業収入、所得控除を記入。
  • 源泉徴収税額などを記入。
  • 源泉徴収票や各種控除の関係書類をのりづけ
青色申告決算書
  • 売上、経費を記入
  • 月ごとの売上げ、給与支払いがある場合は記入
  • 損益計算書の明細
  • 賃借対照表

4. 申告書を提出

添付に漏れがないかしっかりと確認しましょう。

初めて確定申告をする際は非常に時間がかかると思います。しかし、控除対象となるものが多いのであれば一年目から青色確定申告で行う方がいいでしょう。また、経営が複数店舗に展開していくのであれば、経理業務を一元化・効率化するためにも店舗のPOSレジとデータ連携可能なクラウド会計・確定申告システムの導入も考えてはどうでしょうか。

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