お店を開くのに必要な開業届 | 手続きの方法からスケジュールまで徹底解説

最終更新日: 2018/10/10
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紙を指差す人

独立して自分のお店を持ちたいと思ったとき、さまざまな手続きと書類の申請が必要となります。その中でも、個人事業主になるに当たって気になるのが、いわゆる「開業届」です。

それでは開業届とはそもそもどんなもので、どんな書類を、いつ提出するべきなのかなどを、1つずつ紐解いていきます。

開業届とは

開業届

「開業届」は、個人が新しく事業を始める(または廃止する)ことを国税庁(税務署)に申告するもので、正式名称を「個人事業主の開業・廃業等届出書」といいます。これを提出しなければ公式に開業したと認めてもらえません。

個人事業主として事業を行って出た利益には、サラリーマンとは異なる税金が課されます。例えば、事業の所得には所得税がかかりますし、規模が大きくなれば個人事業税も課されますし、控除の制度も変わってきます。また、消費税の課税事業者に該当するのであれば、消費税がかかってきます。このようにかかってくる税が変わってくるので、申告が必要になってくるのです。

なお、開業届はあくまでも個人事業主向けのものです。会社を設立して法人化する場合は手続きが異なるのでご注意ください。

開業届は出さないとダメ?メリットとデメリットとは

メリットで喜ぶ女性

「開業届」を提出しなくても、特に罰則は定められていません。
ですが、個人事業主として扱われることで税制上のメリットを享受できます。

開業届を出すメリット

青色申告できるようになる


書類を提出して個人事業主になると、毎年3月に訪れる確定申告時に青色申告制度が使えるようになります。
この青色申告制度を使うと65万円の特別控除を受けることができるようになるだけでなく、赤字になった場合でも、赤字を繰り越すことができる「損失申告」という制度が利用できるようになります。つまり年間の赤字を次年度に繰り越して当年度の納税を繰り越す節税効果が期待できるようになります。
個人事業主の確定申告については次の記事をご覧ください。

個人事業主向け確定申告の必要書類から手続きまで

支援制度などが使えるようになる

例えば小規模企業共済などの支援制度を利用できるようになります。個人事業主であることの証明に、開業届の控えを利用することがあります。

開業届を出すデメリット

では、開業届を出すことで何かデメリットはあるのでしょうか?

失業保険が受け取れなくなる

開業をしたということは、失業状態ではなくなるということです。そのため、失業者向けの手当である失業保険は受け取れません。
サラリーマンを辞して、当面の収入がない状態で事業の準備をしている方もいると思いますが、申請をすることで失業保険の収入がなくなることには注意しましょう。

開業届申請の書き方

書き方を教えてもらう人

開業届を申請する場合は、まず国税庁の「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」で配布されているPDFファイルを開いてください。PDFを開くソフトにもよりますが、パソコンから直接書き込めるようになっています。もちろん、プリントアウトして全て手書きをしても大丈夫です。いずれにせよ、提出時には捺印が必要なので必ずプリントアウトが必要になります。印刷する環境がない場合は、税務署に出向いて直接受け取ることもできます。
書類は、複雑そうですが見出しのとおりに書くだけなので難しくはありません。
ですがわかりにくい部分もあるので、ポイントとなる部分について以下に解説していきます。

タイトル部分

開業する場合は、書類の上部にある『個人事業の開業・廃業等届出書』という部分の『開業』という部分を○で囲いましょう。

税務署長

納税地を管轄する税務署名を記載してください。管轄の税務署は、国税庁のWebサイトで調べるとよいでしょう。

納税地

「住所地」「居住地」「事業所等」から選択して、その住所を記載してください。「住所地」は住民票がある住居で、「居住地」は住民票はないものの実際に居住している場合です。自宅とは別に店舗などの事業所がある場合は「事業所等」を選択しても大丈夫です。

個人番号

いわゆる「マイナンバー」です。代表者のマイナンバーを記入しましょう。控えには記載は不要です。

職業

職業の書き方に厳密な決まりはありません。
ただし、職業によって事業税が変わります。税務署で判断ができないと問い合わせが来てしまう可能性があります。わかりやすい名称を書くとよいでしょう。
何と書いていいかわからない場合は、日本標準職業分類を参照して書きましょう。

屋号

屋号は、事業を行う主体の名前で、(会社ではないものの)会社名のようなものです。屋号があるほうが、取引上の信用が得やすいというメリットはあります。また屋号をつけておくと、屋号名義で銀行口座を開けるようになります。
しかし特に屋号をつけずに個人名で活動することも可能なので、その場合は空欄で構いません。
屋号はあとで変更することも可能です。

届け出の区分

新規開業の場合は「開業」に○をつけるだけで大丈夫です。

開業に伴う届出書の提出の有無

「青色申告承認申請書」又は「青色申告の取りやめ届出書」

青色申告を予定している場合は「有」を選択して、『青色申告承認申請書』を一緒に提出しましょう。

消費税に関する「課税事業者選択届出書」又は「事業廃止届出書」

支払う消費税が多額な事業の場合は、課税事業者を選択した方がメリットがある場合があります。その場合は『課税事業者選択位届出書』を一緒に提出しましょう。

事業の概要

どんな事業を行うのか、できるだけわかりやすく具体的に記載しましょう。特に決まった書き方はありません。
また、ここに書かなかった事業を行ってはいけないというわけではありません。現在想定している事業をしっかり書けばよいでしょう。

関与税理士

税理士が代行して記載した場合は、こちらにその税理士が基本的に自署します。
全て自分で作成した場合は、記入しなくて大丈夫です。

控用

書類は、提出用と控用の2枚があることに注意してください。どちらも間違えないように記入しましょう。ただし、控えにはマイナンバーの記載は必要ありません。

開業届はいつ出す?

提出期限イメージ

開業届は、事業が開始された日から1か月以内に提出することになっています(期限日が土日祝日の場合は翌営業日)。つまり、必ずしも開業前に出す必要はないということです。
遅れたとしても特に罰則はありませんが、税制上でのデメリットが生じるので、しっかり提出しましょう。なによりも、これから事業主として経営に携わることになるのですから期限を守る姿勢を示すためにも遅れないように提出してください。

開業届以外に必要な書類

必要書類

事業を起こし開業する場合、開業届以外にも業種によってそれぞれの所轄の行政機関に提出しなければならない書類がいくつか存在します。

事業を起こすに当たっては、数多くの準備が必要です。その中でも、申請や手続きは非常に面倒臭くて手間がかかるものです。しかし、これらをしっかりと終えておかないと、事業の開始まで進められません。

次の記事も参考にして、必要な手続きをしっかりと進めていきましょう。

飲食店の開業に必要な資格・申請の一覧と取得方法

開業までのスケジュール

最後に、開業するまでのスケジュール感を表したガントチャートを紹介します。

開業スケジュール

これらはあくまでも目安ですが、開業の6~8ヵ月前までには「事業計画書」「創業計画書」を完成させ、日本政策金融公庫などからの融資が決定していることが望ましいでしょう。

計画書とコンセプト、メニュー開発についてはそれぞれ以下の記事で紹介しています。

その後はチャートの項目と期間に沿って準備をします。それぞれ下記を参考してください。

注意していただきたいのは、開業までは半年(場合によっては1年)以上あるため、ついつい準備しておく期限を先延ばししてしまう点です。

そのため、「今月はこれを必ずやる」というマイルストーンを設定して1個ずつやるべきことを終わらせていくことが大事になります。適切なスケジュール感を持ってぜひ実行に移してください。