人件費削減を実現させるシフトの組み方とは?シフト作成のコツを紹介

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シフトを作るオーナー

飲食店を任されている店長の方は、毎日の従業員のシフトをどのように組んでいますか。

特に意味もなく「平日は3人、週末は5人」などのようにしていませんか?

シフトを組むということは、「人件費を使う」ということです。もし不適切なシフトを組んでしまうと無駄な人件費が発生し、店の利益を圧迫します。とはいえ、どのようにシフトを組めば最適なものになるのかわからない、と悩む方も多いでしょう。

この記事では、最適なシフトの組み方とそれによる人件費コントロール、削減についてご紹介します。

人件費管理の基準を知ろう

まず、人件費管理の基準について考えてみましょう。人件費を削りすぎなのか、無駄が出ているのか、ある程度の基準がわからなければ分かりません。以下の方法で人件費の基準を定めることができます。

収容人数

例えばレストランの場合、収容人数によってホールスタッフの人数を決めることができます。計算には以下の計算式を用います。

収容人数÷4(=テーブルの数)÷4

実際に計算してみましょう。例えば集客数が35人の場合:35÷4÷4=2.18

必要なホールスタッフの人数は2人になります。ピーク時なら2、3人必要になるかもしれません。これに加え調理場に2人、洗い場に1人確保すると、合計5、6人のスタッフが必要になります。もちろんピーク以外の時間を除けばそれほどスタッフは必要ありません。また店舗によってはこれより少ない人数で仕事を回しているところもあるでしょう。これにはメニューの数やスタッフの能力、サービスの求められる質などによっても異なるため一番自分の店舗に合った方法を選択すると良いでしょう。

売上高からの計算

人件費を考える際に必要なのは、食材費も一緒に考えることです。飲食店経営において、出費の多くを占めるのは人件費と食材費だからです。そのため人件費と食材費のコストが売上全体の約55%前後が適正という考え方があります。

この数字に収めるために人件費を減らしても食材のコストがかかり過ぎては意味がありません。バランスをしっかりと考えて決定しましょう。この際の計算方法として以下の計算式で割り出すことができます。

人件費率=人件費÷売上×100

労働時間からの計算

これは、時間帯による集客を分析してスタッフの労働時間を見直す、というものです。必要な労働時間を割り出せればピーク時の人材を確保でき、それ以外の時間帯のスタッフの人数を制限することができます。

売上高÷スタッフの労働時間

実際に計算してみましょう。

例えば、一日の目標売上高が25万円、6時間勤務のスタッフが6人の場合、250000÷36時間(スタッフ全員の勤務時間)=6944円となります。

6944÷6人で、一人当たりの時給は約1157円が適正な金額ということなります。一人当たりの勤務時間は短いものの、ピーク時には多くのスタッフに稼動してもらうことができ効率も上がります。

生産性からの計算

スタッフひとりひとりの生産性が高いのであれば、少ない人数でも十分にお店を回すことができます。一方、人数が多くても新人ばかりであったり能力的に不安なスタッフばかりだと、よりコストがかかり生産性も悪くなるでしょう。

一般的に労働生産性は50~60万円が基準値といわれています。以下の計算式を用います。

基準値=売上総利益÷換算人数

例えば、週30時間勤務のスタッフ人の場合、150(時間)÷30(時間)=5 (換算人数)

売上総利益が250万円の場合、250万円÷5(人数)=50万円 となり基準値内になります。

人件費削減のメリット・デメリット

人件費削減を考える際は、メリット・デメリットについても確認しておきましょう。

これらを冷静に判断することで人件費削減が必要かどうか分かるかもしれません。

メリット

経費削減

人経費削減の最大のメリットは利益が出て、黒字経営に繋げられることです。スタッフ一人が減るだけでも1か月あたり数十万円のコストダウンになるので、経費の負担が大きく変わります

デメリット

モチベーションの低下

スタッフ一人が減るとそれがきっかけで他のスタッフが続いて辞めてしまう危険性があります。またスタッフが辞めたことにより、一人あたりの仕事量が増えると不満が増えやすくなり、退職者が増えるかもしれません。

人材を育成する時間が持てない

人材が少なくなると、新人育成のための余分な時間を作ることが難しくなります。そうなれば新人がなかなか成長せず、お店の即戦力になるまでにとても時間がかかります。

人件費削減のためには適切なシフト管理が必須

シフトを管理するオーナー

■利益を上げるためにはFLコストのコントロールが必須

まず大前提の原理原則の話です。飲食店で利益を上げていくためには、メニュー、接客、店舗環境のレベルを上げる、つまりQSCをしっかり行って集客力を上げることが「攻め」としての大前提ですが、同時に「守り」の方策も大切です。それは「コストコントロール」です。

あえてここで「コスト削減」ではなく「コストコントロール」と表現したのは、「削減」することだけが目的になってはいけないからです。お客様が多いのに人件費を削減しようとした場合、それは接客レベルの低下や料理の提供遅れをもたらし、顧客満足度・売上が下がります。大切なのはお客様が満足し、店として無駄が出ないように適切にコストを「コントロール」することなのです。

そのコストの中でもコントロールしやすく、割合も高いのはFLコスト、つまり原価と人件費です。そして今回はFLコストのうち、L、つまり人件費のコントロールの方法について触れていきます。

■人件費コントロール=労働時間数のコントロール

では、どのように人件費をコントロールしていけばよいのでしょうか。その大原則は、「人数をコントロールするのではなく、労働時間数をコントロールする」という考え方です。

たとえばもっと人件費を減らしたいと考えると、すぐに「じゃあ週末1人減らすか」と「人数単位」に目が行ってしまいますが、その考え方では適切な削減はできません。

シビアに人件費をコントロールするためには「労働時間数をいかに減らすか」、何人のスタッフをそれぞれ何時から何時までの何時間働いてもらうか、ということが重要なのです。つまり、シフト組みです。今まで仮にアバウトにシフト組みをしていたならば、もっと詳細にシフトを組むように改めましょう。

シフトの組み方の基本とは

シフト作成の基本

シフト組みの基本について説明していきます。まずは、シフトの2つの基本的な決め方です。

■基本的なシフト組みを固定する

店側とスタッフの間で、あらかじめ毎週働きたい曜日と時間帯を相談し決定します。たとえば「火曜日は17時から22時までAさん」というようにシフトを固定する決め方です。基本的に、毎週決まったシフトで働くことになります。

このように最初にしっかりと時間別の人数を決めておけば、毎回悩む必要はありません。

しかし、フリーターや学生、サイドワークアルバイト、あるいはアルバイトの掛け持ちなど、アルバイトの場合なかなかシフトを固定することが難しい場合があります。なぜなら組まれたシフト通りに必ず出勤できるとは限らないからです。もし組んだシフトに対して変更希望を受けた場合は、店長に対して口頭ではなく専門用紙やメールなど、記録に残るもので変更希望を提出させましょう。口頭だと聞き間違いや、言った言わないなどのトラブルが発生しやすくなります。

■自己申告制で決める

これは週単位、あるいは月単位のカレンダーに各自に出勤可能な曜日と時間帯を記入してもらう方法です。店長はそれを参考に、毎回新たにシフトを組んでいくことになります。こうすることで働いている側の希望は反映しやすく、後からの変更も少ないというメリットがあります。

ただし、この方法ではシフトを組む際に手間がかかり、ある時間帯や曜日に希望が重複することもあります。また月や週単位で変動があるため安定した人材を確保することができません。

さらに、誰かの贔屓にならないように、かつ適切な「店舗力」を維持できるようにバランスをとることが、大変です。

シフトを組むうえでの注意点

次に、上の2つの基本の決め方のどちらの場合でも注意する点についてご紹介します。

■実力のバランスをとりつつ、人間関係にも配慮する

スタッフ力=店舗力ですので、新人スタッフしか働いていないということがないように気をつける必要があります。スタッフの経験値や実力などによって、店舗力が上下しますので、最低限お客様に迷惑をかけないようなレベルを常に維持することが非常に重要です。そのためにもスタッフ一人一人の実力を店長はしっかり把握しておきましょう。

次に注意したいのがスタッフ同士の人間関係です。仲の悪いスタッフ同士を一緒の時間のシフトにしてしまうと、トラブルが起こってその収拾のため店長には余計な手間がかかります。またチームワークがうまく働きません。反対に仲が良すぎるスタッフ同士で組んでしまうのも善し悪しです。仕事であるにもかかわらず、無駄話が多くなったり必要な注意や指示ができなかったりする場合があるからです。

別の目的で組ませた方が良いスタッフ同士もいます。例えば、あるスタッフの接客の良さをもう一人のスタッフに見せて、それを教育の一環にしたり、新人の指導役として、一緒にシフトに入ることで新人の成長を促したり、成長の度合いを確認できます。

いずれにしてもシフト組みは人間同士を組み合わせることですから、さまざまな観点での検討が必要です。

■提出期限をできるだけ早めにする

これはシフトを申告制にしている場合ですが、その時には提出期限はできるだけ早いタイミングの設定にしましょう。その際に、きちんと期限を守って提出したスタッフの希望を優先して組むことを決め、その方針をスタッフ全員に宣言すれば、自然に提出は早くなっていきます。

■丸投げにしない

店舗によっては、公開の場でスタッフにシフト記入をさせている場合がありますが、それはやめた方が良いでしょう。なぜなら、仲の良いスタッフ同士が示し合わせて記入したり、能力のあるスタッフと同じ日に入れて楽をしようとしたり、出勤希望者が多い日には自分は入る必要はないだろうと勝手に判断してしまうからです。

シフト組みを決める一番の基準は「店舗力を高いレベルで維持する」ことなので、それは店長が全体を見て判断したほうが良いでしょう。そのため希望日の提出は、個別で提出させましょう。

このような方法でシフトは決めて行きますが、その根幹には店長とスタッフの間に信頼関係がなければなりません。シフトが足りない日に誰かに依頼したり、あと一時間長く入ってもらうよう頼んだりする場合もあるでしょう。そのためには、普段から店長はスタッフとコミュニケーションをしっかりとって信頼関係を構築していくことが欠かせません。普段の会話の中で各スタッフの直近の状況やプライベートをある程度把握しておくことが大切です。

売上データを利用したシフト作成のコツ

売上データからシフトをつくる

具体的にシフトをどのように組めば1番適正になるか、つまり人件費がコントロールできるか、という点についてご説明します。

■過去の売上データをベースに売上予測を立てる

適切なシフト組みの前提は、できるだけ精度の高い売上予測を立てることです。そこから曜日別、時間別に必要なスタッフ数が割り出せるからです。

そのためには、まず過去の売上データを基本にしましょう。できれば同じ月の同じ曜日を過去3年間は把握して、それを基準に1ヶ月または2週間単位で売上予測を立てます。そしてそこに、もしも販売促進をかけているのであればその効果の見通しを、天気予報の反映、近隣で行われるイベントなどがあればそれも加味して、最終的な予測にします。

■売上予測に対する時間数を出す

次に、売上予測に対しての適正な労働時間数を算出します。

この労働時間数は「人時売上高」、つまり「売上÷総労働時間」が、店舗の目標数字になるようにして計算します。だいたい顧客単価が2,500円程度の飲食店における人時売上高の目標は5,000円です。

この人時売上高とは、お客様が満足かつコストも適切にコントロールされている、という指標です。これが低い場合は人数が多すぎ、高すぎればお客様に迷惑や不満を抱かせている可能性があるということです。高ければ高いほどいい、ということではありません。

計算とシフトへの落とし込みの方法は、まず「売上予測÷目標人時売上」でその1ヶ月または2週間で使える総労働時間を出します。それを1週間に分割し、さらに各日、各時間へと分割していき、最終的には1時間単位の労働時間の目安を計算します。また、1時間単位ではシフトが組めない可能性もありますので、ランチタイム、17時~19時、19時~21時などのように、2~3時間単位で計画しても良いでしょう。

ここまで計算すると、時間単位で何人のスタッフが投入できるかが決まりますから、そこに申告されたスタッフを、上で書いたように実力や関係性を考慮しながら当てはめていけばいいということになります。

まとめ

飲食店スタッフがシフトを見るシーン

いかがでしょうか。

時間単位でシフトを組むことは、慣れてくると2週間分を1時間程度で作れるようになります。FLコストのうちの人件費を適切にコントロールし、必要であれば削減できるベストの方法ですから、しっかり実行してください。

ビジネスをする以上、利益を出さなければそれを続けることはできません。QSCのレベルアップと同時に、適切にシフトを組んで人件費をコントロールすることは大切な仕事だと思って取り組みましょう。