飲食店でも働き方改革を!できる対策や事例を紹介

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「働き方改革っていうけど、飲食店経営ではどういうことをすればいいんだろう?」

この記事はそんな方のための記事です。とりわけ飲食店経営者の方のために書かれた記事です。

「働き方改革」は巷でよく聞く言葉になりました。長時間のサービス残業を強制する「ブラック企業」や、劣悪な環境で仕事をさせる「ブラックバイト」の問題が大きくなり、いよいよ国を挙げての対策が始まりました。

Web上の情報でも飲食店は、サービス残業が多くキツイ仕事というイメージがもたれています。そんなイメージを払拭するためにも、飲食店こそ「働き方改革」を率先して取り入れたほうが良いと思います。

では、どのように働き方改革を取り入れていくべきかを紹介いたしますので、参考にしてください。

そもそも働き方改革関連法とは?

働き方改革の取り入れ方を説明する前に、こちらの説明を先にさせてください。そもそも働き方改革関連法とはなんでしょうか?働き方改革関連法とは、正式名称「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」のことです。

「働き方改革の総合的かつ継続的な推進」「長時間労働の是正と多様で柔軟な働き方の実現等」「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」の3つを主としています。

2018年6月29日に働き方改革法案が成立し、2019年4月以降改正法が適用されました。企業規模や業種業界によって適用時期に違いがありますが、2019年4月以降に順次適用されます。

働き方改革関連法

  • 年5日間の年次有給休暇の取得義務化
  • 時間外労働の上限規制
  • 月60時間超の残業の割増賃金率引き上げ
  • 「勤務間インターバル」制度の導入促進
  • 労働時間の客観的な把握(企業に義務づけ)
  • 「フレックスタイム制」の拡充(3ヶ月のフレックスタイム制)
  • 高度プロフェッショナル制度を創設
  • 産業医・産業保健機能の強化

飲食店の労働環境の変化

では飲食店の労働環境は、どのように変化していったのでしょうか。今までの飲食店の経営手法として、休業日を減らしことや営業時間を延ばすことで売上や利益を増やしていきましたそれに伴い労働時間の増加やサービス残業の増加、公休の減少などが問題になりました。

しかしデリバリー産業の進出やコンビニエンスストアの拡大に伴い、外食産業や食品スーパーが担ってきた需要の一部 がそこに取り込まれました。そのため深夜営業しても、客足が鈍り売上や利益に繋がらなくなりました。こうした時代の流れが、飲食店の営業時間短縮や休業日の増加に繋がったので、飲食店の働き方を見直すきっかけにするべきです。

飲食店が働き方改革を進める理由

では飲食店が働き方改革を進める理由はなんでしょうか? 「そういう法律ができたから」という理由もあると思いますが、それだけではありません。Web上の情報も手伝ってか、飲食店には労働環境がブラックなイメージが世間についています。

そのため常に人不足で、それが現在働いている人の負担になっています。その結果、辛くて辞めるスタッフがいても、新しい人が入ってこないという悪循環になっています。

さらになかなか求人がこないので、他の業種よりも時給を上げて募集しなければならず、人件費が高騰し店舗経営を圧迫。原材料費高騰の現状で、さらに人件費が高騰するとなると、経営者にとっては頭の痛い状況でしょう。

飲食店として対応すべきこととは

では飲食店として、どのようなことに対応すべきなのでしょうか? 現状、飲食店で深刻な問題は、「人材不足・離職率が高い・労働に対しての待遇が悪い」ではないでしょうか。そのことに優先して対応すべきです。

前記した働き方改革関連法で当てはめると以下の項目になります。

  • 年5日間の年次有給休暇の取得義務化
  • 時間外労働の上限規制
  • 月60時間超の残業の割増賃金率引き上げ

年5日間の年次有給休暇の取得義務化

これまでの有給取得の流れは、労働者から有給希望申請を行うことで取得が可能でした。しかしそのような流れだと、労働者が職場の空気を察してなかなか申請をできないというのが現状でした。

働き方改革では、労働者が有給を取得してから1年以内に5日、雇い主の方から有給取得時期を指定して有給を与えるような流れになります。(パート・アルバイトも含む)

また、労働者ごとに「年次有給休暇管理簿」を作成し、付与日、付与日数、取得日、時期指定した日などを明確にしておく必要があります。この管理簿は3年間保存しなければなりません。

時間外労働の上限規制

これまで残業時間については、大臣告示による上限はありましたが、法律上では上限はありませんでした。しかし今回の働き方改革では「法律」に格上げになりました。よって違反した場合、労働基準法の罰則が適用されます。

(※労働基準法第32条違反で、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)

時間外労働の上限の原則は、月45時間、年360時間です。臨時的に特別な理由がある場合、特例を受ける条件を満たすと、「年720時間」「複数月平均80時間」「月100時間未満」が適用されます。

また残業時間の上限に限らず、使用者は労働時間を把握する義務や、長時間労働により労働者の健康を害することがないように、労働者に対する安全配慮の義務があります。

月60時間超の割増賃金率引き上げ

残業時間が月60時間を超えると、賃金率が50%割増になります。わかりやすく例えると、時給1,000円の労働者の場合、残業時間60時間までは1時間当たり時給1,250円。残業時間60時間を超えると1時間当たり時給が1,500円になります。

法令遵守の観点のみならず、時間外労働の割増賃金が負担増となり、残業がコスト的に見合わなくなることも推測できます。

働き方改革を導入している参考企業

すでに働き方改革を導入している企業があります。規模が大きい企業のやり方をそのまま真似ることは難しいですが、本質を理解して、皆さんの職場に取り入れることはできますので、ぜひ参考にしてください。

株式会社スープストックトーキョー

株式会社スープストックトーキョー(Soup Stock Tokyo 以下SSTと表記)は飲食業で残業時間「0」を本気で目指しています。顧客だけでなく、従業員も元気にするという考え方です。「働く仲間という意味で、常に人が集まって来る会社でありたい。SSTには魅力的な人がいるから自分も働いてみたい。というように人が集まってくるいいスパイラルを作っていきたい」と思っています。

労働時間については、一般的な飲食店の残業時間は200時間に対して、SSTでは現時点でも月の平均残業時間は多くて20時間。残業時間0を目指すというのは、絵に描いた餅ではありません。

さらに同社は店長が公休の時に、クレーム対応で出勤してこなければならないという状況を改善。クレーム対応は出勤している近隣店長か、エリアマネジャーが行う仕組みになっています。公休の店長は店のことを気にせず、しっかりと休みが取れるようになっています。

株式会社HUGE

株式会社HUGE(以下HUGEと表記)は、「ダズル」「リゴレット」などのレストランを展開していますが、どの店舗も「独立採算制」を採用しています。店長が収支を完全に預かっている状態です。

飲食店の店長クラスが長時間労働になってしまう理由は、会社の経営陣が考案した経営戦略の実現と、現場のスタッフや労働環境に配慮するという「板挟み状態」になってしまうので、結果、店長自身が調節することで長時間働くという状況になります。

この状況を改善するために、HUGEでは前記した「独立採算制」が採用されているのです。※独立採算制とは「各部門がそれぞれ独立に自己の収支で採算をとるように経営させる方式」のことです。(goo国語辞書 参照)

HUGEの場合、各店舗の収支は完全に店長が管理するようになっています。それだけでなく、自分の思い通りにお店を経営できる体制です。もちろんメニュー選定も自由。会社の役目は、店舗を作り売上を軌道に乗せるまでです。それ以降は店長に任せます。

店長に、経営者級の権限を与えているのもHUGEの特徴。社長→本部→店長ではなく、社長⇔店長という体制になっています。独立採算制でうまくいかない原因として「各店舗の予算を本部で決めること」です。それをやってしまうと、結局のところ店長は自分のやりたいことができず、雇われている感覚になってしまいます。

店舗の独自性を尊重して、社長はあくまでにサポートに徹する体制になっているのがHUGEです。

まとめ

いかがでしたか?

今は業界業種問わず、少子高齢化の影響を受けて慢性的な人手不足です。飲食店の仕事は体力を使うので、若い世代の働き手が必要になります。このような状況で同業者から働き方改革で後れを取ると、自社での求人がさらに厳しくなってしまいます。

働き方改革を推進することが世の中の流れになってきている以上、見過ごすことができません。労働環境が良いところに求人が集まるようになってしまい、人手不足で営業ができなくなってしまう事態にならないように、皆さんも働き方改革に取り組みましょう。