飲食店で食中毒が起きた場合の保健所への対応ややっておくべき予防とは

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飲食店にとっては致命的ともいえる食中毒。冬の終わりから夏の暑さ、気温や温度が高くなるにつれ食中毒の発生率は高まります。

食中毒の多くは細菌の付着から起こるもので、食中毒を出してしまった場合、行政より営業停止や営業禁止命令を受けてしまいます

営業停止や営業禁止になってしまうと店舗側としては大きなダメージとなり、場合によってはそのまま閉店へと追い込まる可能性もあります。

今回は、最悪な事態にならないよう飲食店で食中毒が起きた場合の保健所への対応や、やっておくべき予防についてお伝えしていきます。

食中毒が発生した場合の対応の流れ

食中毒が発生した場合、その多くは食中毒を発症したご本人かそのご家族、もしくは保健所からの電話連絡により発覚します。

また、ご本人からの連絡の場合には、

  • どのような症状が出ているのか?
  • 食中毒が発生した日時は?
  • いつ店舗で食事をされたのか?
  • 何を食べたのか?

ということを確認し、速やかに保健所や病院など公的な機関に連絡をとり食中毒かどうかの判断を仰ぐことが大切です。

また、お客様を気遣い言葉を選びながら店舗側が食中毒を発生させたかという判断は保健所や病院が判断する旨を説明する必要があります。

そして、保健所が食中毒についての調査を開始するためには病院による医師の診断が必要となりますので、お客様がまだ病院に行かれていない場合は病院の受診をすすめます。

もし保健所から食中毒という判断が下された場合そのままにするのではなく、お客様に対する誠意ある行動が最も大切です。

誠意ある行動というのは例えばですが、お客様が病院を受診した費用を店舗側が負担する、お客様が入院された場合は病院に出向き話を伺う、というようなものです。

食中毒は店舗側にとって大きなイメージダウンにつながりますので、きちんと誠意を見せるためお客様への精一杯の謝罪とともに補填することも大切になります。

保健所への対応や提出物

店舗側に落ち度があり食中毒が発生したと判断された場合、店舗への保健所の立ち入り検査がおこなわれます。

立ち入り検査後、検査結果を元に数日から1ヵ月以内に行政指導、行政処分などの判断は下され、店舗側はその内容に従う必要があります。

ここでは保健所の立ち入り検査を慌てず円滑に進めるために、保健所への対応や提出物について見ていきましょう。

保健所への対応はどのようにすればいいのか?

食中毒の立ち入り検査、調査については保健所の職員によっておこなわれ、お客様と店舗側それぞれ聞き取り形式ですすめられていきます。

まず、お客様への主な聞き取り内容としては、

  • 症状が表れたのはいつ頃からか?
  • 具体的にはどのような症状なのか?
  • 飲食をした日時は?

というようなことを聞き取りされ、状況や状態などを細かくチェックしていきます。

次に店舗側への主な聞き取り内容ですが、

  • 症状を訴えたお客様がお店を利用したのはいつか?
  • その日の利用者数はどのくらいか?
  • 他のお客様から似たような連絡はないか?
  • お客様に出したメニューはどのような調理工程なのか?どのくらい出品されているのか?
  • 従業員のなかに体調を崩している者はいないか?

など、こちらも状況や状態などを事細かにチェックしていきます。

状況や状態の聞き取りだけではなく、場合によっては調理の工程はどのようにおこなわれているか?どのように商品を仕入れているか?など調理に関する資料の提示を求められます。

調理の手順になにか不備はないか?加熱時間などは適切か?など、調理に関することは保健所にとって具体的な情報となります。

保健所は問屋や仕入先などにも聞き取りをおこなうので、速やかに原因が特定されるよう進んで協力する姿勢でいることが大切です。

保健所へはなにを提出するのか?

保健所は原因の特定をすすめるため、参考となるような提出物を求めます。

提出物の内訳としては、

  • 具体的な調理法、調理の手順がわかるマニュアル

  • 各伝票など、仕入先や仕入れた履歴の記載があるもの

  • 店舗内の各チェック表

  • 食品衛生の管理マニュアル

  • 従業員の検便検査(必要に応じて)

となっており、その他にも保健所が必要と感じたものは提出する必要があります。

いつどのような事態に陥っても対応できるよう、日頃から調理手順のマニュアルや書類、伝票類は取り出しやすいよう整理しておくのが良いでしょう。

また、2018年の6月より食品衛生法が改正され、今後は指針に沿った衛生管理が大小の規模関係なく求められます。

衛生管理実施の記録や計画の作成が義務になるなど、これまで以上の管理体制が必要になります。

保健所の「指導」「処分」について

食中毒が起きた店舗で保健所の立ち入り検査をおこない、店舗による原因が判明した場合には「指導」か「処分」か、どちらの実施になるか伝えられます。

食中毒を起こした店舗の全てが営業停止や営業禁止になるわけではなく、その状況に見合ったものが振り分けられます。

ここでは保健所の指導、処分とはどのようなものなのか?見ていきましょう。

口頭指導

口頭にて衛生面の指導をおこなうことです。下処理をした材料や加工品といった食材の衛生管理全般、調理設備、汚染されてしまう可能性のあるものについて、進んで改善をおこなったり場合によっては営業の自粛が求められるものです。

書面指導

口頭による指導をおこなった後、特に改善や自粛が見られない場合の書面による行政指導のことです。改めて衛生面での改善、営業の自粛を求められます。

さらに各自治体のホームページに食中毒が起きた内容、事業者名、どのような処分や指導をおこなったかが公表されます。

行政処分

上記2つの指導とは違い、営業停止や営業禁止、もしくは営業許可の取り消しなど、重い処分が下されるものです。

こちらも各自治体のホームページに食中毒が起きた内容、事業者名、どのような処分や指導をおこなったかが公表されます。

営業停止に関しては通告時に停止期間が決まりますが、営業禁止には期間がなく、その間は一切の営業が許されません。
さらに営業禁止、営業禁止を通し改善の見込みがない場合、営業許可の取り消しといったとても重い処分が下される場合があります。

指導や処分を受けたときに大切なことは、真摯に改善に取り組む姿勢であったり二度と食中毒を起こさないといった再発防止策の徹底です。

責任を他に転嫁するのではなく、下された指導や処分をしっかりと受け入れ、1日も早く信頼を取り戻すといった姿勢が何より重要です。

食中毒を起こさないためにできる予防とは

食中毒が起きてしまうとお客様への信頼が下がる可能性は高く、行政処分を受けてしまうことで最悪の場合そのまま閉店という事態に陥ることも考えられます。

店舗側として、どのような予防や危機管理をしていくことが食中毒を起こさず問題のない営業につながるのでしょうか。

ここでは食中毒を起こさないためにできる予防について見ていきましょう。

食材の保存温度をしっかりと管理する

あらゆる食材は温度が高ければ高いほど菌の繁殖が進み、食中毒へのリスクが高まります。

しかし、冷蔵庫は5度から10度以内、冷凍庫はマイナス17度以下にしておくことを徹底することで菌の繁殖を防ぐことができます。

また、冷凍してある食材を解凍するときも温水での解凍ではなく冷水での解凍が望ましいと言えるでしょう。

前日の調理はできるだけ避ける

大規模な宴会の予約が入った場合など何品か前日調理しておきたいものですが、食中毒のリスクを考えたとき、前日の調理は避けることが大切です。

これまでの統計から前日調理したもので食中毒になる可能性は非常に高く、リスク管理は徹底する必要があります。

加熱調理した食品の保存は容器に小分けにし、冷蔵や冷凍保存するのが良いでしょう。また、一度加熱した食品はお客様に提供する前に十分再加熱することも大切です。

十分な加熱調理をおこなう

食中毒を起こす多くの菌は熱にとても弱く、60度以上の温度で十分加熱すれば死滅すると言われています。

ただし、厚みのある食材は中心まで火が通りにくく菌が死滅しない可能性があります。そのようなときは芯温計などを使い、中まで十分に火が通っているか?確認する必要があります。

また、冷凍してある食品を加熱する場合にも火が通りにくい可能性があるため、同じく芯温計を使うなどの配慮が必要です。

まとめ

飲食店であれば気を付けなければいけない食中毒ですが、日頃からの衛生管理や予防を徹底することで防ぐことができます。

それには食材の調理や設備に不備はないか?調理場では一人一人が責任を持ち気を付けること、心がけることが大切です。

お店の看板に傷がつかないよう、全員が一丸となって管理する姿勢が必要と言えるでしょう。