飲食店で売上管理が必要な理由とは?売上管理の方法やポイントを紹介

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売上があがるグラフ

「いつの間にか儲からなくなってきた。どうして!?」

飲食店などでよく聞く疑問点、お客さんの数が変わらず入っているのに、何故か売り上げが下がってきている。食材を仕入れている業者から、値上げを要求してきた、どうしたらいいのか?近くに同じようなお店が開店するようだ、そちらにお客を奪われないようにするにはどうしたらいいだろうか?

お店を立ち上げて数年経ち、リピーターが徐々についてきた。折角できたリピーターを逃がさないようにするにはどうするか?毎日多くのお客さんが来てくれるのに、どういうわけか、ちょっとも儲からない、どうしてだろうか?

あなたはこのような状態になっていませんか。もし心当たりがあるなら、この記事はあなたのためのものです。飲食店経営者を悩ませることの1つに、経費の高騰があります。材料費の高騰、最低時給の改変、光熱費の高騰など、経営者を悩ませる種はそこら中にあります。

しかし一番の問題は、自分の経営する店舗の数字を把握していないことなので、この記事では飲食店における売上管理の必要性と売上管理の方法やポイントを紹介したいと思います。ぜひご参考になさってください。

売上管理とは

パソコンで売上管理をする

売上管理とは、販売という一連の業務の流れがあり、その中の管理項目の1つです。一般的な商店などでは、商品別や期間別、客先別などに販売個数、金額を集計し、その数値を分析することにより、分析データを用いて、お店の問題点や改善点を抽出し、経営の安定化や新たな利益の追求を図るための行動のことです。

売上が落ちてきている、あるいは利益が減少傾向にある、などは日々の売上の数字を見ているだけで、おおよそのことは分かりますが、見ているだけでは原因がどこにあるか分かりません。ましてや対策となると、集計、原因分析をきちんとやらない限り具体的な方策が立てられないでしょう。

売上管理は、日々変動する数値を、経営に必要な対策を立てるための基本的な項目を日々入力し、日次、月次、年次で集計し、分析し、対策を立て、行動する。この一連の業務こそが売上管理です。

売上管理が必要な理由

レジスター

日々の基礎データをPOSシステムあるいは会計ソフトに入力し、集計、分析することにより様々な経営上の有効な情報が得られます。その情報からさらなる売上向上、利益増大の方策が出てくるわけです。

売上管理が必要な理由は、まさにこの売上と利益の安定確保のためです。

  • 日々基礎データを入力することによって、お店の現状を把握する上で重要なデータが得られ、何が足りて、何が必要なのかを知ることができます。 売上管理には「何故」が重要です。何故売り上げが落ちているのか、何故利益率が下がっているのか、その根本を追求することによって、対策や売り上げに貢献できる戦略が立てられます。
  • 入力したデータにより、商品ごとの原価率が計算され、コスト削減、売上高向上などの対策案の作成が可能です。また、適切な原材料の仕入れを行うことができ、ムダな在庫の排除や必要な時に必要な仕入れを行うことができます。不良在庫の低減も可能です。
  • 忙しい日が分かりますから、パート従業員などのシフト管理が容易となります。ムダな人件費の排除にも役立ちます。
  • 売れ筋が分かりますから、集中的な人材の投入や効率的な仕入れが適格にできます。
  • 効率的な仕入れ管理、在庫管理、入金管理、利益管理などができます。
  • 売掛金の管理も可能です。店舗では掛売りがされている場合があります。売掛金の管理、中でも請求書の発行と集金は面倒です。お客さんごとに締切日と支払日が異なりますので、これを円滑に間違いなく行うためには売掛金管理表が必要です。会計ソフトなどで、日々の入力がきちんとできていれば簡単に集計され、管理表がアウトプットされます。
  • データから商品ごと、客先ごと、あるいは、期間、時間ごとに商品の数量、金額集計が可能です。ここから店舗の戦略的な目標管理や改善点などの考察が可能です。

他にもたくさん売上管理で得られる有益な情報があります。 売上管理が必要な理由とはすなわち、具体的な売上管理で得られる利点のことです。その大きなメリットが得られるということが必要な理由となるわけです。

飲食店の売上管理の必須項目とは

売上管理とパソコン

飲食店において、売上管理の必須項目といえば「人件費」と「材料費」です。この2つのコストを合わせたものを「FLコスト」といい、これを60%前後に抑えることで利益を出すことができます。

逆を言えば、飲食店での経費の60%前後をFLコストで占めているということです。わかりやすい例を挙げると、100万円の売上のうち、人件費と材料費で60万円かかる計算になります。つまり100万円から60万円を引くと、すでに40万円しか手元に残りません。

その40万円から光熱費や家賃、その他雑費などを支払っていきます。そして手元に残ったのが経営者の収入となります。

その点から考えると、飲食店での売上管理で重点的に見なければならないのが「人件費」と「材料費」(FLコスト)というのがわかると思います。

ただ単に「人件費や材料費をしっかり管理しよう」といっても、どのように管理すればいいのかわからないので、これから具体的に説明して行きたいと思います。

人件費

人件費というのは、「時給×労働時間」で計算された数字だけではありません。給与のほかにも社会保険料や店負担の福利厚生費、さらに通勤交通費や賞与等の手当も含まれています。

それらも考慮に入れて管理しないと、手元に残るお金にズレが生じてしまいます。さらに人件費の管理という面でいうと、以下の数字も意識していかなければなりません。

  • 人時売上高
  • 労働分配率
  • 労働生産性
  • 平均時給

人時売上高

従業員一人の労働時間1時間につき、どの程度の売上高が得られるかを表した数値です。

計算方法は「売上高÷従業員の想定労働時間」で基準値は4,000円以上といわれています。

労働分配率

粗利高に占める人件費の割合。付加価値に対する人件費の割合を示す指標であり、店が新たに生み出した価値のうち、どれだけ人件費に分配されたかを示す指標。

計算方法は「人件費÷粗利高×100」で、基準値は40%以下といわれています。

労働生産性

従業員1人あたりの生産性を示す数字です。

計算方法は「粗利高÷換算人員」で基準値は50万円以上が望ましいとされています。

平均時給

社員・パートも含めた1人1時間当たりの時給です。

計算方法は「総人件費÷想定労働時間」で基準値は1,200円以下です。

これらの数値を分析しながら、人件費を細かく管理していく必要があります。こうした指標を簡単に出せる会計ツールもあるので、まだ導入していない方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

また、採用活動においては、上の工程で調整・算出した人件費をもとに、募集の際に提示する従業員の 月給・時給を決定しなくてはなりません。

その場合、以下の点にも注意を払う必要があります。

人件費の「予定額」と「実績額」を一致させる

人件費を管理するうえで最も大切なのは、人件費の「予定額」と「実績額」を一致させることです。無駄のない適切な計画を立て、計画通りの労働時間と金額にしていくことが重要です。

採用活動では費用対効果を意識する

同じ時給でも「1人で10人対応できる従業員」よりは、「1人で15人対応できる従業員」の方が最終的に店にとっては有益です。費用対効果を意識した採用活動が大切といえるのではないでしょうか。

人件費を変動費として調整できるようにしておく

売上の増減に合わせて、スタッフの労働時間を調節しなければ、人件費が固定費となってしまい、売上低調時に利益を落とすことになってしまいます。

オーナーや社員などの固定費以外は、売上予測と実績の増減に合わせてシフト調整ができる体制にしておいたほうがよいでしょう。

材料費

飲食店を経営する以上、材料費は必ず必要になるものです。とはいえ常日頃から新メニューの開発や試作を重ねていると、原価計算が煩わしくなりますよね。

そんな原価計算にもいくつか計算方法がありますので、それぞれ紹介していきます。

●実際原価計算

実際原価計算とは、実績をもとに算出する方法です。製品の生産、販売、管理において、必要となった原価を月末や月初などに計算することを言います。使用した材料や部品、作業時間などの実績から実際の原価を積算する原価計算法で実績に基づいて導き出されます。

実際原価は、製造実績、出庫実績、購入実績、材料費、労務費、営業費、金利、経費などの集計実績値をもとに、製造原価を算出していきます。

<ケーススタディ>

お弁当屋さんがお弁当を作る場合

野菜や肉などにかかった実際の材料費が500円とします。それらを切ったり煮込んだり焼いたりするための、加工の工程費が500円かかりました。お弁当が出来上がるまでの実際にかかった費用である材料費500円、工程費500円を順番に計算していくのが実際原価計算です。この場合では実際原価計算は1,000円となります。

●売上原価計算

売上原価とは、販売された商品の仕入金額や製造にかかった金額のことです。製品を製造している場合は、製品の販売代金が売上になり、製品の製造にかかった費用を売上原価と言います。

売上原価計算は、販売実績や販売金額、実際原価計算の結果が必要になってきます。売上原価の計算は下記の導き出すことができます。

売上原価 = 期首商品棚卸高(前期の在庫商品の仕入れ金額)+ 当期商品仕入高 - 期末商品棚卸高(当期の売れ残った商品の仕入金額)

<ケーススタディ>

商品が100万円分あったうちの60万円分が売れた場合、40万円分の在庫が残ります。この場合、売れた60万円分の仕入代金が売上原価になり、在庫として残った40万円分は棚卸資産になります。

●標準原価計算・差異分析計算

標準原価計算は、実際原価計算の対となる原価計算方法です。標準原価計算は実際の価格ではなく、実際に生産活動を始める前に目標として設定される原価で、原価標準に基づき算出する方法が標準原価計算です。

実際原価計算ではなく、標準原価で計算することにより、計算する速度が高まり、実際に発生した原価との比較・分析が可能となります。標準原価を設定する際に必要になってくる情報は、標準の作業時間や標準の単価などです。これらの情報に基づき標準原価を計算していきます。

<ケーススタディ>

事前に野菜や肉などにかかる材料費を450円、工程費も450円で出来るだろうという想定で目標を立てておきます。この場合、標準原価計算で目標とする費用は材料と工程費の合計で900円です。しかし実際原価計算をした際には、材料費は500円、工程費も500円だったので1000円というのが実際にかかった費用になります。

    この際に実際かかった原価と、目標に設定していた原価では100円のズレが生じてきます。

    このズレを比較し分析できるのが標準原価計算になります。

    報告する段階では実際原価も必要になります。その際には実際原価と標準原価を比較し、そこで発生した予算差異の分析を行います。予算の差異を分析することによって、今後は差異をできる限り減らして改善に繋げていけるようにすること、そして効率を良くし、実際原価が標準原価より高くなっている場合は、改善策を検討する必要があります。

    原価率は、「原価÷販売価格×100」の計算式で求めます。原価率が100%未満であれば黒字であり、さらなる増益を目指す場合は原価率の削減を目指します。販売価格を上げることでも原価率は上がりますが、原価削減の検討が優先です。

    原価を分析する際は、原価をさらに材料費、労務費、経費の3つに分割します。

    材料費には製品を構成する材料や燃料など労務費には従業員の給料やその他人件費など、経費には工場や機材のレンタル料や減価償却費などが該当します。

    以上が人件費と材料費の説明になります。FLコストは、売上管理をする上で重要な項目なのでここまで詳細に計算する必要があります。

    売上管理の方法・ポイント

    売上の資料

    ここでは、売上管理の方法とポイントを解説していきたいと思います。

    1.時間帯別売上の把握

    売上管理は1日の終わりに売上を集計すればいいわけではありません。売上を分析するためには細かいデータが必要になってきます。

    可能であれば1時間ごとの時間帯別売上を集計できればよいのですが、時間帯別売上を把握することにより自店のピークタイムや来店が落ち着く時間帯を予測することができます。

    それにより時間帯別で適切な人員配置を行うことができ、チャンスロスや過剰人員を防ぐことができます。

    ポイント…時間帯別売上を集計し、売上管理ソフトやエクセルに入力。数字の流れを時系列で把握・可視化することによって、効率的な店舗運営が可能になります。

    2,売上構成比の把握

    次に売上の構成比を把握。全体売上がどのように構成されているのかを分析する必要があります。例えば売上100に対して、料理40・デザート10・飲料50なのか料理60・デザート20・飲料20なのかによって、とるべき対策が異なるからです。

    割合が高いカテゴリのメニューの強化や改善、原材料を見直すことによって売上と利益の確保に繋がります。また時間帯別の売上構成比を把握することによって、「どの時間帯にどのカテゴリの注文が多いか」がわかるので、それに対応した準備やキャンペーンを行うことができます。

    ポイント…売上の構成比を知るために、レジでは最低でも「料理」「デザート」「飲料」の3つキーを用意して、カテゴリ別で入力しデータを収集。収集したデータをエクセルに入力し、売上構成比を単日・時間帯別で把握する。

    3.損益分岐点の把握

    どれだけ売上が高くても、利益が残らなくては経営は成り立ちません。そのために損益分岐点を把握しておく必要があります。飲食店の経営を正常に運営するためにはPLコスト(人件費+材料費の比率)を60%以下に抑える必要があります(PLコストに関しては上記を参照)。売上がわからなければ、PLコストを60%以下に抑えることができません。

    日々の売上データをとり、売上予測を立てることによってPLコストを管理することができます。

    ポイント…エクセルなどで「売上」「原材料費」「人件費」のシートを作成。計算式を入力し、上記3つの数字を入力するとPLコストが自動計算されるようにします。

    もっと細かく売上管理するためには

    • 売上高管理表
    • 商品別売上実績表
    • 月別売上高管理表
    • 客先別売上高管理表
    • 客先別利益管理表
    • 仕入管理表
    • 売上高客単価一覧表
    • 商品別利益率一覧表

    などがあり、これらが売上管理の基になるデータ表です。そうはいっても店舗運営をしながら、これらの数値を管理していうのは現実的ではないのかもしれません。

    次の項目では、売上管理を便利にするツールを紹介しますので、ぜひご参考になさってください。

    売上管理に役立つおすすめツール

    下記のツールを使用すれば、誰でも簡単に売上管理ができるでしょう。売上管理ツールを上手に利用して、効果的な店舗運営を実現しましょう。

    Bizocean(ビズオーシャン)

    https://www.bizocean.jp/

    bizocean(ビズオーシャン)は、株式会社ビズオーシャンが運営するビジネス情報サイトです。「仕事の面倒を失くして、新しいビジネススタイルを提案する」をモットーとして、多くの書式やテンプレートを無料でダウンロードすることができます。売上管理の書式テンプレートも豊富で、ワードやエクセル、パワーポイント等のデータ形式から選んでダウンロードすることができます。

    文例書式テンプレート集

    http://www.template-sozai.com/

    文例書式テンプレート集は、Office(ワード・エクセル・パワーポイント)のテンプレート雛形、サンプル文章、挨拶文例等のテンプレートをすべて無料で利用できます。用途ごとや、フリーワードでの検索が可能です。

    Vector(ベクター)

    http://www.vector.co.jp/

    Vector(ベクター)は、ソフト登録数国内最大規模のオンラインソフトウェア流通サイトです。充実したダウンロードライブラリに加え、ソフトの紹介記事、メールニュース等で常に最新のコンテンツを発信しています。売上管理ソフトも豊富にあり、すべて無料でダウンロードできます。

    MAIDO SYSTEM

    http://www.maido-system.net/

    MAIDO SYSTEMは、飲食業界の現場目線から生まれた飲食店売上管理システムです。売上管理機能をはじめ、飲食店の経営に必要な機能を網羅していて、導入も簡単です。また、初期費用が不要で、月々1,980円から利用できるのが魅力です。

    Fooding Journal(フーディングジャーナル)

    http://www.sis-pros.co.jp/fj/

    Fooding Journalは、飲食店向けASPシステムを使って販売・原価・検体管理を行うことができるサービスです。データはすべてクラウドに保存されるため、万が一災害にあったとしてもデータが紛失する心配がありません。「FOODS Info Mart」とデータ連携することで、 日次損益管理の一元化を実現でき、スマホやタブレットでも利用なのでいちいちパソコンの前に座って作業する必要がありません。気になった瞬間にスマホでサクサク見ることができます。

    Fooding Journalについては、「飲食店向けASPシステムを使って、勤怠管理・売上管理・商品管理を一括化」 のなかで簡単に触れていますので、ご参照していただければと思います。

    まとめ

    以上、「飲食店で売上管理が必要な理由とは?売上管理の方法やポイントを紹介」の記事でした。飲食業界では、売上管理もさることながら、FLコストの管理も徹底して行く必要があることがわかったと思います。

    店舗の数字を管理する上でもさまざまなサービスがあるので、もし数値管理まで手が回らないのであれば、それらを活用することをおすすめします。データは多ければ多い方が後々役に立つので、できることから行動していただければと思います。