新人研修をしっかり行ってすぐ即戦力にする方法とは?

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新人研修にてガッツポーズ

飲食店の店長や経営者の方は、店舗での新人研修をどのようにしていますか?採用にはお金をかけながら、入った後の育成についてはリーダーまかせや「見て覚えろ」という方式で、その結果新人が辞めていってしまった場合、「最近の若い奴は辛抱が足りない」で済ませていませんか?

求人に多くの費用がかかることを考えれば、10人採用して結果1人残るよりは、1人採用して確実に戦力化させる方がはるかに効率的です。そのために必要なのが新人研修です。とはいえ、忙しい中ずっと「見習い」の仕事しか任せられないのも人件費の効率が悪いのは事実ですから、できるだけ早く戦力にしたいというニーズもあります。

そこでここでは、新人をすぐ即戦力にするための研修方法や期間をご紹介します。

新人研修が必要な理由

新人の女性

新人研修に力を入れていない店舗の多くは、その必要性を店長や経営者の方が本当には理解していないから、という場合がほとんどです。もしも必要性を理解していれば、最優先で時間をとるはずです。ですので、まずは新人研修がなぜ必要か、ということをしっかり理解してください。それには以下のようなことが挙げられます。

ゆとり世代、マニュアル世代が対象

まず中高年をあえて採用しているのでない限り、新人はいわゆる「ゆとり教育」を受けた「マニュアル世代」です。つまり、自分からガツガツと何かを吸収するという貪欲さはなく、かつ自分で創意工夫をするのは苦手で与えられたマニュアル通りならしっかりできる、という特性を持っています。

したがって、かつてのように「先輩のやることを見て学べ」では何も学習できないため、ステップごとに整備された研修が必要なのです。

1人ボッチにさせない

新人の離職理由の第1位をご存知でしょうか。それは「給料が安い」「仕事がキツい」ではなく「教えてくれない」です。つまり新人は、入店して何も教えてもらえないと、居場所がなくなり孤独を感じ、自分は大切にされていないと思って辞めていくのです。したがって1人ボッチにさせないためにも、研修が必要なのです。

店のレベルを揃える

また店舗力の点から言っても研修は必要です。もしかすると、ごく稀に何も教えなくてもできてしまう新人が入ってくるかもしれません。しかし店はその新人1人で運営しているのではありません。

その新人が接客したお客様は大満足するが、ほかの新人が接客したお客様は不満に思って帰る、ではトータルでの店舗力は上がりません。つまり「1人の3冠王」より「5人の2割8分」で店のレベルを揃えた方が、店舗トータルでのクオリティは上がるのです。そして「3冠王」は才能がないとなれませんが、「2割8分」は凡人でも研修で育てることができるのです。

飲食店の仕事は「新しい行動」

飲食の仕事に長く浸っていると当たり前になっていることでも、実は一般社会から言えばかなり特殊なことが多いです。トレーを持つことも、包丁を握ることも、場合によっては野菜を洗うという基本的な作業さえ、今の若者にとっては「初体験」「異体験」なのです。

ですので、日常の延長として放っておいたのでは全くできません。完全に「新しい行動様式」として教える必要があるのです。

長期的には店の収益のアップ

以上の必要性よりもさらに重要なことは、研修をすることで最終的には店の収益が上がるから、ということです。具体的には3つの理由からです。

1つは冒頭で書いたように、10人採用して「たまたま」1人が残るよりも、1人採用して「確実に」1人を育てるほうが、採用コストの効率が上がることです。

2つめは仮に研修をしないと決めていても新人が入れば多少の時間をかけて何かは教えざるを得ません。しかしそれでも育たない、あるいは辞めてしまった、ではその間の新人育成にかかった時間、人手、コストが全く無駄になります。逆に、しっかり時間をかけて新人研修を行えば、確かにその間は人手がとられますが、最終的にその新人が戦力化すれば、その教育にかけたコストは無駄になりません。ですから、結局はしっかり研修したほうが、教育コストも効率化できるのです。

3つめは、正しい方法で研修をすれば当然、ホールにしろキッチンにしろスタッフのレベルが上がります。それは接客レベル、料理のクオリティに直結しますから、顧客満足度が上がってリピートが増え、その口コミによって新規客も増えます。つまり、店としての収益が上がるのです。以上の研修の必要性をまずしっかりと理解しましょう。

即戦力に育てる新人研修の5つの方法

メモをとる新人女性

とは言え、少ない人数で切り盛りする店舗の場合、新人研修にたくさんの時間も人も割けません。ましてや「見習い」の期間が長ければそれだけ人件費効率も下がります。

ですので、しっかり研修をしながら、かつ即戦力にするという「二兎を追う」必要があります。そこでここでは「二兎を得る」ための新人研修の方法についてご紹介します。ただし、業種、業態、店の特徴によって、「研修内容」は違うのが当然ですから、ご紹介するのはあくまで「研修の方法」です。「研修の内容」はこれに沿って各店舗に合わせて考えてください。

1:OJT中心に。Off-JTは効率よく

本来の研修は座学のOff-JTをしっかりしたうえで、仕事中に都度指導するOJTを行うことが最も効果的です。しかし多くの場合はOff-JTの時間はほとんど取れませんので、OJTを重視することで割り切りましょう。

ただし、Off-JTが全くないとOJTの効果も上がりませんので、Off-JTではホールならロールプレイング、キッチンなら実技を中心に行いましょう。そしてOJTも気づいた人間、手が空いている人間が教えるのではなく、「指導役」を決めて、そのスタッフが常に新人の行動を見つつ、足りないところをその場で教えてくことが重要です。

2:山本五十六方式で教える

第2次大戦中の日本の超有能な海軍大将の山本五十六のことはご存知でしょうか。彼は軍人として有能であっただけではなく、教育者としても優れた存在でした。その山本五十六の新人への教育方針は以下の通りです。

やってみせ

言って聞かせて

させてみて

ほめてやらねば

人は動かじ

つまり「俺を見て学べ」ではダメですし、マニュアルを渡して「読んでおいて」でもダメなのです。まず自分が見本を示し、その意味について教え、今度は新人にやらせて、できている部分を褒めつつ足りない部分を教える、という方法でなければ人は育たない、ということです。

上で書いたOff-JTとOJTもこの方式で行いましょう。

3:マニュアルは必須

上で書いたように「マニュアル世代」ですからマニュアルは必須です。「見て覚えろ」では絶対に育ちません。簡単でもいいので、きちんとポイントとやるべき内容を紙に書いて渡しましょう。

あるいは可能なら、誰か先輩スタッフに見本をやらせてそれを動画で撮影し、Youtubeにアップして新人に自分のスマホなどで観させる、というのも非常に効果的なマニュアルになります。

4:習得レベルと報酬を連動させる

人は「昨日できなかったことが今日できるようになった」という成長の実感だけでもモチベーションが上がります。そして、それをさらに強化するのは「報酬」と連動していることです。

スキルの習熟度にステップを付け、それをクリアしたら5円でもいいので時給を上げる、あるいはお金ではなくても「ジュニアスタッフ」という名称を「シニアスタッフ」に昇格させる、などの制度を作りましょう。

5:何のためにすることなのかをしっかり伝える

研修だけではなくすべての人材マネジメントに共通することですが、人は自分のしていることの「意味」や「価値」が分からないとモチベーションが上がりません。モチベーションが上がらないと、スキルの習得に熱心になりません。

その仕事は何のためなのか、店にとってどういう影響があるのか、しないとほかのスタッフにどういう迷惑がかかるのか、お客様にとってはどうなのか、ということを研修の冒頭にはしっかり伝えましょう。

その「意味」が分かっていれば、それを達成するために自然と自分で「工夫」したり「応用」したりし始めます。それが「即戦力」育成につながるのです。

新人研修期間は新人に合わせる

勉強中の新人

その新人研修ですが、では期間はどれくらいが必要かというと、これには「標準」はありません。正確に言えば、業種、業態、仕事内容、店の特徴によって「これくらいの期間で戦力になってほしい」という目処はあるはずです。

しかし「即戦力」化を目指すとは言いながらも、やはり成長スピードはその新人によって違います。それを一律に当てはめても、脱落者を増やすだけでメリットはありません。

ですので、研修期間は基本的にその新人の習熟度に合わせましょう。そのためには、習得レベルごとにステップを作って、その都度試験をし、1人前ラインまで行ったら研修修了という方法がベストです。そして上で挙げた「報酬との連動」もこのステップに合わせましょう。

新人研修期間の削減方法

時間削減イメージ

ここまで読んで「研修には結構手間がかかりそうだ」と感じている方もいるかもしれません。確かに、最終的には業績に返ってくるとは言え、できるだけ研修期間は短い方がよいのは当然です。

そのためには上で挙げた研修の方法をしっかり行うことが大前提ですが、同時に以下のようなツールを活用することで、その期間を削減できます。

できるだけ操作の簡単な業務ツールを導入する

またそもそもの話ですが、仕事の内容自体をできるだけ教育不要なものにしていく、ということも重要です。たとえば会計を行うレジや、オーダーをとるハンディターミナルは、使いこなすようになるまでにはある程度の時間が必要ですが、最近はiPadで使えるPOSレジや、スマホで使えるハンディターミナルが普及してきています。今の若者なら使い慣れていますので、すぐに習得でき、それだけ研修期間を短くすることが可能になります。

習得ステップ別の達成レベルをチェックシートにする

上で挙げた習得のステップをクリアするには何ができていないといけないのか、ということをリスト化したチェックシートを作りましょう。

そしてそれを教える側だけではなく、新人にも渡して共有し、「ここまでできれば第1ステップは終了」というように目標を明確化することです。人間は目標があれば努力しやすいですし、また教えなくても自分でそれができるように自習もするようになります。

店舗規模が大きければeラーニングの導入も

複数店舗展開していたり、大きな箱の店舗の場合は、インターネットを使った学習方法の「eラーニング」の導入を考えてもよいでしょう。

1番簡単なのは上で挙げた「見本を動画で撮ってYoutubeにアップさせ、それを新人が自分で見る」という方法ですが、ほかにも、WordやExcelなどで作ったマニュアルやテストをクラウドサーバーに保存し、新人が自分でアクセスして自習する、という方法もあります。また最近は、簡便なeラーニングのソフトも販売されていますので、それを活用してもよいでしょう。

まとめ

新人研修

いかがでしょうか。

飲食店に限らず「人が人にサービスするビジネス」の業績は、結局そこで働くスタッフのレベルに左右される部分が大きいものです。しかし新人研修というと時間も人手もかかって面倒で効率が悪い、という考え方は店舗の中期的、長期的な成長にはつながりません。

今、仮に時間と人手が多少かかったとしても、それは「先行投資」だと割り切って、しっかりと実行することが結局は業績向上につながります。そうはいっても効率的に行った方がよいのは当然ですので、今回ご紹介した内容を理解して、自店舗での新人教育にぜひ活用してください。