メンタルヘルスケアで離職率を減らして職場環境を整えよう

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メンタルヘルスケア

飲食業界はスタッフの離職率が高く、慢性的な人手不足状態が続いています。離職の理由でとくに多いのは、人間関係や長時間労働などによる精神的・肉体的ストレスといわれています。

スタッフに長続きしてもらうためには、何よりも居心地がよくて働きやすい環境をつくることが大切で、それには経営者によるメンタルヘルスケア対策が重要になってきます。

ここでは、飲食店におけるメンタルヘルスケアについて基本的なことから説明していきましょう。

メンタルヘルスケアとは?

メンタルヘルスケアをする医師

メンタルヘルスケアとは「心の健康を維持・管理すること」といった意味で使われています。心の健康を害する原因といえばストレスですが、ストレスはすべて有害なものとは限りません。

たとえば、飲食店の場合は「今月の売上目標はいくら」といったノルマがつきものです。最初はノルマがストレスになりますが、ノルマがあることで気持ちが引き締まり、達成させようという意欲がわいてきます。 そして目標をクリアできると、次に同じ目標を立てても前より楽に達成できるようになります。ストレスのレベルでいうと、「過剰ストレス」が「適正ストレス」に好転したことになります。

このように、ストレスとひと口に言っても、その人が乗り越えられるレベルのものであればむしろプラスに作用する場合もあるのです。 ところが、過度のストレスが長期間続いたり、繰り返しかかったりすると、ストレスに適応できなくなり、メンタルヘルスの不調をきたしてしまいます。 それを防ぐために必要なのが、自分が抱えているストレスに気づいてコントロールする「セルフケア(自己管理)」です。

しかし、職場での人間関係や長時間労働などによるストレスは、自分の力だけで対処できるものではありません。 そのため、職場全体で計画的に取り組む「メンタルヘルスケア対策」が重要視され、正社員やアルバイトの別なく全員が心の健康を保ち、イキイキと働くことのできる職場にするための環境づくりが求められるようになりました。

メンタルヘルスケアで離職率を改善

離職率改善

飲食業界の離職率はほかの業界に比べてかなり高いことが厚生労働省の調査でも明らかにされています。

離職理由として多いのは、「人間関係のストレス(パワハラ、セクハラ、いじめなどを含む)」「長時間勤務など労働環境の悪化」「賃金や社会保険など待遇面での不満」の3点があげられるようです。こうしたストレスが長く続けば、パートやアルバイト従業員の心理としては「こんなところでがまんしなくても、働くところはいくらでもある」という思いが強まり、さっさと辞めていってしまいます。

正社員にしても、店長の1日は10時~24時がふつうといわれるように長時間労働です。なかには深夜2時ごろにようやく退社できるという人もいます。賃金がそれに見合わなければモチベ―ションは低下するばかりで、「転職するならなるべく若いうちに」と考えて早期退職するケースが多くなります。そのように転職するケースはともかく、ストレスが重なってうつ病などの心の病にかかってしまう人も少なくありません。

うつ病は重症化してしまうと生きるエネルギーが枯渇した状態になり、仕事どころではなくなります。その結果、長期休暇から離職に至り、店としては大事な戦力を失ってしまうことになります。仕事熱心でまじめ、正義感が強い人ほどうつ病になりやすく、反対に気持ちの切り替えが早く、他人の目を気にしない人はなりにくいといわれるように、発症には性格が大きくかかわっています。事実、うつ病で退職した人はもともと有能な社員だったため、会社にとっても大きな損失になったという例が多いのです。

どのような業界においてもストレスが生じるのを防ぐことはできませんが、経営者がメンタルヘルスケア対策を徹底することでスタッフの離職率を下げることが可能です。逆に、いつまでもスタッフの自己管理に任せているようでは、離職率の改善は見込めないでしょう。

職場のメンタルヘルスケア対策で従業員満度を高めよう

セルフメンタルヘルスケア

では、職場ではどんな方法でメンタルヘルスケアに取り組めんでいけばいいのでしょう。

厚生労働省では、事業所による組織的なメンタルケア対策として、次の「4つのケア」を継続的に実施することを求めています。

1、従業員個人のセルフケア

従業員各人が定期的にストレスチェックを受けるなどして、自分が抱えているストレスの程度に気づき、それに対処するための基礎知識や方法を身につけ、実施できるようになることを目標とします。 それによってうつ病などの罹患を防ぎ(一次予防)、すでに発症している場合は重症化を防ぐために医師によるケアを行います(二次予防)。

2、上司によるラインケア

管理監督者(課長や部長など)は、部下が受けているストレスの要因を把握し、アプローチできる立場にあるため、職場環境の改善や、部下からの相談に応じるなど、初動の対応を果たす役目を担います。 また、休職していた従業員が職場復帰する際の支援も中心となって行います。

3、事業場内産業保健スタッフによるケア

産業保健スタッフとは、産業医、衛生管理者、保健師、人事労務管理者、心理士などの医療職の人を指します。メンタルヘルスケアの専門家として、従業員や管理監督者の相談窓口になったり、4番目の事業場外資源とのネットワークを作るなど、メンタルヘルスケア計画の中心的存在という位置づけになります。経営者は産業保健スタッフの中から自店のメンタルヘルスケア担当者を決め、専門的な助言を受けながらケア対策を推進するのが望ましいとされています。

4、事業場外資源によるケア

メンタルヘルスケアを実施するうえで、医療機関や専門家の支援を活用することが有効な場合があります。事業者は産業保健スタッフを窓口として、医療機関などと連携を図り、それとともに外部の相談ネットワークを形成しておくことが望まれます。


以上の4つのケアは、経営者が主体になって実施することが前提になっています。従業員が50人未満で、事業場内産業スタッフを確保することが難しいという場合は、1のセルフケアと2のラインケアを重点的に、できることから取り組むようにしましょう。

より詳しく知りたい場合は、各都道府県に設置されている「産業保健総合支援センター」に相談するといいでしょう。

メンタルヘルスケアの資格を取得する方法も

資格を取る準備

経営者や店長としてメンタヘルスケアの知識を身につけておきたいという場合は、「メンタルヘルス・マネジメント検定」を受けて資格を取る方法もあります。これは大阪商工会議所が主催する検定試験ですが、全国の15都市で試験を受けることができます。 試験は1種(マスターコース)、2種(ラインコース)、3種(セルフケアコース)に分かれており、1種は経営陣向け、2種は管理監督者向け、3種は一般社員向けとなっています。詳しくは大阪商工会議所で確認してください。

大阪商工会議所:https://www.mental-health.ne.jp/guide/

まとめ

空にハートマーク

職場で同じようなストレスを受けても、うつ病になってしまう人とならない人がいます。それだけにメンタルヘルスケアは難しいものですが、専門的なアドバイスなどを受けながら従業員の心のケアをしていくことで心身ともに良好状態を保つことができ、仕事にも意欲的に取り組んでくれるでしょう。

雇用主には、従業員の健康を守る「安全配慮義務」があります。身体の健康診断とともにメンタルヘルスケアの重要性も認識して、この安全配慮義務を果たすように努めてほしいものです。