1店舗目を成功させ、店舗展開していくと4店舗目を出したころから既存店の業績が落ち込む「法則」とは…?

開業・経営

KNOW THE RULESと書かれたメモ

こんにちは、汗を流すコンサルタントの白岩です!
今回は安定した経営をしていくための出店計画についてお話していきます。
まず皆様、ご存知かもしれませんが、独立開業した飲食店の約半数は3年以内に閉店すると言われています。
そこで最初の1店舗目を成功させなくてはならないわけですが、私は将来的に4店舗までの展開を視野に入れるようアドバイスしています。なぜなら、1店舗のままでは中長期的に見ると経営が安定しないからです。この理由については後ほど述べます。問題は1店舗目を成功させた後です。4店舗を目指して2店、3店舗と展開をし、4店舗目を出店した頃から徐々に既存の3店舗の業績が落ち込むケースがあります。この現象は本当に多くの企業に見られることもあって、私はこれを「4店目の法則」と呼びます。

そこで今回は、4店舗まで展開した方が良い理由と、1店舗目を成功させ、店舗展開をしていった先に待ち受ける「4店目の法則」が起こる原因と対策について説明していきます。

1店舗目を成功させたら4店舗を目指そう!

先に述べましたが、私は1店舗目が成功したら、とりあえず4店舗までの展開を目指すようアドバイスしています。なぜなら1店舗で経営している以上、店主(オーナー)はいつまで経っても現場から離れられないからです。飲食業は基本、立ち仕事ですので足腰に負担がかかります。年を重ねていく中で、もし身体を壊して店が開けられなければ収入がなくなってしまいます。しかし、4店まで展開していれば、どうでしょう?私の経験上、2店、3店舗までですと、状況によってはオーナーが現場に入ることもありますが、4店であれば、店舗間で十分に人の手配ができるので、オーナーは、ほぼ現場に入らずに済みます。

また4店舗まで展開しておけば、近隣に競合店が新規出店された時のリスクも1/4(25%)に軽減されます。万が一、競合店の影響を受け店舗を売却するような事態になっても、まだ3店舗が残っていますのでオーナーの収入は確保されます。これが1店舗であると、そのリスクは1/1(100%)ですので、そのダメージは深刻です。もし、店舗を売却するとなれば売却益による一時的な収入はあるものの、以降の収入はなくなってしまいますので収入を得るために仕事を探さなくてはならなくなります。

オーナー自身が健康であっても、その家族や親御さんが身体を崩せば、今度は看病・介護をしなくてはならなくなります。1店舗であれば、その間、店を開けることができなくなり収入はなくなってしまいます。

これまで私は、先に挙げた理由によって「以前は、自分で店をやっていたが、今は店を閉めて仕事を探している」という多くの「元オーナー」に出会ってきました。みな、1店舗しかやっていませんでした。多くは40、50歳代でしたので、この年から就職をし、1からスタートというのは、なかなか辛いと思います。とはいえ、後悔している暇はありません。今を、そしてこれからをしっかりと生きていかなくてはなりません。

ただ、これから独立を目指し、あるいは1店舗を経営している人には、こういった現実があることを知って欲しいと思いました。そこで「1店を成功させたら、4店舗までを目指すことの理由」について、これまで述べたのでした。ここからは、4店舗を目指す時の話をしていきましょう。

店舗展開の先に待ち受ける「4店目の法則」とは?

1店舗目を成功させ、店舗を展開していく際に陥る「4店目の法則」。これは、先にも述べましたが2店、3店と出店をして4店舗目を出店したころから既存の3店舗の業績が落ち込む現象のことです。なぜ、4店舗目を出店したタイミングに全体の業績が落ち込んでしまうのでしょうか?多くのケースを見るうちに、私はこの法則が発動する「3つの原因」があることに気づきました。次項より、この法則が発動する3つの原因、そしてその対策について紹介していきます。

原因①:全店の商品に目が行き届かなくなる

1店舗であれば、オーナー自らが店にいますので、全ての商品に十分に目が行き届きます。2店、3店舗であっても、まだなんとか各店の商品にオーナーの目は届くようです。しかし、4店舗目を出店した頃から、徐々に各店の商品にまでオーナーの目が届かなくなるようです。
「状態の悪い食材を納品してしまった」
「常連客から『味が変わった』『商品が落ちた』と言われた」
「料理長がレシピ(分量・調理法)を変えてしまっていた」
こういった声が4店舗目を出店した頃から増えることも、オーナーの目が届かなくなったことを意味しているといってよいでしょう。「食べ物屋」である飲食店において、商品の品質が落ちることは致命的です。

これを回避するためには、これまでオーナーのみの技術やセンスに依存していた商品開発や調理について、ある程度の「標準化」を図る必要があります。
具体的には、まず各店の料理長に集まってもらい、調理技術、知識、食材を見極める目利きなど定期的にチェックすることです。営業時間外に「調理勉強会」などを開催すれば、オーナーは各店の調理長のレベルを確認することができます。ただ、これだけではいけません。
なぜなら、各店の料理長に依存し過ぎる状況となってしまうからです。せっかく育てた料理長にいきなり辞められてしまっては、堪ったものではありません。そのようなリスクを避けるためにも、技術に依存し過ぎないよう、技術を補完する「仕組み」を検討すべきです。具体的には、急速冷凍・解凍庫や真空調理器、コンベクションオーブンや、とんかつや天ぷら店などの揚げ物主体の店であれば、オートフライヤ―(流れるプールのようなフライヤー)などの調理機器を導入することです。
人による技術を有しつつも、先のリスクを回避すべく、それを補完する仕組みも取り入れる。飲食店経営を考える上で、その時のトレンドや、競合他社の動向を見ながら「技術」と「仕組み(機器)」の「最適なブレンド比率」を調整(コントロール)する視点が「4店目の法則」陥らない上で非常に重要です。

【関連情報】

バイトリーダーは店長の右腕!?頼れるバイトリーダーを育てる方法とは

原因②:各店の顧客満足状態の把握が難しくなる

オーナー自らが現場に立っていた1店であれば、来店する全てのお客様の顔を見ることができました。帰る際のお客様の顔を見れば、およその満足度を推測することができたはずです。不満の声を聞けば改善することもできましたし、満足の声を聞けば手ごたえを感じることができました。しかし、出店していくうちに、この聞ける声の数が少なくなっていきます。各店に訪れたお客様のうち、どのくらいが満足し、どのくらいが不満を抱えて帰ったか?が把握できなくなっていくのです。
こうなってしまったオーナーは、時に誤った判断をしてしまいます。
例えば、ごく少数派のお客の声であるにもかかわらず、その声を元に商品やサービスなどを変えてしまったり、各店の店長やスタッフを褒めたり叱ってしまうのです。「Aと言う80%のお客様」と「Bと言う20%のお客様」がいたなら「A」を選ぶことが、正解であるはずなのに、Aのお客の声の存在に気づかずに、たまたま耳に入ったBの声が100%の声だと誤った判断をしてしまう。これが、「4店目の法則」に陥る原因の一つです。

こうならないために、来店するお客の声を聞くことを目的として、お客様アンケートを始めることを私は推奨します。アンケートの取得数と内容によって、その日の営業の顧客満足レベルを測ることができます。覆面調査(ミステリーショッパー=MS)の導入も、費用はかかりますが4店舗目を出店するタイミングから検討していくとよいでしょう。

【関連記事】

飲食コンサルって必要?本当に役立つコンサルの見分け方とは

原因③:全スタッフとの関係が希薄になる

1店あたりに在籍する店長、社員、パート・アルバイトを含む全スタッフの数は、店の規模にもよりますが、およそ5~30名ほどになります。4店舗目を出店するということは、単純計算で、その人数は20名~120名に増えることになります。これだけの人数になるとオーナーとスタッフとの関係は希薄になります。働くスタッフにとって、トップとの関係が希薄になるということは、それだけ仕事に対するモチベーションが上がらないことを意味します。働くスタッフのモチベーションは、店舗力に直結し、それは自ずと業績を左右することとなります。

そのような事態を回避するためには、まずオーナーが4店舗目を出すタイミングから、自らの仕事を変える必要があります。以前までは自ら現場に立つことが主な仕事でしたが、4店舗目からは「理念の浸透」を主な仕事としていかなくてはなりません。例えば、スタッフを集めた研修や勉強会、あるいは食事会を開催して、スタッフとの関係を築く場を設けることです。もちろん、これだけでは不十分です。

同時に各店長の意識改革が不可欠となってきます。2店、3店舗までであればオーナーが言うことに従っていれば良かったわけですが、4店舗目からは「自らで考える」意識を持ってもらわなくてはならないからです。この店長の意識のシフトチェンジが遅れると、ますます「4店目の法則」に陥ることとなってしまいます。

「店主」から「経営者」になろう

以上が「4店舗目の法則」に陥る原因と、その発動を抑える対策です。これらを踏まえて、適切な対処ができれば、4店舗での経営は安定することでしょう。この時、初めて「店主」は「経営者」へと実質的な変貌を遂げることとなります。

そして…当然ながら4店舗の経営には「先」があります。それは5店舗以上の多店舗経営を目指すという将来です。5店舗以降の店舗展開に際しては、いよいよ経営者の右腕となる「幹部の育成」という課題が待っています。組織を「社長⇔現場」という二階層から、「社長⇔幹部⇔現場」という三階層へと一段階、増やさなくてはならないからです。この話もまた、実に奥深いものとなりますので、続きは別の機会に譲らせてください。1店舗目を成功させ、4店舗までを目指す際に待ち受ける「4店目の法則」。どうか本稿を参考にこれを乗り切り、「とりあえず4店」の出店を目指して経営だけでなく、人生の安定を掴んでください。

【店舗経営においてはPOSレジが欠かせない】

店舗を経営するにあたって、今やなくてはならないのが「POSレジ」です。POSレジ一つで日々の業務効率化だけでなく、売上管理・分析等を行うことが出来ます。

現在はiPadなどを用いた「タブレット型POSレジ」が主流になっており価格も月々数千円~で利用出来るようになっています。機能性も十分に高く、レジ機能はもちろん、会計データの自動集計により売上分析なども出来るため店舗ビジネスをトータルで効率化させることが出来ます。

「機能を使いこなせるか不安」という方には、操作性が高い「ユビレジ」がおすすめです。業種を問わず累計3万店舗以上で導入されているタブレットPOSシステムで、月々6,900円(税別)からご利用いただけます。

実際の操作方法などが気になる方には無料のオンラインデモも対応可能!まずはお気軽にご相談ください。

▶︎無料オンラインデモで操作性を確かめてみる

この記事の著者

白岩 大樹
白岩 大樹

1976年熊本生まれ。中央大学卒業後、板前として「なだ万」に勤務。2000年より「牛角」のスーパーバイザーを務め、2004年より、OGMコンサルティングにて集客コンサルタントとして活躍。2009年アップ・トレンド・クリエイツ設立。「汗を流すコンサルタント」として、飲食店アルバイトをメインにコンサルティングを展開中。現場を直接動かすスタイルで数々の収益向上を実現している。

アップ・トレンド・クリエイツ