飲食店の立地条件の調査方法 | 立地マーケティングで抑えるべきポイント

最終更新日: 2018/10/15
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人が行き交う街中

飲食店をどこに開業するかは非常に悩むところです。立地選びは店舗の集客に大きな影響をあたえます。立地選びは、マーケティング上で非常に重要な要素です。また、立地によって家賃、つまり固定費用も違ってきます。立地は後から変更することができないので、慎重に検討しなければなりません。

立地選びに失敗しないためには、何に気をつければ良いのでしょうか。また、立地に即したマーケティングはどのように行えばよいのでしょうか。立地条件の調査方法をより深く解説していきます。

なお、飲食店の開業全般については次の記事をご覧ください。

飲食店の開業・経営・独立のための15の準備

あなたのお店にとっていい立地とは?

商店街

いい立地といわれたらどのような条件を思い浮かべるでしょうか?一般的にいい立地の条件として挙げられるものには、人通りが多い・都心・駅前など、いくつかあります。

しかし、「どの店にとっても良い立地」というものはありません。

例えばラーメンや丼ものなどの、個人での来店客をメインターゲットとした回転率重視の形態で出店したいのであれば、日中に人通りが多い路面店であることは有利と言えます。人通りの多さは、店舗が目に入りやすいということに直結します。しかし、その分家賃が高くなりやすく、チェーン店など同業種の競合店も密集してきます。

一方で、ゆったりとした場を提供したいカフェやダイニングバーの場合には、駅前だと客層が若くなりすぎて客単価が低いのに長居するお客様が増え、収益率が下がる可能性もあります。

ここで大事になってくるのが、お店のコンセプトと合致するかどうかという視点です。

回転率重視であれば人通りが多い場所を、客単価重視であれば少し郊外へ

出店する業態・コンセプトによって、おおまかな立地の条件が判断できます。

たとえばファーストフード店などの場合、1席あたりの売上(客単価×回転率)を上げることが重要です。客単価はワンコインから1,000円とさまざまですが、重要なのは回転率を上げることです。そのため人通りが多い場所に立地させる必要があります。通行人がそのまま見込み客になるので、通行量や近隣店舗の集客状況から出店後のイメージも立てやすく、失敗するリスクが減らせます。また、宣伝広告費を抑えるという点でも、人通りが多い立地への出店はメリットが大きいです。人通りが多い立地のファストフード店の来店きっかけは、想像以上に「看板を見て」や「ちょうど目に入った」が占めます。オープン直後の呼び込みを行えば、その後にチラシや雑誌への掲載を行わずに継続して集客することが可能です。

カフェやレストランなど、複数名での来店が多く客単価がある程度高い場合、回転率の優先順位はそれほど高くありません。むしろ、お客様はその場の雰囲気やスペースを求めていると考えることができますので、幹線道路沿いではない駅から徒歩10分前後の場所の方がより適しているとも言えます。あるいは2階の物件を選ぶことで、人通りが多くても窮屈な感じや雑踏感を軽減することができます。

なお、コンセプトに合わせて立地を選ぶのではなく、立地に合わせてコンセプトを決めるという方法もあります。絶対的な正解の立地はないので、工夫次第では家賃の安い物件でも繁盛店を目指すことは可能です。

コンセプトの考え方について、詳しくは次の記事をご覧ください。

飲食店・店舗のコンセプトの作り方・考え方【コンセプトシート付き】

立地を選ぶときのポイント

ポイントを示す女性

お店のコンセプト・ターゲット層を確認した上で、飲食店の立地条件で考えておくべきポイントは以下です。

家賃(坪単価)

家賃が高い場合、それだけの売り上げを達成する必要があります。自分のお店のコンセプト・メニュー・ターゲット層から売上を予測し、何割を家賃に充てることができるかを考える必要があります。1階はお客様が入店しやすいですが、その分家賃が高くなりなす。

ここで重要なのは、家賃を長く払い続けることが大きな負担とならないことです。家賃は固定費で、業績が悪化しても安くなりません。出店計画を立てる際の売り上げ予測は、上、中、下で必ず3パターン作り、1月~12月までをそれぞれしっかり計画しましょう。単月での家賃を考えるのではなく、年間を通してのコストととらえて管理をしましょう。

人通り

人通りが多ければ、それだけ坪単価が上がり競合店が多くなります。ラーメン店のような業態を考えると、人通りがあって回転率が十分であれば、狭い店舗でも売上を確保できるでしょう。

ただし、「人通りが多い = 見込み客が多い」というカウントでは失敗します。立地の人通りを判断するには、自分の店舗がターゲットとする人について、交通量が十分にあるかを見極めなければいけません。また、自身の土地勘がない立地に出店する際は、年間の人通りに特性がないかということもリサーチしましょう。

周辺に来る人・周辺施設の属性

立地とターゲットは深く関係します。オフィス街であれば、昼間は蕎麦や定食屋などで食事をとりたい個人、夜はオフィスから駅までの間で同僚とお酒を飲む少人数のお客様を集客できます。商業施設の近くであれば、カップルや家族連れが集客できるでしょう。カフェを出店するのであっても、喫茶が中心でビジネスの打合せで利用ができるカフェなのか、ゆっくりお食事をたのしみながら長時間滞在できるカフェなのかなど、ターゲットが別であれば最適な立地が変わってきます。都心部を外れた郊外であれば、平日と週末によって客層が違う場合もあります。周辺属性が自店舗のターゲットと一致しているかを確認しましょう。

飲食需要がどれだけかを見極める

駅前に店舗を構えても、飲食目的の人が周りにいなければ経営は成り立ちません。その地域に飲食需要がどれだけあるか、どのような形態(居酒屋、カフェ、ラーメンなど)が人気なのかを見極めることが重要です。そのためには立地調査が必要です。詳しく見てみましょう。

商圏を設定する

他の項目にも関わってきますが、物件の商圏を考えることも重要です。
その物件のメインターゲットになる人がいる範囲のことで、気軽に来店できる範囲を1次商圏、来店は苦にならないが目的を持ってわざわざ来る範囲を2次商圏と呼びます。
徒歩移動がメインの立地であれば、徒歩5分程度が1次商圏で、10分程度が2次商圏です。車移動であれば、10分程度で着くのが1次商圏で、20分程度が2次商圏です。とはいえ、これはあくまで目安です。例えば徒歩5分でも駅の向こう側にあると階段の上り下りが発生して、2次商圏になってしまう可能性もあります。
業態や条件にもよりますが、1次商圏が売上の50〜60%、2次商圏が20〜30%を占めると言われています。こうした商圏も意識して立地を検討しましょう。

現地調査のポイント

現地調査のイメージ

ある程度出店先のイメージがついたら、候補地の現地調査をしましょう。

注意したいのは、時間帯によって街の様子は変わるということです。通行する人の層や交通量も変わります。車の通行量が変わるだけで通行のしやすさもガラッと変わります。

また、実際の物件の入りやすさなどもチェックしましょう。奥まった場所なのか目立つ場所なのか、というポイントだけでなく、隣の店舗や同じビルの店舗などもチェックしておきましょう。

そのほか、競合店との距離なども確認して、長くビジネスを行える場所かどうかを検討するようにしましょう。

大手チェーンの立地マーケティングを参考にするのも手段の1つ

大手チェーンなど

とはいえ、こうした調査や分析がどこまで正しいのか、不安になることもあるでしょう。そうした場合は、大手チェーン店の出店場所を参考にしてみてもよいでしょう。
大手チェーン店は多くの場合、採算が立つかどうかを念入りに調査して出店先を決定します。つまり、大手チェーン店があるということは、その立地の商圏が有望であるということだと言えます。少しずるいかもしれませんが、確実性の高いやり方です。ただし業態やコンセプトが遠い店だとターゲットが違うので参考にならない可能性もあります。何より、その大手チェーンをライバルに戦っていかなければならないというハンデを背負うことになるので、よく考えて検討する必要があります。

他店舗は実際にどこに開業している?

では、実際に他のお店はどこに開業することが多いのでしょうか?データで見てみましょう。
少し古いですが、2013年に日本生活金融公庫が調査したデータによると、業種別の立地は次のとおりです。

業種別の立地場所パーセンテージ

このように、業種によって立地にばらつきがあります。ライバルがいない場所を狙うのも手段の一つですが、出店場所が集まるのにはそれなりに理由があります。例えば、住宅地にすし店や西洋料理店が多い傾向がありますが、これは高級店だからこそだと考えられます。駅などから離れた住宅地でもわざわざお客様が来る、客単価が高いので人通りが少なくても良い、落ち着いた客層なので住宅街でも営業ができる……などなど、さまざまな理由があります。
なぜそうした立地になっているかなどをじっくり考えて、お店のコンセプトに活かしたり、立地を検討したりするとよいでしょう。

正しい立地調査を実施して場所を決める

コンセプトやメニューが決まっている場合、立地が最重要項目です。必ず、開業前に立地調査を行いましょう。調査の目的は、自身が考えている業態の飲食店がその立地で収益を上げることができるかどうかです。周辺の飲食店の状況や業態をしっかり確認しましょう。

例えば、駅近くにイタリアンのレストランを出店したい場合、駅から徒歩10分以内の立地を調査します。

飲食の需要があるのかを判断

何店舗ほどの飲食店があるのかによって概ねの需要を判断できます。さらに、飲食店向けの空き物件が増加傾向にあるのか、増減があまりないのかを調査しましょう。また、営業時間、定休日なども調査し、時間帯や曜日での需要の変化を確認することも大切です。

業態としてのニーズがあるのかを判断

あなたが出店しようとしている業態と同業態の飲食店が何店舗あるのかを調べ、座席数と空席状況を確認しましょう。仮に、居酒屋がテナントとして入っている物件が明らかに増加傾向にあるのならば、居酒屋の立地として最適とは言えないでしょう。逆に満席で予約も取れない状況であれば、需要は大きいはずでありその業態での出店に向いていると考えられます。

以上の2つをしっかり確認することで、大きな失敗は免れます。

さらに具体的に物件を探す方法については、次の記事をご覧ください。

居抜き物件とスケルトン物件で得なのはどっち?飲食店物件の探し方!