原価率は何%がいい?飲食店の粗利・客単価を上げるためにできること

最終更新日: 2018/03/29
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パソコンと飲食店

飲食店に限らず、経営をする上で大事なことは数字を読むことです。今月の売上、粗利、経費、利益の話から、どのメニューがどれくらい売れたかなどの商品の話まで、数字を読んで判断をすることが大事です。その基本として、原価率について理解することからはじめてみましょう。

今回は、原価率や粗利とはなにか、原価率を下げるコツや注意点など、経営に活かすポイントを説明します。

原価率とは

電卓と野菜

原価率とは、売上に対する原価の比率を表したものです。原価率についてより深く理解をするためには、原価についても知らなければなりません。

原価とは、商品やサービスを生み出す際に必要になった仕入れ費用や製造費用のことを指します。原価となる項目は、業界や業種によってまちまちです。そのため、一概に原価に入る項目を抽出することはできません。しかし、飲食店に限って言えば、お店で提供する料理や飲み物を作るためにかかった食材費や飲料費が原価となります。たとえば、材料費30円のみそ汁が、その後100円で売れたとします。この場合、材料費の30円が原価です。

原価率は、売上に対する原価の比率を算出した指標となるため、店舗経営をしていくなかでは、本当にメニューの原価率が適正なのかを見直したり、現在の経営状況を確認する時に大切な役割を担うのです。

売上から原価を引いたものが粗利

お金を積み上げる手

結論からいうと、飲食店における原価率は30%が望ましいといわれています。しかしながら、商品ごとに見ていくと40%近くになるものや、20%台のものも出てくるかと思います。お店によっては、原材料や素材にこだわって料理や味の質を上げ、戦略的に原価率を高めに設定しているところもあります。

原価率が高くなればなるほど、粗利の額は少なくなる傾向にあります。そのため、粗利はお店のコンセプトのあらわれであると言えるかもしれません。

それでは、原価率と粗利の出し方について確認しましょう。

原価率の出し方

原価率は、「売り上げの原価÷売上高×100」という計算式によって算出することができます。それでは、300円で仕入れた品を800円で売った場合の原価率を、以下で算出してみます。

原価率 = (300 / 800) x 100 = 37.5%

300円で仕入れた品を800円で売った場合の原価率は、37.5%となります。

粗利の出し方

粗利とは、販売している商品やサービスがどれだけの利益を生んでいるのかを判断する、基本的な利益のことを指します。売上総利益ともよ呼ばれ、売上から原価(原材料費)を引くことで算出することができます。それでは、原価率と同じ例を用いて粗利を算出してみます。

粗利 = 800円(売上) - 300円(原材料費) = 500円

300円で仕入れた品を800円で売った場合の粗利は、300円となります。

原価率と粗利について詳しく知るということは、商品ごとの利益効率を正確に把握することにつながります。利益効率の良くない商品を扱うことは、店舗経営にとって死活問題になりえる問題です。健全な店舗運営をしていくためにも、しっかりと原価率と粗利について理解しておきましょう。

粗利から販管費を引いたものが営業利益

利益を歩く指

営業利益は「儲ける力」を判断する指標といわれます。営業利益は粗利から販管費を引いて計算されます。販管費とは、お店を経営するための経費であり、人件費、賃料、水道光熱費、宣伝広告費、福利厚生費、修繕費などが該当します。

販管費を300万円とすると、上の例から、

営業利益 = 500 - 300 = 200万円 となります。

まとめると、

売上 - 原価 = 粗利
粗利 - 販管費 = 営業利益

です。ここで重要なのは、販管費は粗利から払われることです。よって、利益をあげるためには販管費の削減はもちろん、粗利を多くする(売上アップor原価を下げる)ことが重要です。つまり、その他の条件が一定であれば、原価率を下げることで利益は増えます。

原価率をさげるにはロスを減らそう

大量の野菜

原価率を飲食店で下げるためには、できるかぎりロスを減らすことが重要になります。ロスとは、料理を作るために仕入れた食材が、実際にお客様の元へ提供されることなく廃棄された食材の損失を指します。

食材のロスは、以下のデメリットをお店にもたらします。

無駄な食材費を減らす

飲食店を経営するなら、料理やドリンクを作るために必要な食材を必ず仕入れなければなりません。当然のことながら、仕入れる食材は無料ではなく有料です。よって、ロスによって食材を廃棄するということは、食材を買うために支払った代金が無駄になってしまうことを意味します。

飲食店を経営していると、お客様が多く来店された場合に備えて、たくさんの食材を仕入れることもあるでしょう。また、食材がたまたま安かったという理由によって、使い切れるかを考えず大量に購入してしまうこともあるかと思います。しかし、仕入れた食材を使い切ることができずロスにしてしまったのなら、それは原価率を高くする原因となります。

食材のロスは、オーダーミスやオーバーポーション、そして在庫管理の不備などによって生じます。ロスのほとんどが、飲食店側の人為的なミスによるため、お店としてもしっかりと対策を練る必要があります。

原価率を下げることは、粗利を増やすことになります。ロスを減らすことは原価率の上昇を抑えることにつながるため、結果として粗利の減少を減らすことができるということなのです。

ロスを減らして利益をあげる具体的な方策については、以下の記事を参考にしてみてください。

ロスを減らして利益をあげよう!食材のロスを出さない方法とは?

原価率はメニューや食材ごとで違う?

お金を食す男性

原価率は、提供するメニューや使用する食材によって異なります。飲食店の原価はほとんど食材費であると考えられるため、食材によって原価率は高くもなれば低くもなるのです。極端な話をすれば、同じ食材でも時期によって原価率は異なることもあります。

中でも、野菜は頻繁に価格の変動が起きやすい食材の代表格と言えます。なぜなら、野菜の栽培には気候が大きく関係しているからです。たとえば、長雨や台風、そして気温の低い日などが続いてしまうと、野菜が十分に育たず規格に満たない野菜となってしまい、十分な量を出荷することができなくなってしまいます。出荷量が減少するということは、それだけ市場に出回る量も限られてしまうので、価格が高騰するでしょう。

このように、飲食店で使用する食材の中には、あらゆる要因によって、価格を一定水準に保つことが困難な場合があるのです。こうした理由によって、原価率は高くも低くもなるのです。

一般的に、飲食店の原価率は30%以内に収めるのが良いとされています。30%という数値は、利益を圧迫しないとされるギリギリの数値であると考えていただければ良いでしょう。しかし、野菜の例でご説明したように、飲食店における原価率は使用する食材や時期、また、フードやドリンクによっても大きく異なります。

フードとドリンクの原価率を比べてみると、ほとんどの場合、ドリンクの方が原価率が低くなります。反対に、原価率の高い食材を使ったフードならば、原価率は自ずと高くなります。よって、すべての食材やメニューを、一律に原価率30%の数値に当てはめることは困難なばかりでなく、当てはめようものならお店の魅力を消し去る可能性もあるのです。

そこで考えなければならないのは、メニューごとの役割とバランスです。お店の看板メニューにしたい料理の原価率が多少高くなってしまったとしても、原価率の低いメニューが売れ筋商品となれば、全体としての原価率を30%に抑えることができます。

大切なことは、全商品の原価率を一律に30%以内に抑えるのではなく、全体として原価率を30%以内にするということです。そのためには、食材やメニューごとの原価率を考える必要があります。

料理やドリンクの原価率については、以下の記事を参考にしてみてください。

飲食店・居酒屋・レストランの原価率

原価率把握には棚卸しが重要

棚卸しをする男性

原価率を把握することは、飲食店にとって非常に大切なことです。原価率を把握することができれば、お店の経営の状態も見えるようになります。しかし、経営者の中には原価率のことを考えず、いわゆるどんぶり勘定によって店舗運営を行っている方もいるでしょう。しかし、原価率を考えないで行う店舗経営では、決して飲食店の経営を成功させることはできません。なぜなら、持続的な経営を成り立たせるためには、常に利益を出し続ける必要があるからです。つまり、常に適切な利益を生み出せなければ、お店を存続させることはできないのです。

飲食店の利益はとても少ないとされています。お店によっては、最終的に残る飲食店の利益が10%程度であるといわれるほど、厳しい世界なのです。これはつまり、10万円の売上を記録しても、残るのは1万円しかないということを意味します。

厳しい飲食業界で生き残るには、少しでも利益を生む必要があります。そのためには、適正な店舗経営が行われているのかを、常にチェックし続けなければなりません。原価率を把握するということは、適正な経営判断ができているのかをチェックすることにつながります。

原価率を知るためには、毎月の月末に食材の在庫量を確かめる「棚卸し」を行いましょう。棚卸しによって原価率を知れば、メニュー価格の見直しや在庫ロスを防止することができます。原価率を参考に、正確で素早い経営判断ができれば、店舗経営を成功させるファーストステップをクリアしたと言えるでしょう。

原価率を知るために必要な棚卸しのポイントや注意点については、以下の記事を参考にしてみてください。

棚卸しをして正確な原価率を出そう!飲食店での棚卸のポイントとは

原価率だけにとらわれず、長期的な売上アップを目指そう

長期的な売上上昇

原価率を意識することは、店舗を経営していくうえで大切なことです。しかし、原価率を低くすることを経営の至上命題にしてしまうことは、必ずしも良いとは言えません。

なぜなら、原価率の低い料理だけをお店で扱ってしまうと、お客様からの満足度が下がる可能性があるからです。確かに、飲食店の利益率は非常に少ないため、できる限り原価率を低く抑えることは、利益率を高くすることになるでしょう。ところが、今までお店で提供していた人気のメニューを、原価率が高いことを理由に原価率の低い食材で代用するようなことをしてしまっては本末転倒です。お客様は、原価率を基準にメニューを選んでいるのではなく、料理の味やコストパフォーマンスを重視して選ぶのです。この意味でのコストパフォーマンスとは、料理の価格に対して期待する味が、実際食べてみたら上回っていたと感じる、いわばお得感のことを指します。そのため、原価率の低い食材で代用してしまうと、以前よりおいしくなくなったと思われたり、コストパフォーマンスが悪くなったと受け止められる可能性を孕みます。それは結果として、お客様の満足度やリピート率が低下することになるでしょう。

原価率の低いメニューは、短期的に見れば利益率を上げるでしょうが、長期的な目線で見ると、売上の低下をもたらす恐れがあります。

飲食店が考えるべきは、すべての商品の原価率を低く抑えることではなく、どうすればお客様に満足していただけるのかについてです。お客様に満足していただくには、料理に関することだけではなく、お客様をお迎えするお店側のホスピタリティー精神が必要になります。お客様へのホスピタリティー精神をもっとも体現できるのは、接客です。接客によって来店されたお客様を感動させることができれば、それだけでもリピートにつながるかもしれません。大切なことは、来店から退店までのすべてのフェーズにおいて、お客様一人ひとりへの気遣いを忘れないということです。

飲食店が目指すべき方向は、原価率によって利益率をあげることではなく、接客によって顧客満足度を向上させ、長期的な売上アップを実現することでしょう。

飲食店における接客のポイントについては、以下の記事を参考にしてみてください。

接客マニュアルをつくろう!飲食店接客マナーの重要ポイントとは

営業利益を上げるには?

矢印を上昇させる男性

店舗経営では営業利益を重要視します。営業利益から銀行への金利などの営業外損益も含めて計算した利益を経常利益といいますが、これはお店の努力では何とかならないこともあるからです。

さて、営業利益を上げるためには以下の2つのどちらか、または両方が必要です。

粗利を増やす

粗利額を増やすには売上を増やす(客単価を上げる)ということは、わかりやすいでしょう。原価を下げるには、仕入れの原材料費を下げるということです。

客数を増やす、または原材料の消費(ロス)を減らすことも考えられますが、そのためには露出方法の施策を考える必要や、消費量が少ないメニューを開発するなど、ある程度期間が必要になります。

さて、飲食の原価率は30%(価格が1,000円であれば原材料費は300円)がよいといわれていますが、それは本当なのでしょうか?

FLコストという、原材料費と人件費の比率で損益構造を考える、飲食業界ならではのコスト概念があります。通常、FLコスト比率が売り上げの50~55%というのが理想とされています。そのため、原価としては30%というのが最大値として出せる限界とされます。しかし、繁盛している店ほど原価率が高く、40%以上となっているお店も多いと聞きます。よりよい食材を仕入れて料理の質を上げ、客数を増やせば仕入額は上がっていきます。こうした例は、客単価も上げる努力をしているとともに、人件費の無駄を省きながら効率のいいオペレーションを組んでいるのでしょう。客単価を増やす方法は、単純に言えば値上げをすることです。客離れをおこさないためにも、メニューや旬の演出、接客によるオススメなどの全体的な施策が必要になります。

よく、たくさん売るには値下げをしないといけないと考えがちですが、値下げした商品ばかりが売れてしまった場合、客単価を取り戻すのはとても難しくなります。タイムセールや期間セールなどで値引きを定期的にやっていく場合も、その時期ねらいのお客様が増えてしまい、通常価格の時期や時間帯の客離れが生じてしまう原因にもなりかねません。想定する客単価を設定したら、施策をよく考えて実行しましょう。

経費を減らす

経費とは、事業を行うために使用した費用(コスト)のことを指します。つまり、事業を行っていくうえで発生した諸費用は、すべて経費として分類されます。以上の定義に従えば、取引先との会食によって発生した飲食費や、接待の一環として使用したタクシーの利用にかかる送迎費なども経費にあたります。ただし、事業に関係のない行為によって発生した費用は、すべて経費にはなりません。たとえば、自宅の洗濯機で使う洗剤がないからと購入した洗剤の費用や、私的に利用したタクシー代は経費になりません。

では、飲食店の経費にはどのようなものが含まれるのでしょうか。大別すると、以下の5種類に分類することができます。

  • 料理に関する費用
    仕入費用や光熱費など
  • 人に関する費用
    給料や交通費など
  • お金に関する費用
    事業税や借入金の利息など
  • 不動産に関する費用
    店舗の賃貸料など
  • 雑費
    上記4種類の項目に当てはまらないもの

飲食店における経費は、大きく分けると上記の5種類に分類することができますが、実際に考えるとなると、経費になるかどうかという判断に迷うこともあるでしょう。その際は、「飲食店を運営する上で、絶対的に必要な費用なのか」ということと、「社会通念上、妥当な金額であるのか」を基準に経費かどうかを考えてみてください。

飲食店を運営しているとなにかにつけてお金が必要となるため、経費も膨れ上がりがちです。しかし、利益とは売上から経費を差し引いた額によって導かれるため、経費が多ければ多いほど利益率を低くします。そのため、少しでもお店の利益率を高めるためには、経費を少しでも節約する必要があるでしょう。経費を削減することができれば、削減した金額自体が利益に上乗せされることにもなるので、積極的に経費の削減に取り組むことをおすすめいたします。

以下の記事では、サービスの質を落とすことなく利益を上げる経費のコストコントロールについて解説しておりますので、参考にしてみてください。

固定費、変動費って?利益を上げるためのコストコントロールのコツ

また、粗利額を増やしたり経費を減らすことが、本当にお店の儲けにつながるのかを調べられる「損益分岐点」という指標について以下の記事で解説しておりますので、併せてご確認ください。

損益分岐点の計算を簡単に行おう!儲かる飲食店の条件とは?

まとめ

利益とコストのシーソー

いかがでしょうか?

施策の効果を見極めるために1つずつ実行しながらじっくりとデータ分析したいところですが、個人経営などの小規模の組織はスピードが命です。ある程度原因のあたりを付けたら対策を立てて実行に移すことが大事です。よって原価を減らすことと客単価を上げることは同時に実行していくことになります。毎月の売上データをエクセルに整理したら、仕入れ伝票も整理して入力し、店全体の原価率をチェックしていきましょう。前月比、前年同月比をパーセンテージで見ていくことで推移を知り、どの数字が変化したのか傾向を掴んでおきます。そして仕入れと客単価についてできるだけ先手を打つことで、粗利額を増やしていくことができるようになるでしょう。