飲食店の開業・経営・独立のための15の準備

最終更新日: 2017/12/20
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飲食店の店内イメージ

飲食店で開業、独立を志す方は非常に多いです。しかし、周りのお店を見てもわかるように、新しい飲食店が次々と開業していく一方で廃業する飲食店もたくさんあります。それだけ飲食店の経営は難しいのです。

この記事では、飲食店の開業、独立で失敗しないために必ず準備しておくべき153項目を解説します。

1. どうして飲食店を開業するのか?

オープン札を持つ女性

「こんなお店を作りたい」「あんなメニューを提供できたらお客様に喜ばれるだろうな」自分の理想のお店を頭に思い浮かべるとき、いろいろなアイデアが湧き出てきていることと思います。

しかし、理想のお店はアイディアだけでは実現できません。お店の改装や、厨房機器の購入費用、家賃など、お店を開くには予想以上にお金もかかりますし、準備のために膨大な時間を費やすことになります。オーナーが有名人であってもあっという間につぶれてしまう時代です。甘い気持ちで飲食店を始めると、すぐにお店は倒産してしまいます。飲食店は成功すればやりがいはありますが、リスクも大きい商売なのです。

どうして飲食店を開業するのか、本当に飲食店で成功できるのかという視点から、もう一度お店を出したいのかどうかを考えてみましょう。

2. 開業資金はいくら必要?

ピンクの豚の貯金箱

開業資金としては、いったいいくらぐらいを準備すれば良いのでしょうか?多ければ多いほど良いというのが一つの回答ですが、目安として見込み年商の50%は準備しておきたいところです。年商2,000万円の見込みなら1,000万円の資金が必要です。

開業資金の使い道ですが、次のようになることが多いでしょう。

合計 1,000万円
物件取得費 450万円
内外装工事費 220万円
厨房設備 100万円
テーブル・椅子・食器など 80万円
運転資金 150万円

物件取得費には、店舗の家賃や保証金が含まれます。保証金は敷金と同じ意味ですが、店舗物件の場合は家賃の10ヶ月分が相場なので、金額が想定よりも大きくなりがちです。「保証金のうち30%が償却」といった条件がついている場合もありますので、注意が必要です(この場合、30%は返還されません)。

内外装工事費や厨房設備については、居抜きの物件を選ぶなどして安く抑えることができます。テーブル・椅子・食器などについても、中古のものを購入することもできます。

運転資金として、仕入れ・人件費・光熱費などの店舗の運営に関する経費を3ヶ月分は準備してください。

資金の調達

開業資金を調達するには、主に次の3つの方法があります。 

  1. 自己資金
  2. 親族や知人から借りる
  3. 日本政策金融公庫から借りる

民間の金融機関からの融資は、担保や保証人を準備したとしても、実績がないと難しいかもしれません。そこで公共の金融機関である、日本政策金融公庫からの借り入れを検討しましょう。その場合でも、開業資金の1/3程度は自己資金でまかないたいものです。

飲食店の開業資金を徹底シミュレーション 融資・助成金はどう調達する?

3. 繁盛店や競合の調査

ミーティングをするビジネスマン達

人気店には必ず理由があります。何の工夫もせずに人が集まってくるようなことはありません。繁盛店や競合店を実際に訪れてリサーチしてください。

リサーチの際には次のような項目に注目すると良いでしょう。

  1. 店内の雰囲気
  2. 従業員の接客態度
  3. メニューの種類・豊富さ・金額
  4. 注文してから料理が出てくるまでの時間
  5. 料理の味

お客さんがどのようにすごしているのか、自分の目で確かめることが大切です。時間をつくってまめにリサーチに行きましょう。詳しくは下記ページにて説明しています。

飲食店の繁盛店・競合店を調査する方法

4. お店のコンセプト

コンセプトのテキスト

飲食店の場合、以下の7項目についてコンセプトを明確にしておくべきです。

  1. どこで?(出店エリア)
  2. 何を?(業態)
  3. 誰に?(ターゲット客層)
  4. いつ?(営業時間・定休日)
  5. 何のために?(利用動機)
  6. どのように?(売り方やスタイル)
  7. いくらで?(価格帯)

これらのコンセプトは物件探しやメニューにもかかわってくるので、具体的に設定していきましょう。お店のコンセプトについて、詳しくは下記ページにて説明しています。

飲食店・店舗のコンセプトの考え方。成功するコンセプトの条件とは?

5. 店舗物件の調査

お店の外観

独立開業を志す者にとって、お店は自分の城。「お店を出すからにはお気に入りの場所で」という気持ちは強いことでしょう。

残念ながら、好立地であればあるほど賃料は高くなります。店舗面積が広ければそれに比例して賃料は高くなり、1階と他の階を比べると2倍に近い賃料となってしまう場合も少なくありません。そもそも人気の立地に空き店舗があることはめったにありません。

ここで大事なことは、家賃を長く支払い続けていくことが負担にならないかどうかということです。家賃は毎月必ず発生する大きな固定費です。お店の業績が悪くなっても家賃が下がることはありません。

物件を見る目を養うには、実際に見るしかありません。10件以上を目安に、いろんな物件にあたってみましょう。店舗物件の調査方法について、詳しくは下記ページで説明しています。

飲食店の立地条件の調査方法

6. 料理メニュー開発

メニュー開発をする人達

ここまでで、料理メニューについてはある程度構想が練られているはずです。看板メニューとその他の商品を整理しましょう。

看板メニューとはその名の通り、お店の看板となる主力メニューです。「そのメニューを食べたいからお店にやってくる」「お店に来るとつい頼みたくなるメニュー」という商品を必ず準備しましょう。まだ決まっていない場合、「自分が好きなもの」「自分が作りたいもの」「自分が一番自信のあるもの」を看板メニューとして設定します。看板メニューを軸にして、その他のメニュー構成を考えていきましょう。

メニュー開発の際には、原価を必ず把握するようにしましょう。料理1品あたりに使う食材の分量をg、cc、mlといった単位で求め、原価を仕入れ価格から計算します。原価が販売価格の30%程度になるように価格を設定します。同時に、売上から原価を引いた粗利がいくらになるのかも押さえておきましょう。

忘れてはいけないのが、「食材廃棄率」いわゆる食材のロスについてです。注文した食材が余って無駄になってしまうことは良くあることですし、料理を提供する際にこぼしてしまう、キッチンスタッフによって使用する量が違ってしまうということも起こります。廃棄される食材がどのくらいになるかはこの時点ではわかりませんが、ひとまず全体の2%程度と考えておきましょう。お店の運営が軌道に乗れば、ロスは徐々に減っていきます。料理メニュー開発について、詳しくは下記ページをご覧ください。

飲食店のメニュー開発6つのポイント

7. 事業計画の立案

ビジネスプラン書とメガネ

コンセプトが明確になって物件に目処がついたところで、開業に必要な資金も具体的になってきます。全て自己資金で調達できる場合は別ですが、融資を受ける場合には事業計画の提出が必要です。

事業計画書には、起業の動機や目的から開業後の売上予測までいろいろな項目を記入しますが、中でも重要なのが売上の予測です。ただ思いついた数字ではなく、根拠がある数字を提出しましょう。

売上の予測には次の式を使います。

売上 = 席数 × 満席率 × 回転率 × 客単価

ランチタイム、アイドルタイム、ディナータイムと、時間帯に分けて計算していきましょう。

融資を受けないという場合でも開業の段階で、必ず事業計画書は作っておきましょう。各項目の詳細な予測は、今後の経営に大きく役立つからです。

自分の収入はいくらくらいになるのか

これは普段の生活費をそのまま月給とします。月給をあまり少ない金額にしてしまうと、融資を受ける際に「どうやって生活をしていくのか」と疑問を持たれてしまいます。また、法人役員の報酬額は一度決めてしまうと容易に変更できません。税理士に相談しながら決めていきましょう。事業計画の立案、事業計画書の書き方に関して、詳しくは下記ページで解説しています。

事業計画書の書き方の手順とポイント

8. 物件契約から内装・外装の施工 厨房の設計は特に重要

建築イメージ

ここまで何件も見てきた候補の中から、一つを選んで契約を結びます。「早くお店の場所を決めたい」とついつい急いでしまいがちですが、焦らずにじっくり検討しましょう。物件の判断を誤ると、後々まで苦労することになります。物件の契約と同時に、手付金、保証金および前家賃を支払うことになります。契約前にも申込金が必要という場合があるので注意しましょう。

物件が決まれば店舗レイアウトを考えて、内装業者・外装業者に相談します。特に厨房の設計は重要です。使いやすい導線であることはもちろん、スタッフが快適に作業できる環境を確保できるよう、できるだけのことをしましょう。

通路や作業スペースが十分にあるか、食材の搬入から調理済料理の搬出まで無理なくできるか、など注意深く検討しましょう。例えば、エアコンの位置は大丈夫ですか?夏場の厨房で調理を行うスタッフが快適に過ごせるか考えてみてください。

できれば知り合いの飲食店に厨房を見学させてもらうなどして、具体例を集めておくと良いでしょう。店舗設計について、詳しくは下記ページで説明しています。

店舗デザイン設計・内外装で失敗しないための理論武装

9. 人材採用 優秀な料理人やスタッフはどうやって確保する?

採用面接

飲食店のスタッフはキッチンとホールに大別できます。キッチンとホールにそれぞれ何人必要なのかをまず明確にします。そのうえで人件費にいくら充てられるのかを具体的に計算します。計算の際は、時給や交通費だけではなく、雇用保険料の負担についても確認しましょう。個人事業主としてスタートするならば社会保険への加入は任意ですが、お店として社会保険に加入するのかどうかも決めなければなりません。社会保険完備の場合には、キッチン・ホール共に優秀な人材がより集まりやすくなります。

求人は、チラシや冊子などの有料媒体に広告を掲載して募集を行います。ハローワークなどで無料で募集することもできますが、より詳細な条件で募集を行える有料媒体の方が適していることも多いでしょう。採用と同じく重要なのが、採用した人材の教育です。スタッフの能力を最大限に引き出せるよう、いろいろな場面でどのように動けば良いのか、具体的なマニュアルを作成しておきましょう。人材採用について、詳しくは下記ページで説明しています。

飲食店開業時の求人・採用戦略

10. 仕入れ先の選定 食材の確保

食材仕入れ業者

飲食店において、仕入れ先の選定は「食材そのものの選定」であり、お店の命とも言えます。毎日安定した材料を供給してくれて、仕入価格や支払方法に無理がない業者を探しましょう。お互いが気持ち良く取引できることが重要です。仕入先の選定について、詳しくは下記ページで説明しています。

「業者選びはお店の命」

11. 各種届け出や資格など

開業の手続き

飲食店の開業にあたっては、保健所や消防署をはじめとする各種機関への届け出が必要です。

保健所
飲食店の営業許可を取得するためには、保健所に届け出をしなければなりません。まずは管轄の保健所に、お店の図面や提供メニューなどの資料を持って相談に行ってください。開業の前には保健所によって検査が行われますが、事前に相談に行っておくとスムーズに進みます。
消防署
防火管理者選任届や防火対象設備使用開始届などいくつかの届け出が必要です。保健所と同じように、予め相談に行っておくとスムーズに進みます。

飲食店の開業に調理師免許は不要

意外に思われるかもしれませんが、調理師免許は必須ではありません。飲食店開業のために必要な資格は食品衛生責任者と防火管理者です(防火管理者は30人以上を収容する場合のみ)。いずれも各都道府県で開催される講習を受ければ取得できますが、忘れないようにしましょう。

居抜き物件は注意が必要

注意しておきたいのは居抜き物件の場合です。営業内容や収容人数など、お店の状態によって規定や基準が変わるため、「前のお店が営業していたからうちも大丈夫だろう」と決めつけてはいけません。必ず確認をしましょう。各種届け出や資格について、下記ページで説明しています。

飲食店の開業には資格・許可が必要!開業に必要な資格・許可の内容から取得方法まで

12. 販促ツール 看板・広告・チラシ……

看板を出すカフェ店員

看板の設置についても、早いうちからよく検討をしておくべきです。看板はお店の入り口だけで良いのか、それとも近くに袖看板を設置するのか。看板を電飾タイプにして夜も目立たせるようにするか……予算に応じて決定します。

看板にはどうしてもお金がかかってしまうので、その他の販促ツールはなるべくお金がかからない方法を探したいものです。手描きのチラシやSNSなど、お金をかけない販促方法はいくらでもあります。コツコツお店の情報を発信して、受け手に「お店のファンになってもらう」ことを目指していきましょう。

飲食店の集客術

13. 本番オペレーション

ホールオペレーション

開店の前には、本番オペレーションの確認を必ずしておきましょう。お店の開店から閉店まで、仮想のお客様を迎えながら、オペレーションの流れを練習します。これはロールプレイングと言って、飲食店の開店準備ではよく行われる手法です。

頭の中ではスムーズに進むオペレーションも、実際にやってみると必ず問題点が見つかります。お客様に気持ちよくすごしていただくためにはどうすれば良いか、一つ一つ改善していきましょう。

飲食店でオペレーションが重要な理由とオペレーションのポイントとは

14. 失敗しないための心構えを

失敗イメージ

これまでに、飲食店の独立・開業・経営のための13の準備をご紹介しました。以上13の準備は、実際に飲食店を開業するまでの準備でした。飲食店を開業するうえでは、開業までの13の準備と並行して、開業後に失敗しないための心構えも持つ必要があるでしょう。

飲食事業は比較的参入障壁の低いビジネスであるため、業種・業態を問わず数多くの飲食店が開業しています。しかし、開業から一年以内で三割、二年以内で二割のお店が閉店するとされています。つまり、開業から二年以内で半分の飲食店が閉店の憂き目をみていることになります。

こうした飲食業の置かれている実態を見て見ぬふりをしてしまえば、開業後に閉店してしまうことにも繋がりかねません。そこで、開業後に店舗経営を失敗しないためにも、多くの飲食店はなぜ失敗してしまうのかを把握しておかなければならないでしょう。

飲食店の経営を失敗から学ぶ。閉店しないための「当たり前のこと」とは?

15. 居酒屋、カフェなど業態ごとの開業準備についても確認を

コーヒーを注ぐカフェスタッフ

飲食店を開業する際には、業態を問わず共通して必要となる届け出の他に、業態ごとで異なる営業許可を求める届け出が必要になる場合があります。

例えば「飲食店営業許可」の届け出は、業態を問わず飲食店を開業する場合に必須となります。しかし、「飲食店営業許可」では食品衛生法により「飲食店営業」と「喫茶店営業」の2つに飲食店を分類しています。そのため、飲食店の業態によって分類される種別が変わることになります。さらに、「飲食店営業」と「喫茶店営業」では、「飲食店営業許可」の届け出の際に必要となる申請書類や申請手数料も異なります。出店を予定している場所を管轄している役所に問合せてみるとスムーズでしょう。

また、居酒屋等を開業予定のオーナー様の中には、午前0時以降もお店を営業したいとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?この場合、午前0時を超えて酒類をお客様に提供するためには、別途届け出を行う必要があります。

中には、カフェ等でケーキやパンをテイクアウトとして販売したいとお考えのオーナー様もいらっしゃるかと思います。その場合は、「菓子製造業」の許可が必要となります。 このように、飲食店の業態によって開業するまでの届け出等の準備は異なります。開店直前になって必要な届け出を行っていなかったと焦らないよう、しっかりと準備をしていきましょう。

居酒屋を開業しよう!開業資金や準備、成功の秘訣を紹介します

最後に

グッドラックのプラカード

開業まではいろいろとやることが山積みで、大変なことも多いでしょう。しかし、この苦労は独立開業をした者だけの醍醐味といえます。飲食店経営成功のために、それぞれの過程を楽しみながら頑張っていきましょう!

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