飲食店のためのABC分析とは?売れ筋商品の見極めやメニュー改定、在庫管理に活かそう! メニュー改定と在庫管理に活かす方法

最終更新日: 2018/12/02
居酒屋

飲食店の経営では何十種類もの商品(メニュー)があるのが当たり前です。ひとつの商品だけで商売をしているお店は少ないでしょう。そのメニューの中でも、売れている商品・売れていない商品があるはずです。売れ筋の商品の数種類だけで売上全体の何割かを稼いでいるはずです。一方、何割かの商品は合計しても売上全体の数%程度の場合もあります。

売れ筋商品や死に筋商品を把握することで仕入れやメニュー改善にも活かせます。では、どのようにして人気・不人気の商品を分類すればいいのでしょうか?このようなときに役立つのがABC分析と呼ばれる手法です。今回は、ABC分析を活用したメニュー改定方法と在庫管理を紹介します。

ABC分析とは?

ABC分析はパレート分析とも呼ばれ、商品をA、B、Cのカテゴリに分ける在庫管理の手法です。重要度別に分類することで、メニューの変更や価格設定、原材料仕入れの見直しなどに活用することができます。2つの分析手法の違いは、ABC分析は所要金額で、パレート分析は頻度(個数)で重要度別に分類することです。この記事ではABC分析について説明します。

では、やり方を見ていきましょう。料理とドリンクを分けて分析する方がいいので、ここでは料理にフォーカスしてABC分析を行います。

お店のメニューには8種類の料理があり、月の営業最終日の商品売上構成を高い順から並べると以下のようになったとします(単純化のため数字は計算しやすいようにしています)。エクセルの場合は、一度全商品に対して数字を記入した後、売上額にフィルタをかけて降順にしてください。

商品名 価格 販売個数 売上額 売上構成比 累計売上構成比
a 500 900 450,000 45% 45%
b 1000 250 250,000 25% 70%
c 400 250 100,000 10% 80%
d 400 200 80,000 8% 88%
e 300 200 60,000 6% 94%
f 800 50 40,000 4% 98%
g 500 40 20,000 2% 100%
合計 1,000,000 100%

次に、商品をABCに分類します。どのように分類するか明確な基準はありませんが、一般的な分析ではAを累計売上構成比0~70%、Bを71~90%、Cを91~100%とします。この例では以下のように分類されます。

カテゴリA:商品a、b
カテゴリB:商品c、d、e
カテゴリC:商品f、g

ここで注目してほしいのは、売上全体の7割を2商品で占めていることです。それぞれの商品が均等に売上を出すことはまれで、数種類の商品に偏っていることが普通です。これはお店の看板メニューや、メニュー表での露出方法に影響を受けます。また、メニュー数が多くなれば、メニューの半分で売上全体10~15%しか稼げないこともあります。

Cランクは入れ替え対象!と思う前に…

ABC分析の定石から言えば、Cランクの商品は即刻入れ替え対象となります。売上に貢献していないメニューですから、入れ替えしても何の問題もないはずです。でも、ここが飲食店の難しいところで、そう簡単な話ではなく、Cランクの商品を消した途端、お店の売上が低下するケースも決して少なくはありません。

Cランクで入れ替え対象と思った時は、以下の2点に該当していないかを最初に確認するようにして下さい。

注文数が多い!需要がある!

単価が安く売上の貢献度は低くても、中には注文数が多いこともあるでしょう。これが何を意味するのか。それは、お客様からのニーズがあるということです。つまり、ABC分析上はCランクでもお客様の評価ではAランクということが考えられます。

いわゆる、お店の人気メニューなわけです。

しかし、それが突然にしてお店から消えてしまうとどうでしょうか。

そのメニューを目当てに来ていたお客様は高確率で店舗に足を運ぶことはなくなります。つまり、店全体の売上が下がってしまうのです。Cランクであっても、注文数が多かったりSNSで話題として取り上げられるようなメニューは例えCランクでも入れ替え対象外としましょう。

ただ、現状で売上に貢献していないメニューには変わりありませんので、売上にも貢献して、さらにお客様も呼べるメニューへと改良していくことは必要不可欠です。

原価率が低い

例え、売上が低くても原価率が低ければ、利率自体は高くなるわけですから、お店の売上に貢献していると言っても過言ではないでしょう。ただ、この手の商品は店の看板メニューになることは出来ないので、入れ替えしても問題ないように思えます。

ただ、利率を重視して考えると、お店の売上を安定させてくれる貴重なメニューという見方出来ますので、Cランクのメニューであったとしても、入れ替え対象外としておくことをお勧めします。

なぜ、ABC分析が必要なのか?

なぜ、飲食店はABC分析を行わなければならないのでしょうか。

簡単に言ってしまうと、店舗の無駄を省くために行うことが目的となっています。

お店にとってみれば、どの商品やメニューも需要があるから取り入れているのだと思います。しかし、1ヶ月1回、出るか出ないか分からないような商品に果たして意味はあるのでしょうか。

単価がとびきり高いということであれば話は変わってきますが、常識的に考えてそのようなことはありませんよね。もしかしたら、他の商品よりも単価が低いかもしれません。

それなのに、商品を提供する為の準備をしているのは店舗経営において効率的とは言えないでしょう。だからこそABC分析が必要になってくるのです。

ABC分析を使えば、お店の商品やメニューをA~Cへとランク付をすることが出来ます。つまり、自動的に非効率な商品を浮き彫りにすることが出来るわけです。これを繰り返していくことによって、必然的に店舗のメニューには「お客様から求められていない商品」が排除される為に、売上が最大化していきます。

無駄を省きお店の効率をMAXにする。これがABC分析が必要な理由となっています。

ABC分析の活用例について

Aランク商品の場合

お店への売上貢献度も高く、店の看板メニューとなっている商品は、間違いなく経営を支える柱となってくれます。ただ、ここで気を付けたいのが「利益率」です。Aランクであっても利率が低く、それほど売上に貢献していない場合もあるので、必ず確認するようにしましょう。

その上で、原価率もそれなりで、利率が良い場合は、積極的にPR活動を行って販売数を増やしていくことが大切です。そうすることによって、店の売上は右肩上がりで伸びていくことでしょう。

Bランクの場合

ABC分析でBランクと判定された商品は良くも悪くも普通と言えます。そして、今後の改良によってAランクになる可能性を秘めています。ただ、何もせずにいるといつの間にかCランクになっている危険性もあります。

いわば、磨けば光るダイヤの原石といった感じです。

Bランクの商品に関しては工夫をして、何とか単価を上げるなり原価を下げて利率をUPさせる工夫を行っていきましょう。

とは言え、そんなに直ぐに出来るものではありませんから、暫くは質を落とさずにちょっとだけ量を少なくしたり、逆に店の看板メニューとして扱って販売数を増やすなどを行っていくと良いでしょう。

Cランクの場合

別項でも述べましたがCランクだからといって、直ぐに店のメニューからなくすのは厳禁です。必ず、販売数と原価率をチェックしてからなくすようにしましょう。

販売数も少なく、原価率が良いと言えないCランクメニューに関してはお店からなくしてしまっても問題はありません。ただ、ここで考えなければいけないのが、代用商品です。メニューからなくしてばかりでは、店舗全体のメニューが少なくなってしまい、お客様からは「選べる商品が少ない飲食店」と思われてしまい、それが原因で客足が遠のくおそれがあります。

メニューをなくす時は、間髪に入れずに新商品を追加するようにしましょう。

メニュー改定への活用法

売れると思ってつくったメニューが案外カテゴリBに入っていたり、カテゴリAに入っているメニューでも原価率が高くオペレーションも手間がかかっていたり、といったことがあります。

カテゴリAのもので、生産能力に余力があり、かつ原価率もそれなりにこなれている場合は、積極的にPRして販売数を増やしましょう。

カテゴリBでもちょっとした工夫で単価を上げることができるものはメニュー名そのものを少し変えて提供してみましょう。また、質を落とさずに量を少なめにして単価を下げ、販売数を上げることができるメニューもあるかもしれません。

カテゴリCのもので粗利額が少ないものは早めにメニューから下げましょう。ただし、メニュー全体に偏りが出てしまい、お客様に与える選択肢の幅が狭くなってしまわないよう気をつけてください。

メニューは季節ごと、3ヶ月に1回くらいは部分的に変えていくことで、旬なメニューを演出するようにしてください。

在庫管理への活用法

売れ筋のカテゴリAに属するメニューは、販売数が多いことから原材料の仕入れ数量や金額が全体に与える影響が大きくなります。定期的に発注して、仕入れの取引先との連携を密にしておく必要があります。回転も早いので在庫状態で滞ることは少ないのですが、販売数が伸びた場合に発注を増やすことができるようにしておきます。

カテゴリBは売れ行きが安定しているメニューが多いので、仕入れ数量も一定にすることで対処できます。カテゴリCのものは売れ残ってしまうことも考えられ、賞味期限のある材料は在庫ロスとなります。カテゴリBやCについてはロス率も念頭に入れてメニュー改定に反映させてください。

原材料の仕入れでは、長期契約など契約に縛りが存在することもあるので、むやみに取引先を増やさず、代替商品に置き換えてもらうなどの交渉ができるように、常日頃の関係をつくっておくことが肝心です。

売上管理にはPOSレジを使用しよう

このようにABC分析は経営改善に大きく寄与します。しかし、それぞれのデータをエクセルに入力していく手間は相当なものです。

そのときに便利なのがPOSレジです。日々のデータをエクセル方式に抽出またはダウンロードできるものがほとんどです。ABC分析は単月で見るだけではなく、前月比、前年同月比、数ヶ月、数年の推移でみるとより傾向がつかめるようになります。そういった場合は特にエクセルでの展開が必須となるでしょう。最近では、アプリをインストールすることでiPadを高機能なPOSレジにできるサービスも存在します。会計データはクラウドに保存され、リアルタイムの売上集計も可能ですし、ABC分析の元になるデータをどこからでも簡単に確認・取得ができるのも魅力です。詳しくは「iPadがレジになる!? 高機能で使いやすいタブレットPOSレジの紹介」でも説明しています。