配膳ロボを活用した完全非接触型のサービスとは?大手飲食チェーン店の取り組みもご紹介します

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現在飲食店において、配膳ロボットが注目を浴びています。その理由としては、新型コロナウイルスの感染拡大や働き方改革の推進などによる飲食店運営法の転換が求められていることが挙げられます。

配膳ロボットは、今後飲食店にどのような革命をもたらすのでしょうか。大手チェーン店の取り組みも交えてご紹介します。

配膳ロボットとは?

配膳ロボットとは、その名の通り飲食店で配膳(料理提供)を行うロボットです。

ロボットというと人型のものを想像するかもしれませんが、実用されている配膳ロボットの多くは配膳用のワゴンのような形をしており、厨房で作られた食事を乗せて席まで運びます。また、食事を終えた後の下膳も行います。

配膳ロボット導入のメリット

飲食店は接客業の一つであり、「人対人」のコミュニケーションを重視する業界です。その点から考えると、直接顧客と接する配膳の役割をロボットが担うということに違和感を覚える方もいるかもしれません。

しかし、配膳ロボットは経営者にとっても、また顧客にとっても大きなメリットがあります。配膳ロボットを導入する主なメリットとして、以下の5点をご紹介します。

感染症対策

不特定多数の来客がある飲食店は、感染リスクの高い場所です。顧客はもちろんのこと、従業員も接客による感染リスクがあり、経営者は感染対策を徹底する必要があります。

配膳ロボットを導入することで従業員と顧客の接触を減らし、感染リスクを下げることができます。さらにセルフオーダーやセルフレジと組み合わせることで、入店から注文、配膳、支払いまで顧客と従業員が接触することのない完全非接触型経営を実現できます。

ウィズコロナ・アフターコロナにおける「新しい生活様式」の一つとして、今後このような完全非接触型のサービスが浸透していくと考えられます。

人手不足への対応

飲食店は慢性的な人手不足に悩まされており、従業員一人当たりの負担が大きくなっています。限られた人員で業務を行う中で、配膳・下膳に大きな労力を割くことになります。

後ほど取り組み例として詳しくご紹介する焼肉店「焼肉きんぐ」では、従業員1人当たりが1時間に行う配膳・下膳が約30回に及んでおり、大きな負担になっていました。

配膳ロボットを導入することで配膳・下膳の必要がなくなり、従業員の時間的・身体的負担を減らすことができます。配膳・下膳のための人員を削減することができるため、人手不足に対応できるだけではなく、働き方改革において推進されているワーク・ライフ・バランスの向上にもつながります。

回転率の向上

配膳ロボットの積載量は20~30kgと、人間より遥かに重いものを運ぶことができます。一度に複数の配膳・下膳ができることから回転率が向上し、売上アップにもつながります。

接客の質の向上

上記でお話した通り、配膳・下膳には時間と労力がかかります。特にピーク時には配膳と下膳をこなすことに精いっぱいで、顧客に思うような接客ができないという問題点もあります。

配膳ロボットが配膳・下膳を行うことで、従業員の負担が軽減でき、時間的・精神的余裕ができます。その結果、顧客一人ひとりにきめ細やかなサービスが提供できるようになり、接客の質が向上します。

コスト削減

配膳ロボットを導入することはコスト削減にもつながります。例えばソフトバンクロボティクス株式会社が開発した配膳ロボット「Servi」のレンタル料は、一か月あたり99,800円(税別)です

一日10時間、週7日(30日)稼働したとして時給換算すると400円弱となります。東京の最低賃金1,013円(2020年2月現在)と比較すると半分以下のコストで配膳ロボットを使うことができるのです。

さらに採用の際の研修や厚生年金・社会保険などの支払い、シフト調整なども不要であり、費用面でも時間面でもコスト削減になります。

※2020年2月現在の3年レンタルプランの料金

参考:ソフトバンクロボティクス株式会社  配膳ロボットServi 価格

配膳ロボット、ここが心配

経営面だけではなく、顧客や従業員にとってもメリットの多い配膳ロボットですが、やはり今までなじみがなかったものだけに、導入に不安を抱く経営者もいるかもしれません。特に心配される3点についてご紹介しましょう。

本当にちゃんと配膳できる?

配膳ロボットに配膳を任せると、移動の際に人にぶつかったり、料理を落としたりしないかと心配になるかもしれません。しかし、配膳ロボットには優れた機能が備わっており、スムーズな配膳が可能です。

前述の「Servi」では、3DカメラやLiDERなどの高性能の各種センサーにより、人はもちろんのこと、靴やカバンといった小さなものも滑らかに避けることが可能です。人とは異なり、360度全ての方向において死角がない点も大きな長所となります。

参考:ソフトバンクロボティクス株式会社  配膳ロボットServi

お客さんの反応が心配

ロボットが配膳をすると無機質に感じられ、顧客の満足度が低下するかもしれないというのも懸案事項の一つです。当然のことながら配膳ロボットを受け入れるか否かは人によりますが、実例から見ると好意的に受け止めている人が多いようです。

Serviの実証実験来店者満足アンケートによると、約95%の人が「満足である」と答えています。その理由としては、前述の通り配膳・下膳をロボットが担うことで、従業員がきめ細やかなサービスを提供できるようになったことが挙げられます。

また、配膳ロボットとのコミュニケーション自体が顧客にとっての楽しみになり、エンターテイメント性の向上につながります。この点については後述の大手チェーンでの取り組み例にて改めてご紹介します。

参考:ソフトバンクロボティクス株式会社  配膳ロボットServi 

配膳ロボットで人の仕事がなくなる?

「配膳ロボットを導入する」と聞くと、自分の仕事がなくなってしまうのでは、と不安に思う従業員もいるかもしれません。しかし、配膳ロボットの導入により、従業員の重要性は逆に増すといえます。

前述の通り、配膳ロボットに配膳・下膳を任せることで、従業員はきめ細やかなサービスの提供が可能になります。メニューの説明や水やおしぼりの提供、料理をこぼした、子供が泣いたといったトラブル時の対応だけではなく、店舗によってはちょっとした会話なども顧客にとっては嬉しいサービスです。

そうした「おもてなしの心」は、やはり人にしか持てない貴重なセールスポイントです。ロボット化が進む現代日本において、「人」だからこそ提供できるサービスは今後ますます重要になると考えられます。

【事例紹介】大手チェーンによる取り組み

最後に、配膳ロボットを始めとしたさまざまな最先端技術を活用することによる非接触型経営について、大手チェーン店の取り組みを例に挙げてご紹介します。

くら寿司

回転寿司店の「くら寿司」では、入店から退店まで全て店員を介さない完全非接触型経営に加え、機器に触れずに操作できるタッチレスの完全導入を目指しています。

くら寿司における非接触型経営の流れは以下の通りです。

【1】入店

タッチレスの受付案内機による「セルフ案内」で受付を行う。

【2】注文

テーブル上のタッチパネルまたはQRコードを利用して手持ちのスマートフォンを連動させることで注文できる「スマホde注文」で注文する。前者は店員と、後者は店員及び機器と接触せずに注文が可能。

【3】会計

レーンに取り付けられたカメラにて皿がカウントされるため、店員による枚数確認は不要。支払いはセルフレジにて行う。受付案内機と同様にタッチレスで操作可能。

このように、店員とは完全非接触のまま、また「スマホde注文」を利用すれば機械との接触もなく、入店から退店まで過ごすことができます。

上記の「完全非接触型サービス」が標準装備されている店舗は現在10店のみですが(2020年2月現在)、セルフレジについては2022年10月に全店舗導入が予定されるとのことで、今後サービスの拡大が期待されます。

参考:スマートくら寿司

焼肉の和民

ワタミによる全国展開の焼肉店「焼肉の和民」では、配膳ロボット「PEANUT」の導入が進められています。同店の配膳ロボット導入には、感染予防対策や業務効率化・人員不足の解消に加え、エンターテインメント性を高めるという目的があります。

同店の「PEANUT」は牛のイラストが描かれたオリジナルデザインで、サービスを受けた顧客が思わず笑顔になってしまうような工夫がなされています。こうしたエンターテイメント性により、実質的な利益だけではなく企業イメージの向上にもつながると期待されています。

参考:日本システムプロジェクト「焼肉の和民」へ配膳ロボットを導入!

焼肉きんぐ

株式会社物語コーポレーションが全国展開する焼肉店「焼肉きんぐ」では、242店舗に配膳ロボット「Servi」を導入し稼働を行っています。「焼肉きんぐ」は郊外ロードサイド型店舗で、バイキング方式を採用しています。

そのため追加注文が多く、顧客一人当たりの配膳が平均十数皿(ドリンク含む)、スタッフ一人当たりの1時間の配膳・下膳回数は約30回にも及び、大きく労力を割かれる要因になっていました。それは同社のポリシーとしている「おせっかい文化(顧客への細やかなサービス)の醸成・育成」において大きな障害となっていました。

「Servi」に配膳・下膳を任せることでスタッフの負担を軽減し、人にしかできない「おせっかいを焼く(おもてなしをする)」ことができる環境を整えることができました。その結果、顧客の笑顔があふれる活気のある店舗づくりが実現できたということです。

参考:ソフトバンクロボティクス株式会社  配膳ロボットServi 導入事例(焼肉店導入事例)

幸楽苑

株式会社幸楽苑ホールディングスが経営する「幸楽苑」は昭和29年創業、日本全国に451店(2020年2月現在)を構える老舗のラーメン店です。大手老舗でありながらも現状に満足せず、糖質オフに対応した「ロカボ麺」や時短営業要請に対応した「朝らー」など、時代の変化に迅速に対応する柔軟性も持ち合わせています。

それに加え、幸楽苑ではラーメン業界初の試みとして、配膳ロボットの実証実験を開始しました。幸楽苑本宮店(福島県)にて実証実験が行われているのは配膳ロボット「K-1(ケー・イチ)号」です。

配膳ロボット導入の目的としては、感染症予防対策、店舗スタッフの負担軽減、サービス中心の働き方へのシフト、そして焼肉の和民と同じくエンターテイメント性の向上が挙げられます。

K-1号には表情があり、楽し気なBGMを流しながら配膳を行います。また、料理を受け取ったら「おでこ」に手をかざすように話しかけてきます。そのようにコミュニケーションを楽しめることもK-1号の魅力です。

参考:幸楽苑ホールディングス プレスリリース(2020年8月20日)

まとめ

配膳ロボットを始めとした最先端技術は感染症拡大防止や働き方改革の推進に対応する手段として注目を浴びています。それに加え、接客の質やエンターテイメント性の向上が期待できる点も大きなメリットであり、今後導入を検討する店舗はますます増えていくと予想されます。

ロボットや機械を利用した非接触型経営と聞くと「味気ない」、「従業員は必要なくなるのか」と思いがちですが、配膳ロボットに任せられる部分を任せることで、従業員の活躍の場が広がり顧客の満足度も高めることができます。最先端技術は、飲食店における重要点の一つ「おもてなし」をより充実させる存在になりえるのです。