業者といい関係を築くメリットや方法とは?

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業者といい関係をつくるイメージ

飲食店の場合は食肉や水産物、農産物、酒類などいろいろな業者との取引が必要です。どの業者さんも大切なビジネスパートナーですから、長いおつきあいのできる間柄でいたいものです。

もし担当者とのコミュニケーションがうまくいかないと感じているとしたら、どこに原因が あるのか見直してみましょう。 ここでは、仕入れ業者と確かな信頼関係を築いていくためにはどんなことが必要か、そのポイントをご紹介しますので参考にしてください。

飲食店と業者の関係

業者との関係

飲食店を運営するうえで欠かせないのが食材の仕入れです。以前は食肉や魚、野菜などは出荷者→卸売(おろしうり)業→仲卸(なかおろし)業→小売業・外食業という流通ルートが一般的でしたが、最近は次のようにルートも多様化してきています

  • 仲卸売業者と契約して配達してもらう
  • 業務用食材の通販で購入し、宅配便で届けてもらう
  • お店の近くのスーパーや個人商店で購入する
  • 地元の生産者から直接購入する
  • 全国各地の生産者にネットで注文して配送してもらう

水産物に関しては、商社や大手水産会社が海外から大量に買い付け、卸売市場を通さずに外食チェーン店や大手スーパーに販売するようになったことで、消費者は安くておいしい魚介類をいつでも食することができるようになりました。

魚介類を仕入れるときは鮮度や品質を見る目(目利き)が重要ですが、冷凍魚や規格化された養殖魚はプロの目利き、すなわち卸売業者を必要としないので市場を通さない「市場外流通」も成り立つわけです。

農産物においても、インターネットの普及で、生産者と小売業者や消費者が直接やりとりをする産地直送販売が行われています。ホームページなどで生産者やJA(農協)に注文する方法は、生産者がどのような人かがわかるという安心感が得られます。また、複雑な流通過程をたどらない分、価格も安く抑えることができます。

しかし、こうした市場外流通にはデミリットもあります。水産物でいえば、日本近海で獲れる天然魚は何といっても鮮度が命であり、卸売市場を通したほうが早く消費者に届くものが少なくありません。

農作物の場合は、気候の影響を受けやすく、台風の多い年などは品質が悪く数量も減少するため安定供給ができないというデメリットがあります。それに対し、卸売市場では国内はもとより世界各国から農産物が集荷され、一定の在庫が保有されているので1年を通して供給が途切れるということがありません。

以上のように市場外流通にはメリット・デメリットがあることから、多くの飲食店経営者は1つのルートだけでなく、複数の業者を確保しています。そして、メインの食材は卸売市場を、新しいメニューはネット通販を利用するというように、それぞれの業者とうまくつきあっています。

業者といい関係を築いておく理由

よい関係を築くイメージ

すでに飲食店を開業されている方は仕入れ業者のことも十分調査されたことと思いますが、ここでもういちど仲卸業者についておさらいしてみましょう。

仲卸業者は、卸売市場でせりや相対取引(あいたいとりひき:売買当事者間で価格や量を決める方法)で仕入れた商品を買出人(小売業者・外食業者・食品加工業者など)に販売する仕事で、次のような機能をもっています。

●分荷機能

卸売業者からせりで落札した大量の商品を、買出人の注文する数量に小分け(分荷)して販売します。それによって小売店や飲食店は、在庫管理にかかるコストや売れ残ったときの食材ロスを削減することができます。

●価格形成機能

せりや相対取引を通して、需要と供給のバランスや食材の品質・鮮度などを見極めたうえで公正かつ透明性のある価格決定をします。

●情報提供機能

出荷者(生産者)からの卸売予定数を買出人に伝え、買出人からの販売結果数を伝えて、効率のよい取引を可能にします。また、さまざまな生産者や小売業者と取引しているので、小売業界の商品動向を生産者側に伝えることで新しい商品の開発に結びつけるといったことも行われています。

そのほか、鳥インフルエンザのような食材がかかわる感染症の情報もいち早くキャッチして伝達する役割も果たします。

●代金決済機能

買出人の購入代金を掛け売り(つけ)にして、卸業者に立て替えて支払う機能も担っています。そのため、買出人は資金繰りに窮することなく、仕入れを続けることができます。ただし、代金決済が行われるのは買出人の経営業績や取引実績が信用できる場合に限られます。


これ以外にもまだ多くの機能があります。初心者は卸売市場のハードルが高いと思うかもしれませんが、特別な許可も必要とせず、だれでも買付けをすることができます。 ただ、忙しい時間帯に行くと初心者は相手にしてもらえません。

まず、自分で下調べをして業者の見当をつけ、ピーク時を過ぎたころに挨拶をして顔を覚えてもらうことから始めるといいでしょう。 お店のコンセプトに合った業者を見つけて、プロならではの知識やスキルを学ぶことは、よい食材を入手するための第一歩です。

業者といい関係を築くために心がけること

いい関係イメージ

仕入れ業者を見つけることができたら、コミュニケーションを密にして信頼関係を築いていくことが大切です。

自分が必要とする食材を、数量、鮮度、価格すべて希望通りに仕入れることができるようになるには、業者との信頼関係を築くよりほかありません。 確かな信頼関係が構築されれば、急に食材が足りなくなったときに調達してもらえる、入手しにくい食材を優先的に回してもらえるなど、いろいろ便宜を図ってもらうことができるようになります。

そうした関係になるには、やはり、相手に対して礼を尽くすことに限ります。 飲食店を経営する人に見られがちなパターンとして、顧客にはとてもていねいに応対するのに、仕入れ業者やメンテナンス関係の業者などには横柄な態度で接するという二面性があげられます。 業者がいなくては飲食店を維持することはできません。

自分の店にかかわるすべての業者が絶対不可欠の存在という意識をもたなければ、いずれ経営は行き詰ってしまいます。だれに対しても「お世話になります」という感謝の気持ちと敬意をもって接するようにしましょう。 それともうひとつ心得ておきたいのは、「もっと安くして」とか「まけて」という値引き交渉をしすぎないことです。

あまり値引きを要求すると商品のグレードを下げられてしまうおそれがあります。そうなるとお客さまから「味が悪くなった」とクレームがついて、結果的に店全体のグレードを落としてしまうことになりかねません。 業者さんにしても利益を得るために取引をしているのですから、自分だけ得をしようと思わず、共存共栄(win-win)の精神で信頼関係を築いていきたいものです。

相性が悪い業者とはつきあわない選択を

契約破棄のイメージ

仕入れ業者は非常に大切な存在ですが、一度決めたらずっとつきあわなければならないというものではありません。今の業者と別の業者を比較してみたら、品質が劣るうえに仕入原価(納品価格)も高いことがわかったなどというケースはよくあることです。

これでは原価率が高くなり、利益は当然少なくなってしまいます。 そのようなときは業者の変更を検討してみる必要があります。しかし、新しい業者に乗り換えても同じような結果になったのでは意味がありません。その業者との関係もぎくしゃくして経営に大きく影響してしまいます。

ひとりでは判断しかねるという場合は、親しくしている同業者に相談するなど、第三者のアドバイスを得るのが一番です。身近にそういう人がいなければ飲食業界に詳しい経営コンサルタントに相談することをおすすめします。

まとめ

握手するオーナーと業者

仕入れ業者が届けてくれるのは食材だけではありません。卸売市場や多くの店舗に出入りしている業者は「情報提供者」としての側面ももっています。価格の変動や商品のトレンド、飲食業界の動静などを教えてくれることがあり、売上を伸ばしているお店を見てみるとそうした情報から経営のヒントを得ているということがわかります。

仕入れ業者とは単にいい食材を入手できる相手としてだけでなく、繁盛店にするためのベストパートナーとしての関係づくりを目指しましょう。