五月病チェックで職場環境を整えよう!飲食店でできる五月病対策とは

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五月病に悩まされる女性

飲食店の新人スタッフは、オーダーミスやレジでの会計ミスなどを起こしやすいとされます。それらのミスは、お客様からのクレームを受けやすいだけに、毎日がストレスフルの状態です。そんな日が1か月も続くと、自分がイメージしていた職場と現実とのギャップに悩み、働く意欲を失ってしまうことがあります。これは、職場のストレスが主な原因で起こる五月病の代表的な症状です。

そこで今回は、新人スタッフを五月病から守るためのメンタルヘルス対策について考えていきましょう。

五月病チェックをしよう

頭をかきむしる女性

「五月病」とは、進学や就職などで環境が大きく変わった大学生や新入社員に見られる心身の不調のことを指します。5月のゴールデンウィーク明けごろに急増することから、この名がつけられました。五月病という呼び方は通称で、心療内科や精神科では「適応障害」と診断されることの多い、ストレス関連障害の1つです。

ストレスが続けば年代に関係なくだれでもかかる可能性があるため、時期も5月だけとは限りません。そのため、人事異動の時期である10月に、昇進や転勤をきっかけに発症する中高年層もけっして珍しくはないのです。

適応障害はストレスがかかり始めてから3か月以内に発症し、うつ病と似たような症状が起こるのが特徴です。しかし、うつ病と診断されるほど重い症状は発現しません。また、環境が改善されてストレス要因がなくなれば、通常は6か月以内に治ります。

適応障害かどうかの診断は専門医でなければできませんが、チェックリストを使えばある程度は自己診断できます。以下の「疲労蓄積度自己診断」のリストを用いて、まずは心と体のストレス状態を調べてみましょう。

疲労蓄積度自己診断チェックリスト

最近1か月間の自覚症状について、各チェック項目ごとに最も当てはまる段階の数字を〇で囲み、合計点を出してください。

チェック項目 ほとんどない ときどきある よくある
1.イライラする 0 1 3
2.不安だ 0 1 3
3.落ち着かない 0 1 3
4.ゆううつだ 0 1 3
5.よく眠れない 0 1 3
6.体の調子が悪い 0 1 3
7.物事に集中できない 0 1 3
8.することに間違いが多い 0 1 3
9.仕事中、強い眠気に襲われる 0 1 3
10.やる気が出ない 0 1 3
11.へとへとだ(運動後を除く) 0 1 3
12.朝起きたとき、ぐったりした疲れを感じる 0 1 3
13.以前と比べて、疲れやすい 0 1 3
小計 -
合計

疲労度の評価

合計店が11点以下であれば、とくに問題なしと判断できます。点数が高くなるほどストレス度が高く、放置すると適応障害やうつ病などに進行する恐れがあります。3か月以上も続いているような場合は、早めに精神科か心療内科を受診する必要があります。

五月病にかかりやすいタイプとは?

頭が重い女性

前述したように、五月病は環境の変化に伴うストレスが主な原因で起こる症状です。しかし、同期入社で同じようなストレスを受けているにも関わらず、五月病になる人とならない人がいます。5月病の発症に個人差が現れるのは、個人間の性格によってストレスの受け止め方が異なるからです。

たとえば、オーダーミスをして店長から強く注意されたとき、「早くわかってよかった。次から気をつけよう」とすぐに気持ちを切り替えられる人は、ストレスをため込むこともありません。

反対に、「店長を怒らせてしまった。自分は失敗ばかりしているダメ人間だ」などといつまでも引きずってしまう人は、ストレスが蓄積するばかりです。このタイプは責任感が強く、几帳面でまじめな性格ゆえに、失敗したことにこだわってしまうのです。

上記の疲労蓄積度チェックリストにある「やる気が出ない」「朝からぐったりしている」といった項目だけを見ると、怠け者がかかりやすい病気かと思ってしまいがちですが、そんなことはありません。「やる気が出ない」「朝からぐったりしている」という項目に当てはまる人は、勤勉で職場のルールもきちんと守り、忍耐力も人一倍強い、優秀な人材なのです。そんな有望株を脱落させることなく、一人前のスタッフに育成するためにも、しっかり五月病対策を講じるようにしましょう。

五月病による飲食店への影響

「5月病なんか気合で治る!」と考えがちな体育会系の方々にとっては、スタッフが病気でもないのに体調不良を訴えたり休んだりすると、「頑張りが足りないだけだ」と考えてしまいがちですね。

特に新しいスタッフにとっては春先からの環境の変化から来る疲れで、なんとなくやる気がでない状況が続くこともあります。こうした疲れにより、徐々に仕事の質や普段の生活にも支障が出てくることもあります。生真面目で頑張ろうとしているスタッフほどストレスを感じやすく、そうした蓄積したストレスが体調やメンタルに影響が出て突然やめてしまうなどということも。

ここでは、具体的に五月病によって飲食店にどのような影響が出ることがありうるのか、様々な可能性について考えていきたいと思います。

体調不良による休み・休職・離職

五月病による体調不良がしばらく続き、なかなか疲れが取れず、場合によっては6月まで持ち越してしまう、六月病になってしまうこともあります。

しばらくは体調不良を押して職場に出てきているものの、ストレスによりメンタルや体に様々な影響を及ぼしていきます。場合によっては、何日かのお休みで職場に復帰してきても、それでも疲れが取れないと心配になってしまいますよね。こうしたことが重なることで、職場をしばらく離れたり離職することがあるでしょう。

大切なスタッフの流出は、飲食店にとっては死活問題ですから、しっかり対策をとっていきたいですね。

仕事の質の低下

仕事をやめるほどではなくとも、ストレスや疲れで集中力が続かず、オペレーションのスピードが落ちたり、接客時に表情が乏しく、お客さんにも気づかれてしまうこともあるでしょう。厨房で働くスタッフの場合も同様で、スタッフの疲れやストレスがお店の味や料理の質にも影響を与えてしまいます。

また調理時のミスにより、お客さんからクレームが続出すれば、それがSNSなどでも拡散し、お店の売り上げ、場合によってはお店の存続自体も危ぶまれることもあるでしょう。

結局はスタッフ一人一人の心がけがお店のすべてを左右していますから、「たかが五月病・・・」と軽く見ずに早めの徹底的な対策が必要になります。

職場の雰囲気の悪化

ストレスやメンタルの不調などで職場の雰囲気が悪くなることもあります。メンタルの不調で自分でも気づかないうちに厳しい物言いになってしまうこともありますね。また、普段なら何事もなく過ぎているような言葉でも、メンタルや体調が弱っているときにはその言葉に過敏に反応してしまい傷ついてしまうことも。

こうしたコミュニケーション上のすれ違いにより、徐々に職場環境が悪化し、笑顔のない、ぎすぎすした職場になってしまうこともあり得ます。もちろん、スタッフ同士の雰囲気がすぐにお店の売り上げに影響を及ぼすことはなくても、お客さんたちは敏感にその雰囲気を感じ取り、居心地の悪さを感じてしまうこともあります。

やはりスタッフの笑顔こそが最良のインテリアですから、笑顔の絶えないあたたかな雰囲気作りが大切ですね。ちょっとした気遣いや感謝の積み重ねが、お店の雰囲気を良くし、最終的には売り上げ全体にも影響を与えることも十分にあります。

五月病の対策とは?

ヨガをする女性

五月病を適応障害としてとらえれば、万が一五月病を発症しても、ストレスの要因を取り除くことで6か月以内に治るとされています。五月病は自然と治ることはありませんので、本人のライフスタイルの改善と職場の環境整備の両面から、ストレス軽減に取り組むことが必要です。ライフスタイルの改善と職場の環境整備それぞれのポイントを下記にまとめておきますので、参考にしてください。

ライフスタイルを改善するポイント

  1. 睡眠リズムを整える
    飲食店のスタッフはその職業柄、夜型の生活になりがちです。昼夜逆転すると体内時計が乱れ、睡眠不足で食事もおろそかになり、生活リズムは乱れる一方です。仕事の関係で就寝時刻が遅くなっても、朝は8時なら8時と一定の時刻に起床して、睡眠のリズムを整えるようにします。
  2. 運動で心身の緊張をほぐす
    思い切り体を動かすと、日ごろ抑圧している憤りや攻撃的な感情を解放することができます。それと同時に体の緊張もほぐれるため、心身ともにリフレッシュすることができます。
  3. 食事はタンパク質の補給を意識
    ストレスにさらされているときは、脳内物質のセロトニンの分泌が低下し、意欲や気力を損なう原因になります。セロトニンは、トリプトファンという必須アミノ酸を材料として生成される物質です。意欲や気力を失わないためにも、トリプトファンを多く含む卵や肉など、良質のタンパク質を豊富に含んだ食品を意識して摂るようにしましょう。
  4. 好きなことに没頭する時間をもつ
    自分の好きなことに没頭しているときは、脳内物質のドーパミンが分泌されます。これは「快楽ホルモン」とも呼ばれ、意欲や学習能力などを高める作用があります。趣味や好きなスポーツなどに夢中になる時間を一定数持つことは、ストレス耐性を強めることにつながります。ただし、どのような趣味やスポーツを選ぶにしても、「やらなければならない」という義務感を抱いたり、勝ち負けを意識したりするとそれがストレスになってしまいますから、自分が本当に楽しめることを探すようにします。

職場環境を整えるポイント

  1. スタッフの変化に気づく
    これまで几帳面だったスタッフが小さなミスを繰り返すようになったり、怒りっぽくなったなどの変化が見られるようになったら、ストレス性の病気が疑われます。店長はふだんからスタッフの言動に目を配り、明らかな変化が見られたら休みを与えるなど、早期発見・早期対応が重要です。
  2. チームプレイを大切にする
    五月病にかかりやすいタイプの多くは、「完璧にやらなくては気がすまない」と、何でも一人で抱え込んでしまう傾向があります。そのようなスタッフは仕事の効率も悪く、職場全体の士気にも悪い影響を及ばしますから、「組織はチームプレイで成り立つ」ということを教え、困ったこと・わからなことは同僚や上司に助けてもらうように指導します。
  3. 十分な休息を付与する
    飲食店の中には、長時間労働や過重労働で問題になりがちなお店もあります。そのため、ブラックバイトなどといわれないためにも、スタッフには労働基準法通りに休日を与えなければなりません。
  4. いじめ・パワハラを防ぐ
    新人スタッフの離職理由として多いのが、いじめやパワハラです。ひと昔前までは、上司や先輩による「しごき」という名の体罰等はふつうのことでした。しかし、今は「職場環境配慮義務違反」などの法律によって雇用側が訴えられる時代です。業務等について厳しく教える必要があるときは、「新人に対する意識改革のための教育」というスタンスで指導することが求められます。

五月病にかかると気力も意欲も低下してしまい、ボーっとしてしまうことがあります。周囲の目にはいかにもやる気がないように映りますが、本人は自分本来の力を発揮できずに苦しんでいるのです。五月病の症状があまりにもひどい場合は、精神科の受診をすすめましょう。胃痛や吐き気、動悸などの身体症状を伴うときは、内科の領域である心療内科が適しています。

まとめ

職場環境の悪さに頭を悩ます女性

いかがでしょうか?

飲食店の店長は、五月病やうつ病などの発症には職場環境が深くかかわっており、職場の環境整備が病気の経過を左右するということを認識する必要があります。五月病に対して問題意識をもたないと、新人スタッフを毎年採用するたびに同じことを繰り返すことになるかもしれません。厚生労働省は、2016年より従業員50人以上の事業所を対象に、ストレスチェックを義務づけるストレスチェック制度を設けています。

50人未満の事業所については、現在のところ努力義務となっています。しかし、医師や保健師によるストレスチェックを従業員が受けた場合には、条件によって助成金を受けることができます。全スタッフのメンタルヘルス不調を未然に防ぐためにも、ストレスチェック制度を活用することをおすすめします。

ストレスチェック制度を導入して働きやすい環境をつくろう