外国人観光客が日本の飲食店に求めていることとは?

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日本が好きな外国人観光客

日本政府観光局が発表している資料によると、2017年に来日した外国人観光客は911万人と、過去最高だった2016年の120%増となっています。日本政府はこうした傾向を踏まえ、2020年の外国人観光客の受け入れ目標を、2000万人からさらに上乗せさせる方向で検討しています。

数年前までは日本に訪日する外国人の多くは「爆買い」目的の観光客ばかり目立っていました。しかし、近年の外国人観光客の増加の内訳は、今まで状況から大きく変わりつつあります。変化の内容については本文で詳しくご紹介しますが、それによって今まで外国人観光客と無縁だったお店にも接点が生まれる可能性が出てきました。こうした状況の変化は、飲食店にとって大きなビジネスチャンスになるかもしれません。外国人観光客が求めているものを知り、ビジネスチャンスに備えておくべき時期が来ているのです。

そこでここでは、外国人観光客を受け入れるうえで、日本の飲食店に求められる心構えと準備についてご紹介します。

外国人観光客の受け入れのメリットは?

地図を見る外国人観光客

■口コミが口コミを呼ぶ

台湾の口コミグルメサイトにおいて、大阪で1番人気の飲食店をご存知ですか?それによると、大阪の名だたる名店を抑えて、新世界で営業をするお好み焼き屋さんが1番人気となっています。こちらのお店は、決して大阪で名のしれたお店ではありませんでした。ところが、ある台湾人観光客が来店したことをきっかけに、台湾で大評判となったのです。

それは、その人がお店の味や接客にとても満足し、感じたことを自分のブログに載せたことがきっかけでした。そのブログが評判を呼び、口コミグルメサイトに転載されたことで爆発的な評判を呼んだのです。現在そのお店は、連日台湾人観光客で賑わっています。

こうしたアジアからの観光客だけではなく、欧米の観光客も気に入った飲食店については必ずSNSで発信します。日本に訪日する外国人観光客に限らずですが、旅先では満足できる飲食店でご飯を食べたいと考えています。満足できるお店に行くためにも、多くの外国人旅行客が旅行前にSNSで評判のよい店を探しているとされています。

訪日の際には、事前に調べたお店に来店をし、そこで満足をすれば同じようにSNSに載せます。SNSを見た外国人がまた同じことを繰り返し、好循環が生まれていきます。このように、特に外国人観光客の場合は口コミが口コミを呼び、繁盛店を作ってしまうという傾向が日本に比べて非常に強いのです。 1人の外国人観光客を満足させることが、実は自店舗にとっては大きなビジネスチャンスになる可能性を秘めているのです。

■閑散期の助けになる

外国人観光客の旅行シーズンは日本とずれています。つまり日本の繁忙期には来ず、閑散期に訪れてくるのです。日本の飲食店にとって売上の厳しい時期に押し寄せてくれれば、自店舗にとっては大助かりになります。

外国人観光客は日本の文化に触れたい?

日本文化にふれる外国人観光客

「うちはごく普通の店で、外国人観光客が喜ぶようなメニューはない」と思う方もいるかもしれません。しかし、彼らの日本旅行のニーズは以前と比べて大きく変化し、「普通の店」でもそれを満たすことができる状況になっているのです。そうした状況について詳しくご紹介します。

■モノからコトへのニーズは変化している

冒頭で書いたように、一時期の外国人観光客は中国人の「爆買い」に象徴される「モノ」の購入が目的でした。しかし、2017年度の訪日外国人観光客1人あたりの支出は前年比で10%ダウン、中でも中国人旅行者は20%ダウンとなっております。こうした状況を受け、「爆買い」は既に終息してしまったと考えられます。 ところが、訪日外国人観光客は増え続けています。

これは、来日の目的が「買い物」という「モノ」消費から、日本の食や日本の文化に触れるという「コト」消費に変わってきている表れなのです。今までのインバウンドニーズは、主に大規模な安売り店やデパートが支えていました。今後は、デパートから日本の飲食店がその主役になる可能性が高いのです。

■日本文化体験を「良い思い出」にするために

来日した外国人観光客に「日本食の感想は?」という調査をすると、「あまりおいしくなかった」という答えが非常に多いとされます。こうした理由の裏には、決して料理がまずいのではなく、「注文はできたけど食べ方が分からなかった」という原因があるとされています。

たとえば、「すきやきの卵を溶かずに肉につけて食べてしまった」「刺身にソースを付けてしまった」といったことが理由で、「おいしくなかった」と言う感想を持って帰国しているのです。

外国人観光客の立場でしっかりとした準備を行い、おいしい日本食を提供できれば、よい「日本文化体験」という思い出を持ち帰ってもらえるでしょう。

外国人観光客への心構えと準備

お辞儀する店員

では具体的にどのような心がまえと準備をすれば、外国人観光客によい日本文化体験を提供できるのでしょうか。まずは、日本の飲食店の長所である「丁寧な接客」によって日本の文化を体験してもらうためのポイントについてご紹介します。

外国人観光客が「日本で接客を受けた」と実感するのは、店員からの「お辞儀」です。「お辞儀」は、外国映画の中で俳優が日本文化に触れるシーンにおいてマネるほど浸透しています。このお辞儀を、外国人観光客が感銘を受けるレベルの丁寧さと美しさで行いましょう。

日本人によくありがちですが、挨拶の時についつい頭を下げすぎてしまう傾向があります。外国人観光客にとって、こうした光景は大変奇妙で、落ち着きがない印象を与えます。 お辞儀をする時のポイントは以下の通りです。

  • 姿勢正しく立つ
  • 笑顔で相手の目を見る
  • ゆっくりと上体を倒し、ひと呼吸止める
  • ゆっくり起こし、もう一度相手の目を見る
  • にっこり微笑む

これだけをしっかりと行うだけで、日本の丁寧な礼儀文化に触れたと感じるでしょう。もちろん、すべてのお店でこのお辞儀がふさわしいとは限りません。

カウンターだけのラーメン屋でこのお辞儀をしていたら変に映ります。むしろ、威勢よく「いらっしゃい!」ということこそが日本の文化です。自店舗の特徴によって、どういう挨拶・お辞儀が日本らしいかよく考えましょう。

外国人観光客には日本語でのおもてなしをしよう

日本語でおもてなし

外国人観光客が日本の飲食店に入って1番感じる不満は、「英語が通じない」という調査結果があります。もっと正確に言えば、「店員が英語を話せないことが不満」なのではなく、「十分にコミュニケーションが取れないことが不満」という意味なのです。フロアのスタッフが全員、英語の勉強をして流ちょうに話せることを目指す必要はありません。外国人観光客に対してもあえて日本語で、それも彼らが分かるような簡単な言葉で接客をするということの方が近道です。

自分で海外旅行をしたときのことを思い出していただければわかると思いますが、海外のお店で相手が日本語を話せた場合は「よかった」と思うだけで感動はしません。しかし、自分のつたない英語が通じて相手とコミュニケーションが取れた時には、感動と言ってもよいほどの喜びがあったはずです。彼らもそれは同じなのです。以上を考慮にいれて、外国人観光客に「日本語でコミュニケーションが取れた」という最高の日本文化体験を提供しましょう。では、ポイントをいくつかご紹介します。

■外国人観光客が理解できる日本語を知っておく

YouTubeチャンネルの「Gaijin Tips Japan」で紹介されている、「外国人観光客が日本を旅行する時に知っておくべき10の日本語」は以下の通りです。

  1. :ありがとう
  2. :すみません
  3. :分かりません
  4. :いくら
  5. :どこ
  6. :これ
  7. :ごちそう様
  8. :こんにちは
  9. :ください
  10. :トイレはどこですか

飲食店としては、上記で紹介されている日本語が相手から出てくるはずという前提を持ち、「その程度の日本語ならわかる」ということをも考慮に入れて、外国人観光客にわかってもらうことができる日本語を使えばよいでしょう。

■目を見て話せばかなり通じる

「目は口ほどにものをいう」というのは、日本人同士だけの話ではありません。外国人と話す時でも、目を見て一生懸命コミュニケーションをとれば伝わるものです。特に、外国での礼儀の第1歩は「相手の目を見て話す」ことです。相手の目を見ない会話は、こちらが相手と誠実に接していないという印象を与えてしまいます。そうならないためにも、接客時にはにこやかに目を見て話しましょう。

ただし、韓国人旅行客の場合は例外となります。韓国では、露骨に相手の目を見つめることは失礼にあたります。なぜなら、目上の人に対しては伏し目がちに接することが美徳とされているからです。一見しただけでは韓国人旅行客か、それともほかのアジアの国かというのはわかりませんので、頭の片隅に置いておきましょう。

■料理の説明はメニューに書いておく

注意していただきたいのは、「すべてを日本語でコミュニケーションすることは求められていない」ということです。後述しますが、外国人観光客は料理を頼むときに、使用する食材とその調理法を知りたがります。

そうした情報を相手がわかる簡単な日本語で伝えることはほぼ難しいでしょう。そのような情報は外国語併記のメニューなどを用意し、そのメニューを見せて読んでもらいましょう。

外国人観光客に喜んでもらえる料理とメニューブックとは?

外国人観光客向け寿司

外国人観光客が日本文化体験として1番期待しているのは、何といっても「日本食を味わう」ことです。そのために必要なのは、外国人観光客が「日本文化を感じる」料理とは何かということを知っておくことと、前述したように彼らが必要としている情報が載ったメニューを用意しておくことです。

調査によると、外国人観光客が満足した日本食は1位が寿司、2位がラーメン、3位がそば・うどん、4位が肉料理でした。「うちにはその料理がないからダメだ」ということではありません。外国人観光客も寿司が食べたい時には寿司屋に入るということくらいはできますので、重要なのは「料理を外国人観光客が自分で判断して、選べるようにしておくこと」です。

つまり、外国人観光客向けの料理とは料理の種類ではなく、料理の提供の仕方にポイントがあるのです。料理の提供にポイントがあるので、どのような業種の飲食店でも外国人向けの料理は用意できるのです。

そのためには以下のポイントを押さえましょう。

・おすすめメニューや自店舗の人気の料理をランキングしたPOPを作る

外国人観光客にとっては、どの日本食も初挑戦となるでしょう。そうした外国人観光客に気遣い、「当店のおすすめ」や「人気トップ5」などが分かりやすく書かれたPOPを用意しておくと安心して注文できます。また、お店としても注文の誘導ができますので、顧客対応に便利となります。

・料理写真をきれいで大きな画像でメニューに載せる

写真が大きく載っていれば、おおかたどのような料理かは想像がつきやすく、注文しやすくなるでしょう。スマホのカメラで撮影してもかまいませんが、画像加工ソフトでおいしく見えるように加工しましょう。写真の印刷は写真ショップに持ち込んで、高精度のカラープリンターで行いましょう。

・料理には番号を振る

料理に番号を振っておけば、メニュー名が読めなくてもその番号で注文できます

・料理名は「直訳ではない」外国語と日本語の併記

メニューには日本語と外国語の両方を併記しましょう。多くの外国人観光客は、英語であれば多少は読むことができますので英語表記がよいでしょう。

注意点は、メニューを「直訳」にしないことです。たとえば、「キツネうどん」を「Fox Noodle」にするようなことです。これでは麺にキツネの肉が入っている料理になります。そうではなく、「Fried bean curd and Noodle」、つまり「揚げた豆腐と麺」の料理と書きましょう。日本人からすれば若干の違和感がありますが、具体的な表現をしましょう。

こうした間違いをしないためにも、自分でネットの翻訳サイトなどを使って違和感がないか確認して下さい。自分で判断するのが難しければ、英語の得意なスタッフなどに確認の依頼をしましょう。

・使用食材や食べ方の紹介を入れる

日本食を食べるにあたって、外国人観光客は自分が何を食べているのかということに非常に興味を持ちます。宗教上の戒律や思想上の問題、あるいは健康上の理由で食材が限定されるケースもあります。アレルギー成分の記載はすでにどこの国でも標準となっています。世界標準に合わせるという意味でも、何を使っているかという食材の記載は必須です。

食べ方に関しても、「刺身はしょうゆをつける」、「ざるそばは上からつゆをかけず、そば猪口にとったつゆにつけて食べる」など、日本人にとっては当たり前のことでも丁寧に解説しましょう。

・価格表示は税込み

外国には消費税のない国も多いですので、メニューの記載金額と精算時の金額が違っているとトラブルや不信の原因になります。また、欧米圏の外国人観光客は、チップの計算を内容の書かれた伝票を見て計算します。こうしたことを考慮に入れて、メニューへの価格表示はすべて消費税込みにしましょう。

・苦手な食材を知っておく

一般的な外国人観光客には、ほぼ共通して苦手な食材があります。そうした料理に関しては、メニューに明確に記載しましょう。その食材とは以下の通りです。

  • イカの塩辛:見た目がダメです。
  • 生卵:すき焼きなどを出している店は要注意です。
  • 納豆:どの国にも特有のにおいのきつい発酵食品はありますが、子供の頃から食べていないとほぼNGです。
  • 梅干し:独特の酸っぱさが、外国人観光客にとって強すぎる刺激です。
  • イカやタコ:ほとんどの外国では、イカやタコは海の化け物というイメージです。特に吸盤など形状が分かるものはNGです。
  • わさび:刺激が強すぎ、知らないで食べると衝撃を受けるだけです。
  • ぬか漬け:匂いも味も独特で苦手な外国人は多いです。

まとめ

おもてなし

いかがでしょうか。

外国人観光客の存在は、今まで普通に営業していた自店舗を一気に繁盛店に押し上げるポテンシャルを持っています。彼らが日本を旅行する真のニーズを理解して、それに対応できる自店舗の態勢を準備しましょう。