「生ビール1杯200円」「飲み放題980円」……居酒屋がドリンクを安く提供するワケ

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生ビール受け渡し

「生ビール1杯200円」は果たして破格値なのか?

居酒屋の店先にある「何杯飲んでも生ビール200円!」「90分980円で飲み放題!」などと書かれた看板。夜の繁華街を歩けば必ず数軒は見かけます。そんな店舗を見るたびに「こんなに安くて採算は取れているの?」「本当にビールなのかな?実際は発泡酒なんじゃないの?」「サワーは薄めているんじゃないの?」……そんな風に思う方も多いはず。

ところが、それらの店舗は採算が取れています。「生ビール」の表記に嘘なくきちんと生ビールを出しているでしょうし、サワーを薄めて出している店舗も極めて少ないでしょう。そんなことをしていたら、二度と来店してもらえません。

では、なぜそのような破格な価格設定で提供し続けられるのでしょうか。

安く設定した生ビール代は「広告費」と考える

「生ビール1杯200円」で提供する理由。

店先の看板やHPの目立つところに「生ビール1杯200円」と書かれたお店があったとします。「お!安いな」と目に止まる方も多いですよね。そうです。その時点で200円にする価値があるのです。

数多ある居酒屋の中で「お!」と目に留まるか否か。大手チェーン店なら黙っていてもお客さんはある程度来てくれるかもしれませんが、個人経営の店舗は初回来店のきっかけを作ることがひと苦労なのです。ライバル店の多い居酒屋において、生ビールを200円で提供することは、集客においてとても有利となります。でも、どうしてこの単価で提供するのでしょうか。

それは、広告費という考え方です。

WEB広告を打ち、不特定多数の方にアピールする方法もありますが、彼らは「今すぐ飲み屋を探している」といったお客さんではありません。しかし、飲み屋を探していて今すぐビールを飲みたい方に対して「生ビール1杯」をセールストークに使ったらどうでしょうか。

余程の変わり者でない限り、間違いなく、そのお店を利用することでしょう。このように、生ビールを1杯200円で提供することは宣伝広告費なのです。

おおよそではありますが、飲食店での売り上げの構成は、原価30%、運営費(人件費・水道光熱費・販売促進費など)30%、利益30%、家賃10%程度が一般的とも言われています。本来であれば生ビールを300円で提供したいところを200円で提供するというのは、生ビールの売り上げの不足分を広告費で補うという考えで設定されているのです。

そもそも、実際に「生ビール200円」につられて入店されたお客様が、その1杯だけを飲んで帰るということはほとんどありません。ご自身が居酒屋で飲む時のことを振り返ってみてください。乾杯のビールの後は、よほどのビール党でない限り、杯を重ねるにつれ、ハイボールや日本酒、ワインなどに切り替えることが多いですよね。もちろん一緒におつまみも注文するでしょうし、店舗によってはテーブルチャージを設定していることも多いでしょう。もちろん中には最初から最後までビールで通されるお客様もいらっしゃいますが、心配するほどの数ではありません。

また、ここでの目的は「新しいお客さんに足を運んでもらう」ということです。

生ビール1杯という謳い文句に釣られて店内に入り、お店を気に入ってもらえれば、リピーターになってくれます。つまり、たった数百円をかけることによって、この先、お客さんがお店にお金を落とし続けてくれるという仕組みが作られるのです。

そう考えると、初めは客単価を下げてでも、店に入ってもらった方が良いですよね。また、こういったイベントをすることによって、お客さんの間で話題となる為に、口コミでお客さんが増える可能性もあります。

ビールは1杯200円でも、他のメニューは定価ですから、どう転んでもお店が赤字になることはありません。むしろ、1杯200円のビールに釣られてどんどんお客さんが来るので、お店は繁盛することでしょう。

たった200円が何十倍にもなって帰ってくるのですから、ケチくさいことは言わずに、広告費と割り切って安値でビールを提供してみてはいかがでしょうか。

広告出稿・チラシだけが「広告費」ではない

生ビールを200円で提供している居酒屋は、それを売上の主軸には考えておらず、「広告費」の一環と考えています。ポスティング広告の効果は0.1~0.5%(1,000件に配布して1〜5件の来店)と言われていますが、この際の配布コストを考えれば、「生ビール1杯200円」の広告看板効果は高いのではないでしょうか。継続的に告知できて、わかりやすく、ファンもつきやすい集客施策のひとつです。

「飲み放題」にすることで生まれるメリット

では、「90分飲み放題980円」の場合はどうでしょうか。こちらも一見儲けが薄いように感じますが、先の生ビール200円と同様、販促費用・広告費として考えれば問題はありません。

飲み放題を設定している店舗の場合、合わせて「食べ放題」や「コース料理」も設定しているケースが多く、その狙いは団体のお客様を獲得することです。飲食店を経営していて何より助かるのは、売り上げがある程度見込めることではないでしょうか。事前に予約をし、確実に来店し、一定の額を落としてくれる団体客を定期的に取り込めることは、多少利益率が減っても貴重な存在なのです。コースなら料理の組み合わせによって調理時間も削減でき、利益率をうまくあげることも可能でしょう。

なお、原価率が高くても、生ビールを「飲み放題には含まれません」とすることはできるだけ避けましょう。利益の追求が難しいカラオケ店などでは一部見られますが、「ケチなお店だな」という印象を持たれないためにも、定番のドリンクはある程度入れておくことをオススメします。

そもそも飲み放題を打ち出していても大赤字になるほど飲まれるお客様というのはごく少数です。全体の利益を心配するほどのことではありません。

さらに、飲み放題に時間制限を設ければ、テーブルごとの滞在時間が読めるようになり、客席の回転率をあげることができるメリットもあります。

デメリットも考慮しよう

生ビールなどのドリンクは原価率が低いので、値引きをしても、お店の利益にさほどダメージはないと思われます。ただ、だからといって何も考えずに「ビール」を値引きするのはいかがなものでしょうか。

アルコールを安値で提供する目的は前項でもお伝えしたように「集客」にあります。ですので、できればこの宣伝費は安く済ませたいですよね。そう考えた時、ビールより原価率の低い飲み物があることに気付きませんか。

そうです、チューハイやハイボールの方が原価が低いのです。

しかも、最近はビールよりもハイボールを好む人が増えていますので、客層によっては、ハイボールを安くした方が集客効果があるかもしれません。

また、このページでは「ビール1杯200円」と例えていますが、別に200円で提供する決まりはありません。例えば、ビール100円引きでも良いでしょう。そして、ハイボールは200円引きなど、このように人に合わせた値引きイベントを行えば、様々な方をお店に集めることが出来ます。

あと、いくら集客したいからといって「何もせずとも満席になる時間帯」にイベントをするのは考え物です。例えば、祝日前の夕方の時間。飲み屋にとってみると、稼ぎ時ですよね。

何もしないでも店内は満席になることでしょう。

それなのに、このタイミングで値引きイベントをしてしまうと…?

単に利益を手放しているだけにしか過ぎません。ですので、このような時間帯は避けて、平日や夕方の早い時間など、何か取り組みをしないと、客席が空いてしまうような時にビールやハイボールを値引きして、店内にお客様を呼ぶようにしましょう。

そうすれば、営業している間、赤字時間を作らず、常に黒字営業で営業をすることが可能となってくるでしょう。

まとめ

「生ビール1杯200円」「飲み放題」……その中に込められた各施策の意味に大きな違いはありません。あなたの店舗のアピールポイントをどこにするのか。利益はどこで得るのか。それに合わせてより効果を得られる施策を打ち出していってください。

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