ダイレクトメールを駆使してリピーターを増やそう

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ダイレクトメールを送る男性

飲食店で集客のために行う販売促進にはいろいろな種類があります。その中でも比較的コスト効率が良い、つまり、かけた費用に対してリターンが大きいのでおすすめなのがダイレクトメール、略してDMです。

ダイレクトメールというと、通信販売の会社や金融機関、あるいは自動車販売会社などを想像するかもしれませんが、今は飲食店を始め集客を必要とする多くの企業が実施しています。それだけ効果があるという証明でもありますが、逆に受け取る方から言えば、多数のダイレクトメールが送られてくるので、読みもせずに捨ててしまうという現実もあります。そのため実行するうえでは、「その他大勢」のダイレクトメールに紛れないようにしなければなりません。

そこで、その他大勢にまぎれずに、確実に効果を上げるダイレクトメールをどのように作成し、送付し、活用したら良いのかという点についてご紹介します。

ダイレクトメール(DM)とは?その目的は?

手紙

ダイレクトメールとは

最初に簡単にダイレクトメールの定義を確認しておきましょう。一般にいうダイレクトメールとは「個人または法人あてに直接ハガキや郵便物を送付して行う販売促進ツール」を指します。

目的は冒頭で書いたように「集客」ですが、たとえば新聞の折り込みチラシがどちらかというと新規客の集客ツールであるのに対して、ダイレクトメールはリピーターを集客するためのツールです。ですので、内容は「料理を含めて自店舗のことをある程度知っている」人を対象にし、ターゲットをイメージしておく必要があります。

ダイレクトメールの「内容」について

ダイレクトメールを実施するにあたり最初にすることは、送る内容を考えることです。もちろん1番必要なのは来店を促進するために相手へのメリット(ベネフィット)を提案する、ということですが、それだけの内容で送ることはおすすめしません。理由は以下の3つです。

  • ある程度のコストをかけて送るのに情報が1つだけではコスト効率が悪い
  • それだけの内容では、何度か送るうちに飽きられれてしまい読んでもらえなくなる
  • 仮に提案するメリットが強力な集客力を持ったものだとしても、その効果をさらにアップさせるためにはできる限り工夫する必要がある

ではどのような内容をダイレクトメールに盛り込めばよいかというと、主に以下の6つの要素があります。

  1. メリット提案

    これは基本的には必須の内容です。もちろん、以下の2以降の内容のみで送る飲食店やほかの業種もありますが、リピート促進を図るためには必ず入れたほうがよいでしょう。

  2. リマインド

    リマインドとは「もう1度自店舗のことを思い出してもらう」ことです。世の中には星の数ほど飲食店がありますから、リピートしてもらうにはその中から「この店良かったな」と思い出してもらう必要があります。特に年末年始の宴会時期などには、この内容が必要になります。

  3. 親近感

    店やスタッフの情報を発信して自店舗に対する親近感を醸成することもあります。集客の即効性はありませんが、親近感を持ってもらえれば好感につながり、リピートのモチベーションになります。

  4. ニュース

    「広島産牡蠣入荷!」などの季節メニューや新メニューの投入、あるいは「バレンタインフェア」のような店で行うイベントなどのニュースも、提供する内容としては、リピートの大きなモチベーションになります。

  5. 季節感

    人の食生活は意外に季節に影響されます。冬であれば蟹が食べたくなる、という心理です。ですので、季節に関する話題やその季節にしか食べられない食材の情報はリピートのモチベーションになると同時に、定期的にそれを流すことで対象客の記憶に自店舗のことを刷り込むことができます。それは「あの店から夏のお知らせが来た。もうそういう季節か。久しぶりに行ってみようか」という心理をもたらします。

  6. ブランディング

    「地産地消」や「オーガニック」など、こだわったコンセプトを持っている飲食店の場合は特にそうですが、それに関する取り組みなどの情報を送ることで、自店舗のブランディングを確立させる効果があります。ブランディングとは簡単に言うと「他の店とは違った自店舗独自の特徴や魅力をアピールし、認知させる」ということです。それができれば、値引きや値下げなどの価格勝負をしなくても、非常に強い集客力を得ることができます。

中身があまりに多くなると返ってダイレクトメール自体の訴求力が落ちますが、それを加減しながら、このうちのメリットを含めた複数の内容を盛り込むことを考えましょう。

ダイレクトメールの文面、デザイン、形式は?

ダイレクトメールイメージ

それでは以上の内容を盛り込んだダイレクトメールを具体的にどのように作成すればよいのかということについて、その基本的な文面とデザイン、そして形式つまり「媒体」に関するポイントをご紹介します。

ダイレクトメールの基本的な文面

  1. 感謝のあいさつ

    基本的にビジネス文書ではなく、個人への手紙ですから親近感がわくような、日ごろの愛顧と前回来店への感謝などを挨拶に盛り込みます。

  2. テーマ(内容)

    そして上で挙げた内容をわかりやすく伝えます。写真なども入れられるといいでしょう。

  3. メリット

    これが最も重要な情報ですが、来店に結びつく相手にとってのメリット(ベネフィット)を目立つように伝えます。具体的には、値引きなどの金銭的なメリット、あるいはクーポン券やサービス券などのお得感のメリット、さらには来店記念品などの賞品などプレゼントのメリットなどです。このようにメリットを提供することを、オファーとも言います。

  4. 一言メッセージを入れる

    個人店や、来店客との「距離が近い」店であれば、ぜひ手書きでメッセージを一言加えましょう。年賀状と同じで、印刷だけの文面では味気ないものですが、そこに手書きが入るとぐっと親近感が増し、「あなたは特別なお客様です」というメッセージになります。

ダイレクトメールのデザインのポイント

デザインを作ることは簡単なようで意外に高いスキルが必要です。メリットを強調したいからといってスーパーの折込チラシのような派手な字体と色遣いにした場合、安さを売りにした店舗コンセプトならばいいですが、上質感や高級感を訴求している店舗の場合、それと整合性がなくなるからです。

書いている内容、自店舗のコンセプト、確立を目指しているブランディングと整合したデザインでありながら、同時にメリットが目立つようにする必要があります。なかなかデザインの素養がない個人ではハードルが高い部分もありますので、ここはプロに任せるという方法もあるでしょう。

余りコストはかけたくない、という場合は、ネット上でフリーのデザイナーから応募を募り、1番よいデザインを選んでそれだけに費用を支払う「クラウドソーシング」を活用するのもよいでしょう。

また、デザインはレスポンス、つまりこのダイレクトメールをみて来店する、という「反応」と直結します。よって非常に大切なのですが、メリットを強調したほうがいいのか、あるいはコンセプトに沿ったものにしたほうがいいのか、などと複数のデザイン案の中で選択に迷う場合も出てきます。

そういう時には、通信販売で必ず行う「ABテスト」をしてみましょう。これは方向の違うデザインや文面を2案作って、無作為送り先を2つに分類し、それぞれ別のデザインとして発送し、そのレスポンスを計測することでどちらのデザインの効果が高いか、ということをテストするものです。最初はデザインを2案作る必要があるので、その分コストが上がりますが、これによってより効率的なデザインが確定し、2回目はそのデザインだけでダイレクトメールを送ることができれば、十分にそのコストは回収できます。

ダイレクトメールの形式(媒体)

またどのような形式、つまり媒体を使ってダイレクトメールを送るかについてはおおむね以下の4種類があります。

  1. ハガキ

    ハガキは、デザインを含めた印刷コストも、送付コストも非常に安く、また受け取った段階で内容が見える点がメリットです。一方でデメリットは伝えられる情報が少ないので、内容的に絞り込む必要があるという点です。さらに、自店舗に対する親近感や好意がなく、毎回送っているメリットにも魅力を感じていない場合は、しっかり中身を読まずにすぐ捨てられてしまう危険性もあります。

  2. 封筒

    封筒にチラシなどを同封して送る形式は、情報量の点でハガキのデメリットをカバーできます。しかし印刷コストも送付コストも上がってしまいます。また、開封するという「ひと手間」が発生するので、その分購読率が下がる恐れもあります。さらに最悪の場合は、ハガキと同様に、送り主の店舗名だけ見てすぐに捨てられてしまう危険性もあります。

  3. パンフレット

    これは封筒形式のバージョン違いですが、単純にA4で1枚のチラシなどではなく、店で作ったパンフレットのようなものがあれば同封してもよいでしょう。きれいにデザインされ、読みやすいパンフレットであればしっかり読んでもらえる可能性は高まります。

    ただし、印刷コスト、送付コストのデメリット、未開封で捨てられる危険性のデメリットは回避できません。特にパンフレットを印刷会社で作成する場合は、1回あたりの作成量を多くしなければ1冊のコストが非常に高くなってしまいます。そのため大量に作る場合が多いのですが、それは毎回同じ顧客に同じパンフレットを送ることになってしまいます。1回目は読んでくれても、2回目以降は読んでもらえず、逆に店自体が飽きられてしまう危険性もあります。

  4. 新聞

    特にブランディングとニュースの情報提供に力を入れるのであれば、新聞形式のダイレクトメールもおすすめです。定期的に送付することで、その効果はかなり上がり、中には送付を楽しみに待ってくれる人も出てくるでしょう。

    ただしデメリットはパンフレットと同じコスト面と、さらには作成に非常に時間と手間がかかるということが挙げられます。また、あまりにページ数の多い新聞の場合は、大型の封筒を使うことになり、さらに送付コストを押し上げてしまう可能性もあります。

したがって、基本的には頻度の多いダイレクトメールはハガキ形式で送り、年末年始などの宴会メニューをしっかり伝えたい時などには封筒形式を使う、というような使い分けをすることがおすすめです。

ダイレクトメール送付のポイント

ダイレクトメールのポイント

文面、デザイン、形式(媒体)が決まったら次はいよいよ送付です。ダイレクトメールを送付する上では、少なくとも以下のポイントを押さえて実行しましょう。

送付先リストを整備する

第1にはダイレクトメールを送付するあて先を増やし、活用できるようにしておく必要があります。ノート、予約台帳、アンケートの束、などいろいろなところにバラバラに顧客情報がある状態では、データの重複も分かりませんし、何より作業効率が非常に悪いです。まずは顧客情報は顧客台帳として1つにまとめて管理しましょう。

送付先リストを増やす

さらにダイレクトメールは確率論の世界です。かなり魅力的なメリットをつけて送付しても、レスポンスは最大で15%程度です。たとえば1ヶ月に期間を区切って販売促進を行う時に、リピーター100組という目標を立てた場合、逆算して約700件には送る必要があります。つまりそれだけの顧客リストが必要なのです。そして当然送付数を増やせば増やすほど来店数も増え、売上も上がりますので、積極的に顧客台帳を充実させましょう。

そのための最もポピュラーな方法の1つは、来店客にアンケートを依頼し、料理への満足度などと一緒に住所情報をとることです。あるいは、もっと直接的に「ファンクラブ」という形で、住所情報の登録だけを依頼する方法もあります。ただし、何もなければ普通は協力してくれませんから、デザートプレゼントなどのメリットをつける必要があります。

エクセル化して管理する

さらに、そのようにして取得した顧客情報はノートなどの紙媒体ではなく、Excelなどで管理しましょう。紙媒体の場合は、あて名をハガキなど記載する時に手書きになるので、非常に工数がかかり、顧客情報が増えるのはうれしいが時間がかかってほかの仕事ができない、ということになりかねません。

その点、Excelで管理しておくと、そのデータをWordと連動させることで「あて先ラベル」を印刷できますので、非常に作業が効率化されます。最初に全顧客情報をExcelに入れる時は大変ですが、それ以降はこまめに追加データを入力していけばそれほどの手間にはなりません。

料金別納制度を利用して、効率よく送る

またダイレクトメールを送付する時に意外に大変なのが送付コストとその手間です。通常は郵便で送付することが多いでしょうが、切手を1枚1枚貼るだけでも大変です。そういう時には、「料金別納」サービスを利用しましょう。10通以上のダイレクトメールを一括で送付する場合に利用でき、切手を貼る手間が不要です。料金も一括して支払えるので便利です。

また、毎月50通以上のダイレクトメールを発送する店舗の場合は「後納郵便」を利用すると便利なうえにコストも安くなります。これを利用すると一定の条件を満たせば「月間割引制度」が適用され、送付コストを削減できます。

ダイレクトメールは投資効果が重要

たくさんのダイレクトメール

ダイレクトメールを送付するうえで重要な点は上で書いた、高いレスポンスを獲得するために、内容、文面、デザイン、送付形式で工夫することのほかにもう1つあります。 それは効果を計測し、継続して記録し、内容などを改善させ、結果、投資効率をアップさせていくことです。

ダイレクトメールは作ってから送るまでは一生懸命しますが、この2つめのことを全く考えていない経営者や店長の方も多いのです。しかしそれでは片手落ちで、いつまでたってもダイレクトメールを使った販売促進の効果は上がってきません。したがって、ダイレクトメールを実施する時には、検討の最初の段階から2番目のことも含めて計画しましょう。具体的には以下の内容です。

そもそも投資効果とは何か

ダイレクトメールを実施した店舗の店長や経営者の方に「反応はどうか」と聞くと、「その間の来店が3割増えた」とか、あるいはもっとアバウトに「結構忙しかった」という答えが返ってくることが意外に多いものです。

しかしそれでは「利益は上がったのか」という重要な投資効率の問題は明らかになりません。そもそもダイレクトメールの投資効率は、1000通のダイレクトメールを送ったという例をとると、以下のようにとらえます。

<ダイレクトメール費用>

ダイレクトメール制作費:1000通 × 1枚10円 = 2万円

ダイレクトメール送付費:1000通 × 1通50円 = 5万円

<収益>

来店数1000通 × レスポンス10% = 100組

売上100組 × 1組平均当たり単価1万円 = 100万円

原価100万円 × 原価率30% = 30万円

人件費1000万円 × 20% = 20万円

割引サービス100万円 × 10% = 10万円

<固定費、販管費除いた利益>

100万円 −(2万円+5万円+30万円+16万円+10万円)= 37万円

<投資効率>

37万円 ÷(2万円+7万円)= 4.1

実際にはここからほかの経費も除かないと本当の利益はわかりませんが、利益を計算することが目的ではなく、投資効率を測ることが目的ですので、この程度のアバウトさで十分です。この例ではおおむね30万円程度の利益が出て、かつ投資したコストの4.1倍の利益が返ってきた、ということになります。

この4.1倍というのが投資効率です。一般的に刃、この水準であればこのダイレクトメールは成功した、ということでしょう。しかし、次に行ったダイレクトメールのレスポンス率が5%しかなかった場合は、売上が50万円、利益は13万円、投資効率は1.4倍にしかならず、時間をかけて準備したけれど効果は前回よりもかなり落ち、ある意味実施してもしなくても一緒だった、という判断になります。

このようにダイレクトメールを実行するたびに投資効率を測定し、時系列で記録し、効率が悪化していたらその原因を究明して改善の検討をする、というのが非常に重要です。これをしないと、その都度よかった、悪かった、というだけで店舗の販促力も集客力も上がりません。

投資効率を上げるには

では仮に投資効率が落ちてしまった場合、あるいはさらに上げたい場合はどのような策をうてばよいのでしょうか。店舗の特徴や業態によって内容はさまざまですが、ここでは代表的なものを挙げておきます。

まず1つは送付先を減らすことです。減らせば印刷コストも、送付コストも下がり、投資効率が上がります。ただし判断基準なく減らすのはNGです。たとえば、1年以上前に来店した以降来ていないお客様は、この先リピートする可能性が非常に低いですから、リストから外しても売上には大きな影響はないだろうということで、次回は送付しないでおくことです。これによってコストが下がった分投資効率が上がります。つまり儲けが増えるということです。

また、顧客情報を「満足度を5点満点で聞く」というようなアンケートと一緒にとっている場合、その点数が2点以下のお客様もリピートする可能性は非常に低いですから外すという方法もあります。このようにして送付数を絞って、レスポンスの率を上げることが投資効率アップの1つの方法です。

ダイレクトメールを送ると予想以上に「あて先不明」で戻ってきます。これを「返戻(へんれい)」と言いますが、この「そのお客様は実在しない」という情報は必ず顧客データに反映し、リストから削除して次回は送らないようにしましょう。このようにして顧客リストをブラッシュアップさせていくことも、投資効率を上げるためには重要です。

まとめ

ポストミニチュア

いかがでしょうか。

コストがかかるとはいえ、折込チラシなどに比べればダイレクトメールはそのコスト額は少なく、かつ一般的には投資効率のよい販売促進の手法です。ただしそれは戦略なく実施しても効果は上がりません。上でご紹介したように、内容、文面、デザイン、形式を検討し、ABテストで最適なものを探し、かつ投資効率を測定して常にブラッシュアップさせていくことが重要です。多少の手間はかかりますが、しかし見返りは大きい取り組みですので、ぜひしっかりと実行してください。