事業再構築補助金でコロナ禍に対応!主要要件と審査項目をご紹介します

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新型コロナウイルスによる影響が長期化する中で、飲食店の新分野展開や業態変化など、思い切った改革が求められています。そうした試みを支援し、企業の売り上げ回復や日本経済の構造転換につなげるという目的で設けられたのが「事業再構築補助金」です。

今回の記事では、事業再構築補助金の概要と、申請する際の注意点についてご紹介します。

「事業再構築補助金」とは?

事業再構築補助金は中小企業庁から支給される補助金のひとつです。

ウィズコロナ・ポストコロナに対応した新分野展開や事業再編、事業・業種・業態転換という思い切った事業再構築に意欲を持つ中小企業を支援するために設けられました。

※事業再構築補助金の公募は令和3年度中に5回程度行われる予定です。今回の記事は第1回(公募期間:令和3年3月26日~4月30日)について述べており、2回目以降は条件が異なる場合があります。必ず事務局のホームページにて最新情報を確認してください。

「事業再構築補助金」はだれでも使えるの?対象と申請要件の確認

事業再構築補助金は誰でも受けられるわけではありません。まずは対象者と申請要件を把握し、申請資格があるかどうかを確認しましょう。

コロナの影響で厳しい状況にある中小企業、中堅企業、個人事業主、組合等が対象です。なお、中小企業と中堅企業の定義は以下のように定められています。

【1】中小企業 

中小企業基本法の定義と同様です。業種によって定義が異なりますが、飲食店(小売業)の場合は資本金5,000万円以下の会社または従業員50人以下の会社及び個人が「中小企業」に分類されます。

【2】中堅企業

中小企業の範囲に入らない会社のうち、資本金10億円未満の会社を指します。

申請要件

事業再構築補助金には、以下3つの主要申請要件が定められています。

【1】売り上げが減っている

申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年または2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していることが条件のひとつとなっています。

【2】事業再構築に取り組む

自社の強みを生かしつつ、事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換などを行うことが条件です。具体的な例を挙げると、以下のような事業が対象になります。

  • これまでの飲食スペースを縮小し、テイクアウト販売を実施したい
  • 従来の弁当販売に加え、高齢者向けの食事宅配サービスを始めたい
  • オンラインショップを開設し、自社のメニューをレトルト化した商品を販売したい
  • 調理過程で生成される成分を活用し、新たに化粧品の製造・販売を始めたい

【3】認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する

  • 事業再構築に係る事業計画を認定経営革新等支援機関※1と策定します。補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関も参加して策定します※2

※1 認定経営革新等支援機関:地域の経済産業局や財務局より認定を受けた個人や法人、機関を指す。一般的には金融機関や商工会議所、士業、民間コンサルタントが多い。

※2 金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみで構わない。

  • 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(グローバルV字回復枠は5.0%以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(同上5.0%)以上増加の達成を見込む事業計画を策定することが求められます。

※付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費

「緊急事態特別枠」とは?

「緊急事態特別枠」は令和3年の緊急事態宣言により深刻な影響を受けた中小企業を対象に設けられる特別枠で、通常枠より補助率が高くなります。

また、特別枠は通常枠に先行して審査が行われ、不採択となった場合でも、加点されたうえで「通常枠」で審査をおこないます。そのため通常枠のみ申し込んだ事業者より採択率が高くなる可能性があります。

事業再構築補助金の補助対象経費について

補助対象となる経費は、事業拡大につながる事業資産に投資されたものであること、本事業の対象として明確に区別されるものであることが条件となっています。

例としては以下のような経費が挙げられます。

  1. 建物費
  2. 機械装置・システム構築費
  3. 技術導入費
  4. 外注費
  5. 広告宣伝費・販売促進費
  6. 研修費

また、以下のような経費は対象外となります。

  1. 事業に係る自社の人件費、旅費
  2. 不動産、株式、公道を走る車両、汎用品(事務用のパソコン、スマートフォン、家具)の購入費
  3. フランチャイズ加盟料、販売する商品の原材料費、消耗品費、光熱水費、通信費

参考:事業再構築補助金の概要(中小企業等事業再構築促進事業)2.1版

審査項目・加点項目

事業再構築補助金の交付を受けるためには、審査項目、加点項目を意識した事業計画書を作ることが重要です。公募要領にしっかり目を通して、適切な事業計画書を作成してください。

なお、事業計画書は可能な限り15ページ以内で作成することが求められています。

審査項目

まずは基本的な審査項目をご紹介します。

【1】補助対象事業としての適格性

「補助対象事業の要件」を満たすか。補助事業終了後3~5年計画で「付加価値額」年率平均3.0%(【グローバルV字回復枠※】については5.0%)以上の増加等を達成する取り組みであるか。

※グローバルV字回復枠:中堅企業向けの特別枠。申請には「グローバル展開を果たす事業であること」など、諸要件を満たす必要がある。

【2】事業化点

  • 目的に沿った事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。また、金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか。
  • 事業化に向けて、競合会社の動向を把握すること等を通じて市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。市場ニーズの有無を検証できているか。
  • 補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。補助事業の課題が明確になっており、その課題の解決方法が明確かつ妥当か。
  • 補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性等)が高いか。その際、現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用することや既存事業とのシナジー効果が期待されること等により、効果的な取組となっているか。

【3】再構築点

  • 事業再構築指針に沿った取り組みであるか。また、全く異なる業種への転換など、リスクの高い、思い切った大胆な事業の再構築を行なうものであるか。
  • 既存事業における売り上げの減少が著しいなど、新型コロナウイルスの影響で深刻な被害が生じており、事業再構築を行なう必要性や緊要性が高いか。
  • 市場ニーズや自社の強みを踏まえ、「選択と集中」を戦略的に組み合わせ、リソースの最適化を図る取組であるか。
  • 先端的なデジタル技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域のイノベーションに貢献し得る事業か。

【4】政策点

  • 先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、経済社会にとって特に重要な技術の活用等を通じて、我が国の経済成長を牽引し得るか。
  • 新型コロナウイルスが事業環境に与える影響を乗り越えてV字回復を達成するために有効な投資内容となっているか。
  • ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより差別化を行ない、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか。
  • 地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に対する経済的波及効果を及ぼすことにより雇用の創出や地域の経済成長を牽引する事業となることが期待できるか。
  • 異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供するような場合など、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。また、異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか。

加点項目

加点項目としては先ほどの「特別枠」への申請に加え、以下のようなものがあります。エビデンスとなる添付書類の提出が必要になりますので、必ず準備しておきましょう。

【1】令和3年の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響をうけたことにより、2021年1月~3月のいずれかの月の売上高が対前年(または対前々年)同月比で30%以上減少していること。

【2】上記【1】の条件を満たした上で、2021年1月~3月のいずれかの月の固定費(家賃+人件費+光熱費等の固定契約料)が同期間に受給した協力金の額を上回ること。

参考:令和二年度第三次補正事業再構築補助金 公募要領(第1回)1.4版

その他の「事業再構築補助金」のポイント

事業再構築補助金の交付を受けるためには、事業計画書の作成以外にも注意すべきポイントがあります。

また、補助金は交付を受ければそれで終了ではなく、事業期間中や事業終了後に行わなければならないことがあります。申請の前にしっかりチェックしておきましょう。

申請は電子申請のみ可能

事業再構築補助金は「GビズIDプライムアカウント」を用いた電子(インターネット)申請のみの受付となっています。アカウントの発行は申請書および印鑑証明書・印鑑登録証明書が必要になり、発行までに最大3~4週間かかります。

ただし、事業再構築補助金については、即日発行可能な「暫定プライムアカウント」から申し込むことも可能です。そちらも事後的に必要書類の郵送が必要になりますので、きちんと手続きをしておきましょう。

不明点は「GビズIDヘルプデスク」にて受け付けていますが、公募締め切り間近になると問い合わせが多くなり、スムーズに返答が得られない場合もあります。

次回(2回目)の公募期間はまだ発表されておらず、準備期間は充分ありますので、早めにアカウントを取得しておくと良いでしょう。

補助金は後払いである

補助金は採択を受けさえすればすぐに支払われるわけではありません。事業資産への投資(設備の購入など)を行い、請求した後に振り込まれます。申請から1年以上かかることもありますので、それまでの資金調達は自身で行わなくてはなりません。

事業終了後に書類提出が必要

事業終了後、一定期間内に報告書や経費書類を提出する必要があります。補助金の用途が不適切だと判断されると、補助金支給を否認されることもありえます。

見積書、契約書、振り込みの写しなど経理書類を用意し、日付や内容が合っているかを綿密にチェックしましょう。

また、事業期間内に数回、担当者からチェックが入ったり、会計検査院の検査が行われたりする場合もありますので、常日頃からきちんと書類を用意し、経費や会計について説明できるようにしておく必要があります。

まとめ

ウィズコロナ時代における「新しい生活様式」の推進により、飲食店の在り方にも転換が求められています。事業再構築補助金を受けることで大胆な事業転換や事業開拓を行うことができ、売上の回復・上昇のみならず安定した経営基盤の構築や、地域・日本経済への貢献にもつなげることが可能です。

しかし、事業再構築補助金を受けるためには事業計画書を提出し採択される必要があります。審査項目や加点項目を把握し、綿密な事業計画書を作るようにしましょう。

また、補助金を受けることができたら、そのお金の流れはしっかり記録して、適切に使用していることを証明できるようにしておくことも必要です。