2021年4月1日から総額表示が義務化!メニューの総額表示の方法と注意点とは

小売・飲食

2021年をもって総額表示義務の特例が終了し、商品の金額は全て総額表示をしなければならなくなります。特に飲食店の場合は、看板やメニューなど大がかりな変更点が多いため、早い段階から準備を行う必要があります。

今回の記事では、総額表示をしなければならない媒体や表示法をご紹介します。この記事を読んで、適切な表示ができるようにしましょう。

総額表示義務とは?

総額表示とは、消費者に商品の販売やサービスの提供を行う課税事業者が、値札やチラシなどにおいて、あらかじめその取引価格を表示する際に消費税額(地方消費税額を含む)を含めた価格を表示することをいいます。

1989年の消費税の導入から2004年3月31日までは、税別価格と税込み価格の2通りの価格表示が混在していました。しかし、2004年4月1日より総額表示が義務付けられることになりました。

総額表示義務はなぜ必要?

先ほどご紹介した通り、消費税導入当時は税込・税抜両方の価格表示が混在していました。しかしそれでは消費者側に混乱が生じる場合があります。

例えば、A店とB店で以下のような金額表示がされていたとします。

【A店】                 【B店】

ハンバーグセット 880円(税抜)    ハンバーグセット 957円(税込)

金額だけ見ると、A店の方が安く感じます。しかしA店で実際にハンバーグセットを頼み店内で食べると10%の消費税が加算されるため、実際の支払いは968円となります。B店は表示金額そのままの支払いになりますので、B店のほうが安いことが分かります。

このように、税抜表示は消費者にとっては実際の支払いが分かりづらく混乱が生じてしまいます。また、表示法が混在していると「B店よりA店の方が安い」というように誤認を招く恐れもあります。

総額表示義務によって表示を税込み価格に統一することで、消費者が支払い金額を理解することが容易になるのです。

総額表示の具体例

「総額表示」に該当するのは以下のような表示です。

※1,000円のメニューを店内で食べる時(税率10%)の表示

1,100円

1,100円(税込)

1,100円(税抜価格1,000円)

1,100円(うち消費税額等100円)

1,100円(税抜価格1,000円、消費税額等100円)

支払総額である「1,100円」さえ表示されていれば良いので、「消費税額等」や「税抜価格」が表示されていても構いません。

総額表示にして端数が出た場合

総額表示で小数点以下の端数が出る場合、その端数をどのように処理(切捨て、切上げ、四捨五入)して「税込価格」を設定するかは事業者の判断に委ねられています。

「1,000円(税込1,100円)」という表示はOK?

「1,000円(税込1,100円)」というように税抜価格の後で税込価格を表示する方法でも、総額が一目で分かりますので総額表示の義務付けに反しているものではありません。

ただし、上記のような表記法には一つの問題があります。例えば以下のように表記するとどうでしょうか。

このように、文字の大きさや色合いを変えることで税抜価格を強調して、あたかもそちらが実際の支払額であるように表示することができてしまいます。その結果、消費者に誤認を与えたりトラブルを招いたりしてしまう危険性があります。

そうした表示によって、「1,000円」の方が税込価格(支払い総額)であると消費者が誤認するようなことがあれば、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」の問題が生ずる恐れもあります。

先ほどご紹介した通り、総額表示は消費者が最終的に支払う金額を一目で分かるようにするためのものです。そのことを念頭に置き、分かりやすい表示をするよう注意しましょう。

総額表示義務の特例とは?

総額表示が義務づけられた時点での消費税率は5%(1997年4月より3%から増税)でした。

しかし、その後2012年6月に、消費税率が2014年に8%、2015年に10%(実際には2019年に実施)と段階的に引き上げられることが決定し、度重なる表示変更による事業者の負担が懸念される事態となりました。

そうした事態に鑑み、「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」(消費税転嫁対策特別措置法 2013年10月1日施行)に基づいて特例期間が設けられました。

この期間においては、総額表示義務の対象となる表示であっても誤認防止措置を講じていれば税込価格を表示しなくても良いこととされています。この特例期間は2013年10月1日からスタートしましたが、2021年3月31日で終了し、総額表示は完全義務化となります。

違反した場合の罰則はある?

間もなく完全義務化となる総額表示ですが、違反した際の罰則は設けられていません。そのため、特例期間終了後、総額表示が完了していなくてもそのこと自体で処罰されることはありません。

ただし、安く見せるためなど、悪質な場合があれば税務署から行政指導が入ったり、先ほどの例のように景品表示法の問題が生じたりする可能性があります。総額表示義務は消費者保護の観点から国が定めた義務ですので、必ず対応するようにしましょう。

総額表示の対象となるもの

消費者に対して行われる価格表示であれば、表示媒体に関わらず総額表示が義務付けられます。飲食店がチェックすべきポイントを以下に列記します。

  1. 店頭のチラシ及びポスター
  2. 新聞折り込み広告やダイレクトメールなどで不特定多数に配布するチラシ
  3. メニュー
  4. (セルフサービスの飲食店の場合)陳列棚の値札
  5. 看板やのぼり、イーゼル
  6. 雑誌やフリーペーパー、新聞の広告やメニュー
  7. ホームページ、飲食店情報サイト、SNSなどインターネットを使った情報配信
  8. テレビCM

一方、以下のようなケースは総額表示義務に該当しません。

  1. 消費者に対する口頭での価格表示
  2. あらかじめ価格表示がなされないもの(「時価」など)
  3. 事業者間の取引で示される価格(請求書、見積書、契約書など)

こんな時はどうする?特殊なケース

総額表示の対象となる媒体は多岐に渡るうえ、店舗によってサービスやシステムの内容が異なるため、一般的な総額表示の説明ではどうすれば良いか分からないというケースも多々あります。

最後に、特殊なケースにおける総額表示の方法についてご紹介しましょう。

店内と同じメニューをテイクアウトできる場合

新型コロナウイルスの感染拡大による来店者数の減少に対応するため、店内メニューと同じものをテイクアウトで提供する店舗も増えています。

店内で食事をする場合の消費税率は10%、テイクアウトは軽減税率が適用されるため8%と税率が異なります。税抜表示の場合は同じ価格で表記できますが、総額表示になると価格に差が出てしまいます。

そのような場合は、以下の3パターンのいずれかで表記することになります。

【1】両方の税込価格(総額)を併記する

〈表記例〉

 店内テイクアウト
かつ丼550円540円
唐揚げ定食660円648円
ミックスフライ定食770円756円

【2】片方の価格のみ表示し、注釈をつける

〈表記例〉

かつ丼 550円(税込)
唐揚げ定食 660円(税込)
ミックスフライ定食 770円(税込)
※テイクアウトの場合、税率が異なりますので別価格となります。

【3】両方の税込価格を同じ額に設定する

〈表記例〉

かつ丼 550円(税込)
唐揚げ定食 660円(税込)
ミックスフライ定食 770円(税込)
※「店内でのお食事」と「テイクアウト」でどちらも同一の税込価格です。(税抜価格は異なります)

店名に価格が入っている場合

「500円丼の店 〇〇」というように店名に価格が入っている場合は、総額表示義務に該当し店名を変えなくてはならないのでしょうか。

先ほどご紹介した通り、総額表示の義務付けは、消費者に対する価格表示を対象として、消費者をいくら支払えばその商品やサービスの提供を受けられるか事前に一目で分かるようにするためのものです。

お店の屋号(名称)は、たとえ金額が入っていたとしても総額表示義務の対象にはなりません。ただし、店内のメニューやポスターなどの価格表示は総額表示にする必要があります。

サービス料の表示方法

高級レストランや居酒屋、バーなどで飲食代とは別に取引金額の一定割合を「サービス料」として受け取る場合は、その基礎となる取引金額が税込み価格であればサービス料の割合を変更する必要はありません。

例えば、税込み価格3,300円(税抜価格は3,000円)の食事、サービス料10%とすると、総税抜表示と総額表示ではこのような違いがあります。また、サービス料についての記載方法に関しても、メニューなどの表記を変更する際に併せて変更する必要があります。

税抜表示 総額表示
〇〇コース    3,000円
サービス料10%  300円

小計       3,300円
消費税      330円
合計       3,630円
〇〇コース    3,000円
サービス料10%  300円

合計       3,630円
(うち消費税   330円)
メニュー等への記載方法(例) 「別途サービス料として10%を頂戴いたします」 メニュー等への記載方法(例) 「上記税込み価格にサービス料として10%を頂戴いたします」

まとめ

総額表示の完全義務化により、店内の表示だけではなくチラシやインターネット上の情報など、さまざまな変更点が生じます。自店で変更すべき点を洗い出し、変更漏れのないように計画を立てて変更を行っていきましょう。