カフェ開業に必要な資金の目安や内訳は?調達方法や節約するコツ

最終更新日: 2023/05/26
開業・経営

カフェオープン

近年はさまざまな業態でカフェを開業する人が増えています。レストランなどと比較して料理の種類が少なく、低予算で簡単に開業できるというイメージがありますが、開業費用を大まかに見積もっても総額1,000万~2,000万はかかるでしょう。しかし、工夫次第で開業費用を節約することは可能です。

今回は、カフェの開業資金の内訳と資金調達方法、そして上手な節約の仕方をご紹介します。これまで温めてきたアイデアやこだわりの詰まったカフェを開業し、成功させるためにぜひチェックしましょう。

カフェ開業に必要な資金の目安は?

豚の貯金箱とお金

カフェの開業準備にはさまざまな費用がかかります。カフェ開業資金の目安は総額1,000~2,000万円程度といわれており、すべての費用をご自身で用意できない場合は、家族や金融機関から資金調達をするのが一般的です。
開業費用の内訳を見ると、店舗の取得費用や設備、内装の工事などにお金がかかります。

それ以外にも、カフェには必要な申請や手続きがあります。
まず開業に必要な資格が「食品衛生責任者」です。各都道府県の講習を受講することで取得できます。次に保健所への「飲食店営業許可申請」が必要です。内装工事前に店舗設計図を持参し、保健所に相談すると良いでしょう。また、店内で手作りのパンやお菓子を作る場合は「菓子製造業許可申請」も追加で必要になります。

カフェ開業に必要な資金の内訳は?

開業する場所や店舗の規模によって開業資金は大きく異なります。ここでは都市近郊の商店街で開業することを想定して、必要な資金を説明していきます。

1. 店舗物件取得費

店舗物件ですが、フランチャイズでない場合40坪も50坪もある広い店舗ではなく、最初は客席面積が20坪程度からスタートするのが良いです。

席数は、客席面積の1.5倍が標準とされており、面積が20坪であれば「20×1.5=30席」となります。これは標準ですから、例えば、お店のコンセプトが「ゆったりくつろげる癒しの空間」であれば25席くらいに少なくし、逆にカフェは客単価が低いから客数を多くしたいと考える場合は30席以上設けるようにします。

席数が決まれば、売上予想が立てられます。1日の売上は「席数×客席稼働率×回転数×客単価」で求めることができます。稼働率とは、全席数に対して実際に埋まる席の割合のことで、カフェの稼働率は60~80%程度といわれています。

〈例〉席数が30席、回転数3回、客単価700円、稼働率70%とした場合、

1日の売上予想額は、「30×3×700×70%=44,100円」。

1か月の営業日数が25日とすると、毎月の売上予想額は、「44,100円×25日=1,146,000円」となります。

店舗の家賃は売上の10%が適正とされていますから、家賃が11万円前後の物件を探すのがポイントです。

飲食店向けの物件では、保証金が家賃の10か月分、家賃・礼金・仲介手数料それぞれ1か月分で、計13か月分を支払うのが一般的なので、この例の場合は、「110,000×13か月=143万円」を準備する必要があります。

2. 設備工事費

新築で造作が何もないスケルトン物件の場合、電気工事は、コンセントや照明器具の配線、エアコン、給排気ファン、大型冷蔵庫などの動力の配線・引き込み工事が必要です。20坪の店舗であれば60万〜80万円ほどかかります。

ガス工事は、飲食店用としてガスが入っていれば配管工事だけですむため、坪当たり30~40万円です。

水道工事は、厨房とトイレなどの水回り全体で60万~100万円くらいです。カフェでも定食やパスタ、カレーなどのメニューを提供する場合は、保健所からグリストラップ(生ゴミや油を除去する装置)の設置を指導されます。サイズにも規定があるため、グリストラップの大きさによって工事費が違います。

3. 内装工事費

天井や床、壁、厨房、トイレ、ファサード(入り口)など店舗全体の内装工事費です。坪当たり30万円が相場とされています。客席面積20坪と厨房その他の面積を合わせて25坪とすると750万円かかることになります。

4. 備品、什器、消耗品

テーブルと椅子、照明器具、音響、レジ、エスプレッソマシン、オーブン、製氷機、冷蔵庫、家具、シンク、食器類など、必要な備品の項目は店舗の規模やメニューによって異なります。一般的には150万円程度は必要といえるでしょう。

5. 広告宣伝費

集客のためのコストも計算に入れましょう。チラシやホームページ、ショップカードなどを作成する場合は20万円ほど要します。時間はかかりますが、知識がある場合はご自身で制作しても良いでしょう。

6. 運転資金

開業資金で重要といえるのが運転資金です。飲食店の売上が安定するまで早くて3か月、一般的には6か月かかるといわれます。売上がほとんどない月でも家賃や光熱費、材料費などは削るわけにはいかないため、赤字に転落してしまうことがあります。そのような低迷期を乗り越えるためには、家賃と材料費、それにオーナーの生活費を合計した額の6か月分を開業前に用意しておくのが望ましいとされています。

材料費は売上予想額の30%、生活費は同じく18%以下が妥当とされており、上の例では「110,000円(家賃)+343,800円(材料費)+206,280(生活費)=660,080円」です。これの6か月分は396万480円、約400万円の運転資金が必要ということになります。なお、スタッフを雇う場合は人件費が追加で必要です。

材料費を詳しく考えると、例えばコーヒーの原価率は10%程度が目安とされます。コーヒー豆の値段と提供する価格を調整しながら、材料費を適切な範囲内に抑えるようにしましょう。

以上の1~6までの総計は1,663万円となり、これが開業資金として準備しておきたい金額です。なお、家賃の保証金は、賃貸契約を解約する際に返還されるのが原則です。

カフェ開業資金はどうやって調達すればいい?

資金調達イメージ

開業資金を準備するには、知り合いの中から出資者を募る方法もありますが、万が一経営が行き詰ったとき、人が変わったように厳しく返済を迫られることを覚悟しなければなりません。そのようなことも考えて借金は親兄弟と金融機関だけにするほうが賢明です。

自己資金の足りない分は親兄弟から借りる

開業資金の全額を自己資金で賄えるに越したことはありませんが、開業資金の10~30%は貯えておく必要があります。というのも、金融機関などから融資を受ける際、10~30%程度の自己資金を所有していることが条件となるからです。貯金ができない場合は、親兄弟や友人から借りるか、援助してもらうようにしましょう。

日本政策金融公庫の融資を受ける

株式会社日本政策金融公庫は、株の100%を国が保有する特殊法人で、国の機関ではないけれどそれに準じる金融機関という位置づけです。

創業者・起業家を対象とする融資制度は数多くありますが、その中でも比較的利用しやすいといわれるのが「新創業融資制度」です。この制度の大まかな要件は次の通りです。

  • 融資の対象……法人企業、個人事業主
  • 融資限度額……3,000万円(うち運転資金1,500万円)
  • 借入期間…… 最長5年。据え置き期間(元本の返済を猶予してもらい利息だけ支払う期間)が1年
  • 金利(基準)……2.26~2.85%(2018年8月現在)
  • 担保・連帯保証……原則不要

担保も連帯保証人も原則として不要というのは、ほかの融資制度ではあまり見られないので、その点でもハードルの低い制度といえるでしょう。

そのほかにも、「新規開業資金制度」「女子・若者/シニア起業家支援資金制度」などもあります。

金融機関から融資を受ける

日本政策金融公庫以外にも、金融機関にはメガバンクや地方銀行、信用金庫など複数の種類があります。金融機関によって融資の受けやすさが異なり、小規模のカフェであれば地方銀行や信用金庫のほうが融資を受けやすいでしょう。
一方、メガバンクは経営実績のない小規模な事業に融資してくれるケースは稀であるため、融資を受ける難易度は高くなります。

また、融資を受けるためには、ビジネスプランや信用評価、担保・保証人などが必要です。特に融資担当者に成功確率が低いと思われた場合、融資が受けられないこともあるため、事業計画と資金計画は具体的に作成しておきましょう。
事業概要や売上予測、利益計画、キャッシュフロー予測などの情報も金融機関に提出する必要があります。

助成金や補助金を利用する

開業資金の調達方法として、国や地方自治体による助成金や補助金を活用する方法もあります。

審査に時間はかかるものの、融資とは異なり返済の必要がないため、まずはご自身の条件に該当する助成金や補助金がないか調べるのがおすすめです。近年募集のある補助金の例としては、IT導入補助金や小規模事業者持続化補助金が挙げられます。

その他、カフェのコンセプトに賛同してくれる一般の方からお金を集める「クラウドファンディング」を活用するのも方法の1つです。

「飲食店のIT化がより勝負の決め手になるかも?IT導入補助金の上限額が450万円に拡大

カフェの開業資金を節約する方法はある?

開業資金の節約を考える女性

カフェ開業にはおおよそ1,600万円もかかることがわかりました。これから開業を考えている方の多くは、できるだけ費用を減らしたいのではないでしょうか。節約の方法はたくさんあるため、以下で詳しく解説します。

物件の取得費が抑えられる場所で開業する

カフェを開業する立地によって物件の取得費は大きく異なります。そのため、カフェの開業資金を節約するには、地価や賃料が比較的低い立地を選ぶことが重要です。

ただし立地によって客層が異なることがあり、集客やカフェのコンセプトにも影響します。例えば、人口や人通りの少ない地域にカフェを開業した場合、集客できる母数が少なくなり売上が伸びない可能性もあります。一方で、人が多く集まる一等地にカフェを開業しても、取得費や賃料が高くなりカフェ経営を圧迫することも考えられるでしょう。
物件の取得費といったコスト面と同時に「集客できる立地かどうか」についても深く考えることがポイントです。

また、カフェ経営が初めての方であれば、裏道や繁華街から1本外れたような場所にある立地で開業するのがおすすめです。近場に人が集まっているため、方法次第で上手く集客ができるでしょう。例えば、繁華街ではない店舗でもMEO(マップエンジン最適化)やSNSを活用して集客に成功しているカフェもあります。

居抜き物件を選ぶ

居抜き物件(前の借主が施した設備や内装のままの物件のこと)を借りることも方法の1つです。それによって、開業資金の中で大きなウエイトを占めている内装工事費を減らすことができます。スケルトンの物件であれば約750万円かかる場合でも、居抜き物件であれば電気・ガス・水道の設備工事は不要です。

また、改装やリフォームなしに、厨房機器や什器、テーブル、椅子なども使える状態であれば200万円ほどの節約になります。前の借主に造作譲渡費用を支払う必要がありますが、造作の状態や交渉次第では無償譲渡ということもあり得ます。

これで合計950万円もの費用削減になります。もちろん、居抜き物件もメリットだけではなくデメリットもありますから慎重に判断すべきですが、初期費用を抑えるためには有利な方法です。

スケルトン物件での節約法としては、コンクリートむき出しの壁をそのまま活かしてスタイリッシュな空間を演出することがあげられます。また、厨房機器や什器類は新品をそろえるのではなく、中古品を利用することで大幅に予算を削ることができます。飲食店専門のリサイクルショップには新品同様の中古品が並んでおり、通常の予算が150万円としても、その半額程度でそろえることが可能です。

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設備や備金、什器は中古品で用意する

厨房設備や店舗の備金、什器などは中古品を活用することで、設備費用を節約することができるでしょう。カフェの開業には、コーヒーマシンやエスプレッソマシーンといった厨房機器や食器を入れる棚、お客様用の椅子やテーブルなどが必要です。

厨房機器を新品で購入すると約120万円から250万円かかるといわれています。また、椅子やテーブルなども見栄えの良いものであれば、数万円程度かかるでしょう。備品すべてを新品で揃えると数百万円単位で購入費が必要となるため、資金繰りに余裕がない場合は中古品の活用が必須です。

内装や外装の工事を自分で行う

時間や手間はかかりますが、カフェの内装や外装の一部、看板などをDIYで対応することも選択肢の1つです。
工事を依頼すると数百万円の費用がかかります。例えば、物件の大きさが15坪程度で内装を依頼した場合、1坪あたりの相場が30万円から50万円で、総額450万円から750万円程度の費用がかかるでしょう。自分で行えば一部の費用負担を減らせるだけでなく、オリジナリティのある空間にデザインでき、店舗デザインの自由度も高めることができます。

開業費用を節約し店舗運営を軌道に乗せましょう

カフェの美味しいコーヒー

カフェの開業にはさまざまな費用がかかるだけでなく、資格や保健所への申請も必要です。店舗運営の経験がなく、今回初めてカフェオーナーになる場合は押さえておくべきポイントを忘れないようにチェックしましょう。

開業時は売上予想と合わせて運転資金についてもよく計算しましょう。開店当初はオープン景気といって多くのお客様でにぎわいますが、やがて売上ゼロという日が来る可能性があります。その際、撤退してしまうオーナーも少なくありません。
それを避けるためにも事前にシミュレーションをして、必要な運転資金はしっかり確保しておくことが大切です。家族や金融機関のほか、補助金なども積極的に活用しましょう。

資金面で余裕がない場合は、居抜き物件や立地などを検討し直すことで開業費用を圧縮できます。ターゲット層に合ったコンセプトでサービスを提供し、ぜひオーナーの理想のカフェを実現しましょう。

 


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