ブランド米を使用すると集客力があがる?おすすめブランド米を紹介

飲食店

ふっくらと炊けたご飯

みなさんの飲食店では、「ご飯」を提供していますか。提供している場合、それはブランド米と呼ばれる銘柄米でしょうか。最近では、「当店ではササニシキを使用しています」といった表示を出して、ブランド米を使用していることをお客様にアピールする飲食店が増えてきています。では、近年増加しているブランド米の使用は、お店にとってどんなメリットがあるのでしょうか。

そこで今回は、飲食店でブランド米を使用するメリットやデメリット、ブランド米の種類などについてご紹介いたします。

ブランド米とは

精米前のご飯

そもそも「ブランド米」とは、どのような米のことを指すのでしょうか。

残念ながら、ブランド米には国が決めたような明確な定義がありませんので、非常に曖昧なものとなっています。それどころか、ブランド米という名前を使う人や使う場面によって、ブランド米という言葉は2つの意味を持ちます。

1つは、1つの銘柄だけを袋詰めにしたものを指す「ブランド米」です。この意味における「ブランド米」の反対は、品種や産地が異なる米をブレンドした「ブレンド米」です。

もう1つは、日本で生産される300種類以上にも及ぶ米の中で、特に美味しいとされるコシヒカリ、あきたこまち、ひとめぼれ、ササニシキ、ヒノヒカリ、ほしのゆめ、キヌヒカリなどの品種を「ブランド米」であるとする意味です。

ブランド米に関して、どちらの意味が正しいということはありません。しかし、消費者の感覚で言えば、どちらかというと後者を連想する人が多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、「特に美味しいとされる特定の品種」をブランド米ということにして進めていきます。

とは言え、「特に美味しいとされる特定の品種」をブランド米とする流れは、最近になって生まれたわけではありません。実は、江戸時代からすでに、現代におけるブランド米と同じ意味において米が扱われていたのです。江戸時代でも、「この国の米が美味しい」という評判は当然立ちます。そうして評判になった米が一種のブランド米として流通され、コメ相場でも高値で取引きされるのです。その例が、讃岐米や庄内米などという、当時の国名がついたブランド米です。

ただし、コシヒカリなど国名がついていないブランド米に関しては、最近になって生まれました。そのような米は、1969年に自主流通米制度が日本で開始された後、各地で開発された新種の米を生産地別に呼ぶようになってからです。

お気づきかもしれませんが、米の名前にはカタカナとひらがなで表記されたものがあります。このカタカナとひらがなの表記の差にも、意味があるのです。カタカナとひらがなを分ける理由には、国立の試験場で作られたものはカタカナ、県の農業試験場で開発されたものはひらがなというルールがかつての日本ではあったからです。しかし現在は、カタカナよりもひらがなの方が消費者に良いイメージが与えられるということで、国立の試験場で開発された品種も、「ひとめぼれ」のようにひらがなになってきています。

ブランド米にはなにがある?

カゴに入ったイネと米

「おいしい米」をブランド米と呼んだ時、具体的にはどのような品種の米があるのでしょうか。有名な品種の米から最近聞くようになった米まで、簡単にご紹介いたします。

ブランド米というと、だいたい以下の7品種が挙げられることが多いでしょう。

  • コシヒカリ
    新潟県で開発された「コシヒカリ」は、日本におけるブランド米としては1番有名です。「コシヒカリ」は色、味、食感、香りすべてが優れている品種です。中でも、新潟県魚沼産のコシヒカリは、日本における米のトップブランドと言えます。コシヒカリは和食だけではなく洋食などにも使われる、非常に万能で選ばれる米です。しかし、粘りが強く、米同士がくっついてしまうので、握り寿司には向いていません。
  • ひとめぼれ
    宮城県で開発された「ひとめぼれ」は、コシヒカリから交配された品種です。コシヒカリよりもさっぱりとした味わいと口当たりの柔らかさが特徴です。和食だけではなく、洋食にも中華にもぴったりです。
  • ヒノヒカリ
    宮崎県で開発された「ヒノヒカリ」は、コシヒカリの交配品種です。ヒノヒカリの特徴は、もちもちした弾力とコシヒカリのような粘りがないことです。そのため、握り寿司にも向いています。もちろん、和食、洋食、中華のどれにも適しています。
  • あきたこまち
    秋田県で開発された「あきたこまち」は、コシヒカリの交配品種です。粒がやや小さくやや硬めなので、あっさりとした味わいに炊き上がります。このことから、米にタレをかける丼ものや酢飯を使う握り寿司などに向いています
  • ななつぼし
    北海道で開発された「ななつぼし」は、ひとめぼれの交配品種です。粒がかっちりとしているので、さらっと炊き上がります。したがって、冷めても美味しく食べられます。こうした特徴から、握り寿司にして食べたりお弁当などに使うのが向いています。
  • はえぬき
    山形県で開発された「はえぬき」は、あきたこまちの交配品種です。山形県産のはえぬきは、日本穀物検定協会のランキングで22年連続で特Aを取得する、新潟県魚沼産コシヒカリに匹敵するブランド米です。炊くとしっかり米が立ち、冷めても美味しいので、握り寿司、おにぎり、お弁当に向いています。
  • キヌヒカリ
    北陸で開発された「キヌヒカリ」は、絹のような光沢があることからその名がつけられました。キヌヒカリはさっぱりして、やや甘みがある特徴があります。そのため、総菜やおかずと一緒に食べるのに向いているので、和食の飲食店や寿司屋でよく使われています。

多くの美味しいものと身近に出会える今日の日本では、消費者の目も舌も肥えてきています。そのため、単純にブランド米というだけでは、特段価値を感じなくなっているとされます。以下のデータは消費者から直接調査したものではなく、消費者の動向をよく知っている、量販店における米のバイヤーが選んだブランド米の人気ランキングです。

1位 新潟県魚沼産コシヒカリ
2位 北海道産ゆめぴりか
3位 山形県産つや姫
4位 北海道産ななつぼし
5位 秋田県県南産あきたこまち
6位 宮城県産ひとめぼれ
7位 青森県中弘南黒産青天の霹靂
8位 熊本県産森のくまさん
9位 富山県産コシヒカリ
10位 山形県産はえぬき

以上のデータから、消費者に評価されるブランド米の特徴が分かります。それは、単純に「コシヒカリ」だから消費者の評価が高いということではなく、「産地」と「ブランド」のかけ合わせによって、ブランド米が評価されるということです。そのよい例が、茨城県産コシヒカリです。茨城県産コシヒカリは消費者から人気の品種であるコシヒカリであるにもかかわらず、人気は62位となっています。これはつまり、飲食店でブランド米を採用して集客力までアップさせようと思ったら、産地にまでこだわらないと効果がない時代なのです。

ブランド米を使用するメリットとデメリット

土鍋で炊いたご飯

では、飲食店でブランド米を使用する場合のメリットとデメリットについて、解説します。

ブランド米を使用するメリット

消費者の米の選択基準で産地、ブランドは上位

近年では、一般の家庭でもコシヒカリやササニシキなどの銘柄米、いわゆるブランド米を食べることが普通となっています。実際、スーパーマーケットなどの小売店には、たくさんのブランド米が売られています。こうしたことから、ブランド米は消費者にとって当たり前の感覚になってきています。ところが、そうしたブランド米の一般化は、飲食店で提供されるご飯についても、食卓で口にするのと同程度のブランド米を求めているということに繋がっているのです。

そうした傾向は、データにも如実に表れています。「量販店で米を選ぶ基準」を消費者に調査したところ、以下のような結果になりました。

1位 価格 55.4%
2位 産地 50.1%
3位 銘柄 49.1%
4位 味 38.8%
5位 安全性 31.3%

量販店で米を選ぶ基準を以上のデータから見ると、価格が米を選択する1位ではありますが、それと僅差で「産地」と「銘柄」というブランド要素が挙がっていることが分かります。こうしたことから、飲食店がブランド米を消費者にアピールするのであれば、この2つの要素が重要なのです。反対に言えば、米のブランドを上手にアピールすることができれば集客力が上がる可能性があるのです。以上が、ブランド米を使用する最大のメリットになります。

プラセボ効果も期待

使用している米のブランドを店頭に表示することで、プラセボ効果が期待できます。プラセボ効果とは、簡単にいうと人間の思い込みによるポジティブな効果を指します。通称「偽薬効果」とも呼ばれています。かつて、医師が何の効果もない錠剤を病気に効くと説明して患者に渡すという実験がなされました。この時、実際には患者が患う病にはまったく効果のないと思われた錠剤であったにも関わらず服用を続けた結果、実際に病気が改善するという結果が生まれました。この実験から分かる通り、人間は効くと思って薬を飲めば、実際には効果がないようなものでも効果が出る可能性があるのです。

ありていに言ってしまえば、飲食店で提供するご飯の美味しさは、米の美味しさが30%、炊き方が50%、保温状態が20%と言えるでしょう。しかし、いつでも完璧に炊飯、保温ができないのも現実です。そこで、「当店は魚沼産コシヒカリを使用しています」と店頭に表示しておけば、プラセボ高価で美味しいと感じてもらえる可能性は高いのです。

ブランド米を使用するデメリット

ブランドを絞ることによる原価アップ

「産地」+「ブランド」を固定して、当店は「魚沼産コシヒカリ」を使用しています」と表示していくことには、デメリットもあります。

あらゆる要素かが複雑に絡み合って原価高を迫られる飲食店では、少しでも原価率を下げたいと思っているはずです。そのため、原価率を下げたいと中国産などの外米を使用されているお店もあるかと思います。しかし、平成23年に施行された「米トレーサビリティ法」によって、お店で使用する米に関しては、店頭に表示しなければならなくなりました。ただでさえ、ブランド米でも消費者からそっぽを向かれかねない今日の日本において、外米の使用は集客上のマイナスとなってしまうかもしれません。

こうしたことを考慮に入れて、お店で提供する米には最低限国産にこだわりながら、その中でコストダウンを図ることになります。その時、コストダウン効果が最も高い手法は、「ブランド米ではなくブレンド米を使用する」こと、次いで「産地は指定せずブランドも指定しないがどこかのブランド米を使用する」、そして最後が「産地は指定せずブランドだけ固定する」ことです。

米には地域ごとに、その年の天候による出来不出来があります。米の価格は、年年の状況によって当然相場が変わります。仕入れを検討する年の中で1番安い米を選択できるようにしておくことが、最もコストダウン効果が得られるのです。

したがって、「産地」+「ブランド」を固定してしまうことは、最もコスト対応力が低く、原価が高止まりしてしまう危険性がデメリットとしてあるのです。ですから、集客力というメリットとそれによる原価アップというデメリットを勘案して、ブランド米を仕入れる戦略を常に考える必要があります。

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差別化するためのブランド米を紹介

炊いたら美味しそうなご飯

米だけではなく、すべての食品、商品に対して肥えた目を持った、選択の厳しい消費者はどんどん増えてきています。もしもそういった人々をもターゲットとして狙うのであれば、「産地」+「ブランド」では消費者に後れを取ってしまっていると言えるでしょう。つまり、「産地」+「ブランド」では集客の効果が中々出ないのです。

それでは、ブランド米を使った集客アップを目指すには、どうすればいいのでしょうか。最近では米だけでなく、全ての食材を「オーガニック」で揃えている飲食店が非常に人気になっています。それだけ消費者の健康志向、安全志向が高まっているということです。そこまでいかなくても、お店で使用する米に「産地」+「ブランド」だけではなく、「無農薬」「有機栽培」という要素をプラスして入れるだけでも効果はあるでしょう。

有機栽培とは、化学肥料を使わずに堆肥などの有機肥料で作物を育てる農法のことです。有機栽培であると名乗れる米は、JAS法の「3年以上農薬や化学肥料を使用していない土地で栽培されていること」や、「化学合成した農薬、化学肥料を使用していないこと」など、厳しい条件をクリアする必要があります。以上の条件をクリアした米を仕入れれば、店頭にも「オーガニックJASマーク」が表示できるようになります。その結果、堂々と「当店では有機栽培の魚沼産コシヒカリを使用しています」と言えるのです。

有機栽培にまでこだわったブランド米を使用すれば、有機栽培のご飯が食べたくて来店するお客様が増えるかもしれません。ただし、有機栽培のブランド米を使った戦略は、通常のブランド米を使うよりもコストが上がる戦略です。そのため、コストアップ分を来店客増加による利益増で補えるかどうかを慎重に考える必要があります。

まとめ

新米を使ったおにぎり

いかがでしょうか?

今日の日本では、スーパーマーケットなどでブランド米が数多く扱われるようになりました。そのため、ただのブランド米のアピールだけでは、ほとんど集客にはつながらないというのが現実です。ブランド米を用いて集客力のメリットまで得たければ、ブランド米の生産された「産地」の要素を加える必要があります。そして可能であれば、「無農薬」であるという要素まで加えていくことをおすすめします。

以上の三要素をブランド米に加えることができれば、ブランド米目当てのお客様を集客することができるかもしれません。しかし、通常のブランド米よりも原価が上がりますので、実行するにあたっては慎重に検討しましょう。

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