メニューのABC分析から価格設定の見直しをするポイント

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ABC分析を行うイメージ

飲食店では1人でも多くのお客様の来店を願い、1人でも多くの常連さんを確保するために色々努力されているのではないでしょうか。そのための経営手法も数多く発表されており、今回ご紹介するABC分析手法もその1つです。

飲食店の中には、いまだに店主や大将の勘に頼った経営を行っているお店が少なからずあります。そのようなお店では、勘に基づいたこだわりが長年にわたってお客様に受け入れられ、その結果として、利益を上げるビジネスモデルとなっています。しかし、このような優良店であっても、経営を数値に置き換えた管理をする必要があります。なぜなら、数値管理をすることによって、さらに利益を生み出すポイントが浮かびあがるからです。それだけでなく、お店の経営が下降する危険因子を見つけられるかもしれません。

継続的な繁栄を維持するためにも、ABC分析をしっかり行い、経営の見直しをしていきましょう。

ABC分析とは

abc分析

ABC分析とは、イタリアの数学者パレートによって、1897年に発表された分析手法の1つです。この手法は、上位20%の項目で全体の80%を占めるという法則のことであり、一般に広く知られている80:20の法則のことをいいます。

この法則は、飲食店業界でも売上の分析をするにあたって盛んに使われています。80:20の法則を飲食店に当てはめると、売上に貢献する上位20%の売上高が、全商品の80%であるということになります。もともとは、製造工場における在庫管理の手法として広く普及してきましたが、飲食業界でも積極的に取り入れられるようになり、現在では広く飲食店でも使用されています。

飲食店におけるABC分析は、売上高、販売数量、粗利益などの分析に使用され、そのデータからメニューの改善や食材の在庫管理、価格設定の見直しなど、お店の運営に関する重要な指針を得ることができます。

店舗経営に欠かせないデータを分析できるABC分析ですが、その方法は難しくありません。売上高の分析を、エクセルなどの表計算ソフトを用いて作成した簡単な表でご説明します。

表には左から、「メニューの種類」、「単価」、「販売数量」、「売上金額合計」、「売上構成比」、「構成比累計」という項目を記入します。

メニュー 単価 販売数 売上金額合計 売上構成比% 構成比累計%
600 800 480,000 48 48
1000 250 250,000 25 73
500 300 150,000 15 88
500 150 75,000 7.5 95.5
300 100 30,000 3 98.5
500 30 15,000 1.5 100
1,000,000 100

月に販売された商品の売り上げ構成を、高い順に並べるとこのような表になります。(単純化してあります。)

構成比累計には、上段に「イ」の売上構成比をそのまま入れ、2段目には「イ」の値に2段目の売上構成比を加えた比を記入します。それ以下、同じように計算して記入していくと、最下段の「ヘ」の欄は100%になります。

こうして算出した値をABCに分類していきます。分類には決まったルールがありませんので、任意で分類していただいて構いません。上記の表で分類した場合の一例を下記に示します。

A:0~75% メニューイ、ロ

B:76%~96% メニューハ、ニ

C:97%~100% メニューホ、ヘ

上記の分類では上位2つのメニュー「イ」、「ロ」で全売上高の73%を占めていることがお分かりになられると思います。従って、「イ」、「ロ」が重要管理メニューということになり、重点管理対象となるわけです。

ABC分析という名前のため、ABCの3段階に分類しなければならないと思われるかもしれませんが、爺祭は5段階でも10段階でも、目的により細かく分類していただいても問題はありません。

ABC分析結果から価格設定見直し商品を見つけるコツ

分析結果を見る

それでは次に、ABC分析の結果から価格設定の見直し商品を見つける方法をご説明します。

上記では例題として、売上高をABC分析しましたが、もう1つ同じ方法で粗利益高をABC分析してみましょう。上記表では単価の欄が粗利益になり、売上金額合計の欄が粗利益合計、売上構成比欄が粗利益構成比となります。

こうして構成比欄も埋めて、ABC分析を行います。売上高ABC分析によるABC分類を縦軸に、粗利益高分析によるABC分類を横軸にしてクロス評価を行います。クロス評価を行った表が以下になります。

クロス分析

この表によって、価格設定の見直しを要するメニューが見つけられます。最優先で見直しを要するメニューは、上記表の最上段にあるC分類のメニューです。売上高は好調ですが、少しも儲からないというメニューです。また、売上高は少ないが儲けの多いメニューについては、メニューの価格を下げれば売れるかもしれません。

この表を用いて明らかになる状況を、実際にお店を運営する責任者の方が見れば、一目瞭然で問題点と改善策が思い浮かぶのではないでしょうか。クロスABC評価を行い、実態に即した価格に見直しましょう。

価格設定見直しはどのようにすればいい?

打ち合わせイメージ

売上高や粗利益ABC分析により、メニューの傾向が明確になります。よって、ABC分析からメニューの見直し方針を出すことができます。

上記の表のように、よく売れているが少しも儲からないメニューがあれば、最優先でメニュー価格の再検討をしなければなりません。単純に値上げをするのか、あるいはメニューの量を落とすのか、原価の構成を見直すのかなどを検討する必要がありますが、先ずは原価を見直すことから始めましょう。

原価の見直しには、食材の仕入れの再検討、納入業者との再交渉や別な食材への変更なども考えられます。価格設定の見直しは、販売量と売値、原価がポイントです。たくさん売れても儲からないメニューは、メニュー限定や季節限定といった呼び込み商品として利益度外視の広告商品に特化する方法もありますので、参考にしてください。

価格設定後も再度ABC分析を

データ分析を繰り返し行うイメージ

価格を再設定した場合は、1ヶ月後、あるいは数か月後に、行った価格変更がうまくいったかどうかの確認をする必要があります。売上が上がったのか下がったのか、客単価に影響があったのか、あるいは変わりがないのかなどの確認事項に基いて分析評価を行い、お客様の来店数の増加と利益の増大に結び付けていかねばなりません。

ABC分析を行い、メニューの価格設定の変更やメニュー構成の変更をしていくこの繰り返しこそが、売上・利益の向上、あるいは保つ秘訣となるのです。

まとめ

ABC分析イメージ

いかがでしょうか。

飲食店を経営していると毎日忙しい日々が続き、「閉店後に売上や利益の確認などやってられない!」というそんな店主や店長も多いかと思います。しかし、お店の機会損失を知らない、あるいは知っていても行わないことによって、大きな損失が生まれるのです。

今回ご紹介したように、ABC分析はさほど難しい手法ではありません。POSレジの導入によって手間を短縮することも可能ですので、ABC分析を活用して、ぜひメニュー改善に役立ててください。